第3章 第7節第7節 発達障害者187a…)綿密に注意することができない、または、不注意な過ちをおかすb…)注意を持続することが困難であるc…)直接話しかけられたときに聞いていないように見えるd…)指示に従ってやり遂げることができないe…)課題や活動を整理することが困難であるf…)精神的努力の持続を要する課題を避ける、嫌う、または、いやいや行うg…)課題に必要なものをなくすh…)外からの刺激によって注意をそらされるi…)日々の活動で忘れっぽい難が持続する場合もあります。【自閉スペクトラム症について】DSM-5では、「広汎性発達障害」にかわって、自閉症圏の障害としての共通性を重視した診断名として「自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)」が使われています。「スペクトラム」という言葉は「連続している」という意味で使います。図2では、「自閉スペクトラム症」という用語について、定型発達から典型的な自閉症までを自閉症の強弱で一続きのものとみなす点で、広汎性発達障害を統合する概念であるという考え方を表しています。ここでは従来の診断分類による「特定不能の広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」なども自閉症圏の障害であること、しかし、「自閉症」という診断名に比べると自閉症の特徴は軽度であることが示されています。ただし、自閉症の要素(社会コミュニケーション及び対人的相互作用の問題・行動や興味、活動の制限の問題)は共通していても、その現れ方は多様です。自閉症圏の障害にもさまざまあって、見た目には違う症状のように見えても自閉症として連続しているのだ、多動性/衝動性a)…手足をそわそわと動かしたり、またはいすの上でもじもじしたりするb)…座っていることを要求される状況でじっとしていられないc)…不適切な状況で走り回ったり、高い所へ上ったりするd)…静かに活動できないe)…"じっとしていない"…または、まるで…"エンジンで動かされるように"…行動する。他の人からは落ち着きがなく、じっとし続けるのが困難なように見えるf)…しゃべりすぎるg)…質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまうh)…順番を待つことや並んで待つことが困難であるi)…他人の邪魔をしたり干渉するというものです。また、「スペクトラム」は、知的に障害のある場合もあるが、ない場合もあり、それは連続しているという場合にも使います。高機能自閉症や高機能アスペルガー症候群という表し方をするときには、「自閉スペクトラム症」の高機能(知的障害を伴わない)者をさしています。【診断基準:DSM-5】自閉スペクトラム症は、自閉症圏の障害として2つの基準にそって診断されます。A 社会コミュニケーション及び対人的相互作用の問題B… 活動や興味の範囲の著しい制限・変化への抵抗などの問題DSM-5では、感覚に対する反応の乏しさや過度の反応に関する点が着目されています。なお、症状は児童期早期に存在しなければならないが、社会的な要求が制限された能力を超えるまで、十分に顕在化しない可能性もあるとされています。【問題への対処】自閉スペクトラム症は、認知的・社会的そして行動上の機能に重大な混乱と影響を及ぼす複合的な障害であると理解されています。このため、治療・教育・支援に際しては、薬物療法や行動療法をはじめとしてさまざまな方法が試行されてきましたが決定的な治療法は未だないというのが実状です。個別性に対応した包括的なアプローチが必要とされており、現実にプログラムも提案されています。しかし、このような対応によっても、長期的予後を含め、問題解決の困難な障害表3 注意欠陥多動性障害の診断不注意⑶ 知的障害のない広汎性発達障害(高機能広汎性発達障害/高機能自閉症/高機能アスペルガー症候群)/自閉スペクトラム症(High Functioning Pervasive Developmental Disorders:HFPDD /Autism Spectrum Disorder:ASD)
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