障害者の職場定着と戦力化 障害者雇用があまり進んでいない業種における雇用事例 EMPLOYMENT CASE BOOK  独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons with Disabilities and Job Seekers はじめに  近年、障害者の就労意欲が高まるとともに、人材確保や企業のCSR(企業の社会的責任)への関心の高まりなどを背景として、障害者雇用に積極的に取り組む企業が増えています。  また、令和3年3月からは障害者の法定雇用率が2.3%に引き上げられ、障害者雇用義務の対象となる企業の範囲も広がりました。  こうした中で、障害者雇用があまり進んでいない業種、特に中小企業における取組みを促していくことが、障害者雇用全体を一層推し進めていく鍵となっています。  当機構の「障害者の就業状況等に関する調査研究」(平成29年4月)によれば、就職後3か月未満の離職の具体的な離職理由は「労働条件があわない」、「業務遂行上の課題あり」が多く、3か月以降1年未満での離職の場合は「障害・病気のため」、「人間関係の悪化」が多くなっています。障害者本人の意向・考えを十分に尊重しつつ、障害特性とニーズの丁寧な把握に努め、雇用管理上の配慮や工夫を行うことが職場定着のポイントになると考えられます。  これらを受けて、当機構では、障害者雇用があまり進んでいない業種から主に中小企業の障害者雇用事例を取材・整理し、本事例集として取りまとめました。  さて、本事例集は、平成31年3月に初版を発行して以来、多くの方にご利用いただいているところ、今般、巻末の資料編を最新の情報に改訂し、第二版を発行する運びとなりました。今後とも、本事例集をご覧になったみなさまに、これら取材先企業での、障害者採用後の職場定着や戦力化に向けた努力を少しでも伝えられればと期待しています。  なお、取りまとめに当たっては、学識経験者、障害者雇用実務者、事業主団体の担当者、職業安定行政の担当官から成る制作委員会を設置し、委員の方々から全体構成や各事例の構成等について様々な助言をいただきました。  本事例集の作成および改訂にあたり、ご協力いただいた関係者の方々に改めて厚く感謝申し上げます。 令和4年1月 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 目次 本事例集の特長 3 企業トップが語る障害者雇用のメリット 4 社内の理解促進のために企業が取り組んだ内容 5 職場定着のために企業が取り組んだ内容 6 事例編 事例 1 : 株式会社常磐谷沢製作所 8 事例 2 : 株式会社杢目金屋 10 事例 3 : 株式会社呉竹 12 事例 4 : 株式会社サイバーコネクトツー 14 事例 5 : 株式会社ジーマック 16 事例 6 : 三共貨物自動車株式会社 18 事例 7 : 株式会社リソーシズ 20 事例 8 : 南海ゴルフ株式会社 22 事例 9 : 株式会社阪技 24 事例10 : 株式会社エイチケイアール 26 事例11 : 株式会社アクセス 28 事例12 : 学校法人鳥取家政学園 30 事例13 : 株式会社個別指導塾スタンダード 32 事例14 : 株式会社I.S.コンサルティング 34 資料編 まとめ 36 用語解説 42 障害者雇用支援制度の紹介 44 中央障害者雇用情報センターのごあんない 50 障害者雇用に役立つ資料(マニュアル・DVD) 51 障害者雇用に役立つWEBサイト 52 地域障害者職業センターのごあんない 54 施設連絡先一覧 55 ※この事例集では、事業所で用いている一部の表記を除き、障害の表記を法令などで使われている『障害』に統一しました。 本事例集の特長  本事例集は、障害者雇用があまり進んでいない業種の企業が、障害者を雇用するにあたってどのような課題に直面し、その課題をどのように解決していったのかをまとめたものです。  特に、@障害者雇用に対する社内の理解を促進するための取組み、A雇用した障害者が能力を発揮し会社の戦力となるようにするための工夫、B働きやすい環境をつくり職場定着を図るための配慮や体制整備の3点を中心にまとめました。  障害者雇用の経験があまりなかった企業が、試行錯誤や創意工夫により雇用を進めていった過程を掲載していますので、ぜひ参考にしてください。 ※本事例集では、障害者雇用率が全産業平均より低い、または障害者を雇用していない企業の割合が全産業平均より高い産業(日本標準産業分類の中分類レベル)に属する企業のうち、障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業の事例を収集しました。 経営者の声 障害者を採用することの経営上のメリットや職場定着にあたって苦労した点、障害者雇用に対する思いや今後のビジョンなどについて、各企業の経営者や経営幹部に率直に語っていただきました。 取組みの詳細 「直面した課題と対応策」で紹介した各企業の取組みについて、より詳細に紹介しています。 直面した課題と対応策 @社内の理解促進、A採用した障害者の戦力化、B職場定着の3点について、各企業がどのような課題に直面し、それをどうやって解決したかをまとめました。 障害のある社員の声 各企業で働いている障害のある社員のみなさまから、仕事のやりがいや今後の抱負、会社から配慮されていてありがたいと感じていることなどについて伺いました。 企業トップが語る障害者雇用のメリット  障害者を雇用することにはさまざまなメリットがあります。本事例集掲載企業のトップの声をまとめました。  障害者本人が戦力として活躍しているというだけでなく、会社全体の職場環境の改善や業務効率化につながったという声が多く聞かれました。 トップの声 1 障害者が戦力として活躍している ■ 会社にとって、なくてはならない戦力となっている。 ■ 仕事ぶりはゆっくりだが、丁寧なので、間違いが少なく信頼できる。 ■ 勤怠が安定しており、一定の作業量を確実にこなしてくれる。 ■ 地道な作業に真剣に取り組んでくれる。 ■ 人手不足の中、戦力として会社を支えてくれている。 トップの声 2 職場環境の改善につながった ■ 障害者が働きやすくなるように行った環境整備が、障害のない社員の働きやすさにもつながった。 ■ ひたむきな姿勢を周りの社員が応援することで、職場全体の雰囲気が良くなった。 ■ まじめな勤務態度や仕事ぶりがほかの従業員へのよい刺激となっている。 ■ 障害のある社員がいつも笑顔でいるため、職場が明るくなった。 ■ 社員が気配りの心を持つようになった。 ■ 上長のマネジメント能力が向上している。 ■ 障害のない社員の業務負担が減り、働き方改革につながった。 トップの声 3 業務効率化につながった ■ 特定の作業をまかせることによって、ほかの社員が本来業務に専念でき、会社全体としてのパフォーマンスがあがっている。 ■ 雑多だった作業プロセスをシンプルにする検討のきっかけになった。 ■ これまで職人化していた業務について、誰でもその業務ができるよう工夫するようになった。 ■ 自身の仕事のやり方や姿勢を見直すきっかけとなった。 社内の理解促進のために企業が取り組んだ内容 1. 社内説明会の実施 多くの企業が、障害者を雇用する前に社内説明会を開催し、障害者雇用の目的・方針や障害特性に応じた留意事項について説明しています。 取組みの内容 事例番号 全社員に障害者雇用の目的と方針、採用する障害者の障害特性について説明した上で、社員からも直接意見を聴いた。障害特性や配慮すべき事項については、採用する障害者が通所していた障害者支援施設の職員に確認した。 1 以前、地元の障害者支援施設に作業を依頼したときの障害者の働きぶりに感銘を受けたことがあった役員が、直接社員に説明を行い、理解を求めた。 6 雇用前の職場実習のタイミングで関係者全員を対象にした説明会を開催。 障害特性について説明した上で、本人たちに任せられる業務を提案するよう依頼した。 11 社内に障害者の受入れに対する不安の声があったが、社長から全社員に「頑張る人を応援する会社」という企業理念を改めて伝え、理解を得た。 14 職場実習の受入れ 最初は障害者の受入れに現場が不安を持っていたケースでも、まず職場実習として受け入れることにより、理解が進んだ例があります。 取組みの内容 事例番号 障害者の採用について社内に懸念や反対の声があったため、まず職場実習生として受け入れることで社内の理解を得た。実習受入れ後、懸命に働く実習生の姿を見て、社員も採用に賛成するようになった。 6 初めての障害者雇用であったため、採用の前に職場実習を行ったところ、集中力を発揮して作業する能力があることや勤務態度が良好であることがわかり、社内の不安が解消した。 7 特別支援学校から職場実習を受け入れる際には、学校側に会社の業務内容をできる限り伝えるようにしているほか、実習生の得意分野や特徴についてあらかじめ学校からヒアリングした上で実習で行う業務を決めている。 9 初めて障害者を雇用するにあたり、業務への適性を把握するため、就労移行支援事業所の利用者を職場実習生として受入れた。 11 職場定着のために企業が取り組んだ内容 1. 指導担当者の配置 多くの企業で、障害のある社員の指導を行う担当者を社内に配置して、作業指示や身だしなみの指導、健康状態の把握などを行っています。 取組みの内容 事例番号 社内に「障がい者雇用促進室」を設置し、専任の担当者(企業在籍型ジョブコーチ研修受講者)が、障害のある社員をマンツーマンで指導している。本人の隣で作業のやり方を実際に見せながら、スモールステップで指導を行っている。 2 採用後1年間を研修期間として障害者だけを同じ部署に配置し、専門の指導育成担当者を配置。作業の指示や進捗管理のほか、身だしなみのチェックなども行っている。 3 専任の指導担当者を配置し、作業のやり方をていねいに指導しているほか、無理しすぎて体調を崩す前に休憩、早退させるなど、きめ細かな配慮を行っている。 11 2. 健康状態のきめ細かな把握 障害のある社員が長く安定して働けるようにするためには、体調の変化を把握し、必要に応じて休憩や休暇を与えるなどの対応が欠かせません。 健康状態の把握は、職場の同僚や指導担当者による普段の声かけのほか、業務日報や面談を活用して行われています。 取組みの内容 事例番号 指導担当者による普段の声かけで体調面や精神面の変化を把握するよう心がけているほか、障害のある社員本人に「セルフケアシート」を記入させ(睡眠や食事の状況、今日の気分などを記入)、健康状態を確認している。自分の状態を自分で気づくツールとなっている。 2 業務日報をコミュニケーションツールとして活用している。就寝時間、起床時間、健康状態、朝食をとったかを毎日報告させて体調を把握しているほか、担当者から毎日コメントを返している。 11 雇用管理担当者が、雑談を織り交ぜながらこまめに面談を行い、体調の変化や業務負担の状況を把握している。 13 3. 支援機関等との連携 企業で働く障害者を支援する機関としては、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、自治体の就労支援センター、障害者就労移行支援事業所、特別支援学校などがあります。 多くの企業が、支援機関との連携を図り、職場への定期訪問やジョブコーチ支援を依頼しています。 取組みの内容 事例番号 市の就労支援センターに本人と定期面談してもらい、その内容を共有。社内スタッフが気づかない点や困っていることについて別視点からの意見を聞くことで早期発見やサポートに繋がっている。 4 障害のある社員と周囲との間でコミュニケーションがうまくとれなかったため、地域障害者職業センターにジョブコーチ支援を依頼し、障害のある社員それぞれの性格と接し方の留意点を一覧として示してもらった。 5 地域障害者職業センターのジョブコーチに支援を依頼し、作業中に眠気が生じた場合の対処法や、本人とのコミュニケーションの取り方(本人が答えやすい質問の仕方等)など、障害特性を踏まえたアドバイスを受けた。 8 特別支援学校の生徒を職場実習生として受け入れ、適性を把握している。一方、特別支援学校では、採用内定者に対して入社後の作業に即した訓練を行っているほか、就職後も職場定着に向けたフォローを行っている。 10 4. 勤務時間の配慮 障害特性により長時間働くことが難しい場合や、公共交通機関が混雑している時間帯の出勤が難しい場合は、勤務時間の調整が必要となることがあります。 取組みの内容 事例番号 脳出血で倒れた後に復職した職員について、リハビリに通えるよう、勤務時間を午後からに設定している。 12 通常の勤務日数・時間では負担が大きい障害者については、日数や時間を少なくできる限定正社員として採用している。また、疲労や眠気を感じやすい者については、通常1時間である昼休憩を分割し、昼50分、午前・午後に各5分休憩としている。 14 5. スキルとモチベーションの向上 障害のある社員の能力の向上を図り、その能力を正当に評価することは、障害のある社員が力を発揮する場面を広げるだけでなく、モチベーションの向上にもつながります。 取組みの内容 事例番号 個人ごとに業務の進捗状況やスキルの上達状況がわかる「スキルマップシート」を作成し、上達度を見える化することで、やりがいを持てるようにした。 2 障害のあるパート社員の業務遂行能力が向上した場合、障害のない社員と同様、希望に応じて準社員とし、勤務時間もフルタイムに変更している。 5 事例. 1 製造業(その他の製造業) 株式会社常磐谷沢製作所 相馬事業所 福島県 経営者の声 所長 宍戸 隆秀さん  当社では、主力工場である茨城工場で障害者雇用に積極的に取り組んでいますが、そこでは障害のある社員が組立作業やフォークリフトでの運搬作業に従事していることから、当事業所でも障害者に活躍してもらえるのではないかと思い、雇用を考えることにしました。  全盲の方を採用したのですが、最初に本人専用の簡単な作業用治具を用意する必要があったことと、作業を覚えるのに少し時間がかかったこと以外は、特段困ったことはありませんでした。一般には視覚障害者には工場勤務はできないと思われがちですが、船迫さんは当社にとって欠かせない戦力になっています。本人の人柄も明るく前向きで、仕事にも熱心に取り組んでくれるので、職場の雰囲気がとてもよくなりました。  当事業所では、障害者雇用をしているという特別な意識はありません。周囲の社員が自然体で受け入れていることが、よい結果につながっているのだと思います。 直面した課題と対応策 社内の理解促進 事業所として初めての障害者雇用であったため、社内の理解を得られるか不安があった 障害者雇用の方針や採用する障害者の障害特性について全社員に説明した上で、社員からヒアリングを実施 職務選定と作業環境の整備 視覚障害者が単独で従事できる作業の選定と環境整備を行う必要があった これまでパート従業員が行っていた一連の作業工程を分割し、補助者なしで従事できる作業を見つけ出した 本人が単独で作業できるようにするための簡易的な治具を社内で作成 保護ベルト(命綱のこすれ防止)の組み立ての治具(手で長さがわかるようになっている) 保護ベルト(命綱のこすれ防止)を左図の治具にセットした状態 職場環境の整備 初めての会社勤務であり、単独で通勤できるようになることが課題であった 日本盲導犬協会の支援を受け、盲導犬と通勤する訓練を受けた 事業所内での移動や備品へのアクセスが安全にできるよう工夫する必要があった 事業所内に導線を設置したほか、備品に点字シールを貼付 Point ■ 視覚障害者が補助者なしで作業できるよう環境を整備 ■ 社内を安全に移動できるようにするための環境整備を家族の協力を得ながら実施 取組みの詳細 【全社員への説明とヒアリングを実施】 ・障害者雇用に取り組むにあたって、会社としての方針、採用する障害者の障害特性などについて、全社員に直接説明した上で、社員からも意見を聞いた。なお、障害特性や配慮すべき事項については、採用する障害者が通所していた障害者支援施設の職員に確認した。ていねいな説明を行ったこともあり、社員からは大きな反対は出なかった。 【事業所内の移動を安全・円滑にするための工夫】 ・作業場から食堂への移動など、事業所内の移動を安全に、円滑にできるよう、事業所内に導線を設置したほか、ロッカーやタイムレコーダーなどの社内の備品や自動販売機に点字シールを貼付した。なお、これらの工夫は、障害のある社員の家族の協力を得て行った。 【単独通勤の支援】 ・日本盲導犬協会から盲導犬の貸与を受けるとともに、盲導犬とともに通勤する訓練を受けた。1カ月あまりの訓練で単独で通勤できるようになり、それまで片道1時間以上かかっていた通勤時間が片道40分程度に短縮された。 通路に埋め込んだ導線 ビニールひもを活用した導線 点字の写真 導線の写真 【障害のある社員の声】 船迫 ひかるさん (視覚障害 勤続3年目)  入社当初は、部品の裏表を手触りで判別するのがむずかしくて苦労しましたが、会社の方が見本を用意して手に触れながら教えてくれたので、今では一人で作業できるようになりました。就職面接会で、いくつかの会社から、全盲の人にはどうやって仕事を教えていいのかわからない、と言われましたが、この会社ではていねいに仕事を教えてくれたのでありがたく思っています。 ● 事業所データ ■ 所在地…………福島県相馬市 ■ 従業員数………36名 ■ 事業内容………産業用ヘルメット、乗用車用ヘルメット、安全帯、換気用 風管、担架などの製造 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…2名 ■ 障害種別………身体障害 ■ 業務内容………製造作業 ■ 労働条件等……週20時間勤務 事例. 2 製造業(その他の製造業) 株式会社杢目金屋 東京都 【経営者の声】 管理部 部長 八木 信三さん  当社の代表が、創業前に障害のある人が作業しているところを見学し、障害のない人と同じように仕事ができることを実感したことがあり、機会があれば障害のある人を採用したいと考えていました。  当社の制作部門は「分業化」と「見える化」により、大学卒、専門学校卒の若い社員がすぐに戦力になれる仕組みを作っています。障害のある人を受け入れるときに、地域障害者職業センターにどのような作業で受け入れたらいいか助言を受けました。そののち、就労移行支援事業所から就労を希望している人を推薦してもらい、職場体験実習を実施し、トライアル雇用で採用しました。  最初は、口調や言葉遣い、どんな話題で声をかけたらよいのか分からなかったのですが、作業日報を活用して体調や作業の感想を書いてもらうことで、本人の理解を深めることができました。  採用した障害のある人は予想以上に戦力として活躍しています。また、さまざまな特性のある社員を雇用することでチーフのマネジメント能力が向上しています。直接障害のある人を部下にもたない社員も気配りの心を持つようになりました。  今後も障害のある人の雇用を進めていきたいと考えています。知的障害のある人の雇用も考えたいですが、経験がないので、作業体制や指導体制をどのように進めるとよいか検討が必要と考えています。 直面した課題と対応策 従業員の戦力化 障害者を戦力として活用したかった 従来から行っている業務の分業化に加え、障害者個人のスキルの上達度がわかるスキルマップシートを活用 「障がい者雇用促進室」を設置し、企業在籍型ジョブコーチ研修を修了した専任指導者がマンツーマンで指導 職場定着のための工夫 どのようにコミュニケーションとればいいかわからなかった 作業日報を活用して、体調の変化や指導した内容が伝わっているかを確認 職場での面談(月1回)、支援機関の職員が同席しての面談(不定期)を実施 体調を崩しがちな障害者がいた 専任指導者が仕事中に声かけし、体調面や精神面の変化を把握 体調の変化に自分で気づけるようにするため、睡眠時間や気分などを自分で記入するセルフケアシートを導入 Point ■ 制作部門の「分業化」、「見える化」に加え、専任指導者による個別指導で戦力化 ■ 作業日報、スキルマップシート、セルフケアシートを活用して業務の理解度、体調を把握 取組みの詳細 【分業化、見える化、個別指導による戦力化】 ・従来から制作工程を分業化しているため、障害者が従事する業務の切り出しがしやすかった。また、スキルが向上した場合に次の工程ヘステップアップすることも可能であった。 ・業務の進捗状況や自分のスキルの上達度を把握するために「スキルマップシー ト」(P41参照)を活用した。作業工程をどこまでできるか自己評価し、上達度を見える化することでやりがいを持てるよう工夫した。 ・「障がい者雇用促進室」を設置し、企業在籍型ジョブコーチ研修を修了した専任指導者が、マンツーマンで金属への火の当て方、加工の仕方など実際にやり方を見せながら指導を行った。 【作業日報やセルフケアシー トで体調の変化を把握】 ・作業日報に今日の目標、行った作業、結果、感想、体調などを記入している。日報の内容や体調に関する自己評価をふまえ、専任指導者の評価と違いがあれば、本人に声かけをして体調の変化や作業の理解度を確認している。 ・他の社員と同じような仕事の割り振りをしてしまし\障害者が負担に感じたことがあった。そのため、月1回職場で面談を行うほか、専任指導者が朝礼・終礼時や仕事中に声かけを行し\表情が暗い、口調が普段と違うなど体調面や精神面の変化を把握することとした。 ・体調を崩しがちな障害者がいたため、職場定着のために自分自身で健康状態をチェックできるようにセルフケアシー ト(P39参照)を導入した。睡眠時間や食事、今日の気分などを記録し、それに対しとのようなケアをして効果があったなと推移がわかるようにしている。 担当者の声  作業日報の活用や日々の声かけ、月に1回の面談を通じて、障害のある社員の人となりを理解できたと思います。就労支援機関も定期的に障害のある社員をフォローしてくれて助かっています。みなさん、丁寧な仕事ぶりで当社の戦力となっています。 【障害のある社員の声】 北原 宏樹さん (勤続6年目)  地金の切り出し、加工を担当しています。お客様から喜びの声をいただいたときに、やりがいを感じます。品質が安定するよう作業をしていきたいです。 Aさん (勤続5年目)  地金の仕込み、磨き作業を担当しています。磨き残しや汚れが残らないように丁寧で速い作業ができるようになりたいです。就業時間を配慮してもらっているのがありがたいです。 ● 事業所データ ■ 所在地…………東京都渋谷区 ■ 従業員数………184名 ■ 事業内容………伝統技術「木目金」を用いた結婚指輪の企画・製造・販売 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…6名 ■ 障害種別………精神障害、発達障害 ■ 業務内容………制作部門 ■ 労働条件等……1日5時間15分 6時間、週5日、正社員 事例. 3 製造業(その他の製造業) 株式会社呉竹 奈良県 【経営者の声】 代表取締役社長 綿谷 昌訓さん  呉竹では、機械で製造する製品以外に、手作業で一つひとつ仕上げる工程もあり、例えば箱折りや袋入れ、ラベル貼りなど、さまざまです。それらの一部を知的障害の方が担当してくれています。  ただ、誰でも得手不得手はあります。集中力が続かないこともあります。  知的障害者の方を受け入れて気づいたのは、誰にでもそうした個性があるということです。工程の中の危険性にはどんなものがあるのかを常に考えさせてもらいました。これまでは作業者のスキルだけでこなしてきたことを、どんな人でもできる作業にするという課題を見つけさせてくれたことが良かったのではないかと思います。そして、その作業の監督者に対して、ダイバーシティの意識、仕事の教え方、育成の仕方を学ばせる機会をいただいたと思っています。  障害者の方が、いかに社会人として仕事をし、自立していくかを考えることが会社の宿命と考えています。さまざまな仕事を経験してもらい、その方の特性を生かして適材適所に配置し、誰もが安全に仕事ができる環境と、誰もがどんな仕事もできるような職場づくりをしていきたいと考えています。いわゆる、属人的な仕事の仕方ではない体制であり、中小企業だからこそ、縦割りではなく横断的に人員配置できるような体制をつくることが理想です。 直面した課題と対応策 従事する職務の選定 作業で使用する機器、用具等でけがをしないように、安全確保が課題だった 新しい職務を増やす時には、障害者の配置前に、総務部の担当者が作業場所で直接見て、安全性を確認 一人ひとり得意・不得意があるので、どのような作業で能力を活かせるかわからなかった さまざまな作業を体験させてみて適性を判断 職場定着のための工夫 職場の担当者と上手に関係構築ができないことがあった 採用後1年間は、障害のある者だけのグループに配置 専門の指導担当者が障害者を指導・育成 適性をみて、各部署に配置 長期勤務者の高齢化により、老眼や集中力低下などの問題が見られるようになった 作業環境の改善、業務や勤務形態の見直しにより、働き続けられるよう支援 Point ■ 採用後は、専門の指導担当者がきめ細かに指導、育成 ■ 高齢化した社員にも、職場環境の改善や勤務形態の見直しなどにより支援 取組みの詳細 【安全確保への対応】 ・作業の切り出しに当たっては、安全面に問題がないか、作業場で実際に作業工程を見ながら十分確認するようにしている。また、作業途中で特に注意を必要とする事項があるときは、写真付きのわかりやすい資料を作業場に掲示して、注意喚起を行っている。 【指導担当者の配置】 ・以前は、社内のいろいろな部署に障害者が点在していたが、職場の担当者と上手に関係を築けないことがあったので、採用後1年間は研修期間として、障害者だけを同じ部署に配置している。 ・この部署には、専門の指導育成担当者を配置しており、作業の指示、作業の進捗管理のほか、例えば身だしなみのチェックなども毎日行っており、障害者を育成している。 ・また、いろいろな仕事に挑戦し、仕事の幅を広げる努力もしている。 【長期勤務者への対応】 ・高齢化により、老眼、集中力低下といった問題がみられたことから、スタンドライトの設置により照度をあげて見えやすい環境に改善した。また、同じ作業を継続するのではなく、作業を切り替えることで集中力の低下を防止した。さらに、家族も含めて相談し、勤務時間を短縮したり、休日を増やしたりして、疲労から回復しやすくした。 【障害のある社員の声】 Hさん (勤続1年目)  はじめはできないことが多くて、泣いてしまうこともありましたが、教えてもらいながら少しずつできるようになってきました。楽しく働いています。 担当者の声  入社当時は、自分で決めるということができず、全て周りの人任せでした。しかし、社会人として働く以上、たとえば「明日、お休みをしたい」ことなどを自分で伝えられるようにならなければなりません。まずは、「自立」してもらおうと、自分の言葉で話してもらいやすいように心がけ、時には厳しく、時には褒めて、じっくり待ち、向き合いながら接してきました。入社直後は「うん」か「いいえ(首を振る)」しか言葉がありませんでしたが、今では自分の気持ちをゆっくりですが伝えられるようになってきました。仕事(作業)をするだけでなく、一社会人として呉竹で成長してくれたら嬉しく思います。 ● 事業所データ ■ 所在地…………奈良県奈良市 ■ 従業員数………261名 ■ 事業内容………墨、書道液、書道用品、筆ぺん等の製造・販売・輸出入 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…6名 ■ 障害種別………知的障害、聴覚障害 ■ 業務内容………製造業務、包装の業務、箱詰めの業務、事務 ■ 労働条件等……1日8時間、週5日(契約社員、パート)、1日6時間×週4〜5日(パート) 事例. 4 情報通信業(情報サービス業) 株式会社サイバーコネクトツー 福岡県 【経営者の声】 代表取締役 松山 洋さん  当社では社員数の増加に合わせて障害者の採用を進めてきましたが、一時期定着できず法定雇用率をクリアできていない時期がありました。  以前、仕事にうまくなじんでいたと思っていた精神障害のあるスタッフがある日突然離職してしまったことがあります。  開発中のゲームに不具合が無いかをチェックする業務だったのですが、他スタッフとのコミュニケーションも必要な部分があり、本人にとっては想像以上にハードルが高く、悩んでいたことが後になってわかりました。  それ以降は障害の特性を踏まえた業務内容や部署配置、段階的に業務を調整するなどの対応を行うようにしています。  結果、現在では障害のあるスタッフにも定着してもらえるようになっています。  当社が障害者を雇用しているのは法定雇用率をクリアするためだけではありません。  障害のあるスタッフにできる仕事をどんどんやってもらうことによって開発スタッフが本来やるべき仕事に集中することができ、効率化につながっています。  また、社員が以前と比べ気配りができるようになったと感じています。  今後は開発部門にも障害のあるスタッフを積極的に配置し、活躍できる環境を作っていきたいと考えています。 直面した課題と対応策 従事する職務の選定 障害のある社員が配属される部署内の業務だけでは、担当させる仕事の量が十分でなかった 総務課から社内の各課に対し、専門的知識がなくても行える作業の提案を行うよう依頼し、十分な量の作業を確保 職場定着のための工夫 雇用していた精神障害者が職場のコミュニケーションの問題で離職したことがあった コミュニケーションが負担になる障害者の採用時には、負担とならない業務の従事から始め、段階を踏んで業務の幅を増やしていった コミュニケーションが苦手でない社員についても、就労支援機関との定期的な面談や社内サークル活動への参加などにより、悩みを抱え込まないような環境づくりを行った Point ■ 社内の各部署に専門的知識がなくても行える作業の提案を依頼 ■ 最初はコミュニケーションがあまり必要ない業務から始め、徐々に業務の幅を拡大 取組みの詳細 【社内の各部署に作業の提案を依頼】 ・障害のある社員を配属する際に、配属部署の総務課内だけでは週40時間勤務に相当する業務量の確保がむずかしい状態だった。 そこで総務課より各課に対して、専門職以外でも行える各課の業務を提案してもらうよう依頼を行った。 集まった業務について、各課の担当者からヒアリングを行った上で、業務レベルを合わせた選定を行い、業務を確保した。 【障害特性を踏まえた職務設定】 ・以前、ゲーム開発を行う部署に配属していた精神障害者がコミュニケーションの問題で離職したケースがあったことから、コミュニケーションが苦手な障害者を雇用した際は、まずは清掃や軽作業などコミュニケーションをあまり必要としない業務から始め、名刺作成や事務書類作成など徐々に難易度を上げながら、業務の幅を広げていくことにした。 ・現在、精神障害を持つ社員1名を開発部署に配属している。この社員はコミュニケーションが苦手ではないものの、就労支援機関との定期面談の実施のほか、社内サークル活動に参加してもらって他部署のスタッフとも積極的にコミュニケーションをとってもらっている。 困っていることや悩んでいることを抱え込まない環境づくりを行っている。 【障害のある社員の声】 Aさん  元々ゲームをプレイすることが好きで、ゲーム関連に携わることができる仕事を求人で見つけ応募しました。現在デバッグ業務に従事しています。物事を伝えることや覚えることが苦手なところがあるのですが、職場の上司、同僚の方からこちらのペースに合わせて話を聞いてくださるので助かっています。 Bさん  社内の環境整備のほか、名刺のデータ登録などの事務補助業務に従事しています。コミュニケーションが苦手なので、電話応対は外してもらっています。頼まれた業務に対してお礼を言われるなどにやりがいを感じます。 Cさん  書類整理や来客準備を始め、社内設置している書籍の登録・差し替えなど総務業務に従事しています。現在では内線の応対もできるようになり仕事の幅が増えてきました。業務説明の際に写真入りの手順書があったので、理解しやすかったです。 ● 事業所データ ■ 所在地…………福岡県福岡市 ■ 従業員数………192名 ■ 事業内容………ゲーム製作 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…4名 ■ 障害種別………身体障害、知的障害、精神障害 ■ 業務内容………業務部(事務補助)、開発部(開発補助) ■ 労働条件等……週30時間勤務 事例. 5 運輸業,郵便業(道路貨物運送業) 株式会社ジーマック 沖縄県 【経営者の声】 代表取締役社長 新垣 善博さん  障害者雇用の最初のきっかけは法定雇用率の達成に向けた指導があったからですが、その後は、法令遵守は企業の責任と考えて徐々に雇用数を拡大してきました。  当社は運輸業ですので、敷地内は多数のトラックやフォークリフトが常時運行しています。安全確保には特に気を遣いますが、大型車両の通行がないピッキングエリアであれば障害者を雇用していくことができるだろうと判断し、雇用を開始しました。  実際に雇用してわかるのは、障害の有無で区別する必要がないということです。十分に育成していけば、障害のある方であっても、他の社員と同様に働くことができます。当社では、障害の有無の区別なく、実績次第で雇用形態などの変更を行いますし、業務経験が長い社員による新人への教育も行われています。  最近は物流量が増えており、とにかく人材が不足しているなかで、障害がある方も十分戦力として当社を支えてくれています。 直面した課題と対応策 社内の理解促進 障害のある社員と周囲との間でうまくコミュニケーションがとれなかった ジョブコーチが個人ごとの性格や留意点の一覧を作成し、コミュニケーションを円滑化 特に、日常的に業務指示を行うリーダーには、障害特性についての理解を促進 従事する職務の選定 敷地内は多数の車両が運行し、安全確保の面で不安があった 配置する職場として車両の運行がなく、比較的安全なピッキングエリアを選定 職場定着のための工夫 職場定着を推進するためモチベーションの向上を図りたかった 能力を適正に評価し雇用形態や勤務時間の変更によるキャリアアップを図ることによりモチベーションを維持・向上 Point ■ ジョブコーチが作成した障害のある社員ごとの性格・留意点一覧を参考にコミュニケー ションを円滑化  ■ 能力が高まれば、雇用形態をパートから準社員に変更、勤務時間も見直し 取組みの詳細 【ジョブコーチによる支援】 ・徐々に障害者数を増やしていくなかで、障害がある社員と周囲とのコミュニケーションが課題となった。