〈注〉 平成23年4月より精神障害者保健福祉手帳診断様式が改訂され、発達障害の状態像を記載する項目が設けられています。この改訂により、発達障害の診断がある者は障害者手帳の対象となることが示されています。また、平成30年4月より発達障害を含む精神障害者が雇用義務の対象となり、その確認は精神障害者保健福祉手帳で行うことが示されています。Q&A【問17】発達障害者支援法において、発達障害者の定義が示されている。(解答と解説はP290に記載しています)族と十分に連携することが重要です。本人への期待や指導方針については、家族にも十分フィードバックしながら目標を設定していくことが必要です。職場では障害特性を理解した担当者の配置が重要です。また、生活面の支援をするバックアップ機関との連携も必要になる場合があります。何よりも学校との連携あるいは学校卒業後に利用する機関や移行を支える機関との連携が重要となります。配慮事項、支援策の具体例として「発達障害者就労支援レファレンスブック(課題と対応例)(障害者職業総合センター,…2015)」が参考になります。就労支援の場面で現れる発達障害者のさまざまな職業生活上の課題を「業務遂行」「対人関係・コミュニケーション」「ルール・マナー」「行動面の課題」「自己理解や精神面の課題」の5つに分類したうえで、支援の場で現れることの多い143項目の課題が掲載されています。また、高等教育へ進学する発達障害のある学生へ関係機関が連携しながら支援する事例については、「発達障害のある学生の就労支援に向けて…-大学等と就労支援機関との連携による支援の取組事例集-(障害者職業総合センター,2023)」等に掲載されています。これらは、「発達障害のある社員への具体的な支援方法が知りたい」「発達障害のある学生の就労支援の効果的な進め方を知りたい」といった場合のヒントとなります。~障害者雇用職場改善好事例の入賞事例から~⑹ 関係機関との連携⑶ 指示理解に関する配慮⑷ 環境整備の課題⑸ 家族との連携第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第7節害特性にあった補助具の利用が有効な場合もあります。指示に際しては、スモールステップに分けて順に指示することが有効な場合もあれば、指示の単純・明確化(1度に1つの指示など)や強調化(色分けして指示を示すなど)、障害特性に対応した指示方法の選択(話し言葉で指示を出す方がよいか、指示書など文字情報の方がよいか、など)、コンピュータやスマートフォン・タブレットなど興味を引く媒体の使用などが有効な場合もあります。落ち着いて作業に集中するためには、障害特性に適した環境整備が必要です。音や人の気配などの刺激に敏感な場合には、過剰な刺激を遮断するためにイヤーマフの装着、パーテーションの設置、作業場所を変更する等が有効な場合もあります。また、こうした環境調整を行う場合、特性や配慮について、職場の同僚や上司と情報を共有することも必要となります。ただし、本人のプライバシーや意向に十分配慮することが何より重要です。問題への対処については、家族との連携がとても重要になります。家族は経験豊富な支援者でもありますし、また、相談者でもあります。特性理解においても行動理解においても、また、健康管理においても、家◇ 発達障害者の雇用事例(製造業)発達障害者の受け入れが初めてであり、どのように指導したらよいか、どのようにコミュニケーションを取ったらよいか不安だった。障害者本人が自分の特徴やセールスポイント、配慮を依頼したいことについてとりまとめた「自己紹介書」を提出してくれたため、それに基づき社内の障害特性理解に役立てた。入社にあたっては、地域障害者職業センターのジョブコーチによる支援を活用した。同時並行で作業をこなすことが苦手であったため、当日の作業を朝礼時に「作業計画書」をもとにわかりやすく指示したり、口頭での質問や相談が苦手だったため、業務日報を導入し作業の理解度や質問の有無を把握したりできるよう工夫した。これらの取組により、作業の手順を習得し、雇用継続につながった。190
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