5 障害特性と配慮事項 (3)肢体不自由 1 肢体不自由とは  肢体不自由とは、病気やケガなどにより上肢・下肢・体幹の機能の一部または全部に障害がある状態のことです。 2 障害特性 ・肢体不自由にはさまざまな種類があり、その特性は障害部位や障害の現れ方(機能の喪失・制限など)や障害の原因、進行性の病気や変動性の病気が原因となっているか、発症時期、知覚障害や痛みなど随伴する障害の有無、補装具の有無などによりそれぞれ異なります。 ・障害部位別には、運動機能障害の上肢・下肢・体幹の区分けがあり、障害の現れ方には、欠損による機能喪失(切断など)と本来の機能の制限や喪失(失調・まひなど)の場合があり、それぞれに必要とする配慮や支援の方法があります。 3 職業上の配慮 ・車いすの使用や自動車通勤、ラッシュを避ける時差出勤などの職場内の移動や通勤手段が安定的に獲得できるように配慮することが必要です。 ・歩行の困難性により通勤の際の電車や駅での歩行、職場内の移動に時間がかかる場合があり、休憩できる場所の確保や転倒の不安への対応といった、細やかな対応が必要な場合もあります。 ・仕事においては出社・退社時間の調整による通勤への配慮から、車いすの動線確保や業務スペースの確保、スロープの設置などのバリアフリー、トイレの改修、自動車通勤のための駐車場の確保など、職場全体の個々の状況に合わせた環境整備が必要な場合があります。 ・運動機能に関する障害は困難さが分かりやすいことから、その点についての理解は得やすいものの、運動機能以外の困難さは一見分かりづらいため、事情を知らない周囲の社員から誤解を受けることもあります。例えば、頸髄損傷の方は首から下の発汗機能の障害により体温調節が難しく、部屋の温度調整が必要である方もいるなど、個々の状況に応じた運動機能以外の困難への細やかな配慮が必要な方もいます。そのため、職場においては、目に見えない困難さも含めた障害特性の理解を得るための社内への周知の機会や、日々の状態を上司と相談する機会の設定などのフォローが必要です。  〈設備改善の例〉 (身体障害、難病のある方などの雇用促進・職場定着に取り組んだ職場改善好事例集(平成29年度)) ・バリアフリー化の費用については、助成金の支給対象となる場合があります(以下「設備改善等にかかる助成金の活用」をご参照ください)。 ・職場全てのバリアフリー化は現実的には難しい場合が多いと思います。緊急性、必要性を考え、障害者本人ともよく話し合いながら改善を進めていくことがよいでしょう。 ・職場のバリアフリー化は、障害程度の重い肢体不自由者、車いす使用者、視覚障害者などの障害者が能力を発揮できる環境を作るためには有効ですが、全ての障害者にとって必要というわけではありません。   ⇒参照:3(7)「設備改善・安全対策」  設備改善等にかかる助成金の活用(障害者雇用納付金制度に基づく各種助成金)  〇障害者作業施設設置等助成金  スロープの設置、トイレの改造など、障害者の障害特性による課題を克服するための施設または作業設備の設置・整備を行う費用の一部に対して助成します。  〇重度障害者等通勤対策助成金  住宅の貸借、住宅手当の支払い、駐車場の貸借など、通勤を容易にするための措置を行う場合に要する費用の一部に対して助成します。    ⇒参照:7(6)「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」  これらの助成金は企業からの申請に基づき予算の範囲で支給決定されるものです。支給要件や支給額、支給期間または支給回数の限度がありますので、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)に相談することが必要です。 (就労支援機器)  就労支援機器のホームページに障害者の就労を支援する機器を掲載しています。  中央障害者雇用情報センターにて相談を受けたり、貸し出し可能な機器の貸し出しを行っています。 JEED 情報センター 検索  ⇒就労支援機器:https://www.kiki.jeed.go.jp 就労支援機器のページ 検索 ヘッドセット マウス補助具 4 資料 身体障害、難病のある方などの 雇用促進・職場定着に取り組んだ 職場改善好事例集(平成29年度) 上肢に障害を有する肢体不自由者 のための職場改善好事例集 (平成22年度) NIVR マニュアル 事業主 検索