このため、地域障害者職業センターのジョブコーチに支援を依頼した。 ・ジョブコーチに、障害がある社員ごとの性格と接する際の留意点を一覧にしてもらい、その一覧を参考に障害がある社員と接するようにしたところ、コミュニケーションを円滑にすることができた。 【安全確保への対応】 ・敷地内は多数のトラックやフォークリフトが運行していることから、安全確保が第一と考え、障害者のために新たな職務を切り出すのではなく、既存業務のなかから、安全性の高いピッキングエリアでの業務を障害のある社員に担当させることとした。 ・現在は、ピッキングエリアの棚に商品を補充していく業務を担当している。 【モチベーションの維持・向上のための工夫】 ・パートとして採用するが、業務遂行能力が高くなったと判断できれば、準社員に変更する。勤務時間もフルタイムになるので、社会保険にも加入できる。この取扱いは、障害の有無にかかわらず同じである。 ・また、障害の有無にかかわらず、経験を積み、業務に精通した先輩社員には新人への教育を任せている。 ・こうした取組を通じて、社員のモチベーション維持、向上につなげている。 【障害のある社員の声】 Aさん (勤続8年目)  採用から8年間がたちました。最初はピッキング業務を担当していましたが、現在はピッキングに必要な商品を棚に補充していく業務を行っています。この業務に就いた頃よりも業務量も、担当できる商品範囲も増えました。  採用されたとき、人間関係がうまく築けるか不安である旨を職場に伝えていたところ、配慮してもらえました。今では、メンバーと冗談を言い合ったりすることもあり、職場の雰囲気には満足しています。 ● 事業所データ ■ 所在地…………沖縄県浦添市 ■ 従業員数………330名 ■ 事業内容………道路貨物運送業 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…7名 ■ 障害種別………知的障害、身体障害 ■ 業務内容………ピッキングエリアでの棚補充業務、ドライバー ■ 労働条件等……一日8時間、週5日、準社員 事例. 6 運輸業,郵便業(道路貨物運送業) 三共貨物自動車株式会社 茨城県 【経営者の声】 専務取締役 小倉 麻利江さん 当社は、創業時より地域や社会への貢献を社是としており、障害者雇用もそのひとつとして取り組んでいます。  ハローワークからの勧めもあり、平成19年に、初めて知的障害者を雇用することとしましたが、社内で懸念や反対を示す意見がなかったわけではありません。しかしながら、職場実習として受け入れた障害のある方たちと実際に接してみることで、社員も理解を示し、採用に前向きになりました。今では、全社的に、障害のある社員に気配りできる職場になっています。 執行役員 青木 英樹さん  以前、地元の知的障害者支援施設に作業を依頼した際、障害者が一生懸命に働く姿に大変感銘を受けました。この体験から、当社で最初に障害者を雇用しようとなったとき、その支援施設から職場実習を受け入れることとしたものです。  採用後、社員からの作業指示が障害のある方にうまく伝わらないなど、苦労もありました。その後、社員のほうでも丁寧に接するようになりましたので、障害のある方も落ち着いて仕事ができるようになりました。今では、当社の戦力として活躍しています。 直面した課題と対応策 社内の理解促進 はじめての障害者雇用を前に、社内に懸念や反対の声があった 地元の支援施設で見た障害者の仕事ぶりについて幹部から社員に説明 まずは職場実習として受け入れてから雇用することで社内のコンセンサスを獲得 従事する職務の選定 採用した障害のある社員の個々の能力を最大限に活かせる仕事がわからなかった 配送センターの仕事の中から切り出した作業を原則すべて体験させて、その中から担当業務を決定した 職場定着のための工夫 知的障害者への作業方法、手順などの指示の仕方がわからず、指示どおりに作業させることができなかった 周囲の社員が、丁寧でわかりやすい指示の仕方を身に付けたことで、障害者の理解も得られるようになった スムーズに作業が進むよう全員が見られるスケジュール表で各社員の作業と時間を管理 Point ■ わかりやすい指示、スケジュール表での作業管理により、作業の円滑化を実現 ■ 各人の能力に合わせた職務の選定と段階的な職務の拡大で職業能力を向上 取組みの詳細 【社内の理解を得るための工夫】 ・はじめて障害者を雇用しようとした際には、社内からの懸念や反対の意見もあったが、障害者の働きぶりを知っていた幹部が、障害があっても十分に活躍できることを社員に説明した。 ・まずは職場実習として受入れを開始することで、社内の理解を得た。実習受入れ後、一所懸命に働く実習生の姿をみて、社員も採用に賛成するようになった。 【職務の選定】 ・配送センター内の作業のなかから、知的障害のある社員であっても担当可能と思われる作業を幅広に洗い出し、原則すべての作業を全員に体験させ、各人の得意・不得意を見きわめてから担当する作業を決めている。 ・経験を積むにつれ、徐々に他の作業も担当させ、複数の作業がこなせるようになるよう取り組んでいる。経験豊富な社員が後輩に作業の仕方を教えるなど、障害のある社員同士が助け合うような関係も構築されてきている。 【作業指示の際の工夫】 ・知的障害者へ作業の指示は、できるかぎり丁寧に行うこと、短くわかりやすい表現で伝えること、言葉だけでなく作業場所で実演することなどに配慮している。障害のない社員のなかには、これまでは自分の仕事しか関心がなかった者もいたが、障害者を雇用するようになってからは、困っている者をみかけたら声かけするなどの気配りができるようになった。 【作業の進捗の見える化】 ・次に何をするのかわからないということがないように、@各社員が自分が行いたい作業と時間を選択し、他の社員と調整した上で、A全員が見られるスケジュール表で管理することとした。これにより、作業がスムーズに進むようになった。 【障害のある社員の声】 Aさん (勤続5年目)  5年前の特別支援学校卒業後すぐに入社しました。現在は配送センターで商品の搬入・仕分・搬出などを担当しています。商品は箱詰めされた菓子類です。カゴ台車に積んで運びますが、台車いっぱいに積み込むと重くなり運ぶのがたいへんです。  楽しいと感じるのは、ドライバーの人や他の社員とコミュニケーションが取れたときです。会社のみなさんは優しいです。これからもここで働いていきたいと思います。 ● 事業所データ ■ 所在地・・・・・・・・・・茨城県桜川市 ※取材した岩瀬営業所の所在地 ■ 従業員数・・・・・・・380名 ■ 事業内容・・・・・・・自動車貨物運送事業、ロジスティック事業等 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…12名 ■ 障害種別………知的障害、肢体不自由 ■ 業務内容………スーパー配送センターにおける商品搬入・仕分・搬出等、資源リサイクル作業(ビン・缶・ペットボトル等の選別等) ■ 労働条件等……パート契約。短時間勤務等あり。 事例. 7 卸売業,小売業(建築材料,鉱物・金属材料等卸売業) 株式会社リソーシズ 香川県 【経営者の声】 営業企画部 部長 多田 光昇さん  障害者雇用のきっかけは、特別支援学校の進路指導の先生から高等部の生徒の職場実習を依頼されたことです。当時は障害者を雇用した経験がなかったことから、不安を感じていた社員もいましたが、実習生の勤務態度がとても良好だったので、社員の不安は払拭されました。実習生は、卒業後当社に就職し、現在も活躍しています。また、これを契機に、その後も特別支援学校の卒業生を中心に障害者の採用を続けています。  当社はリサイクル事業を行っていますが、人材を募集してもなかなか応募者が集まらない悩みがあります。障害のある、なしに関わらず、当社で働くことを希望してくれる方はとても貴重だと感じています。  障害のある方を雇用したことで、他の社員にとっても働きやすい職場環境の整備につながったり、真摯に作業を行う姿が他の社員の刺激になったりと、よい影響もありました。  当社は自治体からの業務の受託などにより存立していることから、率先して地域貢献すべきと考えています。今後とも、障害者を含め、何らかのハンディを持った方に雇用機会を提供することで、地域に貢献していきたいと考えています。 直面した課題と対応策 社内の理解促進 初めての障害者雇用にあたり、どんな仕事をどこまでできるのか不安があった 本格採用前に職場実習を行うことで、職務への対応能力、良好な勤務態度等を確認することができ、社員の不安も解消された 作業環境の整備 下肢障害のある社員にとって、床でのビン選別の作業はむずかしかった 大型の作業台を設置することで、床での作業をなくし、すべて台上で作業できるようにして身体的負担を解消 周囲の機械などに気をとられ、作業に集中できない障害者がいた 作業に集中できるよう、本人の周りに囲いを設置 職場定着のための工夫 離職を防ぐためにも、ストレスを感じさせず、無理なく働ける方策を検討する必要があった 作業量の達成率による賃金格差や、処理台数などの目標設定はしないで、ストレスなく働けるようにしている 暑さ対策として屋根に高性能断熱材を導入 Point ■ 職場実習を活用することで社内の障害者雇用に対する理解を促進 ■ 障害特性による個別の課題を解決するための環境整備を実施 取組みの詳細 【採用前の職場実習の実施】 ・障害者雇用に対する社員の不安解消のため、本格的な採用の前に職場実習を行ったことで、障害者が十分に働けること、集中力を発揮して作業することなどがわかったので、社員の不安が解消され、本格採用に至った。障害者のまじめな働きぶりが他の社員に影響を与え、社員全体の無断欠勤が減少した。 【下肢障害者のための作業環境の整備】 ・従来は床でビン等の選別を行っていたが、下肢障害のある者の場合、かがみ込んで作業することはむずかしかった。このため、大型の作業台を設置し、床ではなく、台上で作業ができるよう改善した。下肢障害の者が作業できるようになっただけでなく、他の社員にとっても、姿勢を変える必要が少なくなり、作業が楽になるという効果があった。 【知的障害者のための作業環境の整備】 ・自閉傾向による多動の見られる者の場合、周囲の機械や車両の動き、音が気になり、作業に集中できなかった。本人の作業場所に囲いを設けることで、集中が持続できるようなった。 【職場定着のための工夫】 ・作業の実績評価はストレスにつながりやすいことから、作業量の達成率を賃金に反映させることや、解体台数などの個人の目標設定を行うことはしていない。社員が落ち着いて丁寧に作業ができるので、品質の維持にも役立っている。 【障害のある社員の声】 木村 達也さん (勤続14年目)  平成16年4月入社して14年目です。仕事はビンやペットボトルの選別から、いまは袋ゴミの仕分けをしています。みなさん優しく、これからもリソーシズで働いていきたいと思います。 森本 紀仁さん (勤続13年目)  平成17年4月入社の13年目です。袋ゴミの仕分けをしています。難しい仕事はないが忙しいときはあります。最近、会社が忙しいときに土曜出社を頼まれたときは跳び上がるくらいうれしかったです。これからもリソーシズで働いていきたいです。 ● 事業所データ ■ 所在地…………香川県高松市 ※今回取材した国分寺工場の所在地 ■ 従業員数………78名 ■ 事業内容………ビン・缶・ペットボトル等の資源ごみリサイクル事業等 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…16名 ■ 障害種別………知的障害、身体障害 ■ 業務内容………リサイクル工場内での、ビン・缶などの選別・圧縮など ■ 労働条件等……会社の方針により、全社員を正社員としている 事例. 8 卸売業,小売業(その他の小売業) 南海ゴルフ株式会社 徳島県 【経営者の声】 代表取締役 社長 木内 將仁さん 取締役 岸本 次郎さん  当社のネットショップの担当者が、相次いで産休を取得したり、退職したりと、手薄になることがあり、急遽対応策を講じなければならないことがありました。メディアを通じて障害者雇用に先進的に取り組んでいる企業の事例を知り、大変感銘を受けたことや、同業他社でも障害者を雇用してネットショップの業務を担当させているという話を伺ったので、当社でも本格的に障害のある方の雇用に取り組むこととしたものです。  初めての雇用でしたので、どのように採用活動をすればよいのかわからず、地域障害者職業センターやハローワークに相談しましたが、これがきっかけとなって、その後も継続して支援を受けています。コミュニケーションの取り方などは、地域障害者職業センターのジョブコーチからのアドバイスがたいへん参考になりました。  採用後は、ひたむきに働いてくれており、確実に業務をこなして、会社としてはなくてはならない存在になっています。他の社員が見習うべきところも多いです。  本人の特性上、携わるのがむずかしい職務もあるとは思いますが、これから徐々に職務の幅を拡大し、成長していってもらえればと期待しています。 直面した課題と対応策 働きやすい職場づくり 商品の種類が多く、置き場所がわかりにくかった 商品の保管棚を整理し、商品の場所がわかりやすいように、棚に商品名を書いた紙を貼付 パソコン作業中に眠気を感じて作業が進まないことがあった 眠気を感じたときの対処法を書いたカードを作成し、机上に配置 従事する職務の選定 どういった職務であれば従事できるかわからなかった さまざまな作業を一通り行わせてみて、作業状況を確認しながら職務の幅を拡大 職場定着のための工夫 コミュニケーションを取ることが苦手だった 通常は経験させる実店舗での接客業務を免除 ジョブコーチからの助言を受け、選択肢を示して質問するなど、答えやすくなるように配慮 心身面の負担軽減のため、勤務時間の調整が必要だった 雇入れ直後は終業時間を早めて勤務時間を短縮し、慣れてきた段階で終業時間を遅らせて勤務時間を長くするなど、本人の状況に応じて勤務時間を調整 Point ■ 苦手としているコミュニケーションが負担にならないよう配慮 ■ 多様な作業を体験させて、本人の得意な分野を活かせる担当業務を決定 取組みの詳細 【働きやすい職場づくり】 ・多数の商品を取り扱っていることから、保管棚から該当の商品を見つけたり、届いた商品を該当の場所に置いたりすることがむずかしかった。ジョブコーチのアドバイスにより、保管棚を整理して、商品を種類別に配置したうえで、商品名を記載した紙を保管棚に貼付することで、商品の所在をわかりやすくした。これにより、Aさん一人でも作業できるようになっただけではなく、他の社員も作業しやすくなった。 ・パソコンを使った単調な作業が続くと眠気を感じて作業が進まなくなってしまうので、ジョブコーチのアドバイスにより、「目薬をさす」など数種の対処法を書いたカード(右)を机上に置いておき、眠気を感じたときに適当な対処法を実施して、眠気を解消することとした。 【従事する職務の選定】 ・従事可能な職務が不明だったので、ネットショップ関連の作業を一通り体験させてみた。最初は商品の検品などを通じて商品知識を増やしてもらい、その後、ほかの作業などにも挑戦させた。さまざまな作業の体験を通じて、詳細なマニュアルがあれば、他の社員とも遜色なく、作業できることがわかった。 ・採用時は、ホームページ作成業務を担当させることまでは想定していなかったが、Aさんはパソコンが得意で、この業務も十分にできることがわかった。現在は、パソコンを使った業務がAさんの主な業務であり、一定のルールの下でできる業務であれば、Aさん一人に任せられるまで成長した。 【コミュニケーション上の配慮】 ・話すことが苦手なので、通常は全社員に経験させている実店舗での接客業務は行わせていない。 ・ジョブコーチからのアドバイスにより、本人が答えやすいよう選択肢を示して質問するなど、周囲の者も配慮している。 ・仕事上の必要最小限のコミュニケーションは特段問題がなかった。仕事以外では、会話を無理強いせずに、自然体にまかせている。 【障害のある社員の声】 Aさん (勤続2年目)  就職して1年8か月ほどたちました。就職の際にはジョブコーチの支援を受けました。困ったことがあっても、会社は相談にのってくれるし、ジョブコーチも支援してくれるので助かっています。仕事にもだいぶ慣れてきました。自分が関わった商品が売れたときは本当にうれしいです。これからも南海ゴルフで働いていきたいと思います。 ● 事業所データ ■ 所在地…………徳島県徳島市 ■ 従業員数………27名(パート等含む) ■ 事業内容………ゴルフショップ(実店舗、ネットショップ)の運営、 テニスショップの運営、ゴルフクラブ会員権売買等 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…1名 ■ 障害種別………発達障害 ■ 業務内容………ネット上のゴルフショップの運営等(注文処理、メンテナンス等) ■ 労働条件等……勤務時間は9時から16時30分までのパート契約 事例. 9 学術研究,専門・技術サービス業(技術サービス業) 株式会社阪技 兵庫県 【経営者の声】 代表取締役社長 後藤 純次さん  当社が障害者雇用に取り組み始めたのは十数年前のことになります。