はじめに  障害者雇用については、近年、障害者の就労意欲が高まるとともに、積極的に取り組む企業が増えており、総じて着実に進展しています。  しかしながら、実雇用率を企業規模別にみると、45.5〜100人未満規模では最も低く、次いで100〜300人未満規模なっており、また産業別では、業種による差が顕著にみられます。  こうした中で、障害者雇用があまり進んでいない業種、特に中小企業における取組を促進していくことが、障害者雇用全体を一層推し進めていく鍵となっていると言えるでしょう。  このため、当機構では、同業種・同規模の他社での取組を知ることにより自社で検討・実践するうえでの課題や改善策、メリット等についての具体的なイメージを持てるよう、障害者雇用があまり進んでいない業種として、雇用義務があるにも関わらず雇用していない企業数が多い又はその割合が高い10業種(標準産業分類の大分類)を選定し、当該業種から300人未満規模の中小企業において障害者雇用に取り組んでいる15事例を取材・整理し、分析を加えたうえで本事例集として取りまとめました。  取りまとめに当たっては、学識経験者、障害者雇用実務者、事業主団体の担当者、職業安定行政の担当官から成る制作委員会を設置し、委員の方々から全体構成や各事例の構成等について様々な助言をいただき、経営者の思いや経営上のメリットなど経験者や現場に直接響くようにする、ポイントが一目で分かるようにするなどの工夫を取り入れました。  さて、本事例集は、平成30年1月に初版を発行して以来、多くの方にご利用いただいるところ、今般、巻末の資料編を最新の情報に改訂し、第二版を発行する運びとなりました。本事例集が、今後ともできるだけ多くの企業や支援機関において活用され、障害者の更なる雇用促進につながるものとなれば幸いです。  本事例集の作成および改訂にあたり、ご協力いただいた関係者の方々に改めて厚く感謝申し上げます。 令和4年1月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 本書の見方 本書は、障害者雇用があまり進んでいない業種、特に中小企業における取組を具体的な事例によりわかりやすくまとめたものです。 事例の内容は、下記のように整理、紹介しています。 1 業種 日本標準産業分類(平成25年10月改定)に準拠して大分類及びカッコ内に中分類を記載しています 2 ポイント 障害者雇用にかかる企業の取組や得られたメリットなど、事例の特徴や他の企業の参考になる点をまとめています 3 経営者の声 障害者雇用に関する企業経営者の声を紹介します 障害者雇用のきっかけや思い、経営上のメリットや今後のビジョンについて掲載しています 4 雇用管理担当者の声・現場担当者の声 障害者雇用を担当されている雇用管理担当者や現場担当者の経験や工夫など、生の声をお伝えします 5 従業員の声 障害のある従業員の方から、仕事に対する思い、働きがいや今後の希望・目標について話を聞きました 6 職務内容と工夫 障害のある従業員が従事している職務を紹介しています 職務選定の方法やキャリアアップの職務設定を掲載しています 障害特性への配慮をまとめました (支援機器の整備、職場環境のバリアフリー化、体調管理の支援、勤務条件の制度化など) 7 活用した制度や支援機関、労働条件等 障害者雇用に当たって企業が活用した支援制度・支援機関と紹介されている従業員の労働条件等を掲載しています 労働条件等については「従業員の声」の方の内容を掲載しています 8 法人データ (取材時点(2017年)のデータを掲載しています) ・従業員数 / ・障害者雇用者数 / ・雇用している障害者の障害種別 / ・企業の事業内容を掲載しています 目次 事例編 ページ 事例1: カナツ技建工業 株式会社 (建設業) 4 事例2: 神町電子 株式会社 (製造業) 6 事例3: アイ・エイチ・ジェイ 株式会社 (情報通信業) 8 事例4: 株式会社 SBS情報システム (情報通信業) 10 事例5: 有限会社 奥進システム (情報通信業) 12 事例6: 株式会社 十勝毎日新聞社 (情報通信業) 14 事例7: トピー海運 株式会社 (運輸業) 16 事例8: 西九州ハートフルサービス 株式会社 (卸売業・小売業) 18 事例9: 朝日土地建物 株式会社 (不動産・物品賃貸業) 20 事例10: 株式会社 古田土経営・税理士法人 古田土会計 (学術研究・専門・技術サービス業) 22 事例11: 学校法人 村上学園 高松高等予備校 (教育・学習支援業) 24 事例12: 学校法人 九州アカデミー学園 (教育・学習支援業) 26 事例13: 医療法人 清和会 (医療・福祉) 28 事例14: 社会福祉法人 紀伊松風苑 (医療・福祉) 30 事例15: 株式会社 美交工業 (サービス業) 32 分析編 障害者雇用に関連し、企業が取り組んだ内容一覧 34 経営者が考える障害者雇用のメリット 36 事例フォーカス 37 まとめ(事例から見た障害者雇用のポイントとメリット) 40 資料編 用語解説 42 支援制度 : 障害者雇用支援制度の紹介 44 参考資料(コラム1) : 障害者雇用と就業規則の見直し 50 参考資料(コラム2) : 障害者雇用に役立つ資料(コミック版紹介) 53 施設連絡先一覧 54 事例. 1 カナツ技建工業株式会社 島根県 建設業(総合工事業) ポイント @ 地域貢献への思いから障害者雇用を展開 A 社内の理解促進により雇用創出と職場定着につなげる 経営者の声 代表取締役社長 金津 任紀さん  障害者雇用は法律上の義務ですが、雇用率を達成するだけでなく、働く意欲のある方を可能な限り積極的に雇用することが重要だと思います。地域社会が元気になるためには、そこで働く人が元気であることが必要であり、お互い助け合っていくことを通じて、いい人間関係ができ、地域の活性化と発展につながるものと考えています。企業も地域に生かされている存在であり、当社では「社業を通じて社会に貢献する」「人の和で心の豊かさと生活の安定向上をはかる」という経営信條のもと、それを具現化するために障害者の雇用や社会参加の促進に努めています。障害者が制作した絵画の購入など、障害者の皆さんの活動への協力や支援も行っており、障害者雇用と相まって、活躍の場が広がるよう取り組んでいます。 職務内容と工夫 1 担当職務の設定(佐藤さん)  佐藤さんは、入社して約3年であり、主に産業廃棄物管理票(マニフェスト)の作成と社員の名刺作成の業務を行っている。もともと施工管理関係の資格・経験があり、今後はそういった分野の職務を担うことも検討されている。 視野狭窄により自動車の運転ができないため、通勤のバス時間に合わせた勤務時間の設定という配慮がなされている。 2 担当職務の設定(門脇さん)  門脇さんが勤務する宍道湖東部浄化センターは、松江市及び近隣の家庭や事業所から出る下水を浄化して自然に還元する施設である。4人のチームで水質検査を行い、門脇さんはその補助的業務を担っている。  門脇さんが入社した8年ほど前は、法定雇用率に達しておらず、これを充足するために公共性の強い同センターで受け入れることとなった。  門脇さんの1日は、まず、採水と各種機械の電源を入れるといった準備作業から始まる。採水は、250mほど離れた屋外の設備から、前日から溜まった2Lほどの処理水を運んでくる。次に、水質検査のため、ビーカーにセットする濾紙を作り、ビーカーに漏斗を挿し、濾紙をセットして、電導度やPH値を測定する。さまざまな処理段階の検体を測定し、その値を紙に書き写す作業である。四捨五入の扱いが難しい。さらに、前秤量作業という、SS(浮遊物質)を図るために事前に濾紙の重さを測る作業がある。専用の濾紙をピンセットで電機秤に乗せ、重量とパソコンに表示される番号を確認し、濾紙を取り出しアルミホイルに挟んで保管する、という流れである。工程が複雑で、難しい作業である。  そして、ポリ瓶、ビーカー、試験管等器具全般の洗浄作業と清掃である。洗浄といっても、検体を捨てる、すすぐ、洗浄機にかける、乾燥機にかける、という工程があり、器具の種類も多いため、時間や回数がそれぞれで異なる。  職務の創出・拡大に当たっては、地域障害者職業センターに職務の分析を依頼し、難しい作業はジョブコーチの協力を得てマニュアルを作成して対応した。  門脇さんの入社直後は、洗浄作業と清掃だけであったが、指導者の高橋さん曰く「真面目にコツコツ取り組んでいる」、「気づかれにくいよう、少しずつ仕事を増やしていった」、「職場の雰囲気が明るくなった」とのことである。 3 共通理解促進のための社内教育  知的障害者の採用に当たって、社内報で障害者雇用について解説するとともに、地域障害者職業センターの講師による社内研修を実施した。 雇用管理担当者の声 総務部総務・人事グループマネージャー 三角 敦嗣さん  皆さんそれぞれの持ち場で力を発揮していただいています。建設業は多くの現場があり、障害者の方が働きにくい環境もありますが、できるだけ働きやすい環境を整えることが重要だと思います。企業イメージの向上にもつながります。  今後も、例えば施設管理や社員の福利厚生に関する業務で、障害者雇用の拡大の可能性について検討したいと考えています。 従業員の声 総務部 勤続3年目 佐藤 勝美さん 外見では視野狭窄があると気づかれにくいので、外を歩く時など困ることはありますが、仕事上で大きく困ることはありません。今の仕事には慣れてきたので、今後は施工管理に関する知識や経験を活かせるような仕事の幅が広がればと考えています。 従業員の声 宍道湖東部浄化センター 勤続8年目 門脇 信弘さん  地道に取り組む仕事がしたかったので、ハローワークの求人に応募して、この仕事に就きました。測定値の四捨五入や急な変更などが苦手でミスもありましたが、作業も増えて、毎日充実して仕事をしています。これからも継続して働いていければと思います。 活用した制度 トライアル雇用、ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、地域障害者職業センター 労働条件等:1日6時間、週5日間勤務、契約社員 法人データ ■ カナツ技建工業株式会社 ●所在地 島根県松江市 ●従業員数 247人 ●障害者雇用者数 4人 ●障害種別 視覚障害、聴覚障害、知的障害 ●事業内容 建設工事の企画・設計・監理・請負・コンサルティング、住宅の建設・販売・賃貸及び管理、環境調査・アセスメント、汚水処理場の運転維持管理、産業廃棄物の収集運搬・処分等 事例. 2 神町電子株式会社 山形県 製造業 (電気機械器具製造業) ポイント @ わかりやすい専用マニュアルを作成し職務を習得した A 体調管理表を用いた振り返りで安定勤務につなげる 経営者の声 代表取締役社長 板垣 政則さん  事業所として障害者の雇用率を達成しなければならないと考えています。ただし、顧客のニーズの変化に対応して業務内容も常に変更することになるため、職務とのマッチングは難しく、通常の採用活動では採用にこぎつけることが難しいのです。ハローワークの担当者に当社の業務内容を見学して理解してもらうことで、合う方を紹介してもらいました。それでも、本人の特性と作業環境が合わず離職となってしまったこともあります。ただ、私は、兄弟が経営する特例子会社で障害者が働く姿を見て知っていることもあり、やってみなければ仕事が合うかどうかの判断はできないこと、そして、職務は探せばあると考えて取り組んでいます。  障害者雇用を継続するためには、変化していく職務内容とのマッチングが今後も課題ですが、障害のある方の雇用に取り組むことはその時々の状況を見る目を養うことができ、部下を育てるための接し方や対応を学ぶこととなり、結果的に人材育成スキルを身につける契機となったと考えています。 職務内容と工夫 1 マニュアルを作成し職務を習得  Aさんは、回収されたリサイクル用電子部品の分解、清掃、消耗部品・破損部品の交換、組立作業等に従事している。Aさんの職務内容習得のために、現場担当者の吉泉さんは、詳細な写真や図解を多用した「Aさんの専用マニュアル」を作成した。専用マニュアルは、使用する工具の使い方(持ち方、角度、動かし方等)、検品の確認ポイント、作業のコツなども矢印や番号を使って写真に書き込んでいる。製品の仕上がり状態に迷い、考えこんでしまった際にも、良品・不良品の双方の例をマニュアルで明示した。  この取組により、Aさんの仕事ぶりは不良品の発生率ほぼ0%。ミスが発生するかもしれないという不安は専用のマニュアルで解消され、判断に迷った時の停滞もなくなった。 2 目標を可視化し作業スピードを向上  作業スピード向上のためには、作業工程を3つに区切り、区分ごとの目標値を設定した「目標個数早見表」を作成した。  Aさんの所要時間を計測、記録することにより、結果を可視化した。作業効率は他の従業員と同等のレベルに達する時もある。 3 体調管理表を活用した振り返り  Aさんは作業中の眠気により、身体が作業器具などに接触することがあったため、通常1日3回(3回中1回の昼休憩は40分)休憩するところ、Aさんにはその他に3回(各5分)の休憩を追加し、眠気への対応を行ってきた。これに加えて、Aさん自身が生活リズムを確認し、意識できるように作成したのが「体調管理表」。作成当初、Aさんは体調管理表の記録に積極的になれなかったが、何故眠気が生じたのかなどについて、現場担当者と一緒に振り返りを行うことを通して、現在は自発的に生活リズムを整えるよう心がけられるようになった。 現場担当者の声 品質技術係 係長 吉泉 智美さん  雇用当初は、発達障害のことはあまり知らず、何故できないのかとの思いもありましたが、マニュアルを見ながらの繰り返しの指導、注意力が欠けたときの声かけの重要性、表現の仕方、障害のタイプなど障害者と接するときのポイントを知ることができました。  Aさんが安定して仕事を行うまでには、きめの細かい指導が必要でしたがジョブコーチと連携したことが功を奏したと思います。余裕がない中での指導でしたが、現場の同僚のフォローがあったこと、業務とのバランスが取れたこと、障害のない社員のためのマニュアル作成にも参考になり勉強になったことが良かったと思います。 従業員の声 勤続2年目 Aさん  神町電子に入社して1年7か月になります。正社員であること、フルタイム勤務であること、作業内容が部品の組立作業だったことから応募し、トライアル雇用で自分に合っていると思いました。入社当初は、組立作業でしたが、今は、インクリボンの交換、部品の塗装などに変わり、入社当時の作業より難しくなりました。仕事が変化する、広がることは大変ですが、一つひとつ確実にできることでやりがいを感じています。与えられた作業に集中して、正確に、安定した仕事をしたいと思っています。  入社して良かったことは、夏の納涼会に参加して楽しかったことです。会社の行事に参加でき、職場の一員であることを強く感じました。この会社に就職して良かったと思います。 活用した制度 トライアル雇用、ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、地域障害者職業センター 労働条件等:1日8時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ 神町電子株式会社 ● 所在地 山形県東根市 ● 従業員数 94人 ● 障害者雇用者数 1人 ● 障害種別 発達障害 事例. 3 アイ・エイチ・ジェイ株式会社 鹿児島県 情報通信業(通信業) ポイント @ 障害者雇用で社内の雰囲気が良くなった A 指導担当者を障害のある社員の隣の座席に配置して頻繁にコミュニケーション 経営者の声 代表取締役 高岡 和也さん  当社は情報通信業の中で営業を専門にしている非常に若い会社です。設立は2007年12月。平均年齢は28歳。そのような中で障害者雇用と言っても、当初はあまり理解が進んでいなかったのですが、先進的な会社の雇用事例などを見て、障害者雇用はポジティブなもので、会社にとってプラスになると考えるようになりました。  実際、障害者雇用を進めたことで、社内の雰囲気が良い方向に変わりました。まず、お互いに気を遣うことができるようになりました。具体的には、声が大きく元気な社員が多い中で、障害のある社員に向けての電話の口調や声の大きさなど、本人にとってどこからがプレッシャーになるのか、どこまでなら大丈夫かを考えるようになり、どう接していけばいいのかが徐々に分かるようになりました。   障害者雇用をネガティブと考えず、本人の能力を発揮できるようにしていくことが大切だと思っています。時には「良くできたね!」と本人に伝え「自分が会社の役に立っている」と実感してもらうことが大切だと思っています。会社でどう活躍してもらうことができるか、ターゲットを絞っていくことが重要だと考えています。 職務内容と工夫 1 勤務時間の変更・調整  Yさんはホームページのコンテンツ更新、本社や支社のパソコン等の機器管理、会社新聞「アイ・エイチ・ジェイ“プラス“」の原案の作成等、管理本部の幅広い事務を担当している。納期が厳しくなく、マイペースでできる。勤務時間について当初、ハローワークへの求人は10:00〜17:00だったが、朝礼に参加したいという本人の希望に沿って9:00〜16:00に変更。体調がすぐれない時には15:00までの時短勤務にするなど、働きやすい環境を整えている。 2 週1回のミーティング  毎週金曜日、現場担当の課長がYさんからマンツーマンで30分〜1時間話を聞いている。本人が聞いてほしい部分をこのミーティングで引き出すことができる。次週の仕事の進め方、体調、薬の効き具合、プライベートも含め、Yさんは課長に細かく話している。 3 座席の配慮  Yさんが安心できるよう、Yさんの座席は現場担当の課長や課長代理の近くに配置。  「隣に座っているので、本人が仕事中に手が止まっていたり、手が震えていたりすると、状況をみて声をかけるようにしています。席が近いので、本人の体調は見ればわかります。」(写真は現場担当者 小畑 実津子課長) 雇用管理担当者の声 取締役管理本部長 島田 正弘さん  障害者雇用に当たっては、担当業務を本人の秀でている分野に特化し、適切な指示をすれば良い成果が出ると考えています。  指示に当たっては、「あれやっておいて」「あれどうなった?」といった曖昧な言葉は控えていますが、それは他の社員に対しても同じことです。  Yさんは自己表現が苦手ですが、能力が高く、よく仕事をしてくれるので会社としては本当に助かっています。 従業員の声 勤続3年目 Yさん  月に1回、地域障害者職業センターの方やハローワークの方が面会してくれます。この面会では、入社前から自分のことを知ってくれている方々が、入社後の自分の状況を見てくれるので不安がやわらぎます。  周囲の方々には本当によくしていただいています。  会社は仕事を任せてくれるので、もっと質を上げて今後もこの仕事を続けていきたいと思っています。 活用した制度 精神障害者雇用トータルサポーター、ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、地域障害者職業センター 労働条件等:1日6時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ アイ・エイチ・ジェイ株式会社 ● 所在地 鹿児島県鹿児島市 ● 従業員数 171人 ● 障害者雇用者数 2人 ● 障害種別 精神障害、身体障害 ● 事業内容 OA機器販売事業、移動体通信事業、法人向け携帯電話販売事業、携帯電話ショップの運営 事例. 4 株式会社SBS情報システム 静岡県 情報通信業 (情報サービス業) ポイント @ できる職務を積み重ねてキャリアアップを図る A 戦力となって活躍してもらうために雇用支援制度を活用 経営者の声 代表取締役 渡邊 治彦さん  当社は1999年に親会社から分社化した経緯があります。