R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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124第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮いられるようになりましたが、全盲者には画像情報の理解が困難です。このような画像情報の取り扱いに対処することが、全盲者の就労を推進する上での課題でもあります。⑵ ロービジョン者の利用する情報形態とPCの利用ロービジョン者は、主に視覚情報を利用し、普通文字を取り扱いますが、一口にロービジョンと言っても、その見え方は様々です。必要に応じてロービジョン用レンズなどを用いるだけで文字の読み書きができる場合もありますし、常に拡大読書器を必要とする場合もあります。視力や視野などの関係で一概には言えませんが、適切な支援機器を活用することで図形情報を扱うこともできます。見え方が人によって違うので、その人の視力、視野、適切な光量、色の見え方などに応じた適切な作業環境や作業内容を設定することでより効率的な作業を行なうことができます。ロービジョン者のPCの利用についても、基本的には視覚情報を利用することになります。Windowsの場合はOS(基本ソフト)の機能である「ユーザー補助」で表示するテキストの大きさの設定、文字と背景色の設定、マウスポインタの大きさの設定など各種設定ができます。ユーザー補助の設定で間に合わない場合は、OSの画面拡大機能を利用したり、Zoom Textなどの画面拡大ソフトを利用します。機能の詳細は後で述べます。また、眼の疲労を妨げたり、作業の正確性を高めるためにスクリーンリーダーによる音声読み上げを併用する場合もあります。⑶ スマートフォン・タブレットの利用2007年のiPhoneの発売以来、スマートフォン・タブレット等の画面を触ることにより操作を行うことができるタッチスクリーン端末が普及してきました。視覚障害者への普及率は7割程度といわれています。Android端末はTalkbackという読み上げ機能を追加する等の設定の必要があり、初心者には少し敷居が高いですが、iPhoneはVoiceOverという音声読み上げ機能やズーム機能・拡大鏡等の画面拡大機能が標準で装備されているので、視覚障害の初心者でも比較的使いやすい状況です。特に全盲者の多くはiPhoneを使用しています。タッチスクリーン端末では、ホームボタンや電源ボタン、音量ボリューム調整ボタン等と、備えられている物理的なボタンはわずかで、タッチスクリーン上に配置されたボタン等を触れるジェスチャーにより操作します。VoiceOver等の音声読み上げ機能を利用して操作する場合には、まず初めに画面をタッチする(触る)ことにより画面の内容を確認します(この時点では押された場所の内容を読み上げるだけでボタンを押しても実行されません)。内容を確認した後にボタン等を押す場合には、そのボタンをダブルタップ(2回連続押し)し、実行します。ダブルタップの他にスプリットタップ(実行するボタンをタップしながら他の指で違う場所をタップする操作)という方法もあります。なお、タップとは画面を指先で軽くつつくジェスチャーのことです。上記のように画面上をタッチしながらボタンやテキストの内容等を読み上げ、画面上に何があるかを確認する方法の他に、フリックという操作で画面上の項目を移動させながら画面上の内容を確認する方法があります。なお、フリックとは、画面を軽くはじくようなジェスチャーです。指を画面に触れて、すぐに縦方向か横方向に素早くスライドさせながら指を離します。以上のように、隅から隅までタッチしながら画面上のどこに何があるかを探索し確認する方法と、フリックにより画面上の項目を移動させながら画面上に何があるかを確認する方法があります。一般的には、操作に慣れていない画面ではフリックにより全項目をしっかりと確認しながら操作し、どこに何があるかよく知っている画面ではタッチによりボタン等をすばやく押すようにしています。このように慣れていない画面と慣れている画面とで操作方法を使い分けている場合が多いです。使用可能なアプリケーションは、メール、Webブラウザ、カレンダー、時計機能、地図、一般的な設定等比較的多くのアプリケーションがVoiceOverに対応しています。視覚障害者の歩行を支援するナビゲーションソフトや、カメラで写した物体を画像認識し読み上げさせるアプリケーション等もあります。Siriという声でiPhoneを操作する機能により、アラームを設定したり、天気予報を確認したり、電話帳に登録してある人に電話を掛けたりと音声操作の機能を活用している場合もあります。なお、スクリーンカーテンという機能を使用すると、画面が真っ暗な状態でのVoiceOverによる操作が可能で、視覚障害者のプライバシーを確保することができます。このように既にスマートフォン・タブレットは視覚障害者にも普及していて、今後は就労の場面でも益々第3章 第2節

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