R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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102第2章 障害者の雇用管理上の留意点ここでは、「2.クライエントの感情表現を大切にする」や「5.クライエントを一方的に非難しない」といった相談中の心がけが示されているほか、「6.自己決定の尊重」や「7.秘密保持の重要性」といったさらに支援を行う上で前提となる原則についても示されています。 図2 バイステックの7原則•バイステックの7原則1.クライエントを個人として捉える2.クライエントの感情表現を大切にする3.援助者は自分の感情を自覚して吟味する4.受け止める5.クライエントを一方的に非難しない6.クライエントの自己決定を促して尊重する7.秘密を保持して信頼感を醸成する⑴ 相談員とクライエントとの間で「意味」が共有されているか國分康孝によると、カウンセリングとは「言語的および非言語的コミュニケーションを通して行動の変容を試みる人間関係」と定義されています。この定義に含まれる「コミュニケーション」とは何でしょうか。「コミュニケーション」とは、原義的には「送り手と受け手の双方が同じ規則に基づく記号操作を行い、互いに意味を共有し了解しあうこと」を意味するとされています(図3)。図3 コミュニケーションの成立つまり、言葉なりジェスチャーなりその他の方法でメッセージを伝えあうのがコミュニケーションですが、そのようなメッセージが何を意味するのかメッセージの送り手と受け手が共通に認識できることがコミュニケーションの成立には必要だということです。この、相談員とクライエントとで意味が共有されるよう留意することは、特に知的障害・精神障害など認知的能力に制約のある人との相談では重要でしょう。相談員の発した言葉がクライエントに相談員の意図した意味で共有されているのかどうか、その都度留意する必要があります。またこのような意味の共有の問題は、クライエントがその言葉を正確に理解している・していないということに限るものではありません。人は、辞書で定義されている内容以上の意味を込めて言葉を用いることがあります。例えば、「おはようございます」という挨拶を取り上げてみます。通常「おはようございます」は朝の時間帯に交わす挨拶であり、「合言葉」のようにこの挨拶が交わされることもあるでしょう。しかしながら、単なる合言葉ではなく、この挨拶言葉を発する際に発話者は相手の身体・心理的状態(今日も元気だろうか?)を確認するという気持ちが含まれていたり、また、遅刻している相手に挨拶をする場合には「なぜ遅刻したの(非難)?」、昨晩の居酒屋のことを思い出して「昨日の飲み会はお疲れ様でした」、といった気持ちを込めることもあるでしょう。つまり、交わされる状況、コミュニケーションの参加者によって、言葉に意味が付加されることもあると言えます。同じ言葉であっても、状況(会話の行われる文脈)によって意味するところは違う可能性があるのです。相談ではこ3その他の重要な心がけイヌが…イメージ・思考などイメージ・思考など犬なんだ!送り手受け手第2章 第10節

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