独立した以上、雇用率を達成したいと考え、当時ハローワークやNPO法人などに相談しながら障害者雇用に取り組み、現在3人を雇用しています。企業として障害者の職務選定には悩みますし、長く雇用するためには周囲の従業員の理解を継続的に求めていく必要を感じています。  当社では、障害者を雇用することによって社内のコミュニケーションが増えました。また、外国籍の方の雇用への理解など、多様な働き方を受け入れる社風となってきました。  障害者雇用について、“理念”や“法定雇用率”だけを契機とした取組ではいけないと考えています。職務のマッチングは難しいですが、彼らを戦力として受け入れることが重要です。現在は、IT技術も進み障害特性による課題をサポートできる環境や雇用を支援してもらえる制度があるのですから、それらを積極的に活用すると良いと考えています。 職務内容と工夫 1 できる職務を積み重ねてキャリアアップを図る  勤続13年目の内野さんは視覚障害者。会社として初めて受け入れる障害で不安もある中、内野さんのスキルや意欲に応じた職務内容をその都度検討しマッチングを行い、さらにはキャリアアップを図っている。 (1)障害者トライアル雇用(3か月)活用時の職務  総務部に所属。2〜3週間ずつ社内の各部署を体験しながら、資料・議事録の作成、電話応対、受発注の管理などの職務を主担当について補助的に担った。当初は慣れないIT用語などもあったため、業務遂行には時間を要したとのこと。 (2)総務部の職務  内野さんは中途での受障で、前職では営業の経験があった。それを活かせる職務は何かを検討し、購買関係の職務を設定。物品等の見積りを取得し、業者を決定し、発注する職務を、介助者とともに担当した。  その後、営業支援業務を担当。顧客向け資料の発送、顧客との電話によるやり取りの他、事業部門の収支資料のチェック等の職務を担当。6年目にはチーフに昇格。 (3)事業本部の職務  内野さんのスキルアップ希望もあり、勤続8年目に事業本部へ異動。顧客に対する見積作成等の営業支援業務の他、請求書発行システムのデータを管理し他の従業員の誤りを指摘し修正を指示する役割も担っている。11年目にサブプロデューサーに昇格。 2 戦力となって活躍してもらうために雇用支援制度を活用  内野さんのスキルを活かすために障害者雇用を支援する様々な制度を活用し戦力化を図っている。 (1)職務とマッチングを図るために就労支援機器を整備  内野さんは、視力0.01で水中を歩いているような見え方である。慣れにより通勤や社内の移動に大きな問題はないものの、見積り作成やデータ管理業務には必須のワープロソフトや表計算ソフト等の使用には、視覚障害者用の就労支援機器が不可欠であった。  そのため、採用当初に「視覚障害者向けノート型パソコン」「パソコン接続型カラー拡大読書器」「卓上型カラー拡大読書器」を借り入れ(約1年)、後に作業施設設置等助成金を活用して就労支援機器を購入した。 2 (2)レベルの高い職務遂行のために介助者を 雇用  トライアル雇用開始と同時に、職場介助者として障害者施設の指導員の経歴を持つ社員を介助者として雇用。介助者の支援により入力業務等の効率化が進んだ他、介助者とともに職域の拡大を検討したことが総務部内での担当職務の選定につながり、内野さんのキャリアアップに大きな影響を与えている。介助者の雇用にあたっては「障害者介助等助成金」を活用し、費用の一部について助成を受けた。 雇用管理担当者の声 総務本部長 鈴木 逸さん  総務本部副部長 小泉 真理さん  障害のある従業員にとって必要な改善には取り組みましたが、特別に何かしている、という雰囲気は職場にありません。それは、仕組みとしてやっているのではなく、その時その時に臨機応変な対応をしているからだと思います。常に順調だったということでもなく、周囲も本人も悩む出来事はありました。その解決に取り組むことは、障害があるからということではなく、企業の人事が従業員に対する姿勢として一般的なのだと考えています。 従業員の声 勤続13年目 内野 博康さん  当社で働き始めてから、13年になります。職務を習得するごとに、会社が職域を拡げてくれました。障害の有無に関係なく対等に仕事を任せてもらえるので、職場の一員であると実感しています。また、周囲の方が気兼ねなく接してくれるため、職場での疎外感は全くありません。今後も、求められる役割に対して積極的に取り組んでいきたいと考えています。 活用した制度 トライアル雇用、ジョブコーチ支援、就労支援機器貸出し、障害者作業施設設置等助成金、障害者介助等助成金、特定求職者雇用開発助成金 活用した支援機関 ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター労働条件等:1日8時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ 株式会社SBS情報システム ● 所在地 静岡県静岡市 ● 従業員数 178人 ● 障害者雇用者数 3人 ● 障害種別 視覚障害、聴覚障害、内部障害 ● 事業内容 システムインテグレーションサービス、総合行政情報システム他 事例. 5 有限会社奥進システム 大阪府 情報通信業 (情報サービス業) ポイント @経営者のビジョンと戦略で障害者雇用が実現 A働きやすい職場づくりを目指した職務設定と勤務制度の整備 経営者の声 代表取締役社長 奥脇 学さん  2000年の創業当時、働く時間や場所を選ばない働き方を志向する人材を集めて在宅勤務を基本とする会社を考えていたところ、身体障害者と出会って雇用したことが始まりです。その後、特例子会社や就労支援施設の見学やセミナーなど様々な情報収集をしてみると、当社でも取り組めることだと思い、現在は社員11人中9人が障害のある従業員です。  企業経営には「ビジョンと戦略」が必要です。当社は「時間と場所に縛られない」「働きにくい人が働きやすい環境づくりをする」という基本理念の実現を目指して取り組んでおり、その結果として制度が整い利益も上がっています。  障害者雇用についてのノウハウは世の中にあふれているので、「雇用する」と決めたら、それを実直にやればできることだと考えます。また、できることから始めるのが良く、まずは実習を受け入れて、実際に触れあってみるといいでしょう。 職務内容と工夫 1 担当職務の設定   障害のある従業員に対する職務設定は「できることを任せる」方針で行っている。障害特性を確認して職務を検討するのではなく、少しでもできそうであれば試しに取り組ませて検討している。この方法のベースには、従業員本人が判断できるように、社内のルールとして「苦手なことはやらない」ことが明確に設定され、共有されていることによる。  具体的には、精神障害のあるAさんはSEとしての前職のスキルを生かしてプログラミングの実現部分のシステム開発を担当としている。一般的なSEの職務内容には、顧客からのニーズを把握し基本設計を提案する工程が含まれるが、Aさんが苦手とする顧客対応部分の工程は担当しないことで、Aさんのスキルが発揮できるような職務となり、継続勤務が可能となっている。  また、発達障害のある浦田さんはホームページのデザインを担当。入社後に試しに経験した上で向いている職務の担当となり、採用当初の6時間勤務から8時間勤務へ就業時間を延長することができ、職務内容も拡大しつつある。 2 従業員の個々が持つ事情に配慮したルールづくり  車いすを使用する身体障害の従業員に対してスロープの設置や事務所ドアの引戸への変更等バリアフリー化の取組の他、体調や通院等への対応として在宅勤務や短時間勤務制度等の就業制度面の整備にも取り組んでいる。  これは、従業員が労働条件等で問題を抱えた場合に、職場全体の問題と捉えて就業規則の改定に反映してきた結果とのこと。  現在、整備されている勤務制度は次のとおり。  Aさんは、8時間勤務のところを毎日1時間超過の勤務とし、8日勤務した時点で1日(8時間)休暇とする変形労働時間制度を活用している。これにより、平日の通院や休養をとることが可能になっている。 従業員の声 勤続6年目 Aさん  担当する職務内容は同じものですが、顧客の要望が上がるのに伴って業務量は増え質的な面でもスキルアップしていると考えます。  最近は、実習生に仕事を説明する講師の役割も担当しました。ただ、体調の波があるので、職務の拡大が調子を崩す契機とならないよう、調整が大切です。自身による調整力もついてきていて、働き続けることをいつも意識しています。 従業員の声 勤続2年目 浦田 梨佐さん  初めての就職で続けられているのはこの会社だからだと思っています。毎日記入する日報に困ったことを記入すれば、社長から声をかけてもらえます。仕事なので辛いこともありますが、デザインの技術力や顧客用マニュアル作成のための文章力についてスキルアップしたいと考えています。 活用した制度 トライアル雇用 活用した支援機関 ハローワーク、就労移行支援事業所など 労働条件等:1日8時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ 有限会社奥進システム ● 所在地 大阪府大阪市 ● 従業員数 11人 ● 障害者雇用者数 9人 ● 障害種別 身体障害、精神障害、発達障害 ● 事業内容 中小企業向け業務管理システム開発、ホームページ作成 事例. 6 株式会社十勝毎日新聞社 北海道 情報通信業(映像・音声・文字情報制作業) ポイント @ 担当する職務を本人も交えて検討・設定。職場定着と職域拡大につなげる A 一人ひとりの特性に合わせ働きやすい職場環境を整備 経営者の声 代表取締役社長 林 浩史さん  米国勤務の経験から、社会ルールの遵守は当然との考えがありますし、報道機関の使命としても社会的弱者が活躍できる場所を社会に広める役割があると思っています。それには自らの実体験として障害者を雇用する必要があります。障害のある従業員には現在、記事のデジタルデータ化の職務を担ってもらっています。この職務は定型的なものですが、限定するものではないので、次のステップとして他部署への異動もあると思います。ただし、我々新聞業界は販売部数の減少という課題があって、雇用確保のためには生産性のアップを求められています。  障害者雇用のためには、障害者の方々を身近に感じることがすごく重要だと思います。彼らがどのように考えるのかをコミュニケーションを通じて理解し、皆が幸せになるための社会の実現、誰もが働くことが当たり前になるための取組が大切です。 職務内容と工夫 1 担当職務の設定(柳澤さん)  紙媒体などで保存されている過去の記事等をデジタルアーカイブ化する部門を設置。現在は障害のある社員5人を含む全7人体制で職務を担当している。職務内容は、当日紙面及び過去紙面のデジタルデータ入力と入力記事の整形。  広汎性発達障害のある柳澤基さんは、データ入力や写真の加工作業を主業務としている。柳澤さんの作業遂行スピードや正確さは優れており、職場で培った技能を競う「アビリンピック北海道大会」のパソコンデータ入力部門で最優秀賞を2度受賞した経歴もある。 2 担当職務を障害のある従業員とともに検討(Aさん)  発達障害のあるAさんは、営業マンとして在籍していた広告部門では時間管理が苦手で、渉外に苦労することが重なったため、異動となり勤務している。異動に伴い正社員からパートタイム社員へと勤務形態の変更があったものの、Aさんの特性に合った職務内容について会社と話し合いを重ね検討した。  現在の職務はタイトな期限設定が少なく、顧客への対応もなくなったことからAさんにとって仕事をしやすい環境になっている。異動後1年半が経過し、社内報の編集やデータベースの作業を支援するプログラム作成など職務が拡大している。 3 一人ひとりの特性に合わせた職場環境を整備  柳澤さんは続けて集中することが難しかったため、職場ではクラシック音楽を流し、50分ごと10分の休憩時間を設定することで、データ入力の精度と速度を保てるようになった。  Aさんは時間管理を苦手としていたが、Aさんが立てるスケジュールを担当の石田さんが確認し漏れが発生しないように声をかけることで、記憶を補完し適切な判断ができるようになっている。  その他、身体障害のある従業員の受け入れ時には、エレベーターに車いす用ボタンや障害者用トイレの引き戸を自動開閉に改修するなどの設備改善の他、温度・湿度に敏感な特性に対し、ヒーターの設置やエアコンの吹き出し口にダクトを取り付けて空調に配慮している。 雇用管理・現場担当者の声 総務局人事部 副部長 井上 朋一さん  デジタルメディア局デジタル編集部 石田 静子さん  会社が障害者雇用に取り組んだ後に担当者となりました。障害のある従業員にとって働きにくい問題が発生した時々でできることをするという対応で、社内のシステムや制度づくりは後付けだと考えています。  現在は、創立100周年に向けた職務がメインですが、今後は労務や総務、庶務系の職務を作り出せると考えています。 従業員の声 勤続5年目 Aさん  現部署に異動になる前は悩みました。ただ、どんな選択が自分にとってより良いのか人事と話し合いながら決めています。現在、勤務時間内に対人関係に関する外部研修の受講を認めてもらっています。できる仕事から今以上の仕事をできるようになりたいです。 活用した制度 トライアル雇用、障害者作業施設設置等助成金 活用した支援機関 ハローワーク、障害者就業・生活支援センター 労働条件等:1日7〜8時間、週5日間勤務、パートタイム社員 法人データ ■ 株式会社十勝毎日新聞社 ● 所在地 北海道帯広市 ● 従業員数 177人 ● 障害者雇用者数 5人 ● 障害種別 身体障害、知的障害、発達障害 ● 事業内容 日刊紙や地域誌の制作・販売 事例. 7 トピー海運株式会社 愛知県 運輸業(運輸に附帯するサービス業(港湾運送業)) ポイント @ 新設ラインにおいて職務を細分化、単純化。安全性や効率性を考慮 A 経営者のトップダウンだけでなく周囲を含めた会社全体での理解により職場定着につなげる 経営者の声 取締役管理本部長 毛塚 真敏さん  当時の社長が親会社で障害者雇用の経験があり、当社でも積極的に取り組むこととしました。ちょうどその時期に、付加価値のある新しい業務として、自動車用ホイールの保管、梱包、出荷の業務を請け負うことになり、安全性の確保や効率性を考慮して、新たな梱包ラインを創設することにより、その業務を担ってもらうこととしました。ハローワークや地域障害者職業センターのジョブコーチなどの支援を得て、トライアル雇用を利用した上で、計4人を採用しました。採用前や直後には、とのように接したらいいかといった不安もありましたが、実際には特段の大きな問題もなく、採用後8年近く経過する現在も4人とも継続して働いてもらっています。  港湾物流業務は、特に安全管理が重要ですが、ラインでのミーティングや管理者によるパトロール等を日々行っています。障害者の雇用と定着のためには、経営者のトップダウンだけでなく、周囲の理解も加えた会社全体の理解が重要だと考えます。今後については、特別支援学校との連携等により、雇用の拡大を検討していきたいと思っています。 職務内容と工夫 1 職務内容を細分化、単純化  Aさんを含めた4人の知的障害者は、作業指示者(現場担当者)の上田さん、作業量が多い時にはもう1名の作業員とともに、通常5〜6人のチームで自動車用ホイールの梱包作業を行っている。  まず、工場から運ばれたホイールを、キズなどをつけないように慎重に、一つひとつラインのレールの上に乗せる。  次に、ラインに乗せられたホイールにバルブをすき間なく真っすぐに取り付ける。細かい作業なので丁寧に 行う必要がある。  そして、それらをクッション材で包み、2個1組で段ポールケースに入れていく。一定のペースを保ち、ここでもキズをつけないよう慎重さが求められる。  さらに、段ボールケースのフタを専用の機械を操作しながらクラフトテープで閉じる。ここでは、機械操作のスキルが求められる。最後に、段ボールケースをパレットに乗せ積み上げる。かなりの重量があるので、体力を必要とする。  知的障害者でもスムーズに作業できるよう、職務を細分化、単純化し、それぞれを一定のローテーションで担当する。  そして作業全般の確認や、トラブル発生時の対応、梱包前後のフォークリフト操作などは、上田さんが行っている。 2 バルブの取り付け作業について、ライン上に正常・異常をわかりやすく掲示  バルブの取り付けは、間違えれば自動車事故にもつながる重要な作業であり、ラインが動く中で、一定のペースで丁寧に作業する必要がある。このため、ライン上に大きな写真を掲示し、正常な状態(正常品)と異常な状態(異常品)について、「スキマなし」や「バルブが斜めになっている」のように、それぞれ簡潔なコメントを付けることで、自らの作業が正しく行われているかをその場で確認できるよう工夫している。 雇用管理担当者の声 管理本部総務グループ長 丹治 智詞さん  梱包ラインの創設とそれに伴う知的障害者の採用から約8年になりますが、皆さん仕事にも慣れ、効率は上がっていると思います。今では、障害者雇用という特別な意識をすることはほとんどありません。  人手不足の中、特別支援学校の職業コースに通う生徒を見学にも行きましたが、問題なく働けると感じています。採用が難しい今の時代には、自社でどのように働いてもらえるか、会社全体で、統一した思いをもって取り組むことが必要だと思います。 現場担当者の声 上田 隆志さん  Aさんをはじめ4人とも真面目にコツコツ仕事に取り組んでいます。一人ひとり性格が違い、それぞれに得意な仕事と苦手な仕事とがありますが、全体として作業のスピードは早くなっていると感じています。  気をつけているのは、それぞれの顔や動きを見ながら、普段と違っていることがないかを確認することです。体調が悪かったり、安全面が疎かになったりすることが、普段との違いに表れるからです。  特別なことではなく、「普段どおり」仕事ができるよう気を配ることが一番重要だと思っています。 従業員の声 勤続8年目 Aさん  入社して8年近くになります。自動車用ホイールは重く、繰り返しラインに積み込まなければならないので大変ですが、楽しく仕事をしています。休みの日はゲームなどで気分転換をしています。できるだけ長く勤務できるといいと思っています。 活用した制度 トライアル雇用、ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、地域障害者職業センター、特別支援学校 労働条件等:1日6時間、週5日間勤務、パートタイム社員 法人データ ■ トピー海運株式会社 ● 所在地 愛知県豊橋市 ● 従業員数 287人 ● 障害者雇用者数 4人 ● 障害種別 知的障害 ● 事業内容 港湾物流、構内物流、内航海運、自動車運送、金属加工、石油製品販売 事例. 8 西九州ハートフルサービス株式会社 熊本県 卸売業・小売業(飲食料品卸売業) ポイント @ 職務の切り出しをせず、適材適所に配置 A 本人の強みを見極めながら徐々に職域を拡大 経営者の声 代表取締役社 森下 義弘さん  当社は、以前は青果物を扱う選果場でした。選果場は年間を通して仕事を安定的に確保することが難しく、パート職員の離職が多かったのですが、特例子会社を設立したことで、法定雇用率の達成だけでなく、作業環境の整備と安定的な雇用の確保が可能となりました。  