3相談の際の留意事項は、知的機能の障害を伴わないことによるものですが、知的障害を伴わないとしても自閉症の特性に関連したコミュニケーション障害は生じうると認識することが重要です。アスペルガー症候群B 行動、興味、活動の限局的、反復的な様式 （以下の４点のうち２点以上に該当）ａ）…常同的または反復的な話し方、運動、ものの使用ｂ）…習慣や儀式化された言語的あるいは非言語的行動パターンへの過剰な執着、あるいは変化への過度な抵抗ｃ）…強度または対象において異常な、限局的に固定化された興味ｄ）…感覚刺激への過剰反応、あるいは鈍感さ、あるいは環境の感覚的側面に対する独特の興味の障害の特徴を持つ者が存在し、2013年のDSM-５（精神障害の診断と統計マニュアル第５版）の改訂で、自閉スペクトラム症と注意欠如・多動症は併存が標記できるようになりました。自閉スペクトラム症のある成人では、知的障害、学習障害、発達性協調運動症などの併存がよくみられ、注意欠如・多動症には、それ以外の発達障害が併存するという多様な症状の形があるといわれています。障害が併存する場合、その現れ方を適切に評価し、必要な対応の優先性を考慮しながら支援を進めることが求められます。通常学級で課題の克服に努め、学校は卒業したものの「一般扱い」の求人ではうまくいかない発達障害の特定不能の広汎性発達障害図２ 自閉症スペクトラム障害 (井上，2011）表４ 自閉症スペクトラム障害の診断高機能自閉症自閉症⑶ 職業リハビリテーションのサービスの利用について⑴ 精神疾患の併存⑵ 発達障害の重複Point ! 発達障害については、二次的に発生する問題を含め、発達に伴う状態像の変化に対応する必要がある。第３章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第7節であるとされています。高機能の自閉スペクトラム症者の場合、言葉の遅れが目立ちにくいことから、一見、コミュニケーションに困難が少ないと受け取られることがあります。これ定型発達A …全般的な発達遅滞では説明できない、社会的コミュニケーション及び社会的相互作用の持続的障害 （以下の３点すべてに該当）ａ）…社会及び感情の相互性の障害ｂ）…社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害ｃ）…発達レベル相応の関係を築き、維持することの障害子ども時代に、基本症状によって「学習障害」と診断されたとしても、読み、書き、計算、推論といった知的活動で失敗経験を繰り返すと、二次的症状として自信や意欲の低下、情緒不安定、対人・集団不適応などを引き起こし、緘黙や不登校、攻撃性、非行などの問題が引き起こされる場合があります。また、「注意欠陥多動性障害」「広汎性発達障害」や「自閉スペクトラム症」と診断された場合にも、対人スキルの問題や行動抑制など行動上の問題によって失敗経験を繰り返す等で二次的症状が深刻化すると、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症することがあります。発達障害の各々は異なる疾患ですが、実際には複数 症状は在学中に現れるとされるが、職業選択や職場適応の時点で、どのような支援の課題があるのかについて、再検討する必要がある。188（注３） ICD-11の和訳は確定を待つ状態であり、記載した内ICDによる障害名は暫定的な名称です。今後これらは変更が加わる可能性もあります。
元のページ ../index.html#190