第3章 第4節第4節 内部障害者159ただし、動脈血酸素分圧(PaO2)…が55Torrただし、医師の診断により、心不全の重症度チアノーゼ型先天性心疾患に対する在宅酸素ただし、HOTの導入に際しては、有効とされる他の治療(薬物療法、呼吸器リハビリテーション)を十分に行っても1ヶ月以上にわたり低酸素血症が持続することを確認する必要があります。ア 対象疾患 (ア)高度慢性呼吸不全例(mmHg)…以下の者、およびPaO2が60Torr(mmHg)以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって、医師が在宅酸素療法を必要であると認めた者。適応患者の判定にパルスオキシメータによる酸素飽和度から推測し、PaO2を用いることは差し支えない。 (イ)肺高血圧症 (ウ)慢性心不全の対象患者分類で用いられるNYHA(New…York…Heart…Association)Ⅲ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸および低呼吸数をいう)が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上で確認されている症例。 (エ)チアノーゼ型先天性心疾患療法とは、ファロー四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患患者のうち、発作的に低酸素または無酸素状態になる患者について、発作時に在宅で行われる救命的な酸素吸入療法をいう。② NPPV(Noninvasive Positive Pressure Ventilation=非侵襲的陽圧換気療法)NPPVは、気管内挿管や気管切開処置をせずに行う換気療法で、フェイスマスクや鼻マスク、鼻プラグを通して上気道に陽圧を加え、肺の換気を補助する人工呼吸法であり、ポリオや筋萎縮性側索硬化症、進行性筋ジストロフィーなどの神経筋疾患で、呼吸筋の障害により換気機能が低下した場合に導入されることが多い治療法です。後述のベンチレーターとは異なり気管内挿管や気管切開処置などをしなくても良いため、食事や会話が可能です。NPPVで使用するマスクやインターフェースとしては、フェイスマスク、鼻マスク、鼻プラグ、マウスピースなどがあり、疾患内容や呼吸状態、患者の希望なく制限されるもの)の身体障害者手帳が交付されます。慢性の呼吸障害をきたす代表的な疾患は以下のとおりです。① 慢性閉塞性肺疾患(COPD)慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、最大の原因は喫煙であり、喫煙者の15〜20%がCOPDを発症すると報告されています。タバコの煙を吸入することで肺の中の気管支に炎症がおきます。症状としては、咳や痰が出たり、気管支が細くなることによって空気の流れが低下します。また、気管支が枝分かれした末端にあるガス交換を行う組織である肺胞が破壊されて、肺気腫という状態になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下し、歩行時や階段昇降など、身体を動かした時に息切れを感じるいわゆる“労作時呼吸困難”が出現してきます。② 拘束障害をきたす疾患拘束障害とは肺、胸膜、胸壁の異常や、神経筋疾患などのために肺の拡張が制限され、肺活量の低下をもたらすものをいいます。肺結核、肺線維症、サルコイドーシス、肺結核手術後の胸郭変形、広範な胸膜癒着、ポリオ、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症などが原因となります。③ 慢性呼吸不全慢性の呼吸器機能障害による低酸素血症や高炭酸ガス血症のために、体にさまざまな異常を引き起こす病態です。前述の慢性閉塞性肺疾患が進行したり、結核後遺症などによる肺活量の低下が加齢などで進行すると、このような状態になります。神経系、循環器、腎、消化器などの多くの臓器に深刻の低下な合併症を引き起こすようになります。① 酸素療法のための機器慢性呼吸不全による低酸素血症が進んだ患者には酸素療法が有効であり、在宅酸素療法(Home…Oxygen…Therapyを略してHOT(ホット)と呼ばれている)により家庭や職場への復帰が可能となり、生活の質を高めることができるようになりました。装置には、液体酸素装置と酸素濃縮装置の2つがあります。在宅酸素療法は健康保険が適応されており、下記の条件を満たした場合に開始されます。⑴ 代表的な呼吸器疾患⑵ 人工臓器
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