青果物を扱う市場は気性の荒い人が多いため、当初は障害のある人がやっていけるか心配したこともありましたが、皆、まじめで素直なので、今では農家の方々からとても喜ばれています。  プレッシャーにならない程度に仕事を任せていきたいと思っています。本人の不安を軽減することが大切なので、一人ひとりの状況をこまめに聞くようにしています。  年1回のボウリング、グランドゴルフ、カラオケ大会などには皆、積極的に参加してくれます。食堂では障害のある社員も障害のない社員も一緒に食事をとり、日々、特にお互いを意識せすに仕事をしています。おかげで、今は会社に活気があります。 職務内容と工夫 1 仕事の切り出しはせす、既存の業務の中で本人ができることを担当してもらう  岡本さんは、なす加工部門のリーダーに昇格した。作業の進行を見ながら原料や箱、袋などを供給。同時に終わったところを片づけ、作業が終わると明日の準備をする。まさに目配り、気配りの岡本さんだからできる業務である。 2 本人の強みや長所を見極め、職域を拡大  障害のある社員には、障害特性に関わらす様々な業務をやってもらいながら、キャリアアップを図っている。  選果の業務を担当していた松村さんは、トラックの運転もできたので、2年目以降は集荷も担当している。その後、フォークリフトの免許を取得してさらに職域が拡大。今は症状も安定し、嘱託社員に昇格。集荷業務の準責任者を務めている。 雇用管理担当者の声 管理部長・生活相談員 田原 昌昭さん  朝礼で話をしたり、社員と個別に話をしたりして1〜2年間かけて障害者雇用を浸透させていきました。  社内理解を得ることは非常に大切だと考えています。1年かけて仕事を覚える人もいれば3年かけて覚える人もいます。早急に結果を出すことを考えず、配慮と思いやりをもって取り組んでいきたいと思っています。 現場担当者の声 主任・ジョブコーチ・産業カウンセラー 田中 自子さん  就業時間を柔軟に設定し、体調管理を個別に行っています。  当初は本人がどの仕事ができるのか、どこまでできるのかがわからず手探り状態でしたが、本人が困ったことを把握し、課題があれば随時話し合い、支援機関や家族と連携して対応しています。  本人の強みや長所を認め、本人を受け入れる雰囲気をつくることが大切だと思っています。 従業員の声 勤続5年目 岡本 友揮さん  選果とコンテナ積みを担当しています。今の仕事は結構楽しいです。体調も良く、これからもこの仕事を続けていきたいと思っています。 従業員の声 勤続9年目 松村 透さん  当初はこんなに長く働けるとは思っていなかったので、ありがたいと思っています。体調が良い時も悪い時も、いつでも上司に相談することができ、とても助かっています。今後も安定して働いていきたいと思っています。 活用した制度 ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、各種訓練校、特別支援学校 労働条件等:1日6時間〜8時間、週5日勤務、嘱託社員 法人データ ■ 西九州ハートフルサービス株式会社 ● 所在地 熊本県熊本市 ● 従業員数 61人 ● 障害者雇用者数 23人 ● 障害種別 身体障害、知的障害、精神障害 ● 事業内容 農産物の選果及び加工 事例. 9 朝日土地建物株式会社 東京都 不動産・物品賃貸業(不動産取引業) ポイント @ ハローワークや就労支援センターとの連携により採用時のマッチングと職場定着につなげる A 精神障害者の特性に配慮し能力を活かすことで業績も向上 経営者の声 副社長 若林 剛さん  今から10年前のこと、ハローワークから障害者雇用の相談を受けたのがきっかけで具体的な取組を始めました。「企業の社会的責任」、「法令遵守」などの世の中の流れ、今後の会社のあり方を考えたとき弊社社長より「すぐに障害者雇用に取り掛かるように。」と会社として推進するように指示がありました。しかし、現場の反応は否定的で社内では「どうして精神障害者の雇用なのか。」との反応でした。実際に教育をする担当者達にはそれぞれ戸惑いがあったようです。障害者の中には、突然泣き出す人やいなくなってしまう人、周りと調和がとれない人、その度に現場の担当者達は四苦八苦していたようです。その際に助けていただいたのが地域の就労支援センターの方々です。精神障害者に対する沢山のノウハウや病気の特性をよく知っているのでアドバイス等は大変参考になりました。精神障害者の方は職場(人)とのマッチング、教育担当者達の配慮があれば高い能力を発揮します。実際に業績向上にも繋がっています。当社では精神障害のある社員を採用することで、社員、職場の雰囲気が変わったことを実感しています。引き続き障害者雇用(職場定着)に取り組みたいと考えています。 職務内容と工夫 1 担当職務の設定(Aさん)  Aさんは入社5年目。入社当初は、説明のときに使うパンフレットの準備、資料のマーカー処理などの比較的簡易な作業に従事していたが、現在は、保険見積書の作成、電話応対、書類の整理などの職務に従事し、職務の広がりとともに、責任も重くなるなど着実なキャリアアップを図っている。 2 担当職務の設定(Bさん)  Bさんは入社2年6か月。入社当初は、説明資料の準備(パンフレットのセット)、ファックスの送信など比較的簡単な職務に従事していたが、現在は火災保険のサポート、保険の見積書の作成、社員のスケジュール管理、郵便物の集計などの職務に従事している。職務の広がりとともに、自分のスキルを活かしながら職場の重要な一翼を担っている。 雇用管理担当者の声 北見 泰子さん  初めての障害者の採用で苦労しましたが、雇われる人も不慣れ、雇う人も不慣れ、いわば双方不慣れの中では、最初から上手く行かないのが当然と今になって思います。  指導に際しては、幾つかのポイントがあると思います。一つ目は、地域の就労支援センターを積極的に活用することです。特に、支援者に実際に職場を見てもらうことは、本人と職場とのマッチングに繋がります。  また、本人の状況を第三者の目で客観的に判断してもらうことで課題解決に役立ちます。二つ目は、指導者が本人の「できる仕事」と「やりたいと思う仕事」を見極め、本人ができる仕事から始めること。  また、指導者の選任については、指導者自身の責任が過重にならないための配慮が大事だと思います。三つ目は、家族の協力を得ることです。体調が悪い場合や災害時の連絡など、家族の協力が大事だと思います。  当社の精神障害者雇用に対する考え方として、「トライアングル」の視点があります。それは、障害者一人を雇用するには、「会社」だけではなく、本人を取り巻く「支援センター(支援機関)」、「家族」の協力を得ることが職場定着を図る上で、必要不可欠であるということです。 従業員の声 勤続5年目 Aさん  入社の時から比べて、仕事の幅も広くなりました。新しい仕事をするときには、不安もありますが、任せてもらえることにありがたさとやりがいを感じています。  健康管理は、運動することです。続けられないかもと思ったときが何度もありますが、そんなときは、支援スタッフと相談することで冷静、客観的になり、ハッと気づいたりします。人と話すことで頑張れると思うことが多く、会社の人が自然に受け入れてくれる、理解してくれるから仕事が続けられると思っています。 従業員の声 勤続3年目 Bさん  入社の時より、仕事が難しくなっています。自分にできるかなとの不安もありますが任せてもらうありがたさと信頼されている実感があります。一日の中でも時間帯や天候の変化などで不安定になったりするので安定するような働き方ができたらと思っています。  考え過ぎると、体調を崩すので、定期的に支援スタッフと相談したり、Aさんと相談したりしています。体調管理のために、睡眠をしっかり取るようにしています。「休みを取っていますか?」などの同僚の声かけに助けられているとの安心感があります。いつも不安がありますが、「大丈夫?」と聞いてくれる先輩達がいることで仕事が続けられています。 活用した制度 トライアル雇用、ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、 障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター 労働条件等:■週3日〜4日から開始 ■3か月後に週30時間勤務 ■勤務時間は選択可・ 9:30〜17:30 ・10:15〜17:15 法人データ ■ 朝日土地建物株式会社 ● 所在地 東京都町田市 ● 従業員数 285人 ● 障害者雇用者数 5人 ● 障害種別 精神障害 ● 事業内容 不動産仲介業(主に販売業務)、一般顧客に新築物件・中古物件・土地紹介 事例. 10 株式会社古田土経営・税理士法人古田土会計 東京都 学術研究・専門・技術サービス業(専門サービス業) ポイント @ 障害者雇用を経営方針に掲げ、社内に浸透 A 経営者と実践者、支援機関が一体となって採用、戦力化につなげる 経営者の声 専務取締役 吉田 由美子さん  20年ほど前から、子育て中の女性など誰もが働きやすい職場にしたいという思いがありました。社長を中心に、社会福祉にも貢献してきましたが、障害者雇用はなかなかきっかけがありませんでした。しかし、このままではいけないと考え、必ずやるという意志を表すため、数年前に将来のビジョンとして障害者雇用について経営計画書に記載して取り組みました。東京都や地域活動支援センターなどの支援を得ながら、知的障害や精神障害のある方の採用を進め、今では合わせて5人の方が働いています。  障害者雇用は、経営者の真剣な思いが重要ですが、加えて、その思いに共感し、応えてくれるパートナー(実践者)が必要です。経営者、実践者、支援機関が一体となって取り組むことで、雇用が進んでいくと思います。  当社では、本人の希望等に応じ、3つのコースを設けて雇用しています。会社にとって利益を上げることは重要であり、それも社員を守ることにつながるものです。それぞれの働く力が最大限活かされ、戦力として活躍することで、働くことや人の役に立つ喜びを感じてもらえるようにしていきたいと考えています。 職務内容と工夫 1 担当職務の設定と広がり  伊藤さんは、入社して5年目であり、入社当時に担当していた顧客の年末調整、賃金台帳、決算書等の入力業務に加え、現在は、DVDや各種資料の物販(受注、発送、管理)業務のほか、会計や財務分析に関する資料の作成補助業務を行うなど、その範囲は年々広がっている。  伊藤さんを含めた3人の精神障害者と、リーダーの十河さんの4人でチームを組んでいる。社内の他の業務も抱えて多忙な十河さんに代わり、最近は伊藤さんがサブリーダー的な役割を担う場面も出てきた。  伊藤さんを含め、同社での障害者雇用に向けた取組においては、次のような工夫を行っている。 2 職務の切り出しのポイント  どういう職務を障害者向けに切り出すかポイントを明確にしている。具体的には全社的に議論して決定する。 その1:手間がかかってできていない仕事 その2:電子化されておらず、あったらいいもの その3:パターン化され、補助者等がしている仕事 その4:期日がない仕事、リカバーできる仕事 3 採用までの取組  採用までのプロセスを明確にし、実践している。 STEP1:担当者を人選する (前向き、行動力、仕事の切り出し) STEP2:専門機関から支援を受ける (専門的なことは割り切って任せる) STEP3:セミナーに参加する (短時間でポイント、企業視点) STEP4:現場を見に行く (ベンチマーキング) (支援員の紹介、イメージする、個性) STEP5:社内への周知と協力要請 (全社員で、直接意見出し) STEP6:採用活動(理念を伝える、実習、採用基準) 4 障害者雇用が成功するコツ  成功するためのコツ(ポイント)を分かりやすく分析している。 その1:社長(トップ)が本気になる その2:喜ばれ、感謝される仕事を任せる その3:感謝の気持ちをしっかり伝える その4:仕事の意味をしっかり説明する その5:仕事を仕組み化する その6:立派な戦力として位置付ける 最大の成功要因:良い社風であること 5 サンクスカード  社員同士が名刺サイズのカードに感謝の気持ちを記入して、直接言葉によって相手に伝える仕組み。 吉田専務が伊藤さんに宛てたもの 雇用管理・現場担当者の声 戦略システム課 十河 寿寛さん  伊藤さんの採用に当たっては、不安が大きかったのですが、あれこれ悩むより、まずは行動することが大事だと感じました。  結果的には、トップの支援もあり、円滑に採用が進んだと思います。職務の切り出しも全社的に議論して行いました。  伊藤さんの採用のポイントは、仕事の正確さです。今では仕事の幅も広がり、チームだけでなく会社全体からも頼られる存在です。  これからも自信を持って活躍してほしいと期待していますし、採用増も検討していきます。 従業員の声 サポート課 勤続5年目 伊藤 勇男さん  会計事務所での仕事についていけるのか不安ばかりでしたが、徐々に慣れてきて、他の人に喜ばれることや、他の人のミスに気づけるようになったことで、役に立っている気持ちを味わうことも出てきました。今では仕事も増えて充実しています。もっと社内で活躍する障害者が増えればいいと思いますし、個人としては、職業相談に関する資格を取ることを目標に努力していきたいです。 活用した制度 東京都の支援事業、職場見学、職場実習・トライアル雇用 活用した支援機関 ハローワーク、地域活動支援センター 労働条件等:1日8時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ 株式会社古田土経営、税理士法人古田土会計 ● 所在地 東京都江戸川区 ● 従業員数 210人(グループ全体) ● 障害者雇用者数 5人 ● 障害種別 身体障害、知的障害、精神障害 ● 事業内容 経営コンサルティング、税理士事務所等 事例. 11 学校法人村上学園高松高等予備校 香川県 教育・学習支援業(学校教育) ポイント @ 「コミュニケーション」を大切にして、職場定着を図る A マンツーマンで支援し、頻繁に声をかける B 様々なことをやってもらう。最初は簡単なことから 経営者の声 理事長 村上 良一さん  16年ほど前、九州の障害者支援施設の理事長から頼まれ、知的障害者を受け入れることにしました。私がその施設の理事を務めていたこともあり、「やってくれないか」ということでした。他の企業では引き受けにくいと思われる方々を受け入れることにしました。  「何とかしてやらないと」という気持ちと「社会で役立つように」という気持ちで取り組んでいます。  本校には生徒のための寮があるので、その寮で本人たちの衣食住をまかない、生活支援を行っています。皆、本当に純粋で主寮長さん、寮母さんをはじめ、職員は皆、本当によくやってくれるので、とても助かっています。忍耐強く教えていくことが大切だと考えています。最近は、特別支援学校からも実習生を受け入れており、新しく採用した職員たちは自宅から通勤しています。障害者雇用にとって、私は「奉仕」の精神が大切だと考えています。本人のいいところを見ながら、一人ひとりが奉仕の気持ちを持ってくれたら、障害者雇用は進むと考えています。 職務内容と工夫 1 マンツーマンでの指導、頻繁に声かけ 障害のある職員だけでなく、全員に対して礼儀・挨拶・社会常識・時間厳守(10分前行動)を指導している。障害のある職員に対しては、配慮はするが特別扱いはしない。西田英二さんの担当業務は館内清掃、トイレ清掃。この寮に来て16年が経過した。 2 簡単な業務から取り組み、職務拡大へ  大高尚子さん(入社3年目)は、特別支援学校では清掃しか習つていなかったが、採用後は寮母さんの指示の下で調理補助を担当している。時間をかけて習熟していくことを目指している。「楽しく仕事をすることができています」とのこと。  末永昭ーさんも、この寮にきて16年が経過した。担当業務は草刈り、館内清掃。「これからもこの寮で、仕事をしてい きたい」 雇用管理担当者の声 総寮長 石井 孝明さん  休日には一緒に買い物に行ったり、大阪のテーマパークに行ったり、障害のある職員の結婚の仲人もやったこともあります。「中途半端なことはしない」、「最後まで面倒をみる」という気持ちで取り組んでいます。  ご家族とも緊密に連携しています。また、本人の将来のことを考え、年金で生活できるよう給与、貯金、私学共済、保険等の世話もしています。寮生にも、障害のある職員にも、みな「平等」を心がけ、生活習慣の細かい部分まで全部、支援しています。寮長というのは空気のような存在でいるのが一番いいと思っています。 現場担当者の声 屋島寮寮長 森下 誠司さん  寮生たちや、障害のある職員たちと毎日、寝食をともにしています。最初は簡単な仕事をやってもらいますが、本人が持っている能力を、最大限に発揮させてあげたいと思って取り組んでいます。「親代わり」という気持ちで取り組んでいます。  必要な時には注意することもありますが、本人の笑顔を見るのがうれしく、上手にできたときは、「できたんや!」と言って一緒に喜びます。時間が経過すると習熟していくものだと考えています。頻繁に声をかけ、声に出してはっきりと伝えることに気をつけています。 従業員の声 勤続3年目 松岡 大地さん  仕事は楽しくやっています。寮長さんはやさしいです。休日は友達と一緒に遊んだりしています。このまま、ここでがんばっていきたいです。 活用した制度 特になし 活用した支援機関 特になし 労働条件等:週36〜40時間勤務、正社員 法人データ ■ 学校法人 村上学園高松高等予備校 ● 所在地 香川県高松市 ● 従業員数 160人 ● 障害者雇用者数 6人 ● 障害種別 知的障害、身体障害 ● 事業内容 予備校 事例. 12 学校法人九州アカデミー学園 佐賀県 教育・学習支援業(学校教育) ポイント  @ 障害を意識することなく、能力や経験を重視して採用 A 通院と体調に配慮した勤務条件により能力発揮と継続雇用につなげる 経営者の声 学園長 温湯 勝相さん  当学園では当初、障害者雇用を積極的に進めようと考えていたわけではなく、12年ほど前に特定の経験を持った人材を募集したところ、それがたまたま内部障害のある方であったということです。また、私も、当学園に転職した後の10年ほど前に内部障害を発症しました。2人とも、人工透析のため週3日通院する必要があり、その日は早めに勤務を終えるといった配慮がなされていますが、その他では障害があるからという特別な違いはありません。  教育業界では、少子化の影響で、特に地方では生徒の確保に苦戦しているところが多いように思います。教員など特定の資格や経験を必要とする職種も多く、また、一人ひとりに割り当てられる分担も多くなるので、小さい規模の学校では、障害者雇用が進みにくい環境にあると思いますが、職務・職責を全うさえできれば、障害の有無は採用の基準に無関係です。その後の継続雇用についても、同様に全く影響はありませんし、持てる能力を十分に発揮できると考えています。 職務内容と工夫 1 担当職務の設定等  Aさんは、鍼灸師科の教員として入職して12年目であり、8年前からは責任ある役職に就いている。 腎臓機能障害により人工透析のため通院して21年になるが、以前は特別支援学校で8年間ほど鍼灸関係の教員をしており、当学園に転職する際には既に腎臓機能障害があった(その点は採用時に全く影響がなかった)。 