当初の目的は法定雇用率の達成であり、現場には「障害のある社員は戦力になるまでに手間も時間もかかる」という意識がありました。しかし、雇用を進めるにつれ、障害がある社員のまじめな働きぶりや、障害があるからこそ活躍できる部分がだんだん見えてきて、現場の理解が進みました。  大切なのは、障害のあるなしにかかわらず、適材適所で働いてもらうことです。適性に合った仕事を任せることで、本人もやりがいを感じることができ、長く働くことにつながると考えています。数ある仕事のうち、障害のある社員の適性に合った仕事を見つけて切り出すことによって、障害のある社員が活躍できると同時に、ほかの社員の負担も減ります。このことは、働き方改革にもつながると思います。 直面した課題と対応策 従事する職務の選定 採用した障害者がなるべく早く戦力になり、安定して働けるよう、採用した障害者が能力を発揮でき、やりがいを感じられるような業務を見つける必要があった 採用前に職場実習を行う際、実習生の得意分野や特徴を特別支援学校から事前にヒアリングし、実習内容を決定 現場で行われている業務の作業工程を分析・細分化し、障害のある社員の特性や適性を見きわめながら仕事の切り出しを実施 職場定着のための工夫 聴覚障害のある社員について、コミュニケーションの面で不安があった 職場の同僚や上司が意思伝達について意識しているほか、問題が生じた場合は特別支援学校の先生や保護者を交えて面談を実施 Point ■ 一人ひとりの特性や適性を見きわめ、マッチングを検討 ■ 聴覚障害のある社員について、日頃から意思伝達に留意するとともに、必要に応じて先生や保護者を含めた面談を実施 取組みの詳細 【職場実習の受入れ】 ・同社では、障害者の採用に当たっては、採用前に職場実習やインターンシップを行い、職務への適性をみることにしている。職場実習は毎年1名程度の採用を目途に実施している。 ・特別支援学校から職場実習を受け入れる際には、学校側に同社の業務内容をできる限り伝えるようにしているほか、実習生の得意分野や特徴(パソコン作業が得意、細かい手作業が得意、経験がどの程度であるかなど)について、あらかじめヒアリングした上で、実習で行う業務を決めている。 【従事する職務の選定】 ・同社では、社員一人ひとりの特性や適性を見きわめ、マッチングを検討している。業務の分担を割り振る際には、作業工程を分析・細分化したうえで検討を行うが、なるべく「障害者に向いた業務」という決めつけは行わず、本人の得意な作業、本人がやりがいを感じられる業務を割り当てるよう留意している。 【職場定着のための工夫】 ・同社では、聴覚障害者を3名雇用しているため、職場の同僚や上司が意思伝達について意識している(話しかけるときは正面を向いて口の動きが見えるように話す、必要に応じて筆談を行うなど)。また、コミュニケーションの行き違いなどの問題が生じた場合は、特別支援学校の先生や保護者を交えて面談を行なっている(頻度は半年に1回程度)。 【障害のある社員の声】 Aさん (勤続10年目)  紙媒体の記録のスキャンや電子データ化を担当しています。入社当時に比べると、担当業務が複雑化し、量も増えましたが、データの件数など目に見える成果があり、やりがいを感じています。障害があることで周囲が変な目でみることはなく、職場の雰囲気は良好です。 福間 愛莉さん (勤続6年目)  聴覚障害がありみなさんとコミュニケーションができるか不安がありました。入社後は周囲の協力もあり、それほど苦労はありません。配慮されていることとしては、例えば毎朝朝礼の後、もう一度話して伝えてくれるなどがあり助かっています。 ● 事業所データ ■ 所在地…………兵庫県高砂市 ■ 従業員数………238名 ■ 事業内容………発電プラントの計画、原動機(タービン)の設計、生産技術、品質関係業務、システム開発など ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…5名 ■ 障害種別………聴覚障害、内部障害、下肢障害 ■ 業務内容………設計業務、事業作業(記録入力、スキャニング等) ■ 労働条件等……正社員待遇 事例. 10 宿泊業,飲食サービス業(飲食店) 株式会社エイチケイアール 北海道 【経営者の声】 営業サポート室・管理部 マネージャー 國分 晋吾さん  飲食店では、通常、一人の社員がいくつもの業務をこなさなければなりませんが、当社が運営している回転ずし店では食器を大量に扱うため、洗い物だけで十分な作業量があることから、障害者雇用にマッチしていると思い採用を始めることとしました。  障害者雇用で地域に貢献したいという考えのもと、一人二人と採用していったところ、職場にうまく溶け込み、ほとんど離職者が出なかったため、とんかつ店など他の業態でも雇用を進めることとしました。  障害があるからといって特別扱いしないことが、当社で障害者雇用がうまく進んでいる理由のひとつだと思います。一人の社員として与えられた仕事をきちんとこなすことを原則としているので、周りの社員からの反発もありませんし、本人も懸命に仕事に取り組みます。  障害のある社員は、貴重な戦力になっているだけでなく、店舗全体の雰囲気をよくしてくれています。また、障害者雇用に取り組み始めてから、各店舗の店長が人材の多様性を意識した店舗管理を行うようになりました。人手不足のため、高齢者などの受入れを進めていかなければならないなかで、貴重な視点を得ることができたと思っています。 直面した課題と対応策 社内の理解の促進 店舗としての採算や効率性の面から、各店舗で障害者の採用を積極的に進めるのがむずかしかった 障害のある社員の人件費の半分を本部で負担することとし、各店舗が障害者を採用しやすくした 入社前の適性の把握 洗い物の作業は立ち仕事であり、一定時間業務に集中できるかを入社前に把握する必要がある 特別支援学校の生徒を職場実習生として受け入れ、入社後に行う仕事を実際に体験させて適性を把握 能力の発揮に向けた工夫 入社する社員の障害特性や障害の程度が様々であり、仕事を覚える早さに個人差がある 採用内定者について、特別支援学校が、入社後の作業に即した訓練を在学中に実施 入社後は、各店舗の店長が、OJTで丁寧な指導を実施 Point ■ 各店舗での採用が進むよう、本部が人件費の半分を負担 ■ 職場実習、在学中の訓練から職場定着まで特別支援学校と密接に連携 取組みの詳細 【障害のある社員の人件費の半分を本部で負担】 ・各店舗の店長は、障害者雇用による地域貢献の必要性については認識しているものの、店舗としての採算を考えると、こなせる作業の量が少ない障害者の採用には抵抗があった。そこで、障害のある社員については人件費の半分を本部で負担することとした。各店舗としては、少ない人件費で戦力となる社員を雇用することができることになったことから、積極的に採用に取り組むようになった。 【特別支援学校との密接な連携】 ・特別支援学校の生徒を職場実習生として受け入れ、3〜4時間の立ち作業を集中して行えるかなど、各人の適性を把握している。特別支援学校では、採用内定者に対し、洗った食器の振分けや仕込作業など、入社後の作業に即した訓練を行っているほか、就職後も、店舗を訪れ定着状況を把握するなどのフォローを行っている。 【店長のOJTによる指導】 ・障害のある社員は仕事を覚える早さに個人差があるので、各店舗の店長がOJTにより指導を行っている。本部からは指導内容として統一的なものは示していないが、店長には寿司職人など親方タイプで面倒見のよい社員が多いことから、各人の能力や適性に合わせた丁寧な指導が行われている。 現場担当者の声  障害のある社員は、各店舗で戦力となっているので、各店舗の店長は積極的に採用を進めていると同時に、OJTにも熱心に取り組んでいます。 障害のある社員の声 佐藤 謙介さん  現在働いている店舗は、入社してから2店舗目です。いまの職場にもだいぶ慣れてきました。引き続き、皿洗いの仕事を頑張って、もっと早く洗えるようになりたいです。 ● 事業所データ ■ 所在地…………北海道函館市 ■ 従業員数………183名 ■ 事業内容………飲食店の経営 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…12名 ■ 障害種別………身体障害、知的障害、精神障害、難病・その他 ■ 業務内容………飲食店の洗い場、調理補助業務 ■ 労働条件等……週20時間勤務、週30時間勤務 事例. 11 生活関連サービス業,娯楽業(娯楽業) 株式会社アクセス 神奈川県 【経営者の声】 代表取締役社長 日比野 光守さん  当社の経営理念は「全従業員の人生において、経済及び精神面の豊かさを追求し、志事を通じて、お客様・地域・社会に貢献し、発展する企業となる」です。経営理念にもあるように、以前から障害者雇用は念頭にあったのですが接客業という業種において具体的にどういった業務に当ってもらえばよいか案が浮かばず、一歩を踏み出せずにいました。  以前、経営者団体のつながりで障害者の方々を雇用している企業を見学したところ、想像していた以上に素晴らしい働きぶりだったので当社でも活躍していただけると確信し、雇用に踏み切ることにしました。  取引先金融機関から紹介された就労移行支援事業所から職場実習を経て採用しましたが、たいへんまじめな働きぶりなので体調を崩してしまわないように思いやりをもった指導、監督を心がけています。  雇用するうえで気をつけているのは、障害者だからといって特別扱いせずに、できる限り他の社員と同じように接することです。そうすることによって本人たちも自信がつき、モチベーションが上がります。  今後もさらに障害者雇用を進めていきたいと考えていますが、障害者の方々のために特別な仕事を用意するのではなく、他の社員が行なっている業務を任せられるように能力を伸ばし、自分自身の持つ可能性を信じて自立心を高めてもらいたいと思っています。 直面した課題と対応策 社内の理解促進 会社として初めての障害者雇用であり、受入れにあたって現場の不安を解消する必要があった 業務への適性を把握するため、就労移行支援事業所の利用者を職場実習生として受入れた 職場実習受入れ前に、関係者全員を対象にした説明会を実施し、受入れの方針を伝達(連絡系統は一本化するなど) 従事する職務の選定 誰かの業務を奪うような形にはしたくなかったが、どのような業務が適切なのかわからなかった 支援機関の担当者と打合せを行うと同時に、現場からも担当してもらいたい業務について意見を求め、本人の得意・不得意を踏まえた職務を選定 職場定着のための工夫 業務にまじめに取り組むあまり、体調を崩すおそれがあった 業務日報で健康状態や生活状況を把握 業務マニュアルの中に休憩時間を明記 Point ■ 支援機関からの助言や現場からの意見をふまえて担当職務を設定 ■ 業務日報をコミュニケーションツールとして活用し、健康状態や生活状況を把握 取組みの詳細 【従事する職務の選定】 ・職場実習の段階で、地域障害者職業センターのカウンセラー、ジョブコーチ、就労移行支援事業所の担当者、人事担当者が集まり、本人の得意・不得意をふまえた担当職務について検討した。 ・また、現場からも、「自分でやらなくてもよい仕事」「時間の制約のない仕事」「これまでやりたかったのにできていなかったバックヤードの仕事」がないか意見を求めた。 ・専任の担当者を配置し、作業のやり方をていねいに指導している。最初は店舗清掃業務と備品清掃からスタートしたが、作業スピードが上がって時間に余裕ができたので、トイレ掃除やロッカー拭きの業務を追加した。 【業務日報で健康状態や生活状況を把握】 ・業務日報に就寝・起床時間、健康状態、朝食をとったかどうかを記入させ、健康状態や生活状況を把握している。また、業務終了後には、本日の業務の感想・反省や明日の目標を記入させ、担当者が毎日コメントを返しており、業務日報をコミュニケーションツールとして活用している。 雇用管理 担当者の声  精神障害者は体調管理がむずかしいといわれますが、会社側が体調の波を把握して、具合が悪くなる前に休憩させたり早退させたりするなど、無理させないように気をつければ、十分対応できると思います。 【障害のある社員の声】 Aさん (勤続4年目)  仕事は楽しいです。いまのバックヤードの仕事をできるだけ長く続けていきたいです。 Bさん (勤続4年目)  仕事に慣れるまでは大変でしたが、会社のサポートのおかげで楽しく働けています。  これからはいろいろな仕事にチャレンジしていきたいです。 ● 事業所データ ■ 所在地…………神奈川県川崎市 ■ 従業員数………130名 ■ 事業内容………パチンコホール経営 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…3名 ■ 障害種別………身体障害、知的障害、精神障害 ■ 業務内容………本社経理事務、店舗清掃 ■ 労働条件等……1日6時間、週5日、パートタイム社員 事例. 12 教育,学習支援業(学校教育) 学校法人鳥取家政学園 鳥取敬愛高等学校 鳥取県 【経営者の声】 校長 二階堂 茂夫さん  4年ほど前に教員の一人が脳出血で倒れ、体に麻痺が残りました。最初は教員としての復職を目ざしたのですが、身体の状況からみてむずかしかったため、事務補助職員として引き続き働いていただくことにしました。  職場のバリアフリー化については、たまたま校舎の改築を行うタイミングでしたので、ユニバーサルデザインを最優先した設計を行うことができましたが、従事する職務の設定については、いろいろな試行錯誤が必要でした。  当学園では、これまで障害のある方を雇用した経験がなかったのですが、今回の件を通じて、障害者雇用について強く意識するようになりました。だれもが病気になったり事故にあったりする可能性があるなかで、障害をもったら仕事を辞めなければならない職場ではよくないと思います。  インクルーシブ教育の重要性が叫ばれているところでもあり、引き続き生徒、教員双方にとって過ごしやすい環境を作っていきたいと考えています。 直面した課題と対応策 復職後の職務の選定 復職の際、従事できる職務を改めて選定する必要があった 模擬授業を数回行い、教員としての復職ができるかどうかを判断 当初は事務補助業務に従事してもらっていたが、作業能率が予想以上に高かったことから業務の幅を広げていった 勤務形態の見直し 復職後、無理なく働き続けられるよう、勤務形態を見直す必要があった 本人、家族と話し合った上で、本人の体調やリハビリ通院の状況をふまえた勤務形態を設定 職場環境の整備 麻痺が残り、校舎内の移動がむずかしくなった 控え室を1階にするなどの配慮を行ったほか、校舎改築にあたってユニバーサルデザインを最優先した設計とした Point ■ 試行錯誤の結果、教員としての経験を活かした職務を設定 ■ 復職後の勤務条件について、本人の体調やリハビリ通院の状況をふまえて設定 取組みの詳細 【復職後の職務の選定】 ・脳出血で倒れた後、4カ月の特別休暇と1年6カ月の休職を経て復職した(いったん退職した上で、非常勤職員として再雇用)。教員としての復職ができるかどうかを判断するために模擬授業を数回行ったが、身体の状況から長時間での授業はむずかしいと判断されたため、事務補助の業務を行ってもらうこととした。 ・復職当初は校史資料部での事務補助業務を行ってもらっていたが、復職後の作業能率が想定していた以上に高かったことから、進路指導部での各種入力作業、来客対応、求人票の整理などの業務も追加した。教員としての経験があり、かつ授業を受け持っていないため、特に急な来客への対応(進路指導部には県外の大学関係者からの予約なしでの訪問が多い)に力を発揮している。   【勤務形態の設定】 ・復職後の勤務条件については、本人、家族と話し合ったうえで設定した。週2回リハビリに通っていることや、本人の体調から、1日4時間(午後からの勤務)、週5日勤務とした。   【バリアフリー設備の設置】 ・半身に麻痺が残り、階段での移動が困難となったが、復職当初は校舎にエレベーターがなかった。そこで、控え室を1階にし、入り口から近い場所で働いてもらうなどの配慮を行った。 ・その後、校舎の改築工事のタイミングとなったため、設計段階からユニバーサルデザインを最優先事項にし、校内の移動等、安全面に配慮した設計とした。 【障害のある職員の声】 香川 裕治さん (勤続6年目)  私が発病したのは本校に音楽教諭として就職してから2年経った頃でした。地域包括支援センターや地域障害者職業センターの利用を経て復職に至りました。地域障害者職業センターのジョブコーチには、職場には話しづらい悩みの相談にも乗ってもらいました。  進路指導部の仕事は、生徒の将来とつながっているのでやりがいを感じています。今後は、さらに生徒とかかわれる仕事を見つけていきたいと思っています。         ● 事業所データ ■ 所在地…………鳥取県鳥取市 ■ 従業員数………48名 ■ 事業内容………学校教育業 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…1名 ■ 障害種別………身体障害 ■ 業務内容………校史資料のとりまとめ、進路指導に係る事務補助 ■ 労働条件等……週20時間勤務 事例. 13 教育,学習支援業(その他の教育,学習支援業) 株式会社個別指導塾スタンダード 福岡県 【経営者の声】 人事情報部 部長 田中 沙織さん  当社は個別指導塾を運営しています。事業の拡大に伴い、社員数も増え、法定雇用率を意識することになりました。  どこからスタートしていいかわからなかったため、管轄のハローワークに相談し、障害者雇用を進めることにしました。  身体障害のある人、精神障害のある人を雇用していますが、採用に当たっては丁寧な面接をするよう心がけています。特に、精神障害のある人との面接では、得意なこと、苦手なこと、どういったときに体調を崩しやすいかなど確認しています。  会社と障害のある方双方が、仕事を続けるうえで必要な情報を共有するとともに、障害のある方の得意な面に目を向けて担当職務を決定しています。また、面接を通じて把握した特性を、配置予定の上司や役員などとも共有し、職務のマッチングがうまくいくように心がけています。  障害のある方の担当職務を固定的に考えず、働くことを希望する障害のある方とじっくり面接して、その人の得意分野を理解することにより、適切な職務のマッチングが可能になると思います。 直面した課題と対応策 職場定着のための工夫 精神障害のある人については、病状や障害特性の個人差が大きいため、具体的な配慮事項を把握したうえで配属先を決定する必要があった 採用時の複数回の面接や職場見学を通じて、本人の障害特性や配慮事項を把握したうえで配属先を決定 ジョブコーチに、雇用管理上の留意事項、具体的な対処法について助言を依頼 精神障害のある社員については、過度の集中により疲労が蓄積する傾向があるため、体調管理に留意する必要があった 休憩をきちんと取れるよう時間管理を徹底 メンタルヘルス不調の防止のために、役員・管理職を対象とした研修を行うとともに、障害のある社員へのこまめな面談を実施 Point ■ 採用時に配慮事項を十分確認するとともに、ジョブコーチに助言を依頼 ■ 疲労の蓄積を防ぐために休憩時間の管理を徹底するとともに、こまめな面談を実施 取組みの詳細 【配慮事項の確認と支援機関の活用】 ・精神障害のある方の採用にあたっては、複数回の面接や職場見学を通じて、障害特性や配慮事項を十分把握するよう心がけている。また、配属先の上司には本人の情報を伝え、必要な配慮が得られるようにしている。 ・地域障害者職業センターのジョブコーチ支援を活用し、雇用管理上の留意点や、勤務時間の延長が本人の負担にならないかなどについて助言を得た。緊張や疲れやすさを考慮して、入社後1〜2か月を短時間勤務としたケースもある。 現場担当者の声  会社にとって、支援機関からのアドバイスが配置や雇用管理上の配慮の参考になりました。障害のある社員にとっても、会社以外で困ったときに相談できる人がいるということが安心感につながっています。 【休憩時間の管理の徹底】 ・過度な集中により疲労が蓄積することを防ぐため、決められた休憩時間はしっかり休むこと、1時間作業をしたら小休憩をはさむことを徹底した。また、定期通院の機会を確保することで安定就労につながっている。 【雇用管理担当者による面談】 ・障害のある社員の体調の変化や業務負担を把握するために、雇用管理担当者がこまめに面談を行っている。「休みの日に何をしていたか」などリラックスして話せる内容を織り交ぜながら、雇用管理担当者と障害のある社員が相談しやすい関係づくりに取り組んでいる。 ・役員・部長以上の管理職社員を対象にメンタルヘルスに関する研修を開催し、メンタル不調の防止、コミュニケーションの重要性を伝えている。 【障害のある社員の声】 馬場 史郎さん(勤続5年目)  経理部門で決算書作成や立替経費の精算業務などを担当しています。  経理の専門性が問われるのでスキルアップや知識の習得が必要です。  会社の勉強会に参加しながら商業簿記2級の資格を取得しました。  おかげで経済分野に興味をもち、継続して勉強したいと考えるようになりました。  今の職場は、定期通院の配慮をしてくれるので働きやすいです。      ● 事業所データ ■ 所在地…………福岡県福岡市 ■ 従業員数………310名 ■ 事業内容………個別指導塾の運営 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…6名 ■ 障害種別………身体障害、精神障害 ■ 業務内容………教室運営業務の補佐、講師、事務 ■ 労働条件等……正社員・フルタイム(変形労働時間制)、短時間正社員・1日6時間×週5日 事例. 14 サービス業(職業紹介・労働者派遣業) 株式会社I.S.コンサルティング 兵庫県 【経営者の声】 代表取締役 今井 真路さん  私は元銀行マンでしたが、高齢者や障害者、不登校児、ニートなど、困難を抱えながら頑張る人を応援したいとの思いで平成18年に当社を設立しました。  障害者を雇用したきっかけは、平成23年の東日本大震災です。被害状況を目の当たりにし、改めて創業時の思いに立ち返って障害者雇用に取り組むこととしました。地元の就労移行支援事業所から、まずは障害者と一緒に働くことを勧められ、発達障害者を職場実習で受け入れることとしました。社内には障害者の受入れに不安の声がありましたが、私から社員に「頑張る人を応援する会社」という当社の理念を改めて伝え、話し合うことで理解が得られました。  一緒に働くなかで障害のある社員の働きぶりが社内で評価され、今では職場に障害のある社員がいることが当たり前のことになっています。これまでに雇用した発達障害をもつ社員は、みな当社の貴重な戦力になっています。  社員から「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」の制定を提案されるなど、会社全体として多様性を大切にする文化も育っています。今後も、関係機関と連携しながら障害者雇用に取り組んでいきたいと考えています。 直面した課題と対応策 社内の理解の促進 障害者を雇用するにあたって、社内に不安の声があった 代表が社員との話し合いを重ねる中で同社の理念(頑張る人を応援する会社)を伝え社員の理解を得た 社内からの提案により「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を制定 従事する職務の選定 障害者を継続的に雇用するためには、社員の戦力化に取り組む必要があった 業務を細分化し、各人が得意なものを担当するようにすることで事業所全体のパフォーマンスを維持 職場定着のための工夫 体力や家庭の状況などによりフルタイムで働くことが難しい社員がいた 勤務日数・労働時間の配慮ができるよう「限定正社員」制度を創設 勤務中に疲労や眠気を感じやすい社員がいた 昼休憩を短縮する代わりに勤務中の小休憩を認め、仕事に集中できるようにした Point ■ 社員の強みと弱みを活かした職務の選定により戦力化を実現 ■ 勤務日数・労働時間を弾力化することで通院等へも配慮 取組みの詳細 【従事する職務の選定】 ・業務を細分化し、各社員の得意・不得意に応じて担当する業務を決定している(例えば、マンガが得意な社員についてはそれを活かせるイベントの企画や案内作りの業務に配置するなど)。 ・一方、不得意な業務についても、段階的に経験させて苦手を克服させる工夫を行っている(例えば、電話対応が苦手な者は、最初は内線だけに対応させ、慣れてきたら外線にもチャレンジさせるなど)。 【勤務日数・労働時間の弾力化】 ・通院の必要性や体力などの問題がある者でも無理なく勤務できるよう、各人の事情に応じて勤務日数・労働時間を少なくできる限定正社員制度を設けている(時間当たりの賃金単価や賞与の取扱いは通常の正社員と同じ)。 ・疲労や眠気を感じやすい社員については、通常は1時間である昼の休憩時間を50分に短縮し、午前・午後に5分ずつ休むことを認め、気分をリフレッシュして仕事に集中できるようにしている。 【会社としての方針の明確化】 ・社員からの提案により、採用、人材育成と社会貢献に関する会社としての方針を「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」として定め、明確化した。 「ダイバーシティ&インクルージョン宣言」 1.働くことに障壁がある人材を、人財として積極的に採用・育成または、実習の受入れをします 2.従業員同士の相互理解の中から、全従業員の個性を価値に変える経営を目指します 3.当社の取り組みから、それぞれの個性が輝く社会の創造に貢献します 【障害のある社員の声】 前田 高志さん (勤続3年目)  大学卒業後、職業訓練でホームページの作成技術を勉強してから入社しました。Webページの企画や作成編集を担当しています。対面での会話が苦手ですが、チャットの利用や会議内容の個別フィードバック等の配慮があり助かっています。 高田 雅道さん (勤続1年目)  Facebookページと社内共有サイトの管理などを担当しています。また、過去にマンガ家を目指したことがあり、外部団体の広報誌に発達障害に関するマンガを連載しています。最初は疲れを感じることが多かったのですが、仕事にも慣れました。 ● 事業所データ ■ 所在地…………兵庫県神戸市 ■ 従業員数………28名 ■ 事業内容………自動車教習所紹介事業、留学生エージェント紹介事業、職業紹介・労働者派遣事業 ● 雇用障害者データ ■ 雇用障害者数…8名(子会社1名を含めると9名) ■ 障害種別………発達障害 ■ 業務内容………ホームページ作成・管理、経営企画など ■ 労働条件等……正社員 資料編 まとめ(事例からみた障害者雇用のポイント)  障害者雇用にこれから取り組む事業主のみなさまの中には、どこから着手し、どのように取り組めばいいのかなどと不安や疑問を抱える方もいらっしゃるかもしれません。 障害者雇用を進めるためには、次のような着実なステップを踏むことが大切です。 ステップ1 障害者雇用に関する理解の促進 ステップ2 配置部署や従事する職務の選定 ステップ3 受入態勢の整備、労働条件などの決定 ステップ4 採用活動 ステップ5 職場定着にむけた取組  本事例集で取り上げた企業でも、さまざまな課題に直面されましたが、それぞれの方法で解決し、障害者雇用のステップを着実に進め、障害者を戦力化するまでに至っていらっしゃいます。  以下、各ステップについて、本事例集で取り上げた事例を振り返ります。 ステップ1 障害者雇用に関する理解の促進  障害者雇用を進めていくためには、経営者、採用担当者、受入部署の担当者はもとより全社員が障害者雇用に関心・理解を持つことが大切です。  全社員が関心・理解を持つことで、採用部署や受入部署の担当者といった当事者だけへの負担や孤立を防げるだけでなく、将来的な受入部署の拡大にもつながります。 社内コンセンサスを形成するための具体的な方法としては、例えば、@社内会議での周知・検討、A社員向けの研修の実施、B啓発用資料の作成・配付、C障害者雇用に関しての先進的な企業・現場の見学、D障害者の職場実習の受入れなどの取組があります。取組に当たっては、障害者の就労支援機関や先進的な企業から講師を招聘したり、外部機関が作成している資料や啓発用DVDを活用したりするなど、外部に協力を求めることも考えられます。 ■事例6(三共貨物自動車株式会社)では、障害者の働きぶりを理解している幹部から社員に説明するとともに、まずは職場実習として受け入れることで、社内の理解を促しました。 ■事例10(株式会社エイチケイアール)では、各店舗で障害者の方を雇用していますが、人件費の半分を本社が負担する制度を導入したことで、積極的な採用につながりました。 啓発用DVD: 51ページ参照 ステップ2 配置部署や従事する職務の選定  個々の障害者の方の状況に応じて職務を決めます。各障害の特性により不向きな職務もありますが、障害の種類や程度だけで決めるのではなく、一人ひとりの障害状況に加えスキルの習得状況、本人の希望・意欲などから、総合的に決めていきます。  作業工程、納期、身体負担、安全などを考えると障害者に任せられる仕事を見つけることはむずかしいかもしれませんが、事業所内の仕事の内容を再確認しながら検討していきます。  その際、@チェックシートを活用し仕事の内容、要求されるスキルなどを整理する、A多くの部署で共通して行われる定型的な業務、例えば、コピー・シュレッダー作業、清掃作業、メールなどの仕分け・配送、資料のセット・封入などを集約し、新しい職務として再構築する、B社員全員に対してアンケート調査を行ってみるなどの方法が考えられます。 ■事例4(株式会社サイバーコネクトツー)では、総務課から各課に対し、専門的知識がなくてもできる作業の提案を行うよう依頼して、十分な作業量を確保しました。 ■事例11(株式会社アクセス)では、職場実習の段階で、外部の関係機関と社内の担当者が集まり、本人の得意・不得意を踏まえた職務について検討しました。また、現場の社員にも障害者の方が担当できそうな作業について意見を求め、障害者の方の職務を決めました。 ステップ3 受入態勢の整備、労働条件などの決定  障害者の雇用に向け、雇用形態、就業時間、賃金などの決定や、受入先となる部署の社員の理解の促進のほか、障害者の状況に応じた職場環境の見直し、指導担当者の専任などが必要になります。障害特性をよく理解し、障害に応じた配慮を行うことで、採用後の職場定着にもつながることから、十分に検討が必要です。  例えば、肢体不自由の方のためのバリアフリー化、視覚障害・聴覚障害の方のための就労支援機器の導入などについては、外部の専門家に助言や協力を求めることも有効です。社内で指導担当者を選任し、外部講習・研修等を活用して、指導担当者自身が専門的な知識を得ておくことも重要です。また、障害者の状況によっては、医療機関や就労支援機関など、何かあったときに助言や協力を求められる連携先を確保しておいたほうがよいでしょう。 ■事例1(株式会社常磐谷沢製作所)では、障害者の家族と一緒に、職場内での安全な移動を確保するために導線を設置したり、ロッカーなどの備品に点字シールを貼り付けたりしました。 ■事例2(株式会社杢目金屋)では、障害者雇用に関わる専門部署を立ち上げました。また、企業在籍型ジョブコーチ研修を修了した社員がマンツーマンで障害者の指導にあたっています。 事例1の導線 ステップ4 採用活動  障害者を採用するときは、地域のハローワークに相談し、求人の申込みをすることが多いかと思います。その際、多くの企業が障害者雇用を進めているなかで、障害の程度や障害種別、専門的なスキルなど、限定的な条件で募集していたとしても、求職登録している障害者の方とのマッチングはむずかしいです。障害者の方向けの職務を開発したり(ステップ2参照)、障害種別などにこだわらず幅広く採用を検討したりすることが必要です。  また、ハローワークに求職登録している障害者の方の中には、地域障害者職業センター、 障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所などで支援を受けている方や、障害者職業能力開発校や特別支援学校に在籍している方もいます。これらの方々については、支援機関や学校の担当者が、障害者ご本人の職務遂行能力やその能力を活かすための方法を理解しているので、採用に当たり助言や協力を得られる場合があります。支援機関や学校と密に連携することで、スムーズな受け入れができ、企業の負担も軽減されます。 ■事例7(株式会社リソーシズ)や事例9(株式会社阪技)、事例10(株式会社エイチケイアール)は、特別支援学校からの職場実習の受入れを行うなど、特別支援学校と良好で継続的な関係が構築されています。 ステップ5職場定着に向けた取組  本事例集で取り上げた企業の多くから、障害者の方が「戦力となって活躍している」という声をいただいています。人材不足の中で、一人でも多くの人材を活用できることは、企業経営にとって重要なことですが、「戦力化」させるには、まずは障害者にとって、働きやすい職場を提供し、長期間働いてもらうことが必要です。  また、他方で、障害者の方のために働きやすい職場をつくることが、社内の他の社員にとっても働きやすい職場作りになるということもポイントです。  では、どのような取組を行えば、働きやすい職場作り、職場定着につながるのでしょうか。これに対する答えは決して一つではなく、障害者の方一人ひとりの状況、企業の状況によっても異なります。本事例集で取り上げた企業でも多様な取組が行われていますが、その一例をご紹介します。 @専任の指導者による適切な管理と指導 事例3(株式会社呉竹)では、専任の指導者を配置しています。障害者の能力水準や作業の進捗状況に応じた指導ができますし、毎日障害者と向き合っていることからわずかな変化であっても気づくことができるというメリットがあります。 Aコミュニケーションの円滑化 障害者と周りの上司・同僚のコミュニケーションを円滑化することも職場定着のポイントの一つです。事例5(株式会社ジーマック)では、地域障害者職業センターのジョブコーチが作成した個々の障害者の性格・留意点の一覧を参考に本人と接するようにしたところ、コミュニケーションの円滑化が図れました。 