R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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133第3節 聴覚・言語障害者こで通用するサインを決めておくことも、手話の使用の有無をこえた重要なコミュニケーションとなりえます。なお、平成23年8月に障害者基本法が改正され、手話を含む意思疎通のための手段について選択の機会が確保されることが明示されました(第3条)。手話が言語として認められたことで、手話の重要性に対する認識がさらに高まることが期待されます。⑵ 指 文 字50音を片手の指で表します。固有名詞や外来語など手話表現が決まっていない単語を表すときに使います。濁音や半濁音、長音や拗音などにも対応できます。手話表現を忘れてしまったときにも便利です。指文字単独でコミュニケーションは行いませんが、手話と交えて使います。⑶ 筆   談話したいことをお互いに紙に書いてやりとりする方法です。絵や記号を書くのも一つの方法です。筆談でコミュニケーションというと負担感を覚えがちですが、実際に職場ではいろいろなメモをやりとりすることが多いのではないでしょうか。特に、仕事上の重要な指示などはメモの方が確実です。その意味で、一般的なメモの延長であると思えば、筆談は気軽にできるものです。ただし、二重否定や婉曲表現は避けるようにします。「その方法を好まないわけではない」といった表現はわかりにくく誤解のもとです。また、いいたいことをそのまま文章で書けば完全に理解してもらえると思いがちですが、相手の音声言語としての日本語の理解力にもよりますので、伝わったかどうか確認する必要があります。⑷ 空   書空文字ということもあります。空間に人差し指でそのまま単語を書いてください。「相手から見るとどのように書けば…」などと鏡文字にする必要はありません。同じ方向を向いて書けばさらにわかりやすくなります。手話と交えて使うことも多く、固有名詞や数字などを大勢の人たちに伝えるときにも便利です。⑸ 口   話口話には、「読話」と「発語」があります。読話は、聴覚障害者が相手の唇の動きを見て何を話しているのかを理解する方法です。母音が同じ言葉であると、口の動きは一緒になるので注意が必要です。例えば、「たばこ」と「たまご」は同じ母音ですから、話の前後関係から判断できるようにしなければなりません。かといって必要以上に大声で、一音ずつ区切ってもかえってわかりにくいので、ゆっくりはっきり発音することが大切です。発語は、聴覚障害者自身が話すことですが、年齢や訓練の状況によって差があります。初めは聞き取りにくいこともありますが、慣れると結構わかってくるものです。わからないときはわかったふりをしてそのままにしないこと。後で大きな誤解につながります。聴覚障害者も、「何度も聞かれることはそう苦痛ではないし、むしろ、ちゃんと聞いてくれているということでうれしい」と言っています。もし、どうしても通じないときには、違う表現に変えてみるといった工夫も必要です。⑹ 聴覚の利用補聴器を使用して、残っている聴覚を利用することもあります。ただし、補聴器の効果にも個人差があり、明瞭に言葉を聞くことはできず、車のクラクションなど、音の認識のみの人もいます。補聴器のそばで大声で話されるとガンガン響いてわかりにくいという人もいます。また、補聴器は聞きたい人の声だけを大きくすることはできないので、例えば地下鉄の中など雑音が多いところではすべての音を拾ってしまうので効果は低くなります。⑺ TPOに応じたコミュニケーションが大切以上のようにコミュニケーションにはさまざまな方法があります。固定的に考えるのではなく、TPOに応じて柔軟に手法を考えていく必要があります。例えば、作業指示など重要な事項は筆談で、昼食や休憩のときの和やかな雰囲気づくりは、たとえ覚えたてでも手話を使ってというように。そしてコミュニケーションを円滑にするための要素、すなわち、表情や身振り、手振りなど、どんどん取り入れていくことが大切です。場や環境の設定も円滑なコミュニケーションにとって大切な要素です。逆光であると、手話や読話が難しくなります。相手と顔を見合わせることが必要で、例えば、朝礼や研修の際、話し手が下を向いたり、黒板第3章 第3節

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