当学園の鍼灸師科は、学科長を含め専任の教員が5人と教務事務員が1人の体制であり(非常勤講師を除く)、国家試験合格率と進路決定率100%を目指して推進するなど、カリキュラムの工夫・充実を図っている中で、Aさんは教員としての講義に加え、学生に対する補講や役職者としての業務も行っている。  Aさんは、現在、人工透析のため週3日自宅に近い病院に通っているが、Aさんの知識や経験を最大限活かすために、Aさんの希望や体調を尊重した勤務条件が設定されている。一方で、人工透析のない日には、特段の支障なく職務を遂行している。 2 通院・体調に配慮した勤務条件 ● 通院日は概ね15時半までの勤務 ● 実技に関する講義・指導は行わない、代わりに個別の補講等を担当 ● 通院のない日はフルに講義、夜まで補講を行う場合あり ● 学園内の諸会議は通院のない曜日に設定 3 定年後の継続雇用  当学園は、現在60歳定年制で、希望すれば65歳までの継続雇用制度があり、さらに継続して働くことができる。 温湯学園長については、50歳代に当学園に転職し、定年後の継続雇用で勤務している時に人工透析を受けるようになったが、それからさらに10年ほど経過した現在も継続して学園長という重責を担っている。  このように、能力や意欲があれば、障害の有無や年齢に関わりなく働くことができる環境である。 当学園では、鍼灸師科や柔道整復師科を有している関係から、スポーツクラブの活動に力を入れているほか、地元のプロサッカーチームとタイアップしたスポーツトレーナーインターンシップも行っている。 従業員の声 勤続12年目 Aさん  人工透析のため、何事も通院することを軸とした生活になっています。学園は自宅から自動車で40〜50分程度の距離ですが、通っている病院は自宅のすぐ近くです。通勤の高速道路料金は自己負担になりますが、障害者割引が利用でき、通院のためにはこの方法がよいと考えています。  週3回の透析のある日は、15時半までと早めに勤務を終えますが、病院までの移動と5時間の透析で、帰宅が夜遅くなる場合が多くなります。勤務は午前8時半開始で、透析の翌朝は体調がよくないので通勤は辛いですが、午後には回復し、夕方以降は逆に調子がよくなることが多くなります。  また、通院しない日の負担が大きくなるので、健康・体調管理には十分気を配っています。インフルエンザ等の感染症リスクを抑えるためにも、電車やバスではなく自動車で通勤しますし、学生には予防などを徹底しています。学生には、うるさい先生と思われているのではないでしょうか。  体調に考慮して、通院の翌朝の勤務開始時間を遅らせたり、夜の勤務負担を軽くしたりすることは、学園も提案してくれていますが、当面は考えていません。体力が続く限りはできるだけ長く今と同じ状態で勤務を続けたいと考えています。  以前は特別支援学校で勤務していましたが、職務の性質上、地方の規模の小さな学校で障害者雇用を進めるのは、正直難しい面があると思います。一方で、能力さえあれば、障害の有無や年齢にかかわらず仕事ができる面があると思います。国家試験合格率や進路決定率など、学園としての高い目標があり、経営陣からのプレッシャーもありますが、自分だからできるというやり甲斐と責任感をもって仕事に臨んでいます。 活用した制度 特になし 活用した支援機関 特になし 労働条件等:1日8時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ 学校法人九州アカデミー学園 ● 所在地 佐賀県鳥栖市 ● 従業員数 75人 ● 障害者雇用者数 2人 ● 障害種別 内部障害 ● 事業内容 専門学校(医療、看護、福祉の3校)の経営、歯科医院、老人福祉施設、保育園等のグループ施設あり 事例. 13 医療法人清和会 奈良県 医療・福祉(医療業) ポイント @ 法人トップの考え、理念を現場で受け止め、安心して働くことができる環境を整備 A 本人の状態を見極め、配置転換や勤務時間の調整により職場定着 経営者の声 理事長 国分 清和さん  当法人のように、職員に対する目が行き届く事業所規模の場合、トップの考え方に左右されますので、理念が大事だと思います。  私は、各施設長を集めた会議などで、「障害のある方が働けるように、まずは自分たちの取り組める範囲から協力しよう」と発信しています。言い続けることも必要です。  現場の職員は協力的で、障害のある方が働きやすい環境づくりを進めてくれています。  これからも、障害のある方の能力や特徴、得意なことを活かし、伸ばしていく取組を進めていきたいと思います。障害のある方にも、自分の適性を見つけ、自信をもって働いていただければ、幸せにもつながるのではないかと思います。 職務内容と工夫 1 担当職務の設定(Aさん)  身体障害(心臓機能障害)のあるAさんは、医療施設で看護師として勤務している。  他の看護師とほとんど差異はないが、重労働を制限したり、夜勤・早出勤務を免除したり、勤務時間や定期通院できるようにといった配慮を行っている。 2 担当職務の設定(Bさん)  知的障害のあるBさんは、介護補助員として働いている。 入職前は、ハローワークや特別支援学校、就労支援機関とのチーム支援により、仕事内容を相談し、マニュアルを整備した。 利用者の食器洗いからスタートし、現在では、食事の配膳、トイレ・お風呂への誘導、清掃などに従事している。  利用者とコミュニケーションをとり、「ありがとうございました。またいらしてくださいね。」といった見送りも行っている。 3 担当職務の設定(Cさん)  精神障害のあるCさんは、ケアワーカーとして、食事の世話やトイレ・お風呂の介助、おむつ交換といった入所者30数人の介護全般の業務を行っている。  体調の変化が激しくなる場合もあるので、日々の体調確認に留意し、事務局長や上司(副主任)による相談体制を整備している。また、身体的・精神的負担に配慮し、仕事内容を変更したり、勤務時間を調整したりといった工夫を行っている。職場内での障害情報の開示について、最小限にとどめるといった配慮も行っている。 4 マニュアルの整備  Bさんの採用当初、指導者が細かく指示をしていたが、時間の区切りごとに職務を固定化しマニュアルとして明確にすることで、Bさんは仕事を覚えやすくなり、指導者はお互いの状況に応じて声かけをしやすくなった。  雇用後3年が経過する現在はマニュアルを活用しなくても順調に職務を遂行できている。 5 配置転換と勤務時間の調整  Cさんについては、以前は訪問入浴介護の担当だったが相手方家族や3人1組での仕事にストレスが生じたため、施設内介護の担当に配置換えを行った。勤務時間も15時30分までに短縮し、本人の体調を等に配慮している。 雇用管理・現場担当者の声 事務局長 石橋 昭さん  知的障害のある方は、特別支援学校の先生から配慮が必要な事項について教えてもらい、受け入れました。  本人と仕事がマッチングし、今は環境に馴染んで、自分の役割を全うしています。法人トップや現場の理解もあり、思っていた以上に良い方向に進んでいますし、本人も一歩一歩成長しているように感じます。  精神障害のある方も、同じように良い方向に進んでいると思いますので、本人と職場が相互理解を深められれば、雇用によるメリットがさらに大きくなると思います。難しい点は、本人の障害の情報を、どの範囲まで公開したらいいのかという点です。葛藤はありますが、最小限にとどめ、本人の希望に沿って働きやすいようにしています。  本人たちも利用者の方々と積極的に関わり、誠意をもって支援してくれているので、職場も明るくなったと感じます。これからも、本人たちと相談しながら、また、特別支援学校や就労支援機関と連携をとりながら、一歩一歩焦らず着実に取り組んでいきたいと思います。 従業員の声 勤続2年目 Cさん  以前は訪問入浴を担当していましたが、今は入所している方々の身の回りのお世話をしています。疲れて辛くなる時もありますが、上司が「辛い時は言って」と常々言ってくれているので、安心して働くことができます。職場に理解してもらっているという安心感があり、「こんなことを相談していいのかな。言ったらどう思われるだろう。」という不安や遠慮なく、困ったことの相談ができるようになりました。  これからも、疲労やストレスを溜めないようにし、焦らないように臨機応変に対応できるよう気をつけながら、自分のできることを増やしていって、将来的にはケアマネージャーの資格取得を目指したいと思います。また、障害のある者に理解のある企業が増え、働きやすい環境になることを期待します。 活用した制度 職場実習 活用した支援機関 ハローワーク、特別支援学校、職業能力開発校 労働条件等:1日6時間、週5日間勤務、契約社員(Aさん、Bさん) :1日8時間、週5日間勤務、契約社員(Cさん) 法人データ ■ 医療法人清和会 ● 所在地 奈良県奈良市 ● 従業員数 102人 ● 障害者雇用者数 4人 ● 障害種別 身体障害(心臓機能障害)、知的障害、精神障害 ● 事業内容 医療施設・介護老人保健施設の運営等 事例. 14 社会福祉法人紀伊松風苑 和歌山県 医療・福祉(社会保険・社会福祉・介護事業) @ 障害者雇用を進めることで、企業全体の離職率が大幅に減少 A マニュアルの整備とマンツーマン指導で職域拡大とキャリアアップ 経営者の声 総施設長 横山 マリコさん  障害者雇用に当たっては、「自分たちで仕事をしている」と、本人に感じてもらうことが大切だと考えています。  当法人は1948年に認可された救護施設等をルーツに、「人を育てる」ことに力を注いできました。「自立」を念頭に置き、様々なことを試して課題が出てきたらその都度改善をしていく、というスタイルで雇用を進めています。  現在、当法人では奨学金を負担してベトナムからの留学生を迎え入れていますが、障害者雇用の経験が、外国人に対する教育に非常に役立っています。マンツーマンで指導し、複数の指導者が指導方針を共有するといった方法、マニュアルにはルビを振る・短文にする・動詞文にするといった配慮が共通しています。  障害者雇用を進めたことで、組織に多様性が生まれ、全職員の人材育成につながりました。離職率が大幅に減少したのです。  今後は、障害のある職員が介護記録を書けるようになるまで成長していけばいいなあと考えています。介護記録を書くには、業務上の改善点を考えて文章を書くという難しさがあるのですが、育てていきたいと思っています。 職務内容と工夫 1 手厚い新人教育。マンツーマンで指導を実施。  マンツーマン指導により、指導者は障害のある職員の気持ちがわかってくる。指導をどのようにしていけばよいかを考え、自身のスキルアップを実感することもできる。  田中さんは介護職としてフルタイム勤務。ヘルパー2級の資格を所持。現在は移乗介助とおむつ交換を担当。 2 業務の習熟度に合わせて勤務時間を拡大。本人の職域拡大を図る。  藤本さんは介護補助職として、車いすの掃除、シーツ交換、施設清掃等を担当。  採用当初は対面型の業務を担当するのは難しい状況だったが、次第に苦手だったコミュニケーションをとることができるようになり、約4年後にフルタイム勤務となった。 雇用管理担当者の声 介護士長 小浦 直子さん  障害者雇用では「壁」というものは、思ったほどないと考えています。  障害者雇用を進めたことで、周囲の職員が試行錯誤して考えていくようになり、既存の職員の能力も確実に伸びています。 現場担当者の声 主任 山ア 浩祐さん  支援機関や学校の先生と連携して、必要な改善を進めてきました。キャリアアップは本人のモチベーションの一つなっています。 従業員の声 勤続5年目 藤本 太輔さん  介護補助職として勤務しています。半年前からフルタイム勤務となりました。増えた給料で父と旅行したり、貯金したり、MT車の免許を取得したいと思っています。 従業員の声 勤続2年目 田中 友章さん  職場実習を経て、卒業後に介護職として採用になりました。利用者の方が笑顔になってくれるのがうれしく、いずれは食事介助の業務も担当したいと思っています。 活用した制度 ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、地域障害者職業センター 労働条件等:1日8時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ 社会福祉法人 紀伊松風苑 ● 所在地 和歌山県和歌山市 ● 従業員数 208人 ● 障害種別 身体障害、知的障害、精神障害 ● 障害者雇用者数 5人 ● 事業内容 特別養護老人ホーム、ショートステイ、ホームヘルプサービス、デイサービス、地域包括支援センター、救護施設かつらぎ園、認知症対応型共同生活介護事業、事業所内保育施設、小規模多機能型居宅介護 事例. 15 株式会社美交工業 大阪府 サービス業(その他の事業 サービス業) ポイント @ 職務内容を細分化することにより効率的な職務設定が可能に A 専任支援者の配置による社内体制作りでトラブル発生を未然に防止 経営者の声  専務取締役 福田 久美子さん  はじめは当社での障害者雇用の導入は難しいと考えていました。清掃業務の特徴で本社と現場が物理的に離れていますし、障害のある方への知識が少なく不安だったからです。  障害者雇用に本格的に取り組んだのは「大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業協同組合(エル・チャレンジ)*」との出会いがきっかけです。エル・チャレンジとの連携を通じて、経営者と現場の意思疎通を図るための社内体制を作りましたし、雇用継続には不可欠な日々発生する問題への支援も得ることができました。  当社では、障害者雇用をどうメリットにつなげるかを考え戦略的に取り組んできました。社内の意思疎通をスムースにするための体制作りは会社の空気を良くし、従業員満足度の向上につながりました。これは結果的には顧客満足度にもつながっていると捉えています。また、中小企業にとって「雇う力」は生き残り問題ですが、固定概念を崩して新たに組みなおすという障害者雇用における職務設計の方法は、今後の人材確保に活かせるノウハウだと考えています。 *大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業協同組合(エル・チャレンジ)  社会福祉法人 大阪手をつなぐ育成会、社会福祉法人 大阪市手をつなぐ育成会、株式会社 グッドウィルさかい、株式会社 ナイス、社会福祉法人 精神障害者社会復帰促進協会、一般社団法人エル・チャレンジを組合員とする障害者の就労支援団体 職務内容と工夫 1 職務の細分化により効率的な職務設定  同社では、一日の清掃工程を「掃除機かけ」「トイレ清掃」「フロア清掃」「階段清掃」「手すりや備品の拭き掃除」などに分類し、一つの工程をさらに細分化している。これにより、障害のある従業員の適性に合った職務設定ができ、効率的な職務遂行につながっている。  例えば、視覚情報の多さがパニックとなる特性のある山口さんは、階段清掃を専門に職務担当とすることで集中した取組が可能となっている。  また、トイレの個室清掃を苦手とする従業員がいた際は「トイレ清掃」工程のうち「洗面台側」を専門とし、別の従業員に「個室側」を担当させていた。  このように、「障害特性」「得意な職務」を見極めることと、職務の再構築により「一人分」の業務量を設定でき、戦力となっている。 2 本社と現場の温度差を解消するための受入体制  障害のある就業員の受入を現場の大きな負担にしないための体制として、障害について知識のある「専任支援者」を配置している。専任支援者がいることで、障害のある従業員それぞれの特性に適した指導や、トラブル発生時の臨機応変な対応が可能になっている。  また、本社人事担当者による現場巡回や社外の支援者も含めた定期的な打合せによって、専任支援者が悩みや課題を抱え込むのではなく全社的に取り組む体制を整えている。 雇用管理担当者の声 総務主任 佐藤 弘美さん  会社全体の労務管理を担当しています。労務管理ではどんなトラブルでも早期対応がポイントになりますが、障害者雇用も同様です。早く対応するには、現場と人との間に信頼関係が成り立っていることが大切で、それには「今どうにかして欲しい」という訴えは後回しにしません。  また、経営者に早めにこまめに相談できることも私にとって重要です。企業規模の小ささを活かして柔軟で臨機応変に動けることはメリットだと考えます。 従業員のみなさん 勤続 7年目 向山 実さん 勤続 12年目 西尾 誠剛さん 勤続 12年目 山口 篤一さん 勤続 1年目 前田 海さん 勤続 12年目 守岡 章さん (左から) 大阪市庁舎の清掃を担当する従業員のみなさん 活用した制度 トライアル雇用、ジョブコーチ支援 活用した支援機関 ハローワーク、障害者の就労支援団体* 労働条件等:1日6時間、週5日間勤務、正社員 法人データ ■ 株式会社 美交工業 ● 所在地 大阪府大阪市 ● 従業員数 129人 ● 障害者雇用者数 23人 ● 障害種別 知的障害、身体障害 ● 事業内容 ビルメンテナンス業 パークマネジメント 分析編 障害者雇用に関連し、企業が取り組んだ内容一覧 障害者雇用に取り組むステップ 取組の項目 具体的な内容 事例番号 ステップ.1 障害者雇用の理解を深める 社内会議などでの周知・検討 先進的な取組をしている企業の雇用事例を検証 3 経営方針に盛り込み社内への周知と協力を要請 10 トップの考え方、理念を各施設長会議で発信 13 社員研修の実施 地域障害者職業センター職員を講師に社内研修の実施 1 特別支援学校の見学 7 障害者雇用セミナーへの参加 10 インターンシップ(職場実習)の実施 在学中に職場実習を実施 14 ステップ.2 障害者が担当する職務を選定する 既存の職務から職務を選定 既存の色々な業務を体験、本人に合う仕事を選定 5・8・11 新たに職務を創出 職務の創出・拡大に当って地域障害者職業センターの職務分析を活用、ジョブコーチの協力を得て作業マニュアルを作成 1 緊要度が高まった職務を担当する新部署を立ちあげ、適性に合った職務を設定 6 新設ラインにおいて職務を細分化、単純化 7 障害者雇用経験のある事業所を見学し、全社的に議論し職務を切り出し 10 職務の工程を分類、細分化し、適性に合った職務を設定 15 ステップ.3 受入態勢を整える 施設・設備の改善 ・スロープの設置 ・事務所出入口の引き戸の改修 5 ・障害者用トイレの改修 ・手すりの設置 6 通勤経路、就業時間などの配慮 通勤バスの時刻に合わせた勤務時間の設定 1 体調のすぐれない時は、時短勤務。