⑶ 定年退職の等級変更を福祉事務所(福祉担当課)へ、また障害給付が改定される場合には、「障害給付額改定請求書」を、住所地を管轄する年金事務所へ提出します。年金については障害基礎年金や障害厚生年金(1級、2級)を受給していて、国民年金保険料の法定免除を受けている場合は、老後の老齢基礎年金は加入期間が1/2にカウントされるため老齢基礎年金は少なく、障害年金(非課税)を選択するのが一般的です。なお、65歳以上の障害基礎年金受給者は「障害基礎年金+障害厚生年金」「老齢基礎年金+老齢厚生年金」という組み合わせだけでなく、「障害基礎年金+老齢厚生年金」という組合せも選択できますので、有利な組合せを選択するのがよいでしょう。詳細は年金事務所へ問い合わせるようアドバイスします。第2章 障害者の雇用管理上の留意点第2章 第5節具体的な退職年月日と手続内容を少なくとも1か月前に通知します。特に聴覚・視覚・知的等の障害者にはわかりやすい丁寧な説明が必要です。退職する障害者が再就職しない場合は、健康保険は国民健康保険へ、厚生年金保険は国民年金への加入の手続が必要となります。本人には、定年退職の日から14日以内に居住地の市区町村へ手続きするよう勧めてください。満65歳に達するまでに、障害の程度が重くなったり、他の障害が重なったりしていると予想される場合は、障害の程度の再認定が必要です。本人が自己の意志で行うことではありますが、主治医に相談し、都道府県の指定医の認定を受けるよう勧めてください。断の結果、障害の程度が重くなれば「身体障害者手帳」【日常生活自立支援事業と成年後見制度】 知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方の場合、障害者の生活を支える制度を利用したり、利用について相談したりする力が不十分であるために、せっかくの制度を有効に活用できていない場合があります。また、金銭管理や日常生活での契約行為等でトラブルに遭い、これを解決できず、そのことが会社への出勤や仕事への取り組みに少なからず影響してしまう場合があります。 このような課題に対処し、障害者の生活を支え、権利を守るための公的な制度として、次の二つが代表的です。判断能力が不十分な方の立場から、専門家の意見も入れて適切な方法を取れるよう、障害者本人が助言を受けることができます。1.日常生活自立支援事業…※ ⑴ 内容 生活支援員の派遣により、基本的には次のような内容の支援が行われます。① 福祉サービスの利用援助② 苦情解決制度の利用援助③ 住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続に関する援助等 また、上の3つの支援に伴い、次のような援助が行われる場合があります。④ 預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続等利用者の日常生活費の管理(日常的金銭管理)⑤ 定期的な訪問による生活変化の察知 ⑵ 相談窓口 市区町村の社会福祉協議会(実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会) ⑶ 根拠法令 社会福祉法 ※ 地方自治体によって名称が異なる場合があります。2.成年後見制度 ⑴ 内容 〔目的〕 知的障害や精神障害等の理由で判断能力の不十分な方々は、買い物をしたり、不動産や預貯金などの財産を管理したり、福祉サービスに関する契約を結んだり、遺産分割協議を行う必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約内容であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害に遭うおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。 〔種類〕 成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度との2つがあります。 法定後見制度は、「後見(こうけん)」「保佐(ほさ)」「補助(ほじょ)」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。法定後見制度においては,家庭126
元のページ ../index.html#128