R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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123第2節 視覚障害者個々人の眼の状態に合わせた状況の把握や配慮が必要になります。視覚障害等級を視力の値と視野障害の程度によって定めています。しかし、視覚障害の障害等級と実際の見え方が対応しないこともあります。就労の現場では、全盲とは視力がゼロで、光覚もない状態をいいます。また、光覚ないし何らかの保有視力がある状態をロービジョン(弱視)といいます。視覚障害者全体に占める全盲者の割合は、わが国ではおよそ20%、米国では15%といわれています。視覚障害者の多くは視力を有しており、さらにその多くは適当な支援機器を利用すれば文字の読み書きなどが可能な人々であるということです。視覚障害者の雇用上の配慮事項を考える場合、保有視力の有無、特に文字の読み書きができる視力の有無によって、その対応は異なります。ここでは、視力ゼロで光覚もない厳密な意味での全盲に加えて、多少の光覚はあるが、種々の支援機器を使っても残存視力では文字の読み書きができない人を含めて全盲とします。このような全盲者にとって重要な情報の形態は、聴覚情報と触覚情報です。一方、支援機器を活用することで残存する視力により文字の読み書きが可能な場合をロービジョンとします。ロービジョンでは主に視覚情報を活用します。近年では、視覚障害者が就労する事務的職種やシステムエンジニア(SE)等の技術的職種を中心として、多くの場合でPC(パーソナルコンピュータ)の利用が必須となっていますが、PCの利用についても、文字の読み書きができる視力の有無によって対応が異なります。⑴ 全盲者の利用する情報形態とPCの利用全盲者の場合は、視覚情報を利用することができないので、それを聴覚情報や触覚情報で代替しなければなりません。全盲者の情報伝達手段としては、まず初めに点字を思い浮かべる人が多いと思います。点字は大変重要なコミュニケーション手段ですが、すべての全盲者が点字使用者ではありません。点字の習得は、中途視覚障害にとって容易ではありません。特に中高年で失明した人々にとって社会生活、とりわけ就労の場面で実用的に点字を取り扱うレベルに達することは並大抵ではありません。点字が十分に使用できるレベルにない場合は、音声情報が最も重要な情報となります。一般に文字を読みながら熟考するような場合には流れていく音声情報に比べ、能動的に読み進めることのできる点字や普通文字の方が望ましいといわれています。全盲者のPCの利用についても、視覚情報の替わりに聴覚情報や触覚情報を利用します。聴覚情報の利用の代表的なものはスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)です。PCの画面のテキスト情報を読み上げさせることによりPCを操作します。文字の詳細読みの機能があるので漢字や記号の詳細の確認もできます。文字入力についても、この詳細読みの機能により同音異義語などの区別をつけることができます。このように、全盲者でもPCを活用することで電子化された情報にアクセスすることができます。また、PC上においては、全盲者でも普通文字を扱うことができます。スクリーンリーダーの詳細については後で述べますが、ワープロソフト、表計算ソフト、プレゼンテーション用ソフト、データベースソフトなどが利用できます。また、メールやインターネットの利用が可能ですし、範囲は限られますが各種プログラミング言語の利用が可能です。触覚情報の利用の代表的なものは点字ディスプレイです。スクリーンリーダーの点字ディスプレイ表示機能により画面情報を点字で表示します。基本的には、スクリーンリーダーで読み上げることのできる情報と同等の情報が点字ディスプレイでも表示されます。スクリーンリーダーによる音声読み上げと点字ディスプレイの併用も可能です。一般的には、メールアドレスや数式、そしてプログラミング言語を取り扱う際には、音声読み上げよりは点字ディスプレイを利用する方が速く正確に確認することができます。また、電話で通話中のときなどでは、会話のために聴覚情報を利用するので、点字ディスプレイを利用してメモをしたり、顧客情報などを調べたりすることができます。特に、電話での顧客対応が多い場合は点字ディスプレイの利用は効果的です。このように全盲者でもPCを利用してかなりの範囲の仕事ができますが、画像情報の取り扱いは現状でも困難な状況にあります。昨今、PC上や業務の上で配布される資料には図や写真などの画像情報がふんだんに用2全盲・ロービジョン(弱視)者の利用する情報形態とPCの利用第3章 第2節

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