本人と相談で勤務時間を設定 3 障害特性に応じた職場改善 集中力の持続及び疲労に応じ、休憩の機会を追加(発達障害) 2 ・拡大読書器、読み上げソフトの整備(視覚障害) ・本人の業務遂行を補助する介助者を新たに雇用(視覚障害) 4 勤務時間や勤務日数の調整(精神障害) 5・9・13 集中力の持続に応じた休憩時間の設定(発達障害) 6 ベテラン社員が横についてサポート(知的障害) 8・11 [参考]「はじめての障害者雇用 〜事業主のためのQ&A〜」 高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部(2021) 障害者雇用に取り組むステップ 取組の項目 具体的な内容 事例番号 受入態勢を整える 障害特性に応じた職場改善 ・挨拶や時間厳守等の生活習慣に係る支援(知的障害) ・買い物や余暇充実の支援等生活面における支援(知的障害) ・貯金管理、保険加入にかかる支援等(知的障害) 11 体調に応じた勤務時間の設定(内部障害) 12 ライン上に可視化した「正常品」と「異常品」を掲示し作業ミスの防止を図る(知的障害) 7 入職前にハローワーク、特別支援学校、支援機関等のチーム支援により作業マニュアルを整備(知的障害) 13・14 ステップ.4 雇用条件を検討する 在宅勤務、短時間勤務、短日数勤務等 就業規則を見直し、@在宅勤務制度、A短時間勤務制度、B時間有給制度、C変形労働時間制、D残業事前申請制度 5 ・採用当初は週3日から4日で開始し、3か月後に週30時間 ・勤務時間を2コースから選択 ・通院日の勤務時間を短縮し、通院以外の日で対応 9・12 ステップ.5 採用活動を行う ハローワークに相談 ハローワーク担当者を対象に職場見学を実施し理解を求める 2 求職者とのマッチングを図るために担当者による職場訪問 2・9 障害者就職面接会に参加 初めての障害者雇用に際して、障害者面接会に参加 9 就労支援機関等に相談 特別支援学校と本人の配慮事項に関する情報共有を図る 13 ステップ.6 職場定着と戦力化に取り組む 就労支援機関等との連携 地域障害者職業センターのジョブコーチ支援を活用、マニュアルの作成(改訂) 2 ハローワーク、地域障害者職業センター、特別支援学校との連携 7 支援機関と連携し課題の客観的把握と改善 9・15 ジョブコーチ、特別支援学校担当者と連携し課題改善を図る 14 キャリアアップ・能力開発 職務習得に応じた担当職務及び所属部署の変更 4・10 ・様々な業務を経験しキャリアアップを促す ・フォークリフトの免許取得により職域の拡大を図る 8 新たな職務の設定によりモチベーションの向上を図る 9 定年年齢以降も継続雇用 12 介護補助職から介護職へのステップアップによりモチベーションの向上を図る 14 社内の相談体制の整備 週1回のミーティングで本人の不安を軽減 3 上司等による相談体制を整備 13 職場に障害に関する知識のある専任の介助者・支援者を配置 4・15 初めて障害者雇用に取り組む場合、上記のステップで進めることが一般的ですが、必ずしもこの順番に行わなければならないものではありません。必要に応じて、順番を変え、あるいは同時並行的に行われる場合もあります。詳しくは、ハローワーク等の支援機関に個別にご相談下さい。 分析編 経営者が考える障害者雇用のメリット 事例番号 具体的な内容 1 地域貢献と企業イメージの向上につながっており、職場の雰囲気も明るくなった。 2 人材育成スキルを身につける契機となった。 3 本人の能力が高く、業務に貢献してくれている。気遣い合うことで社内の雰囲気も良くなった。 4 周囲に声をかける社員が増え社内の雰囲気が良くなり、多様な働き方を受入れる社風となった。 5 周囲に気遣い合うようになり優しい仕事ができる。顧客からも優しさを得られることができる。 6 他の者では続かなかった職務に、障害のある社員が継続して取り組み、成果を出している。 7 付加価値のある新規業務に専念してもらい、効率も上がっている。 8 会社業務に大きく貢献してくれており、取引先からも喜ばれている。作業環境も良くなった。 9 障害者雇用に取り組んでから配置した部署の業績が赤字になったことがない。 10 戦力としてチームや会社全体から頼られる存在となり、利益向上にもつながっている。 11 担当業務に習熟し、意欲を持ってまじめに勤務することができる。 12 能力と意欲があって職責を全うできているので、障害の有無に関わらず勤務できる。 13 利用者と積極的に関わり、誠意をもって対応するので、職場の雰囲気が明るくなった。 14 職員全員の人材育成につながり、組織に多様性が生まれたことにより、企業全体の離職率が下がった。 15 障害者雇用に取り組んだことが他のサービスを考える契機となり新しい事業展開につながった。 分析編 事例フォーカス  ここでは、取材を行った者が取材を通じて感じたこと、印象に残ったこと、トピックなどを補足情報としてまとめています。取材対象企業では意識していないことであっても、取材者から見ると優れた取組や企業風土であると気づくことがあります。各事例のページでは伝えきれなかった企業の“熱”や“温度”、“企業風土”などを感じ取っていただければと思います。 事例1 カナツ技建工業株式会社 社長さんの地域を思う気持ちと障害者の社会参加を応援していこうという姿勢に感銘し、きれいな宍道湖と中海で楽しく元気にというメッセージと、イメージキャラクターのカナツレンジャーのインパクトが大。地域貢献を積極的にアピールしていこうという企業の強い思いを感じました。  障害者雇用については、法定雇用率の充足のためという義務感もきっかけとしてはあったのだと思いますが、それにとどまらず、公共性の高い水質検査関連で職務を創り出すというのは、良い取組みだと感じました。現場作業が多く、特有の技能や資格を必要とすることが多い建設業において、障害者雇用は制約があるのかもしれませんが、こうして職務・雇用の創出に取り組み、当事者の方も明るく元気に継続して働いている姿が見られることは、まさに地域を元気にする活動の賜物だと思います。地域と企業が一体となった取組みが重要だとあらためて思いました。(KK) 詳しくはP4・5へ 事例2 神町電子株式会社 同社を訪問した際に、先ず目に入ったのは、同社運営の「さくらんぼの森保育園」でした。代表取締役社長の板垣さんから従業員の方のお子さんだけではなく、隣接する工場に勤務する方のお子さんも受け入れているとお聞きしました。自社の従業員の方に対する福利厚生だけではなく地域社会に根差しながら共に歩む企業経営の一端を直に感じ取ることができました。  係長の吉泉智美さんからは、受入れの際に作成した作業マニュアルを受入れ後の改訂で当初の10項目のものを50項目以上に細分しながら指導を行ったこと、ジョブコーチなどの支援者と支援を行ったことなどをお聞きしました。特に、印象に残ったことは、作業マニュアルの作成が障害のある社員に特化したものではなく「障害のない社員」にとっても共通のツールとして活用できると熱く語られたことでした。  最後に、Aさんからは、「行事に参加することで職場の一員であることを強く感じ、この会社に就職して良かった」との話をお聞きしました。障害の有無にかかわらず社員を気遣う経営姿勢を強く感じながら同社を後にしました。(YY) 詳しくはP6・7へ 事例3 アイ・エイチ・ジェイ株式会社 「情報通信業」、「設立から10年目」、「社員の平均年齢28歳」、「営業を専門にしている会社」、「体育会系」…そんな「元気」で「若い」会社が最も大切にしているのは「コミュニケーション」です。  「先日、会社の飲み会があり、障害のある社員が台風の中にもかかわらず、一度、帰宅してからまた参加してくれたのは本当にうれしかったですね」と代表取締役の高岡和也さんは話しておられました。  指導を担当する小畑課長は、当初、支援機関と連携しながら障害のことをインターネットで調べ勉強していたそうです。本人は緊張しやすく、「コミュニケーション」や「判断」は苦手だけれど、まじめで責任感が強く、実際、能力もあって「パフォーマンスは高い」とのことです。  「配慮はするが、特別扱いはしない」という方針の下、社内の雰囲気が良く変わったのは、障害者雇用を進める上での大きなメリットだと感じます。(TK) 詳しくはP8・9へ 事例4 株式会社SBS情報システム 内野さんの雇用とともにアルバイトで採用した職場介助者の方は、スキルアップにより正社員として全く別の仕事をしているそうです。内野さんのスキルアップも含めて、従業員のもつ力を活かし、社員を育てる社風を感じました。  人事の小泉さんは“その時その時に対応しているだけなので、他の会社の参考にはならないのでは…”と話されましたが、同社の対応には軽やかさと臨機応変さを感じました。視覚障害の障害特性上、拡大読書器の整備や歩行通路の確保などハード面への配慮も重要ですが、必要な時期には専門に介助者を付けるが慣れれば必要な業務の時だけペアを組む、スキルが上がれば職務を替えるなど、ソフト面の対応がごく自然になされている様子が伝わってきました。(NN) 詳しくはP10・11へ 事例5 有限会社奥進システム 同社は経済産業省の「平成26年度ダイバーシティ経営企業100選」に選定されています。働く意欲と能力のある障害者やシングルマザーを積極雇用し、新たなビジネスの機会を得て事業拡大した点が受賞のポイントとのことです。訪問したオフィスは車椅子の従業員のためにバリアフリー化されていて、勤務地や勤務時間に制約のある従業員のためには在宅勤務や短時間勤務制度が柔軟に活用されていることが分かりました。  取材時のオフィス内はとても静かで、代表取締役の奥脇さんによるといつも静かなのだそうです。また、Aさんや浦田さんは「仕事はしんどい」「残業禁止がしんどい時もある」と答えておられました。同社には「苦手なことはやらない」「残業禁止」のルールがありますが、このルールの実現のために“仕事をいかに効率的に行うか”を社員皆さんが取組んでおられる様子が伝わってきました。  多様な働き方をマネージメントしつつ利益を上げる同社の取組は、基本理念である「私たちと、私たちに関わる人たちが、とてもしあわせと思える社会づくりをめざします」を実践していると感じました。(NN) 詳しくはP12・13へ 事例6 株式会社十勝毎日新聞社 取材前に拝見した同社のホームページで流れる映像は、宇宙・ロケット・農業・花火大会・子育て支援と、手がける“地域貢献”の幅の広さに興味を覚えました。また、本業の夕刊紙の発行をはじめ、CATVやラジオFMなどのメディア事業、ホテルやレストランなどの観光事業の中にも、地域社会に深く根差していることが理解できます。  林社長をはじめ取材でお話を伺った方々からは、同社が地域社会の構成員として障害のある人々をとても自然に表現されていること、地域貢献の一つに障害者雇用を位置づけている社風を感じました。  取材に応じてくださったAさんは一般雇用からの再雇用でした。営業職時に顧客とのアポイントを重ねてしまったことや、その後発達障害の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得したことなどを穏やかに話されていましたが、当時を振り返ると「苦しかった」とのことです。Aさんは“どう働いていきたいのか“について、ともに考える機会を持ち続けている人事担当者の真摯な対応が、将来を前向きに捉える現在のAさんに繋がっているように思いました。(NN) 詳しくはP14・15へ 事例7 トピー海運株式会社 取材したはじめの率直な印象は、障害者雇用に熱や力が入っていないのかなぁ、というものでした。 障害者雇用と言えば、経営者や人事担当者、現場の責任者が、「かくあるべき」、「こうしたい」という熱い思いを持って進めている、という勝手な先入観があって、かなり戸惑いました。  しかし、それは取材者の認識と経験不足。先代の社長さんや人事担当の方が知的障害者の雇用を進めて約8年が経過し、すっかり定着して、雇用している状態が「当たり前」になっていたのです。人事担当の方の「障害者雇用を意識することはほとんどない」というご発言も納得。  経営者層や人事担当の方は代替わりしても、現場には、当事者の方々が日々の業務に奮闘されている変わらない姿がありました。もちろんご本人たちや現場責任者の方には、ここに至るまでに数多くのご苦労があったものと思いますが、周囲があまり余計な熱や力を入れなくても、障害者雇用が自然な形で継続していくという事例としてうまく伝えられたらいいなと思います。肩の力を抜くことも必要だと感じました。(KK) 詳しくはP16・17へ 事例8 西九州ハートフルサービス株式会社  「選果場」には、野菜や果物の「集荷」、「選別」、「箱詰」、「出荷」など様々な業務があり、障害のある職員と障害のない職員が混在して、きびきびと役割をこなしていました。  この事例は、「障害者雇用に当たって、業務の切り出しはしない」という点に特徴があるのですが、その中身をみると、単に「業務の切り出しをする必要がなかった」のではなく、対象者の強みや長所を見極めながら、一人ひとりを育て、既存業務への適応と職域拡大を図っていくという丁寧なプロセスが詰まっています。 日々の声かけ、家族面談、通院を考慮したシフト、日誌による健康状態の把握、ミーティングや柔軟な配置転換など、様々な配慮を自然に行っています。  このような会社の風土は、現場で培った「人を育てる」豊かな土壌の上に成り立っているのだと思い至ります。障害のある職員の仕事ぶりは、農家・生産者の方々から喜ばれ、とても評判が良いとのことでした。「一度にいくつもの業務をするのは難しいと一般的に言われますが、毎日繰り返すことで、できるようになる人もかなりいます」と主任の田中自子さんは話しておられました。(TK) 詳しくはP18・19へ 事例9 朝日土地建物株式会社  総括マネージャーの北見泰子さんから「雇われる人も不慣れ、雇う人も不慣れ、いわば双方不慣れの中では、最初から上手く行かないのが当然」との話をお聞きし、胸のつかえがおりたとの思いでした。障害者雇用に限らず、「こうあるべきだ」との思いが先行し二の足を踏むことが多いように思います。  しかし、「双方不慣れ」「最初から上手く行かないのが当然」との思いが肩肘を張らずにお互いを知ろうとする思いに繋がることに気付かされました。同社の職場の雰囲気が「自然体」に見えたのは、まさに北見さんのこのことばが背景にあることを感じました。  同社では、障害者雇用を始めて以降、離職率の低下とともに、業績の向上が進んだとお聞きしました。「障害のある社員と障害のない社員がお互いの能力を認め補完しながら業務を担う」ことが業績の向上に繋がっていることを改めて感じました。同社では、マッチングを大切にすることから関係者の職場見学を推奨しているとのことです。不慣れな双方がお互いを知り、自然体で受けいれることの大切さを再認識した取材でした。(YY) 詳しくはP20・21へ 事例10 株式会社古田土経営・税理士法人古田土会計 社会福祉や障害者雇用、経営に対する専務さんのパワフルなお姿とお話には、同行いただいた委員の先生方ともども圧倒されました。御歳を伺ってさらに驚き、長年創業者の社長さんと会社を大きく展開してきたことも頷けます。思いを行動に移すため、経営計画書に盛り込むというのは、逃げ場をなくして覚悟をもって取り組むという真剣さを感じました。  障害者雇用の具体的な取組みについては、経営者の思いに共感し応えてくれるパートナー(実践者)が必要という話も印象的です。そしてその期待に応えて採用とその後の定着指導を確実に遂行している指導者と、不安を抱えながらも着実に成長を遂げていく当事者の方、それぞれが自覚と責任感をもって取り組んでおり、経営者も含め、お互いの信頼感に支えられていると感じました。経営コンサルティングを行っている企業の取組みは、視点やプロセスも明瞭かつ実践的で、他社でも大いに参考となるものと確信します。(KK) 詳しくはP22・23へ 事例11 学校法人村上学園高松高等予備校 障害のある職員が働いている場所は「寮」でした。 ここでは、大学受験を控えた受験生たちが集団生活を営んでいます。寮長は「親代わり」として、礼儀、挨拶、時間厳守など基本的な生活習慣や社会常識を寮生たちに指導しています。それは、障害のある職員に対しても同じです。  約16年前、理事長が九州の障害者支援施設から受け入れたときから、二人の職員は寮長と一緒に「家族」のようにこの寮で生活し、働いています。 寮生たちは朝食後、一斉に予備校に行き、17時までに帰ってきます。その間、寮長と一緒に清掃や草刈りなどの業務を行い、夕方は送迎されて校舎の清掃業務に出かけます。寮母さんが作る寮の食事は、冷凍食品を一切使っていないそうです。220グラムのハンバーグやコロッケも全部手作り。寮長も寮生も障害のある職員も皆、同じものを一緒に食べます。二人とも、「ずっとここで働き続けたい」と話していました。  この寮には、規律ある生活の中に、温かな雰囲気とかけがえのない信頼があります。そして、「家族の中で働いている」という最も大きな安心感が、ここにあります。(TK) 詳しくはP24・25へ 事例12 学校法人九州アカデミー学園 学園長さんは、10年以上もの期間にわたり週3回人工透析を受けながら法人の要職に就かれていますが、それが当然のことのように、淡々と話をしてくださいました。また、もう一方お話を伺った教員の先生も、同様に週3回人工透析を受けているとのことですが、特に透析の翌朝など体調が悪いことがあっても、体力が続く限りは現在の勤務条件を変更せずに長く働き続けたいと語るお姿からは、教育者としての強い責任感と使命感を感じました。  能力と意欲があって、職務を全うさえできれば、障害の有無や年齢は関係ない、というのは理想的な姿・職場であり、どの職場でもそうあってほしいと思いました。  一方で、このお2方が勤務できなくなった場合には、どのように障害者雇用を進めていくのか、あらためて一から考える必要があることも事実だろうと思います。教育業界において障害のある方に職務を切り出したり創り出したりすることが難しいことをあらためて思い知らされました。(KK) 詳しくはP26・27へ 事例13 医療法人清和会 理事長さんが同姓なのでどんな方なのだろうという好奇心もありお伺いしたところ、親しみやすい雰囲気で、子どもの頃に通ったお医者さんを思い出しました。町には高齢者が多くなり、内科の他、整形外科や理学療法科、さらには介護施設を先進的に展開し、地元に根ざした頼られる存在となっています。障害者雇用にも率先して取り組み、現場の責任者に繰り返し理念を発信しながら、具体的な部分は動きやすいように現場を尊重する姿勢には、威厳と風格もあります。  介護の現場で働く当事者の方は、福祉の専門学校を出た後、精神的な辛さを抱えながら働いていますが、配置転換と相談体制の確立によって、「いつでも相談できる安心感」に支えられ、将来的にはケアマネージャーの資格を取得したいという希望を持って前向きに仕事に取り組んでいます。  トップの思いを現場の責任者がきちんと受け止め、試行錯誤しながらも、当事者の方が働きやすい環境が整えられており、組織一体となってしっかりと取り組まれていると感じました。(KK) 詳しくはP28・29へ 事例14 社会福祉法人紀伊松風苑 社会福祉法人紀伊松風苑は、昭和23年に認可された救護施設等をルーツに持ち、障害のある人の「自立」に長年、力を注いできたそうです。  「自分たちで仕事をしていることを感じてもらうことが大切だと考えています。」そう話す総施設長の横山マリコさんは、救護施設での取組として、かつて、百円ショップから商品の袋詰めの仕事を引き受け、皆と一緒にやっていたこともあったそうです。  現在は特別養護老人ホームでの新たな取組として、奨学金を負担してベトナムからの留学生を迎えているとのこと。障害者雇用の経験は外国人の教育に非常に役立っているといいます。マンツーマンの新人教育では、職場全体で課題や情報を共有し、新人の能力を伸ばすための様々な工夫を考えることで、結果的に職場全体の人材育成につながりました。  こういった取組は障害のある職員だけではなく、外国人にもわかりやすい「共通の指導ノウハウ」となったのです。  職場では、知的障害のある職員も精神障害のある職員も一緒に働いており、皆、仲が良いそうです。障害者雇用を進めたことで、組織に多様性がうまれ、「会社全体の離職率が大幅に下がった」とのことです。(TK) 詳しくはP30・31へ 事例15 株式会社美交工業 職務検討の事例として、トイレの個室清掃が苦手で洗面回りはできる従業員に併せて他の社員の職務内容も見直した、というエピソードがありました。