B日常的な体調管理・進捗管理 事例2(株式会社杢目金屋)、事例11(株式会社アクセス)では、作業日報やセルフケアシートを活用して、体調や、作業の進捗状況などを把握しています。体調面・精神面のわずかな変化や、本人の作業の理解度を把握した後は、声かけをしたり、作業の指導方法を変えたりすることができるので、体調が大きく崩れることや作業の停滞を防ぐことができます。 事例13(株式会社個別指導塾スタンダード)では、障害のある方の体調管理や業務負担を把握するために、雇用管理担当者がこまめに面談を行っています。面談時には、リラックスできる内容を織り交ぜることで相談しやすい関係づくりを構築しています。 C支援機関との連携 事例1(株式会社常磐谷沢製作所)では、日本盲導犬協会の支援により、視覚障害の方が盲導犬と一緒に単独通勤できるようになり、通勤時間を短縮することもできました。 事例8(南海ゴルフ株式会社)では、地域障害者職業センターのジョブコーチのアドバイスにより、商品の保管棚を整理して作業しやすく改善したり、コミュニケーションが苦手でも答えやすい質問の仕方に配慮したりしました。 事例1の盲導犬: 日本盲導犬協会の支援で、盲導犬との通勤訓練を実施 事例2のセルフケアシートの一部: 自分自身で健康状態をチェック 事例8の商品の保管棚: 商品を種類別にわかりやすく整理し、 商品名を記載した紙を貼付 D勤務時間の配慮 事例12(学校法人鳥取家政学園)では、復職するときに、本人の体調やリハビリのための通院にも配慮し、本人・家族と相談して勤務条件の見直しを行いました。 事例14(株式会社I.S.コンサルティング)では、通院などの事情で勤務日数・労働時間を少なくできる限定正社員制度を設けたほか、疲労しやすい障害者の方のために、昼休憩を短縮する代わりに午前・午後に5分休憩を認めました。 通常 午前 昼休憩60分 午後 配慮事例 午前 5分休憩 昼休憩50分 午後 5分休憩 事例14の休憩時間の配慮: 通常(上)は60分の昼休憩を50分に短縮し、午前・午後に5分ずつの休憩を許可 E環境改善 事例7(株式会社リソーシズ)では、下肢障害の方でも作業できるように、大きな作業台を設置することで、床ではなく作業台の上で作業が可能になりました。また、周囲が気になり作業に集中できない方のために作業場所に囲いを設置しました。 F業績評価・スキルアップ 事例5(株式会社ジーマック)では、業務遂行能力が高まれば、雇用形態や勤務時間を変更し、モチベーションの維持に取り組みました。 事例2(株式会社杢目金屋)では、障害者個人のスキルの上達度がわかるスキルマップシートを作成し、上達度を見える化することでやりがいを持てるようにしました。 事例2のスキルマップシートの一部: 一週間ごとに、作業工程をどこまでできるか自己評価し、上達度を見える化。 同シート内には、課題や次週の取組の記載欄もある。 用語解説 本事例集をお読みいただくにあたり、記載されている用語について概要を解説します。 ● ハローワーク(公共職業安定所)  ハローワークでは、障害者を対象とした求人の申込みを受け付けています。専門の職員・相談員が就職を希望する障害者に職業相談を行い、就職後についても職場に定着できるよう支援を行っています。 ● 地域障害者職業センター  障害者職業カウンセラーが配置され、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校などの関係機関との密接な連携のもと、各都道府県の中核的な職業リハビリテーション機関として地域に密着した職業リハビリテーションサービスを提供しています。  事業主に対するサービスとして、障害者の新規雇入れ、在職者の職場適応やキャリアアップ、休職者の職場復帰など、障害者雇用についてのさまざまな支援を実施しています。障害者雇用の相談や情報提供を行うほか、障害者の雇用に関する事業主のニーズや雇用管理上の課題を分析し、必要に応じ、「事業主支援計画」を作成して、専門的な助言・援助や地域の専門家を活用した支援などを体系的に行います。 ※P.54、P55参照 ● 障害者就業・生活支援センター  就職や職場への定着に当たって、就業面における支援とあわせて、生活面における支援を必要とする障害者に対して、身近な地域で、雇用、保健、福祉、教育などの関係機関との連携を行いながら、障害者の就業およびこれに伴う日常生活、社会生活上の相談・支援を一体的に行う支援機関です。 ● 就労移行支援事業所・就労継続支援事業所  障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのひとつです。「就労移行支援」は、一般企業などへの就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練を行います。「就労継続支援」は雇用契約を結ぶA型と雇用契約を結ばないB型があり、一般企業などへの就労が困難な人に、働く場を提供し、知識や能力の向上のために必要な訓練を行います。 ● 特別支援学校  障害のある幼児・児童・生徒を対象として幼稚園から高等学校に準ずる教育を行う学校です。特別支援学校には幼稚部・小学部・中学部・高等部があり、高等部では、家庭生活、職業生活、社会生活に必要な知識、技能、態度などの指導を中心とし、例えば、木工、農園芸、食品加工、ビルクリーニングなどの作業学習・実習を実施し、特に職業教育の充実を図っています。 ● トライアル雇用  障害者雇用に関する知識や雇用経験がないことから障害者雇用をためらっている事業所が、障害者を試行的に雇用(トライアル雇用)することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、障害者と事業主の相互理解を促進することなどを通じて、障害者雇用に取り組むきっかけづくりを進めるために行うものです。 ※P.48参照 ● ジョブコーチ支援  職場での適応に課題を有する障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)が事業所を訪問等し、職場での課題を改善し、職場定着を図るためのきめ細かな人的支援を行うものです。ジョブコーチには地域障害者職業センターに所属する配置型ジョブコーチと、就労支援ノウハウを有する社会福祉法人等に所属する訪問型ジョブコーチ、事業主自ら配置する企業在籍型ジョブコーチがあります。  なお、上記のほか、自治体の独自の制度として養成されたジョブコーチも配置されています。 ※P.49参照 ハローワークが提供するサービスの内容 ハローワーク(公共職業安定所)では、障害者雇用に関する以下のサービスを主に提供しています。 ・職業相談、職業紹介 就職を希望する障害者に対して、専門の職員・職業相談員が、障害の態様や適性、希望職種等に応じ、きめ細やかな職業相談、職業紹介、職場適応指導を実施します。求人者・求職者が一堂に会する就職面接会も行います。 ・雇用管理の助言 障害者を雇用している事業主や、雇い入れようとしている事業主に対して、雇用管理上の配慮等についての助言を行います。 ・関係機関との連携、助成金の案内 事業主に対しては、必要に応じて、地域障害者職業センター等の専門機関の紹介、各種助成金の案内を行うほか、一部の助成金の申請受付を行っています。 最寄りのハローワークはこちらからご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/kyujin/hwmap.html 障害者雇用支援制度の紹介 障害者雇用納付金制度とは  障害者を雇用するには、作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要とされることが多く、経済的負担が伴うことから、雇用義務を履行している事業主と履行していない事業主とではその経済的負担に差が生じることとなります。  障害者雇用納付金制度は、身体障害者、知的障害者及び精神障害者を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるとの社会連帯責任の理念に立って、事業主間の障害者雇用に伴う経済的負担の調整を図るとともに、障害者を雇用する事業主に対して助成、援助を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき設けられた制度です。 ◆ 障害者雇用納付金制度の概要 〜常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主〜 法定雇用障害者数を 下回っている事業主 法定雇用障害者数を 超えている事業主 納付金 法定雇用障害者数 調整金 :雇用している身体、知的、精神障害者の数 障害者雇用納付金の徴収 1人当たり月額 50,000円 常用雇用労働者の総数が 100人を超える事業主は、 ● 毎年度、納付金の申告が必要 ● 法定雇用率を達成している場合も申告が必要 ● 法定雇用障害者数を下回っている場合は、申告とともに納付金の納付が必要 独立行政法人 高齢・障害・求職者 雇用支援機構 障害者雇用調整金の支給 1人当たり 月額27,000円 常用雇用労働者の総数が100人を超えており、雇用障害者数が法定雇用障害者数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 報奨金の支給 1人当たり 月額21,000円 常用雇用労働者の総数が100人以下で、雇用障害者数が一定数を超えている事業主に対し、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例調整金の支給 在宅就業障害者に仕事を発注した納付金申告事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 在宅就業障害者特例報奨金の支給 在宅就業障害者に仕事を発注した報奨金申請対象事業主に対し、支払った業務の対価に応じた額を、申請に基づき支給 特例給付金の支給 週10時間以上20時間未満で働く障害者を雇用する事業主に対し、事業主の区分と週20時間以上で働く雇用障害者数に応じた額を、申請に基づき支給 各種助成金の支給 障害者を雇い入れたり、雇用を継続するために職場環境の整備等を行う事業主に対し、申請に基づき費用の一部を助成 お問い合わせ先 都道府県支部高齢・障害者業務課(P.56)※東京および大阪は高齢・障害者窓口サービス課 障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金  障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、事業主等が障害者の雇用にあたって、施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ、障害者の新規雇入れや雇用の継続が困難であると認められる場合に、これらの事業主等に対して予算の範囲内で助成金を支給することにより、その一時的な経済的負担を軽減し、障害者の雇用の促進や雇用の継続を図ることを目的とするものです。   ◆ 助成金の種類 助成金  内 容 障害者作業施設設置等 助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、その障害者が障害を克服し、作業を容易に行うことができるよう配慮された作業施設、就労を容易にするために配慮されたトイレ、スロープ等の附帯施設もしくは作業を容易にするために配慮された作業設備の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 なお、対象となる障害者が雇用され、または職場復帰もしくは人事異動等から6か月を超える期間が経過しており、作業施設等の設置または整備を行う十分な必要性がないと判断される場合は、助成対象とはなりません。 障害者福祉施設設置等 助成金 障害者を労働者として継続して雇用している事業主または事業主が加入している事業主の団体が、障害者である労働者の福祉の増進を図るため、障害者が利用できるよう配慮された休憩室等の福祉施設の設置または整備を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 障害者介助等助成金 障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用している事業主が、障害の特性に応じた適切な雇用管理のために必要な介助等の措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 職場適応援助者助成金 職場適応に課題を抱える障害者に対して、職場適応援助者による支援を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。 重度障害者等 通勤対策助成金 重度身体障害者、知的障害者、精神障害者または通勤が特に困難と認められる身体障害者を労働者として雇い入れるまたは継続して雇用する事業主、またはこれらの重度障害者等を雇用している事業主を構成員とする事業主の団体が、これらの障害者の障害の特性に応じた通勤を容易にするための措置を行う場合に、その費用の一部を助成するものです。なお、対象となる障害者が雇用されて6か月を超える期間が経過しており、その通勤を改めて容易にする必要がないと判断される場合は、中途障害者となった場合または障害の重度化が認められる場合もしくは人事異動等を除き、助成対象とはなりません。 重度障害者多数雇用事業所 施設設置等助成金 重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事業主で、これらの障害者のために事業施設等の整備を行い、モデル性が認められる場合に、その費用の一部を助成するものです。 助成金等の対象費用、助成率、限度額、手続き等の詳細は当機構ホームページでご紹介しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/ お問い合わせ先 都道府県支部高齢・障害者業務課(P.56)※東京・大阪は高齢障害者窓口サービス課 障害者雇用支援制度の紹介 障害者雇用を支援する施策 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)  身体障害者、知的障害者または精神障害者などの就職が特に困難な方をハローワークなどの紹介により継続して雇用する労働者として新たに雇い入れた事業主に対して、その賃金の一部に相当する額を一定期間助成することにより、これらの方の雇用機会の増大を図るものです。 ◆ 主な受給要件  受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。  また、このほかにも、雇用関係助成金共通の要件などいくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。  [1]ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること。  [2]雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(※)が確実であると認められること。   ※対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。 ◆ 助成額など 対象労働者 助成金 助成対象期間 大企業 中小企業※ 1 大企業 中小企業 身体障害者、知的障害者 (短時間労働者 ※2以外) 50万円 120万円 1年 2年 身体障害者、知的障害者、精神障害者 (短時間労働者) 30万円 80万円 1年 2年 重度身体・知的障害者、精神障害者、 45歳以上の身体・知的障害者 (短時間労働者以外) 100万円 240万円 1年6か月 3年 ※1 中小企業の範囲はP.47※3「中小企業の範囲」を参照 ※2 「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者をいいます。 特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)  発達障害者または難病患者をハローワークなどの紹介により新たに雇い入れた事業主に対して助成するものであり、発達障害や難病患者の雇用を促進し、職業生活上の課題を把握することを目的としています。  事業主には、雇い入れた者に対する配慮事項等について報告をいただきます。また、雇入れから約6か月後にハローワーク職員等が職場訪問を行います。 ◆ 主な受給要件  特定就職困難者コース(p46)と同様です。ただし、対象労働者の雇用の状況等その雇用管理に関する事項について、報告書により支給申請にあわせて管轄の労働局に報告することを要件としています。 ◆ 対象労働者 次の[1]〜[3]のすべてに該当する求職者です。 [1] 次の@またはAに該当する者※1 ※1 障害者雇用促進法第2条第2号に規定する身体障害者、同条第4号に規定する知的障害者または同条第6号に規定する精神障害者である者は除きます。 @ 発達障害者支援法第2条に規定する発達障害者 A 障害者総合支援法施行令第1条に基づき、厚生労働大臣が定める特殊の疾病(難病)にかかっている者 [2] ハローワーク等の紹介を受けた日に失業などの状態にある者(雇用保険被保険者でない者など) [3] 雇入れ日現在において満65歳未満である者 ◆ 助成額など 対象労働者 助成金 大企業 中小企業※3 助成対象期間 大企業 中小企業 短時間労働者以外の者 50万円 120万円 1年 2年 短時間労働者※2 30万円 80万円 1年 2年 ※2 ここでいう「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が 20時間以上30時間未満の者をいいます。 ※3 ここでいう「中小企業の範囲」は下表のとおりです。 産業分類 資本または出資額 常時雇用する労働者数 小売業(飲食店含む)  5,000万円以下 50人以下 サービス業 5,000万円以下 100人以下 卸売業 1億円以下 100人以下 その他業種 3億円以下 300人以下 障害者雇用支援制度の紹介 トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)  ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、その適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。 ◆ 対象労働者 次の[1]と[2]の両方に該当する者であること [1] 継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者 [2] 障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア〜カのいずれかに該当する者 ア. 重度身体障害者 イ. 重度知的障害者 ウ. 精神障害者 エ. 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者 オ. 紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者 カ. 紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者 ◆ 雇入れの条件 [1] ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること [2] 原則3か月間の障害者トライアル雇用をすること [3] 障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと ※このほかにも、雇用関係助成金共通の要件等いくつかの支給要件がありますので、詳しくは「お問い合わせ先」までご確認ください。 ◆ 受給額 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長3か月間) ※対象労働者が精神障害者の場合、月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間) トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)  継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用するものであって、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指すものをいいます。 ◆ 対象労働者  本助成金における「対象労働者」は、継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者が対象となります。 ◆ 雇入れの条件 対象労働者を次の[1]と[2]の条件によって雇い入れること [1] ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること [2] 3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること ◆ 受給額 支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12か月間) P.46,P.47,P.48のお問い合わせ先  都道府県労働局、ハローワーク 職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業  職場での適応に課題を有する障害者に対して、職場適応援助者(ジョブコーチ)が事業所を訪問等し、職場での課題を改善し、職場定着を図るためのきめ細かな人的支援を行います。  不安やストレスを抱えやすい精神障害者等の方々に対しては、作業遂行への支援だけではなく、相談を中心とした職場内でのコミュニケーションに関する支援、不安や緊張・ストレスの軽減等の支援を行います。  また、職場の上司、同僚に対しては、本人の特性を踏まえた関わり方、職務内容・職場環境の調整の助言等を行います。  これらにより、事業所の上司や同僚による支援(ナチュラルサポート)にスムーズに移行していくことを目指しています。 ◆ ジョブコーチの種類 配置型ジョブコーチ※1 地域障害者職業センターに配置するジョブコーチです。就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型ジョブコーチや企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう必要な助言・援助を行います。 〔支援の契機〕 雇用の前後を問わず、必要なタイミングで支援を行います。 (例:@不安の軽減や作業手順を覚えるために雇入れと同時に支援を開始。 A配置転換や人事異動といった職場環境の変化により職場適応上の課題が生じたため雇用後の支援を開始)。 〔支援期間〕  個別に必要な期間を設定します(標準は2〜4か月)。支援終了後は、必要なフォローアップを行います。 訪問型ジョブコーチ※2 障害者の就労支援を行う社会福祉法人などに所属するジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する訪問型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める研修を修了した者であって、必要な相当程度の経験と能力を有する者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に対して、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 企業在籍型ジョブコーチ※2  障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める研修を修了した者が担当します。なお、ジョブコーチが在籍する事業所に対して、ジョブコーチの活動経費等の一部を助成する制度があります。 事業主 管理監督者・人事担当者 ・障害特性に配慮した雇用管理に関する助言 ・配置、職務内容の設定に関する助言 ジョブコーチ 障害者 ・作業遂行力の向上に向けた支援 ・職場内のコミュニケーションに関する支援 ・健康管理・生活リズムの構築等の支援 職場 同僚 上司 同僚 ・障害の理解に係る社内啓発 ・障害者との関わり方に関する助言 ・指導方法に関する助言 家族 ・安定した職業生活を送るための家族の関わり方に関する助言 お問い合わせ先 地域障害者職業センター(P.55)(※1について) 都道府県支部高齢・障害者業務課(P.56)(※2について) 中央障害者雇用情報センターのごあんない   障害者雇用に関する豊富な経験や知識を有する障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、企業の規模・業種の特性に応じた雇用管理や合理的配慮の提供等に関する相談・援助を行っています。また、就労支援機器アドバイザーが、障害者の就労を支援する機器の紹介や貸出しに関する相談を行っています。まずはお問い合わせください。 1. 障害者雇用に関する相談・援助 障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、職域拡大や賃金体系の整備等に関する雇用管理相談や特例子会社の設置・運営に係るご相談に応じます。 2. 障害者雇用支援人材ネットワーク事業 障害者の雇用管理に係る専門的な支援を必要とする事業所に、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」の紹介・派遣を行っています。 3. 就労支援機器等普及啓発事業 就労支援機器アドバイザーが、支援機器の活用事例のご紹介やデモンストレーション、導入についてのご相談に対応いたします。また、支援機器を無料で貸出します。 独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 中央障害者雇用情報センター 住所 〒130-0022 東京都墨田区江東橋2丁目19番12号 ハローワーク墨田5階 電話 03-5638-2792 FAX 03-5638-2282 メールアドレス syougai-soudan@jeed.go.jp 障害者雇用に役立つ資料(マニュアル・DVD) (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構では、事業主が障害者雇用を進める上で参考となる資料を作成しています。 https://www.jeed.go.jp/disability/data/handbook/index.html 障害者雇用のためのマニュアル 1 視覚障害者と働く  視覚障害に関する基礎知識、就労支援機器や支援制度の活用例、職場での具体的な支援方法などを盛り込みながら雇入れと職場定着に必要な雇用管理の手法等について、コミック形式で紹介したマニュアル。 2 知的障害者と働く  知的障害に関する基礎知識、職場で起こりやすいトラブルや日常生活上の指導・配慮点、能力開発等について、コミック形式で紹介したマニュアル。 3 聴覚障害者と働く  聴覚障害者の障害特性や雇用管理全般に関するノウハウなどをコミック形式で紹介したマニュアル。 4 精神障害者と働く  統合失調症やうつ病、てんかんなど精神障害の特性に配慮した雇用管理について、職場での対応や支援機関との連携など事例をまじえてコミック形式で紹介したマニュアル。 5 発達障害者と働く  発達障害者の特性や、わかりやすい作業指示の出し方、コミュニケーション上の留意事項等のノウハウについてコミック形式で紹介したマニュアル。 6 高次脳機能障害者と働く  高次脳機能障害に関する基礎知識、支援機関の活用例、職場での具体的な支援方法などを盛り込みながら、雇入れと職場復帰に必要な雇用管理の手法等について、コミック形式で紹介したマニュアル。 障害者雇用のためのDVD 障害者雇用を積極的に進めている企業の取組や、活き活きと働く障害者の様子、企業や障害者を支える支援者の姿を映像で紹介するとともに、企業担当者のインタビュー等を通じて、雇用管理等に関するさまざまなノウハウをわかりやすく解説しています。DVDの無料貸出を行っているほか、機構ホームページに動画を掲載しています。 7 みんな輝く職場へ 〜事例から学ぶ合理的配慮の提供〜 8 ともに働く職場へ 〜事例から学ぶ発達障害者雇用のポイント〜 9 ともに働く職場へ 〜事例から学ぶ精神障害者雇用のポイント〜 お問い合わせ先 雇用開発推進部 電話:043-297-9513 FAX:043-297-9547 障害者雇用に役立つWEBサイト 就労支援機器普及啓発ホームページ ◇就労支援機器に関する情報、貸出制度の概要を掲載しています。 就労支援機器の貸出制度を紹介しています。 さまざまな就労支援機器について、「障害別」、「用途」別に検索できます。 また、各製品のページでは、仕様の説明と、写真や動画での紹介を行っています。 (URL https://www.kiki.jeed.go.jp/) 就労支援機器のページ 検索 障害者雇用事例リファレンスサービス ◇障害者雇用について創意工夫を行い積極的に取り組んでいる事業所の事例(モデル事例)や合理的配慮の提供に関する事例をホームページで紹介しています。 「モデル事例」又は「合理的配慮事例」を選択します。 業種別や障害種類別、事業所規模別などで事例を検索できます。 (URL https://www.ref.jeed.go.jp/) JEED リファレンス 検索 障害者の在宅就業支援ホームページ チャレンジホームオフィス ◇通勤困難な障害者の就業機会を促進するため、在宅勤務の事例や在宅就業を支援する団体等をホームページで紹介しています。 こちらをクリックすると、障害のある方の雇用事例をご覧いただけます。 各社の事例紹介ページでは、在宅勤務者の業務内容や雇用管理方法、本人からのメッセージなどを掲載しています。 (URL https://www.challenge.jeed.go.jp/) JEED チャレンジ 検索 障害者雇用支援人材ネットワークシステム ◇障害者雇用の課題に対応した経験を持つ、労務管理、医療、建築などさまざまな分野の専門家「障害者雇用管理サポーター」を検索できます。企業の皆様が抱える疑問や課題に応じて実務的な助言・援助を行います。 サポーター検索  サポーター活用事例 資格・免許、専門分野などの条件を指定して障害者雇用管理サポーターを検索できます。 (URL https://www.shienjinzai.jeed.go.jp/) JEED 支援人材 検索 地域障害者職業センターのごあんない  全国の都道府県に設置されている「地域障害者職業センター」では、ハローワーク、障害者就業・生活支援センターと密接に連携しながら、就職や職場定着、職場復帰を目ざす障害のある方に加え、障害者雇用を検討している、または雇用している事業主の方、障害のある方の就労を支援する関係機関の方に対して、サービスを提供しています。  令和元年度は、全国で3万人を超える障害のある方、1万9千所を超える事業主、1万2千所を超える関係機関に対して支援を行いました。 ◇就職や職場定着、職場復帰を目ざす障害のある方への支援 ■ 職業相談・職業評価  作業面、精神面などの特徴を把握・整理し、相談を通じて必要な情報提供などを行いながら、就職、職場定着に向けた支援プランをご提案します。 ■ 職業準備支援 講習や作業体験などを通じて、  ・ストレス対処スキルの習得  ・作業遂行力やコミュニケーション能力の向上  ・自分に合った働き方や仕事の検討  ・職場で配慮を得たい内容の整理 など就職に向けた支援を行います。 ■ ジョブコーチによる支援 ジョブコーチを事業所に派遣し、  ・職場内の人間関係やコミュニケーション、疲労・ストレス、担当する職務についての相談  ・職場の上司・同僚に対する、働き続けるために必要な配慮の内容についての助言 など職場定着に向けた支援を行います。 ■ 職場復帰支援(リワーク支援) うつ病などで休職中の方に対して、主治医・事業主と連携しながら、  ・生活リズムの構築  ・作業遂行に必要な集中力、持続力の向上  ・ストレス対処スキルの習得 など職場復帰に向けた支援を行います。 ◇障害者雇用を検討している、または雇用している事業主の方への支援  障害者雇用に関する事業主のニーズや課題を分析し、雇入れ、職場適応、職場復帰などに向けた助言・援助やジョブコーチ支援などの専門的な支援を行っています。 施設連絡先一覧 地域障害者職業センター 一覧  障害者職業カウンセラーが配置され、公共職業安定所(ハローワーク)、障害者就業・生活支援センター、病院、特別支援学校等の関係機関との密接な連携の下、各都道府県における中核的な職業リハビリテーション機関として、地域に密着した職業リハビリテーションを実施しています。 