R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
101/359

99第9節 使用者による障害者の虐待防止障害者虐待防止法では、障害者を雇用する事業主は、労働者に対する研修を実施することや、障害者や家族からの苦情処理体制の整備について講ずることなどが定められています。⑴ 研修の実施障害者虐待を防止するためには、障害者の人権につ⑶ 改正障害者雇用促進法に定めのある障害者差別(第4章第4節に詳述)と使用者による障害者虐待との関係について障害者差別は、障害者虐待防止法第2条第8項第3号の「不当な差別的言動」に該当することから、障害者差別が認められる場合には心理的虐待が認められます。身体的虐待、放置等による虐待、又は経済的虐待について、障害者差別禁止指針に定めのある分野における、障害者であることを理由とした障害者でない者との差別的取扱いとそれぞれの虐待に該当する行為が同時に行われていた場合には、各虐待と併せて、その差別的取扱いについて、障害者差別(心理的虐待)が認められます。(例1)‌ 危険作業を行わせる際に、障害者でない者に対しては適切な装備を与えるが、障害者に対しては、障害者であることを理由に、適切な装備を与えない。(身体的虐待と心理的虐待)(例2)‌ 障害者でない者に対しては食堂を利用させるが、障害者に対しては障害者であることを理由に、食堂を利用させない。(放置等による虐待と心理的虐待)(例3)‌ 障害者でない者に対しては最低賃金以上の賃金を支払っているが、障害者に対しては、障害者であることを理由に、最低賃金未満の賃金を支払う。(経済的虐待と心理的虐待)上記のとおり、障害者差別は心理的虐待に該当するため、障害者差別がある(又はその疑いがある)事案について把握した場合には、他の、使用者による障害者虐待事案と同様に対応することになります。じる行為を行うこと。【例:住み込みで食事を提供することになっているにもかかわらず食事を与えない、意図的に無視する、放置することで健康・安全への配慮を怠るなど】⑤ 経済的虐待 障害者の財産を不当に処分することその他、障害者から不当に財産上の利益を得ること。【例:賃金等を支払わない、賃金額が最低賃金に満たない(※)、強制的に通帳を管理する、本人の了解を得ずに現金を引き出すなど】※都道府県労働局長から最低賃金の減額特例許可を受けている場合については、減額後の最低賃金に満たないとき。⑵ 虐待の判断に当たってのポイント虐待が発生している場合、虐待をしている人(虐待者)、虐待を受けている人(被虐待者)に自覚があるとは限りません。従って、虐待の判断に当たっては虐待者、被虐待者本人の自覚は問わない、ということになります。虐待者が「指導・しつけ・教育」の名の下に不適切な行為を続けていることや、被虐待者が、自身の障害者の特性から自分のされていることが虐待だと認識していないこともあります。また、長期間にわたって虐待を受けたことから、被虐待者が無力感からあきらめてしまっている場合もあります。虐待かどうかの判断が難しい場合、市町村や都道府県、都道府県労働局では、虐待でないことが確認できるまでは虐待事案として対応します。対応の流れについては後述しますが、市町村や都道府県は、虐待を発見した者から受けた通報のうち、「使用者による障害者虐待ではないと明確に判断される事案を除いたもの」を全て、市町村は都道府県に、都道府県は都道府県労働局に報告することとされています。いての理解を深め、障害特性に配慮した接し方や仕事の教え方などを学ぶことが大切であるとの考えのもとに行うものとされています。研修内容としては①障害の特性を理解し、障害者への接し方を学ぶ、②どのような行為が障害者虐待に該当するのか、障害者虐待を事業所で発見した場合にどこに報告し、事業所としてどのような措置を行うかなどを学ぶ、などとなります。3障害者虐待防止のための措置に関する事業主の責務第2章 第9節

元のページ  ../index.html#101

このブックを見る