一見「わがままではないか」と捉えられがちな職務分担が、同社で可能になっているのは「それぞれができることを担当する」という考え方が浸透したからだとのことです。  社員が一律に同様の職務を担当するのではなく「得意な仕事を頑張り」「苦手な仕事は協力する」という社風づくりには、社内のコミュニケーションの良さが大きく影響していると感じました。  また、いつもの様子と違う社員に気づいて家族に知らせたり医療機関を紹介する、単身者の暮らしぶりを就労支援機関と共有するなどの会社側のきめ細やかな対応は、同社の定着率を高めている要因と思われました。仕組みを作りつつも、「仕組みを臨機応変に機能させる要因は人と人との信頼関係」とコメントされた専務取締役の福田さんのお話が印象的でした。(NN) 詳しくはP32・33へ 分析編 まとめ (事例から見た障害者雇用のポイントとメリット) 1 障害者雇用は、トップの決断、社内の理解、職務の選定がポイント  障害者雇用の経験のない事業主の皆様、特に、障害者雇用に取り組むかどうかを検討されている事業主の皆様にとって、ポイントにしていただきたいのがこの3つです。 @トップの決断 A社内の理解 B職務の選定  企業トップの思いや理念、そして、それを実行する責任者の行動や調整、社内での共通理解、それぞれの役割分担と信頼関係の構築が鍵となります。 さらに、それぞれで重要となるのが、C先入観をやめることです。 @トップの決断  障害者雇用を進めるには、企業トップの決断が最も重要です。トップ自らが社員に対して企業の経営方針として、障害者雇用を進めることを示すことで、社員全体の理解も進んでいきます。 「職員の目が行き届く事業所規模の場合、トップの考え方に左右されますので、理念が大事だと思います。私は、各施設長を集めた会議などで、『障害のある方が働けるように、まずは自分たちの取り組める範囲から協力しよう』と発信しています。言い続けることも必要です。」と事例13では話しています。  事業主には障害者雇用の義務があります。「障害者雇用の促進等に関する法律」では、「障害者雇用率制度」を定めており、すべての事業主には、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用する義務があります。  もし、トップが決断しないと、障害者雇用の必要性を理解している採用担当者がコンプライアンス(法令遵守)やCSR (Corporate Social Responsibility)との間で板挟みとなり、困ってしまうことにもつながりかねません。  「必ずやるという意志を表すため、数年前に将来ビジョンとして障害者雇用について経営計画書に記載して取り組みました。」と事例10では話があり、「障害者雇用が成功するコツ」のその1に「社長(トップ)が本気になる」ことを挙げています。  初めて障害者を企業に受け入れる場合は、誰でも大きな不安を感じるものです。トップが動いて初めて会社が変わっていきます。何よりも求められているのは「トップの決断」なのです。 A社内の理解  トップ自らが、社員に対して「企業の経営方針」として障害者雇用を進めることを示すことで、社内の理解が進んでいきます。 「障害者の雇用と定着のためには、経営者のトップダウンだけでなく、周囲の理解も加えた会社全体の理解が重要だと考えます。」と事例7では話しています。  トップがその気になっても、幹部や社員がその気にならないと進めることは困難になります。採用担当者、受入部署の担当者はもとより全社員が関心・理解を持つことで、採用部署や受入部署の担当者といった当事者だけに負担がかかったり孤立化したりすることを防ぐことが肝要です。  事例1では、障害者の採用に当たって、社内報で障害者雇用について解説するとともに、地域障害者職業センターの講師による社内研修を実施しました。  障害者の受入れを打診された場合、「なぜ自分の部署なのか。他の部署でもよいのではないか」「自分ばかりが負担を強いられる」といった意見がでることもあります。  障害者雇用を進めていくためには、受入部署任せにせず、採用部門も必要なサポートをしていく姿勢を示し、障害者雇用のメリットを伝えながら受入部署の不安を解消し、理解を得ていくことが大切です。 B職務の選定  障害者の職務については、一人ひとりの状況に応じて決定することが大切です。  まず、「障害者に向いている仕事」「向いていない仕事」というものはないと考えた方がよいでしょう。各障害の特性により不向きな職種もありますが、障害の種類や程度だけできめるのではなく、一人ひとりの障害状況に加えスキルの習得状況、本人の希望・意欲などから総合して決めていきます。  事例15では、清掃業務における一日の清掃工程をさらに細分化して、障害のある従業員の適性に合った職務設定を行っているそうです。  事例5では、障害のある従業員に対する職務設定は「できることを任せる」方針で行っており、障害特性を確認して職務を検討するのではなく、少しでもできそうであれば試しに取り組ませて検討しているとのことでした。「やってみなければ仕事が合うかどうかの判断はできないこと、そして、職務は探せばあると考えて取り組んでいます。」と事例2では話しています。  また、社員の大半が資格や専門技術を必要とする専門職で、既存の職務から従事する職務を選ぶことが難しい場合は、障害者が従事できる職務を創り出すことを検討していくことになります。  事例10では、どういう職務を障害者向けに切り出すかポイントを明確にして、全社的に議論して決定しているそうです。コピー、シュレッダー、清掃、メール等の仕分け・配送、資料セット・封入などやり方が決まった業務を集約し、新たな職務として再構築していきます。 C先入観をやめる  「障害者雇用では、壁というものは思ったほどないと考えています。障害者雇用を進めたことで障害のある職員の能力だけでなく、既存の職員の能力も確実に伸びています。」と事例14では話しています。  また、事例8では「どの障害でも、一度にいくつもの作業をするのは難しいと言われますが、毎日繰り返すことで、できるようになる人もかなりいます。例えば、原料を供給しながら、箱の減り具合を見たり、空コンテナを片づけに行ったりと、3つぐらいの作業を任せることができる人も多いです。」と現場担当者の方は述べておられました。  事例14の従業員の方は「介護補助職」として、車いすの掃除、シーツ交換、施設清掃等を担当しています。採用当初は対面型の業務を担当するのは難しい状況だったのですが、勤務に慣れていくにつれ、苦手だったコミュニケーションが徐々にできるようになり、約4年後にはフルタイム勤務となりました。将来は「介護職」にキャリアアップすることも期待されています。  地域障害者職業センターやハローワークなど、支援機関を活用した事例も多く見られます。何か課題がある時は、お気軽に近くの支援機関に相談することも重要です。 2 障害者雇用のメリット  メリットとして挙げられたのは、大きく次の3点です。 @会社の貴重な戦力となった  事例8の従業員の方は、当初、「選果業務」を担当していたところ、トラックの運転ができたので、採用2年目以降は「集荷」も担当するようになりました。その後、フォークリフトの免許も取得し、職務の幅がさらに拡がりました。 現在は集荷業務の準責任者を務めるなど、会社の業務に大きく貢献しています。  また、事例3では、従業員の方のことを「緊張しやすいが、まじめで責任感が強く、能力が高い」と現場担当者の方が評していました。その方は、採用当初は1日5時間勤務だったところ、勤務にも慣れ、現在は1日6時間勤務となりました。  事例9では、「精神障害者の方は、能力的にも高い方が多く、職場(人)とのマッチング、同僚の配慮があれば高い能力を発揮できると思います。実際に業績向上に繋がっています。」と話しています。 このように障害のある社員は会社の中で貴重な戦力となっています。 職域の拡大 キャリアアップ 勤務時間の延長 選果業務 選果業務+集荷業務 フォークリフト免許取得 集荷業務の準責任者に就任 A組織全体が良い方向へと変わり、企業全体の離職率が下がった  障害者雇用を進めている企業の多くの経営者が、「障害者雇用は会社全体の大きなメリットになる」と話しています。  事例14の法人では、障害者雇用を進めたことで離職率が大幅に減少しました。  介護職員の離職率は全国で16.7%(平成28年度介護労働実態調査)という状況ですが、同法人では、平成24年度から障害者雇用の取組を本格化した結果、開始後わずかの間に離職率が半減し、離職率は10%を下回っています。  また、同法人では、奨学金を負担して留学生を介護労働の職場に迎えるという取組を行っています。その中で、「障害者雇用の経験が、外国人の職員に対する教育にも非常に役立っています。障害者雇用を進めたことで、組織に多様性が生まれ、組織全体が良い方向へと変わりました。」と総施設長は話しています。  障害のある職員に対する指導方法や工夫は外国人にもわかりやすい共通の指導ノウハウとなり、結果的に職員全体の人材育成につながったとのことです。 B職場の雰囲気や作業環境が良くなり、顧客満足度にもつながっていく  事例8では、「障害者雇用を意識して様々な改善を行った結果、作業環境が良くなった。障害のある職員はまじめで素直なので農家の方々からも喜ばれている。」と話しています。また、事例13では「本人たちも利用者の方々と積極的に関わり、誠意をもって支援してくれるので、職場も明るくなったと感じます」と話しています。  このように障害のある社員の職場定着を図っていく過程では、社内コミュニケーションの改善や業務上の様々な工夫や配慮を行って、社員同士が障害を理解し支え合っていくようになります。  事例15では、「社内の意思疎通をスムースにするための体制作りは会社の雰囲気も良くし、従業員満足度の向上につながりました。これは結果的には顧客満足度にもつながっていると捉えています。」と話しています。 事例からみた障害者雇用のポイント 障害者雇用のステップ Step.1 障害者雇用の理解を深める Step.2 職務の選定 Step.3 受入態勢を整える 初めて障害者雇用を取り組むときに最も重要 Step.4 採用活動 (募集〜採用) Step.5 職場定着 @トップの決断 障害者雇用を進めるには、企業トップの決断が最も重要。 経営者 採用担当者 障害者雇用の促進等に関する法律 CSR コンプライアンス(法令遵守) ダイバーシティ 社員 ・障害者は社員と同じように仕事ができるの? ・私たちが助けないといけなくなるのでは? ・企業は競争社会。厳しい環境で働くのはかわいそう。 ・福祉が支える方がよいのでは? ・なぜ障害者を雇用しなければならないんだろう。 もし、トップが決断しないと、障害者雇用の必要性を理解している採用担当者が板挟みとなって困ってしまうことに! A社内の理解 経営者 企業トップが前向きなメッセージを伝える 採用担当者 障害者雇用の理由を説明企業の立場を説明 サポート姿勢を示す 社員 不安感の払拭 ・障害者雇用を進める理由が理解できた。・今まで持っていた障害者のイメージとは違っていたようだ。・周囲から協力が得られれば安心。トップ自らが社員に対して「企業の経営方針」として障害者雇用を進めることを示すことで、社内の理解が進んでいきます。 B職務の選定 一人ひとりの状況に応じて決定することが大切です。 既存の職務から選ぶことが難しい場合は、職務を創り出すことを検討します。 C先入観をやめる ・会社の貴重な戦力となった。 ・組織全体が良い方向へと変わり、企業全体の離職率が下がった。 ・職場の雰囲気や作業環境が良くなり、顧客満足度にもつながっていく。 資料編 用語解説 本書の事例をお読みいただくにあたり、記載されている用語について概要を解説します。 ■ ハローワーク ハローワークでは、障害者を対象とした求人の申込みを受け付けています。専門の職員・相談員が就職を希望する障害者にきめ細かな職業相談を行い、就職後についても職場に定着できるよう支援を行っています。その他、事業主に雇用管理上の配慮などの助言や、地域障害者職業センターなどの専門機関の紹介、各種助成金の案内を行っています。求人者・求職者が一堂に会する就職面接会も開催しています。 ■ 地域障害者職業センター 障害者職業カウンセラーが配置され、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校などの関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として地域に密着した職業リハビリテーションサービスを提供しています。  事業主に対するサービスとして、障害者の新規雇入れ、在職者の職場適応やキャリアアップ、休職者の職場復帰など、障害者雇用に係る様々な支援を実施しています。障害者雇用の相談や情報提要を行うほか、障害者の雇用に関する事業主のニーズや雇用管理上の課題を分析し、必要に応じ、「事業主支援計画」を作成して、専門的な助言・援助や地域の専門家を活用した支援などを体系的に行います。 ■ 障害者就業・生活支援センター 就職や職場への定着に当たって、就業面における支援とあわせて、生活面における支援を必要とする障害者に対して、身近な地域で、雇用、保健、福祉、教育などの関係機関との連携を行いながら、障害者の就業およびこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う支援機関です。 ■ 就労移行支援事業所・就労継続支援事業所 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。「就労移行支援」は、一般企業などへの就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練を行います。「就労継続支援」は雇用契約を結ぶA型と雇用契約を結ばないB型があり、一般企業などへの就労が困難な人に、働く場を提供し、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。 ■ 特例子会社制度 事業主が一定の要件を満たした上で障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立した場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる制度です。  事業主にとってのメリットとして、障害の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害者の能力を十分に引き出すことができるといったことが挙げられます。 ■ トライアル雇用 障害者雇用に関する知識や雇用経験がないことから障害者雇用をためらっている事業所が、障害者を試行的に雇用(トライアル雇用)することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、障害者と事業主の相互理解を促進することなどを通じて、障害者雇用に取り組むきっかけづくりを進めるために行うものです。 ※P.48参照 ■ ジョブコーチ支援  職場での適応に課題を有する障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)が事業所を訪問等し、職場での課題を改善し、職場定着を図るためのものです。ジョブコーチには地域障害者職業センターに所属する配置型ジョブコーチと、就労支援ノウハウを有する社会福祉法人等に所属する訪問型ジョブコーチ、事業主自ら配置する企業在籍型ジョブコーチがあります。  なお、上記のほか、自治体の独自の制度として養成されたジョブコーチも配置されています。 ※P.49参照 資料編 障害者雇用支援制度の紹介 障害者雇用納付金制度とは  障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。  障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 ◆ 障害者雇用納付金制度の概要 〜常用雇用労働者の総数が100 人を超える事業主〜 法定雇用障害者数を下回っている事業主 納付金 ←法定雇用障害者数 法定雇用障害者数を超えている事業主 調整金 :雇用している身体、知的、精神障害者の数 障害者雇用納付金の徴収 1人当たり月額 50,000円 常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主は、● 毎年度、納付金の申告が必要 ● 法定障害者雇用率を達成している場合も申告が必要● 法定雇用障害者数を下回っている場合は、申告とともに納付金の納付が必要 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用調整金の支給 1人当たり 月額27,000円 常用雇用労働者の総数が100人を超えており、雇用障害者数が法定雇用障害者数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 報奨金の支給 1人当たり 月額21,000円 常用雇用労働者の総数が100人以下で、雇用障害者数が一定数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例調整金の支給 在宅就業障害者に仕事を発注した納付金申告事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例報奨金の支給 在宅就業障害者に仕事を発注した報奨金申請対象事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 特例給付金の支給 週10 時間以上20 時間未満で働く障害者を雇用する事業主に対し、事業主の区分と週20時間以上で働く雇用障害者数に応じた額を、申請に基づき支給 各種助成金の支給 障害者を雇い入れたり、雇用を継続するために職場環境の整備等を行う事業主に対し、申請に基づき費用の一部を助成 お問い合わせ先 都道府県支部高齢・障害者業務課(P.55)※東京および大阪は高齢・障害者窓口サービス課 障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金  障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。 ◆ 助成金の種類 助成金 内容 障害者作業施設設置等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープ等の付帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備の設置または整備を行う場合に、その費用を一部助成するものです。なお、対象となる障害者が雇用され、または職場復帰もしくは人事異動等から6か月を超える期間が経過しており、作業施設等の設置または整備を行う十分な必要性がないと判断される場合は、助成対象とはなりません。 障害者福祉施設設置等助成金 障害者を労働者として継続して雇用している事業主または事業主が加入している事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された休憩室等の福祉施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 障害者介助等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の特性に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 職場適応援助者助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主の団体が、これらの障害者の障害の特性に応じた通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。