R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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115第1節 肢体不自由者す。⑵ 随伴障害およびその他の留意点 ① 随伴障害 肢体不自由が生じた原因によっては、運動機能の障害だけではなくさまざまな障害が併せて発生することがあります。たとえば、障害部位の痛覚、温・冷感などの感覚の低下・喪失のほか、体温調節機能の低下、排尿・排便機能の障害、てんかん発作、知能の障害などです。また、さまざまなタイプの言語障害を伴うこともあります。随伴障害が生じる場合でも、その程度は人によってかなり違いがあります。日常生活の中で対応に気をつければよい程度のものもありますが、継続的に医療管理が必要なものや職場の中での配慮が必要なものもありますので確認しておく必要があります。なお、医師などの専門家に照会する際には、本人のプライバシーに十分配慮しなければなりません。 ② 障害の予後と二次障害の防止 肢体不自由の障害は程度が変化しない固定的なものが多いのですが、進行性・変動性の病気が原因となっている場合は障害の変化や進行を想定する必要があります。また、障害によっては、身体的な負荷が長期間加わることで関節などに二次的な不調が生じることがあります。過重な負荷とならないよう作業内容・時間などについて配慮を行うことや定期的な受診によって予防することが肝要です。また、休日・就業時間外の十分な休養のほか、スポーツなどを通じた健康の維持・増進が特に推奨される場合もあります。 ③ 障害発生の時期による影響 肢体不自由は先天的(出生前の受障)にも後天的(出生後の受障)にも発生します。先天性など早期に障害が発生した場合には、障害を補うための動作が熟達する反面、社会生活・日常生活上での諸々の経験の幅・蓄積に影響が生じる場合があります。また、成長後に障害が発生した場合には、自分の障害を受け容れること、生活や仕事などの将来設計を切り替えることなどの多大な心理的負担を経験することが少なくありません。2雇用上の配慮⑴ 基本的な考え方 運動機能の障害はあくまでも個人の属性の一つです。また、障害の状況は類似していても、性格や経験、適性、蓄積した技量、特技などは個人によって異なります。したがって、肢体不自由者の雇用においては、一般の場合と同様に、その人の職業的資質や資産にまず注目することが基本となります。その上で、運動機能障害が職務遂行上で特に制限となるのかどうかを考えることが大切です。また、採用に当たっては、合理的配慮としてどのような措置を講ずるかについて十分に検討することが重要となります。 なお、肢体不自由の原因や機能障害の種類に応じて共通するような配慮事項もありますが、個々の違いについて考慮することを忘れてはいけません。⑵ 職種や職務内容についての考え方① 残存能力の活用 障害の部分に注目するあまり、できないことばかりが目についてしまうことがありますが、職業活動は人間の能力のすべてを使うわけではありません。非障害部位を使って仕事をすることは可能です。また、運動機能に制限があるとしても、一部に可能な動作が残っていることも少なくありません。非障害部位の活用はもとより、治工具・補助具なども活用しながら障害部位の残された動きを補助的であっても有効に使うことができるよう配慮する必要があります。② 職種・職務内容の調整 原則として、障害の有無のみによって配置を決めることは不適切です。合理的配慮を行った上で、労働能力を適正に評価することが前提となります。その上で、柔軟に検討するのが望ましいと言えます。たとえば、空席のある職種の職務要件に適する人を選別するのではなく本人の能力に適する職種を選択的に探すこと、既存の職種内容を固定的に考えるのではなく職務内容を組み合わせや工程を変えるなどによって遂行可能な職務に再構成するなどです。⑶ 設備の改善・補助具の活用 肢体不自由者の動作上の制限を補うために、状況に応じて設備の改善・補助具の活用などの合理的配慮が求められます。これらは生産性に関係するだけではなく、職場適応を進める上においても重要なポイントとなります。たとえば次のようなものがあります。・細かな動作ができないなどの制限を補うために、機第3章 第1節

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