R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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116第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮 義肢・装具・車いす等の補装具は、運動機能障害をもつ肢体不自由者の身体機能を補完代償し、作業や移動等を支援する重要な役割を担っています。眼鏡や補聴器等、肢体不自由以外の身体障害者用の補装具もありますが、ここでは、義肢・装具や車いすの種類と特徴について述べます。⑴ 義   肢 義肢は、切断等により四肢の一部を欠損した場合に、元の手足の形態又は機能を復元するために装着、使用する「人工の手足」と定義され、上肢切断者用の義手と下肢切断者用の義足があります。 また、その構造によって殻構造義肢と骨格構造義肢があります。3義肢・装具・車いす械化、治工具・補助具を使用する。・車いすを利用したままで作業する場合などの作業姿勢の制限を補うために、作業台・机の高さの調整、配置の変更を行う。・下肢障害者の移動上の制限を補うために、通路を整頓する、作業座席の配置を工夫する、手すりをつける、スロープを設置する、エレベーターを活用する。・トイレの改造や洗浄便座の導入、通勤に自動車を使用する場合には駐車場を確保する、体温調節が難しい場合などで室温調整に留意したり体温調節しやすい服装の着用を認める。⑷ 通勤・体調管理等への配慮 車いすを利用する下肢障害者や体力に制限がある障害者などでは自動車通勤となることが多くなります。交通事情などのために通勤の負担が強くなる場合には、時差出勤や在宅勤務の検討が望まれます。 また体調や通院に配慮した休暇休憩も考慮する必要があります。⑸ キャリア・技能の向上についての配慮 研修先の物理的環境の問題からOFF-JTの機会が限られることがないよう代替手段を含めて配慮する必要があります。⑹ 精神面への配慮 職場適応を促進するためには、物理的な環境の整備のほか、精神的な側面への配慮や対応が非常に重要であることは言うまでもありません。障害者それぞれの個性や事情のちがいがあるため、対応はケースバイケースで考えなければなりませんが、共通して雇用主側が配慮すべき点には、障害者の不安や遠慮及び希望への対応と、個人尊重の姿勢があります。新規に採用される場合であっても在職中に受障した場合でも、職場の要求水準を満たすような仕事ができるか、解雇されないか、同僚との人間関係を(再)構築できるか、迷惑をかけないかなどの不安が強くなりがちです。また、遠慮があり配慮して欲しいことを言い出せないこと、逆に何かの配慮を提案された時に本当は必要がない場合でも言い出せないことがあるかもしれません。このような心理を理解することがまず重要になります。また、一緒に働く同僚に対する配慮や理解を促すことも雇用主の重要な合理的配慮になります。設備の改善等を行った場合、その障害者のためだけに特別の配慮をしているという不満を同僚が持つことがないよう、事前にあるいは普段から障害者に対する理解や配慮を促すような働きかけが望まれます。また、雇用主や社内の障害者担当など一部の人の努力だけで職場適応の促進を図るのではなく、障害者、雇用主、同僚が相互に立場を理解し合うことができるよう、フォーマル、インフォーマルなさまざまな機会を日常的に活用していく工夫が大切です。⑺ 重度障害者、重複障害者への配慮 脳性まひ、脳血管障害、頚髄損傷に代表される中枢性の障害は、障害部位の範囲が広く、重度障害になりやすいことに加え、随伴障害を生じることも多くなります。また、肢体不自由の程度は軽いものの、雇用上においては知覚や認知等の随伴障害に関する配慮が欠かせない人もいます。このような重度障害者、重複障害者の場合には個別的な配慮が一段と必要となります。詳しくは第2章「障害者の雇用管理上の留意点」の第7節「障害者の健康と安全」や第3章「障害別にみた特徴と雇用上の配慮」の第8節「その他の障害者」の「2 高次脳機能障害」をご参照下さい。(倉本 義則)第3章 第1節

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