名 称 北海道障害者職業センター 北海道障害者職業センター 旭川支所 青森障害者職業センター 岩手障害者職業センター 宮城障害者職業センター 秋田障害者職業センター 山形障害者職業センター 福島障害者職業センター 茨城障害者職業センター 栃木障害者職業センター 群馬障害者職業センター 埼玉障害者職業センター 千葉障害者職業センター 東京障害者職業センター 東京障害者職業センター 多摩支所 神奈川障害者職業センター 新潟障害者職業センター 富山障害者職業センター 石川障害者職業センター 福井障害者職業センター 山梨障害者職業センター 長野障害者職業センター 岐阜障害者職業センター 静岡障害者職業センター 愛知障害者職業センター 愛知障害者職業センター 豊橋支所 三重障害者職業センター 滋賀障害者職業センター 京都障害者職業センター 大阪障害者職業センター 大阪障害者職業センター 南大阪支所 兵庫障害者職業センター 奈良障害者職業センター 和歌山障害者職業センター 鳥取障害者職業センター 島根障害者職業センター 岡山障害者職業センター 広島障害者職業センター 山口障害者職業センター 徳島障害者職業センター 香川障害者職業センター 愛媛障害者職業センター 高知障害者職業センター 福岡障害者職業センター 福岡障害者職業センター 北九州支所 佐賀障害者職業センター 長崎障害者職業センター 熊本障害者職業センター 大分障害者職業センター 宮崎障害者職業センター 鹿児島障害者職業センター 沖縄障害者職業センター 郵便番号 001-0024 070-0034 030-0845 020-0133 983-0836 010-0944 990-0021 960-8054 309-1703 320-0865 379-2154 338-0825 261-0001 110-0015 190-0012 252-0315 950-0067 930-0004 920-0901 910-0026 400-0864 380-0935 502-0933 420-0851 460-0003 440-0888 514-0002 525-0027 600-8235 541-0056 591-8025 657-0833 630-8014 640-8323 680-0842 690-0877 700-0821 730-0004 747-0803 770-0823 760-0055 790-0808 781-5102 810-0042 802-0066 840-0851 852-8104 862-0971 874-0905 880-0014 890-0063 900-0006 所在地 札幌市北区北二十四条西5-1-1 札幌サンプラザ5階 旭川市四条通8丁目右1号 LEE旭川ビル5階 青森市緑2-17-2 盛岡市青山4-12-30 仙台市宮城野区幸町4-6-1 秋田市川尻若葉町4-48 山形市小白川町2-3-68 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 笠間市鯉淵6528-66 宇都宮市睦町3-8 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 さいたま市桜区下大久保136-1 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉4階 台東区東上野4-27-3 上野トーセイビル3階 立川市曙町2-38-5 立川ビジネスセンタービル5階 相模原市南区桜台13-1 新潟市東区大山2-13-1 富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル7階 金沢市彦三町1-2-1 アソルティ金沢彦三2階 福井市光陽2-3-32 甲府市湯田2-17-14 長野市中御所3-2-4 岐阜市日光町6-30 静岡市葵区黒金町59-6 大同生命静岡ビル7階 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見5階 豊橋市駅前大通1-27 MUS豊橋ビル6階 津市島崎町327-1  ハローワーク津3階 草津市野村2-20-5 京都市下京区西洞院通塩小路下る東油小路町803 ハローワーク京都七条5階 大阪市中央区久太郎町2-4-11 クラボウアネックスビル4階 堺市北区長曽根町130-23 堺商工会議所5階 神戸市灘区大内通5-2-2  ハローワーク灘3階 奈良市四条大路4-2-4 和歌山市太田130-3 鳥取市吉方189 松江市春日町532 岡山市北区中山下1-8-45 NTTクレド岡山ビル17階 広島市中区東白島町14-15 NTTクレド白島ビル12階 防府市岡村町3-1 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島4階 高松市観光通2-5-20 松山市若草町7-2 高知市大津甲770-3 福岡市中央区赤坂1-6-19 ワークプラザ赤坂5階 北九州市小倉北区萩崎町1-27 佐賀市天祐1-8-5 長崎市茂里町3-26 熊本市中央区大江6-1-38 ハローワーク熊本4階 別府市上野口町3088-170 宮崎市鶴島2-14-17 鹿児島市鴨池2-30-10 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎5階 電話番号 011-747-8231 0166-26-8231 017-774-7123 019-646-4117 022-257-5601 018-864-3608 023-624-2102 024-526-1005 0296-77-7373 028-637-3216 027-290-2540 048-854-3222 043-204-2080 03-6673-3938 042-529-3341 042-745-3131 025-271-0333 076-413-5515 076-225-5011 0776-25-3685 055-232-7069 026-227-9774 058-231-1222 054-652-3322 052-218-2380 0532-56-3861 059-224-4726 077-564-1641 075-341-2666 06-6261-7005 072-258-7137 078-881-6776 0742-34-5335 073-472-3233 0857-22-0260 0852-21-0900 086-235-0830 082-502-4795 0835-21-0520 088-611-8111 087-861-6868 089-921-1213 088-866-2111 092-752-5801 093-941-8521 0952-24-8030 095-844-3431 096-371-8333 0977-25-9035 0985-26-5226 099-257-9240 098-861-1254 FAX番号 011-747-8134 0166-26-8232 017-776-2610 019-646-6860 022-257-5675 018-864-3609 023-624-2179 024-535-1000 0296-77-4752 028-637-3190 027-290-2541 048-854-3260 043-204-2083 03-6673-3948 042-529-3356 042-742-5789 025-271-9522 076-413-5516 076-225-5017 0776-25-3694 055-232-7077 026-224-7089 058-231-1049 054-652-3325 052-218-2379 0532-56-3860 059-224-4707 077-564-1663 075-341-2678 06-6261-7066 072-258-7139 078-881-6596 0742-34-1899 073-474-3069 0857-26-1987 0852-21-1909 086-235-0831 082-211-4070 0835-21-0569 088-611-8220 087-861-6880 089-921-1214 088-866-0676 092-752-5751 093-941-8513 0952-24-8035 095-848-1886 096-371-8806 0977-25-9042 0985-25-6425 099-257-9281 098-861-1116 広域障害者職業センター 一覧  障害者職業カウンセラーおよび職業訓練指導員が配置され、医療リハビリテーションとの連携を図りながら、職業評価、職業指導、職業訓練等を一貫した体系の中で実施しています。 名 称 国立職業リハビリテーションセンター (中央障害者職業能力開発校) 国立吉備高原職業リハビリテーションセンター (吉備高原障害者職業能力開発校) 郵便番号 359-0042 716-1241 所在地 埼玉県所沢市並木4-2 岡山県加賀郡吉備中央町吉川7520 電話番号 04-2995-1711 0866-56-9000 FAX番号 04-2995-1052 0866-56-7636 都道府県支部 高齢・障害者業務課(※東京、大阪は高齢・障害者窓口サービス課を含む)一覧  障害者の雇用に関する相談・援助、障害者雇用納付金制度に基づく申告・申請の受付、啓発等の業務を実施しているほか、高年齢者等の雇用に関する相談・援助、各種給付金の申請の受付等を実施しています。 都道府県 北海道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神奈川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和歌山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿児島 沖 縄 郵便番号 063-0804 030-0822 020-0024 985-8550 010-0101 990-2161 960-8054 310-0803 320-0072 379-2154 336-0931 261-0001 130-0022 241-0824 951-8061 933-0982 920-0352 915-0853 400-0854 381-0043 500-8842 422-8033 460-0003 514-0002 520-0856 617-0843 566-0022 661-0045 634-0033 640-8483 689-1112 690-0001 700-0951 730-0825 753-0861 770-0823 761-8063 791-8044 781-8010 810-0042 849-0911 854-0062 861-1102 870-0131 880-0916 890-0068 900-0006 所在地 札幌市西区二十四軒4条1-4-1 北海道職業能力開発促進センター内 青森市中央3-20-2 青森職業能力開発促進センター内 盛岡市菜園1-12-18 盛岡菜園センタービル3階 多賀城市明月2-2-1宮城職業能力開発促進センター内 潟上市天王字上北野4-143 秋田職業能力開発促進センター内 山形市漆山1954 山形職業能力開発促進センター内 福島市三河北町7-14 福島職業能力開発促進センター内 水戸市城南1-4-7 第5プリンスビル5階 宇都宮市若草1-4-23 栃木職業能力開発促進センター内 前橋市天川大島町130-1 ハローワーク前橋3階 さいたま市緑区原山2-18-8 埼玉職業能力開発促進センター内 千葉市美浜区幸町1-1-3 ハローワーク千葉5階 墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5階 横浜市旭区南希望が丘78 関東職業能力開発促進センター内 新潟市中央区西堀通6-866 NEXT21ビル12階 高岡市八ケ55 富山職業能力開発促進センター内 金沢市観音堂町へ-1 石川職業能力開発促進センター内 越前市行松町25-10 福井職業能力開発促進センター内 甲府市中小河原町403-1 山梨職業能力開発促進センター内 長野市吉田4-25-12 長野職業能力開発促進センター内 岐阜市金町5-25 G-frontU7階 静岡市駿河区登呂3-1-35 静岡職業能力開発促進センター内 名古屋市中区錦1-10-1 MIテラス名古屋伏見4階 津市島崎町327-1 ハローワーク津2階 大津市光が丘町3-13 滋賀職業能力開発促進センター内 長岡京市友岡1-2-1 京都職業能力開発促進センター内 摂津市三島1-2-1 関西職業能力開発促進センター内 尼崎市武庫豊町3-1-50 兵庫職業能力開発促進センター内 橿原市城殿町433 奈良職業能力開発促進センター内 和歌山市園部1276 和歌山職業能力開発促進センター内 鳥取市若葉台南7-1-11 鳥取職業能力開発促進センター内 松江市東朝日町267 島根職業能力開発促進センター内 岡山市北区田中580 岡山職業能力開発促進センター内 広島市中区光南5-2-65 広島職業能力開発促進センター内 山口市矢原1284-1 山口職業能力開発促進センター内 徳島市出来島本町1-5 ハローワーク徳島5階 高松市花ノ宮町2-4-3 香川職業能力開発促進センター内 松山市西垣生町2184 愛媛職業能力開発促進センター内 高知市桟橋通4-15-68 高知職業能力開発促進センター内 福岡市中央区赤坂1-10-17 しんくみ赤坂ビル6階 佐賀市兵庫町若宮1042-2 佐賀職業能力開発促進センター内 諫早市小船越町1113 長崎職業能力開発促進センター内 合志市須屋2505-3 熊本職業能力開発促進センター内 大分市皆春1483-1 大分職業能力開発促進センター内 宮崎市大字恒久4241 宮崎職業能力開発促進センター内 鹿児島市東郡元町14-3 鹿児島職業能力開発促進センター内 那覇市おもろまち1-3-25 沖縄職業総合庁舎4階 電話番号 011-622-3351 017-721-2125 019-654-2081 022-361-6288 018-872-1801 023-674-9567 024-526-1510 029-300-1215 028-650-6226 027-287-1511 048-813-1112 043-204-2901 03-5638-2284 045-360-6010 025-226-6011 0766-26-1881 076-267-6001 0778-23-1021 055-242-3723 026-258-6001 058-265-5823 054-280-3622 052-218-3385 059-213-9255 077-537-1214 075-951-7481 06-7664-0722 06-6431-8201 0744-22-5232 073-462-6900 0857-52-8803 0852-60-1677 086-241-0166 082-545-7150 083-995-2050 088-611-2388 087-814-3791 089-905-6780 088-837-1160 092-718-1310 0952-37-9117 0957-35-4721 096-249-1888 097-522-7255 0985-51-1556 099-813-0132 098-941-3301 FAX番号 011-622-3354 017-721-2127 019-654-2082 022-361-6291 018-873-8090 023-687-5733 024-526-1513 029-300-1217 028-623-0015 027-287-1512 048-813-1114 043-204-2904 03-5638-2282 045-360-6011 025-226-6013 0766-26-8022 076-267-6084 0778-23-1055 055-242-3721 026-243-2077 058-266-5329 054-280-3623 052-218-3389 059-213-9270 077-537-1215 075-951-7483 06-7664-0364 06-6431-8220 0744-22-5234 073-462-6810 0857-52-8785 0852-60-1678 086-241-0178 082-545-7152 083-995-2051 088-611-2390 087-814-3792 089-905-6781 088-837-1163 092-718-1314 0952-37-9118 0957-35-4723 096-249-1889 097-522-7256 0985-51-1557 099-250-5152 098-941-3302 制作委員会 委員名簿 (五十音順 敬称略) (所属・役職は平成31年3月時点) 座長 眞保 智子 法政大学 現代福祉学部 人間社会研究科 教授 杉崎 友則 日本商工会議所 産業政策第二部 副部長 竹之内 雅典 特定非営利活動法人 障がい者就業・雇用支援センター 顧問 菱沼 貴裕 全国中小企業団体中央会 労働政策部 副部長 松浦 大造 厚生労働省 職業安定局 雇用開発部 障害者雇用対策課 主任障害者雇用専門官 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons with Disabilities and Job Seekers. 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3 雇用開発推進部 TEL : 043-297-9513 / FAX : 043-297-9547 web site  https://www.jeed.go.jp/ 平成31年3月発行 初版発行 令和4年1月 第二版  独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 Japan Organization for Employment of the Elderly, Persons with Disabilities and Job Seekers