なお、対象となる障害者が雇用されて6か月を超える期間が経過しており、その通勤を改めて容易にする必要がないと判断される場合は、中途障害者となった場合または障害の重度化が認められる場合もしくは人事異動等を除き、助成対象とはなりません。 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金 重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成するものです。 助成金の対象費用、助成率、限度額、手続き等の詳細は当機構ホームページでご紹介しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/ お問い合わせ先 都道府県支部高齢・障害者業務課(P.55) ※東京および大阪は高齢・障害者窓口サービス課 資料編 障害者雇用支援制度の紹介 障害者雇用を支援する施策 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)  身体障害者、知的障害者または精神障害者などの就職が特に困難な方をハローワークなどの紹介により継続して雇用する労働者として新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部に相当する額を一定期間助成することにより、これらの方の雇用機会の増大を図るものです。 ◆主な受給要件  受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。  また、このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 [1]ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。 [2]雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(※)が確実であると認められること。 ※ 対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。 ◆ 助成額など 対象労働者 助成金 大企業 中小企業※1 助成対象期間 大企業 中小企業 身体障害者、知的障害者(短時間労働者 ※2以外) 50万円 120万円 1年 2年 身体障害者、知的障害者、精神障害者(短時間労働者) 30万円 80万円 1年 2年 重度身体・知的障害者、精神障害者、 45歳以上の身体・知的障害者(短時間労働者以外) 100万円 240万円 1年6か月 3年 ※1中小企業の範囲はP.47※3「中小企業の範囲」を参照 ※2「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)  発達障害者または難病患者をハローワークなどの紹介により新たに雇い入れた事業主に対して助成するものであり、発達障害や難病患者の雇用を促進し、職業生活上の課題を把握することを目的としています。  事業主には、雇い入れた者に対する配慮事項等について報告をいただきます。また、雇入れから約6か月後にハローワーク職員等が職場訪問を行います。 ◆主な受給要件  特定就職困難者コース(p46)と同様です。ただし、対象労働者の雇用の状況等その雇用管理に関する事項について、報告書により支給申請にあわせて管轄の労働局に報告することを要件としています。 ◆対象労働者 次の[1]〜[3]のすべてに該当する求職者です。 [1] 障害者手帳を所持していない方であって、発達障害または難病のある方 ※1 障害者雇用促進法第2条第2号に規定する身体障害者、同条第4号に規定する知的障害者または同条第6号に規定する精神障害者である者は除きます。 @ 発達障害者支援法第2条に規定する発達障害者 A 障害者総合支援法施行令第1条に基づき、厚生労働大臣が定める特殊の疾病(難病)にかかっている者 [2] ハローワーク等の紹介を受けた日に失業などの状態にある者(雇用保険被保険者でない者など) [3] 雇入れ日現在において満65歳未満である者。 ◆ 助成額など 対象労働者 助成金 大企業 中小企業※2 助成対象期間 大企業 中小企業 短時間労働者以外の者 50万円 120万円 1年 2年 短時間労働者※3 30万円 80万円 1年 2年 ※2 ここでいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 ※3 ここでいう「中小企業の範囲」は下表のとおりです。 産業分類 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店含む) 5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他業種 3億円以下 300人以下 資料編 障害者雇用支援制度の紹介 トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)  ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、そ の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。 ◆対象労働者 次の[1]と[2]の両方に該当する者であること [1]継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者 [2]障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア〜カのいずれかに該当する者 ア. 重度身体障害者 イ. 重度知的障害者 ウ. 精神障害者 エ. 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者 オ. 紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者 カ. 紹介日前において離職している期間が6カ月を超えている者 ◆雇入れの条件 [1]ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること [2]原則3か月間の障害者トライアル雇用をすること [3]障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと ※ この他にも、雇用関係助成金共通の要件等いくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 ◆ 受給額 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長3か月間) ※対象労働者が精神障害者の場合、月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月) トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)  継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用するものであって、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指すものをいいます。 ◆ 対象労働者 本助成金における「対象労働者」は、継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者が対象となります。 ◆ 雇入れの条件 対象労働者を次の[1]と[2]の条件によって雇い入れること [1]ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること [2]3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること ◆ 受給額 受給対象者1人につき月額最大万円(最長12か月間) P.46,P.47,P.48のお問い合わせ先 都道府県労働局、ハローワーク 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業  職場での適応に課題を有する障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)が事業所を訪問等し、職場での課題を改善し、職場定着を図るためのきめ細かな人的支援を行います。  不安やストレスを抱えやすい精神障害者等の方々に対しては、作業遂行への支援だけではなく、相談を中心とした職場内でのコミュニケーションに関する支援、不安や緊張・ストレスの軽減等の支援を行います。  また、職場の上司、同僚に対しては、本人の特性を踏まえた関わり方、職務内容・職場環境の調整の助言等を行います。  これらにより、事業所の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指しています。 ◆ ジョブコーチの種類 配置型ジョブコーチ※1 地域障害者職業センターに配置するジョブコーチです。就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型ジョブコーチや企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう必要な助言・援助を行います。 〔支援の契機〕 雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います。 (例:@不安の軽減や作業手順を覚えるために雇入れと同時に支援を開始。 A配置転換や人事異動といった職場環境の変化により職場適応上の課題が生じたため雇用後の支援を開始)。 〔支援期間〕  個別に必要な期間を設定します(標準は2〜4か月)。支援終了後は、必要なフォローアップを行います。 訪問型ジョブコーチ※2 障害者の就労支援を行う社会福祉法人などに所属するジョブコーチです。(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する訪問型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験と能力を有する者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 企業在籍型ジョブコーチ※2 障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める研修を修了した者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に対して、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 ジョブコーチ 事業主 管理監督者・人事担当者 ・障害特性に配慮した雇用管理に関する助言・配置、職務内容の設定に関する助言 障害者 ・作業遂行力の向上に向けた支援 ・職場内のコミュニケーションに関する支援 ・健康管理・生活リズムの構築等の支援 職場 同僚 上司 同僚 ・障害の理解に係る社内啓発 ・障害者との関わり方に関する助言 ・指導方法に関する助言 家族 ・安定した職業生活を送るための家族の関わり方に関する助言 お問い合わせ先 地域障害者職業センター(P.54)(※1について) 都道府県支部高齢・障害者業務課(P.55)(※2について) 資料編 コラム1 障害者雇用と就業規則の見直し 採用に当たって大切なのは、必要な配慮事項の確認  障害者を雇用する上で重要なことは、採用対象となる障害者に必要な配慮事項を確認することです。  障害者が業務を遂行する上で必要な配慮事項が採用企業にとって受け入れ提供可能な内容であれば、当事者の就労能力等を確認するステップに進み、採用対象として検討することとなります。  事業主には、障害者雇用促進法の改正(平成28年4月から施行)により雇用する障害者に対する合理的配慮の提供を法的義務として課されています。配慮事項の確認を曖昧にしたまま就労能力等の面で問題ないとして採用したものの、採用後に本人が求める配慮を提供できない事態に陥ることがないよう気を付ける必要があります。  また、採用後に障害の状況が変化することや、新たな就労支援機器の開発、他の障害者への対応などで参考になる事例を応用できる場合も少なくありません。  障害者が働きやすい環境を整備し、持ちうる力を発揮していただくことは、障害者及び事業主の双方にとってとても大切なことです。採用段階での配慮事項の確認に留まらず、採用後も定期的に障害者に対するヒアリングを実施し、その時点で最良の配慮を提供できるように企業が取り組むことが重要です。  なお、両者で合意した「事業主が提供する配慮事項」のうち、雇用契約書等で記載できない内容については別途書面で確認する方法もあります。 就業規則の変更は必ずしも必要というわけではありません  「障害者を雇用すると就業規則の変更が必要になるのでは?」とお悩みになる事業主もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしも就業規則を変更する必要はありません。  障害者の雇用に当たっては、個別に配慮して勤務時間、休憩時間、休暇、勤務場所、介助者配置等で就業規則と異なる労働条件を提示し取り決めることがあります。これらの労働条件変更が雇用する障害者に利益をもたらすもので、就業規則上の労働条件を下回るものではなく、また、不利益な労働条件変更には該当しない場合には、個別の雇用契約書や労働条件通知書で該当する労働条件の変更内容を記載し、その他条件は就業規則に従うとすれば問題は発生しません。  労働条件通知書の作成に当たっては、次項に掲載したモデル様式(一般労働者用:常用、有期雇用型)をご参照ください。厚生労働省のホームページからダウンロードすることも可能です。 それでも就業規則を改正した方が良い場合  前述したように、障害者を雇用する際には、基本的には就業規則の変更でなく個別契約書や労働条件通知書を取り交わすことで進めることができますが、多数の障害者を雇用する場合には就業規則の改正を検討することも価値があります。  共生社会の理念に沿って、障害者を他の従業員と同じように受け入れる延長線上で、障害者への配慮事項を他の従業員に適用し労働条件面で職場全体の改善につながるという場合には、従業員全員に適用される就業規則自体の改正が好ましいといえるでしょう。 中央障害者雇用情報センターの活用を  障害者を雇用するにあたり具体的な労働条件の設定や就業規則の変更等で疑問点や課題が生じている場合には、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の中央障害者雇用情報センターをご活用ください。障害者雇用に関する豊富な経験や知識を有する専門家が各事業主の個別相談に応じています。 お問合せ 中央障害者雇用情報センター 電話 03-5638-2792 メール syougai-soudan@jeed.go.jp 労働条件通知書のモデル様式(一般労働者用:常用、有期雇用型) 資料編 コラム2 障害者雇用に役立つ資料(コミック版紹介) (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業主が障害者雇用を進める上で参考となる資料を作成し、配付をしています お問い合せ先 雇用開発推進部 電話: 043-297-9513 FAX: 043-297-9547 コミック版 障害者雇用マニュアル1〜6 1 視覚障害者と働く 視覚障害に関する基礎知識、就労支援機器や支援制度の活用例、職場での具体的な支援方法などを盛り込みながら雇入れと職場定着に必要な雇用管理の手法等について、コミック形式で紹介したマニュアル。 2 知的障害者と働く 知的障害に関する基礎知識、職場で起こりやすいトラブルや日常生活上の指導・配慮点、能力開発等について、コミック形式で紹介したマニュアル。 3 聴覚障害者と働く 聴覚障害者の障害特性や雇用管理全般に関するノウハウなどをコミック形式で紹介したマニュアル。 4 精神障害者と働く 統合失調症やうつ病、てんかんなど精神障害の特性に配慮した雇用管理について、職場での対応や支援機関との連携など事例をまじえてコミック形式で紹介したマニュアル。 5 発達障害者と働く 発達障害者の特性や、わかりやすい作業指示の出し方、コミュニケーション上の留意事項等のノウハウについてコミック形式で紹介したマニュアル。 6 高次脳機能障害者と働く 高次脳機能障害に関する基礎知識、支援機関の活用例、職場での具体的な支援方法などを盛り込みながら、雇入れと職場復帰に必要な雇用管理の手法等について、コミック形式で紹介したマニュアル。 施設連絡先一覧 地域障害者職業センター一覧 障害者職業カウンセラーが配置され、公共職業安定所(ハローワーク)、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校等の関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションを実施しています。 名称 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号 北海道障害者職業センター 001-0024 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 011-747-8231 011-747-8134 北海道障害者職業センター 旭川支所 070-0034 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 0166-26-8231 0166-26-8232 青森障害者職業センター 030-0845 青森市緑2-17-2 017-774-7123 017-776-2610 岩手障害者職業センター 020-0133 盛岡市青山4-12-30 019-646-4117 019-646-6860 宮城障害者職業センター 983-0836 仙台市宮城野区幸町4-6-1 022-257-5601 022-257-5675 秋田障害者職業センター 010-0944 秋田市川尻若葉町4-48 018-864-3608 018-864-3609 山形障害者職業センター 990-0021 山形市小白川町2-3-68 023-624-2102 023-624-2179 福島障害者職業センター 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1005 024-535-1000 茨城障害者職業センター 309-1703 笠間市鯉淵6528-66 0296-77-7373 0296-77-4752 栃木障害者職業センター 320-0865 宇都宮市睦町3-8 028-637-3216 028-637-3190 群馬障害者職業センター 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-290-2540 027-290-2541 埼玉障害者職業センター 338-0825 さいたま市桜区下大久保136-1 048-854-3222 048-854-3260 千葉障害者職業センター 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉4階 043-204-2080 043-204-2083 東京障害者職業センター 110-0015 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 03-6673-3938 03-6673-3948 東京障害者職業センター 多摩支所 190-0012 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 042-529-3341 042-529-3356 神奈川障害者職業センター 252-0315 相模原市南区桜台13-1 042-745-3131 042-742-5789 新潟障害者職業センター 950-0067 新潟市東区大山2-13-1 025-271-0333 025-271-9522 富山障害者職業センター 930-0004 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 076-413-5515 076-413-5516 石川障害者職業センター 920-0901 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 076-225-5011 076-225-5017 福井障害者職業センター 910-0026 福井市光陽2-3-32 0776-25-3685 0776-25-3694 山梨障害者職業センター 400-0864 甲府市湯田2-17-14 055-232-7069 055-232-7077 長野障害者職業センター 380-0935 長野市中御所3-2-4 026-227-9774 026-224-7089 岐阜障害者職業センター 502-0933 岐阜市日光町6-30 058-231-1222 058-231-1049 静岡障害者職業センター 420-0851 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 054-652-3322 054-652-3325 愛知障害者職業センター 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 052‐218‐2380 052‐218‐2379 愛知障害者職業センター 豊橋支所 440-0888 豊橋市駅前大通り1-27 MUS豊橋ビル6階 0532-56-3861 0532-56-3860 三重障害者職業センター 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津3階 059-224-4726 059-224-4707 滋賀障害者職業センター 525-0027 草津市野村2-20-5 077-564-1641 077-564-1663 京都障害者職業センター 600-8235 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 ハローワーク京都七条5階 075-341-2666 075-341-2678 大阪障害者職業センター 541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 06-6261-7005 06-6261-7066 大阪障害者職業センター 南大阪支所 591-8025 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 072-258-7137 072-258-7139 兵庫障害者職業センター 657-0833 神戸市灘区大内通5-2-2 ハローワーク灘3階 078-881-6776 078-881-6596 奈良障害者職業センター 630-8014 奈良市四条大路4-2-4 0742-34-5335 0742-34-1899 和歌山障害者職業センター 640-8323 和歌山市太田130-3 073-472-3233 073-474-3069 鳥取障害者職業センター 680-0842 鳥取市吉方189 0857-22-0260 0857-26-1987 島根障害者職業センター 690-0877 松江市春日町532 0852-21-0900 0852-21-1909 岡山障害者職業センター 700-0821 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 086-235-0830 086-235-0831 広島障害者職業センター 730-0004 広島市中区東白島町14-15 NTTクレド白島ビル12階 082-502-4795 082-211-4070 山口障害者職業センター 747-0803 防府市岡村町3-1 0835-21-0520 0835-21-0569 徳島障害者職業センター 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島4階 088-611-8111 088-611-8220 香川障害者職業センター 760-0055 高松市観光通2-5-20 087-861-6868 087-861-6880 愛媛障害者職業センター 790-0808 松山市若草町7-2 089-921-1213 089-921-1214 高知障害者職業センター 781-5102 高知市大津甲770-3 088-866-2111 088-866-0676 福岡障害者職業センター 810-0042 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 092-752-5801 092-752-5751 福岡障害者職業センター 北九州支所 802-0066 北九州市小倉北区萩崎町1-27 093-941-8521 093-941-8513 佐賀障害者職業センター 840-0851 佐賀市天祐1-8-5 0952-24-8030 0952-24-8035 長崎障害者職業センター 852-8104 長崎市茂里町3-26 095-844-3431 095-848-1886 熊本障害者職業センター 862-0971 熊本市中央区大江6-1-38 ハローワーク熊本4階 096-371-8333 096-371-8806 大分障害者職業センター 874-0905 別府市上野口町3088-170 0977-25-9035 0977-25-9042 宮崎障害者職業センター 880-0014 宮崎市鶴島2-14-17 0985-26-5226 0985-25-6425 鹿児島障害者職業センター 890-0063 鹿児島市鴨池2-30-10 099-257-9240 099-257-9281 沖縄障害者職業センター 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 098-861-1254 098-861-1116 施設連絡先一覧 地域障害者職業センター一覧 障害者職業カウンセラーおよび職業訓練指導員が配置され医療リハビリテーションとの連携を図りながら、職業評価、職業指導、職業訓練等を一貫した体系の中で実施しています。 名称 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号 国立職業リハビリテーションセンター(中央障害者職業能力開発校) 359-0042 埼玉県所沢市亜木4-2 04-2995-1711 04-2995-1052 国立古備高原職業リハビリテーションセンター(古備高原障害者職業能力測発校) 716-1241 岡山県加賀郡古備中央町吉川7520 0866-56-9000 0866-56-7636 都道府県支部高齢・障害者業務課(※東京、大阪は高齢・障害者窓ロサービス課を含む)一覧 障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等の業務を実施しているほか、高年齢者等の雇用に関する相談・援助、各種給付金の申請の受付等を実施しています。 都道府県 郵便番号 所在地 電話番号 FAX番号 北海道 063-0804 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 011-622-3351 011-622-3354 青 森 030-0822 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 017-721-2125 017-721-2127 岩 手 020-0024 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 019-654-2081 019-654-2082 宮 城 985-8550 多賀城市明月2-2-1宮城職業能力開発促進センター内 022-361-6288 022-361-6291 秋 田 010-0101 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 018-872-1801 018-873-8090 山 形 990-2161 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 023-674-9567 023-687-5733 福 島 960-8054 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 024-526-1510 024-526-1513 茨 城 310-0803 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 029-300-1215 029-300-1217 栃 木 320-0072 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 028-650-6226 028-623-0015 群 馬 379-2154 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 027-287-1511 027-287-1512 埼 玉 336-0931 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 048-813-1112 048-813-1114 千 葉 261-0001 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 043-204-2901 043-204-2904 東 京 130-0022 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 03-5638-2284 03-5638-2282 神奈川 241-0824 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 045-360-6010 045-360-6011 新 潟 951-8061 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 025-226-6011 025-226-6013 富 山 933-0982 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 0766-26-1881 0766-23-6445 石 川 920-0352 金沢市観音堂町へ1 石川職業能力開発促進センター内 076-267-6001 076-267-6084 福 井 915-0853 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 0778-23-1021 0778-23-1055 山 梨 400-0854 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 055-242-3723 055-242-3721 長 野 381-0043 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 026-258-6001 026-243-2077 岐 阜 500-8842 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 058-265-5823 058-266-5329 静 岡 422-8033 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 054-280-3622 054-280-3623 愛 知 460-0003 名古屋市中区錦1-10-1 Mlテラス名古屋伏見4階 052‐218‐3385 052‐218‐3389 三 重 514-0002 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 059-213-9255 059-213-9270 滋 賀 520-0856 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 077-537-1214 077-537-1215 京 都 617-0843 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 075-951-7481 075-951-7483 大 阪 566-0022 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 06-7664-0782 06-7664-0645 兵 庫 661-0045 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 06-6431-8201 06-6431-8220 奈 良 634-0033 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 0744-22-5232 0744-22-5234 和歌山 640-8483 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 073-462-6900 073-462-6810 鳥 取 689-1112 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 0857-52-8803 0857-52-8785 島 根 690-0001 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 0852-60-1677 0852-60-1678 岡 山 700-0951 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 086-241-0166 086-241-0178 広 島 730-0825 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 082-545-7150 082-545-7152 山 口 753-0861 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 083-995-2050 083-995-2051 徳 島 770-0823 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 088-611-2388 088-611-2390 香 川 761-8063 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 087-814-3791 087-814-3792 愛 媛 791-8044 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 089-905-6780 089-905-6781 高 知 780-8010 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 088-837-1160 088-837-1163 福 岡 810-0042 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 092-718-1310 092-718-1314 佐 賀 849-0911 佐賀市兵庫町大字若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 0952-37-9117 0952-37-9118 長 崎 854-0062 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 0957-35-4721 0957-35-4723 熊 本 861-1102 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 096-249-1888 096-249-1889 大 分 870-0131 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 097-522-7255 097-522-7256 宮 崎 880-0916 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 0985-51-1556 0985-51-1557 鹿児島 890-0068 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 099-813-0132 099-250-5152 沖 縄 900-0006 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 098-941-3301 098-941-3302 制作委員会 委員名簿 (五十音順 敬称略) (所属・役職は平成30年1月時点) 座長 眞保 智子 法政大学 現代福祉学部 人間社会研究科 教授 杉崎 友則 日本商工会議所 産業政策第二部 副部長 新田 峰雄 厚生労働省 職業安定局 雇用開発部 障害者雇用対策課 主任障害者雇用専門官 秦 政 特定非営利活動法人 障がい者就業・雇用支援センター 理事長 菱沼 貴裕 全国中小企業団体中央会 労働・人材政策本部 労働政策部 部長代理 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons with Disabilities and Job Seekers 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 雇用開発推進部 TEL:043-297-9513/FAX:043-297-9547 web site https://www.jeed.go.jp/ 平成30年1月 初版発行 令和4年1月 第二版