R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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140第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第4節身体障害者福祉法での身体障害者手帳交付に当たっての心臓機能障害の等級基準は、主に、①不整脈、②虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、③心筋症などにより心臓の本来の働きが障害され、このため日常生活活動が制限されるものにわかれており、障害程度により1級(自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの)、3級(家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの)、4級(社会での日常生活活動が著しく制限されるもの)と決められています。⑴ 代表的心疾患① 不 整 脈心臓のリズムをつくり出す洞結節のパルスの発生が不規則になったり、刺激を伝える刺激伝導系以外のところから異常なパルスが発生したり、あるいは正しくパルスが伝わらなかったりすると、心拍数が異常に速くなったり遅くなったり、又はリズムに乱れを生じたりします。このような異常を不整脈といいます。② 虚血性心疾患ア 狭心症心臓を養っている冠状動脈の血流量が相対的、あるいは絶対的に減少し、心筋の需要に応じきれないため狭心痛発作を起こすもので、狭心痛発作のほかに、胸部の絞扼感、圧迫感、灼熱感などが短時間みられます。イ 心筋梗塞心筋を養っている冠状動脈の血流が途絶えたり、あるいは極度の減少のために心筋が壊死し、このため激しい胸痛が出現します。心筋梗塞はいわば狭心症の終末像ともいえます。ウ 心筋症心筋症は原因不明の一次的に心筋が冒される病気をいい、拡張型、肥大型、拘束型の三つに分けられます。エ 弁膜症心臓には三尖弁、僧帽弁、肺動脈弁、大動脈弁と四つの弁があり、血液を一定方向に流すように機能していますが、何らかの原因によりこれらの弁の機能が障害されたものをいいます。オ 先天性心疾患胎生期初期の心臓血管系の発生異常により引き起3心臓機能障害こされる、先天的な心臓血管系の構造機能上の異常を呈する疾患をいいます。カ 心不全原因疾患のいかんにかかわらず、心臓のポンプ機能が障害され、身体の各臓器に十分な血液を送れず、肺・肝臓・腎臓などに血液のうっ滞が起こる状態をいいます。心不全になると、息切れ・呼吸困難・頻脈・チアノーゼ・浮腫などの症状を呈するようになります。⑵ 心疾患患者の雇用上の一般的注意点心疾患患者を雇用するうえで大切な点は、患者の状態を正しく理解し、なるべく心臓に負担のかからないような仕事を心がけることです。状態観察のポイントとなるのは、顔色・脈拍・呼吸状態・皮膚の色や状態・むくみの有無などです。脈が速い(頻脈)、呼吸が荒く息切れがしている(呼吸困難)、顔色が悪く四肢末梢が紫色に見える(チアノーゼ)、顔や四肢がむくんでいる(浮腫)などは、心不全の徴候として大切です。これらの徴候がみられる場合、心臓機能は低下しており、座位での仕事でも長時間労働は心臓に負担がかかることが予想されます。したがって、このような徴候がみられる場合は、絶えず患者の状態を観察しながら、早めに専門医の診察を受けるように指導することが大切です。また、仕事中に少しでも変わったところがみられたら、横になり安静にし、心臓への負担を軽減します。⑶ 人工臓器心臓機能障害において用いられる人工臓器としては、主に不整脈に用いられる心臓ペースメーカー、さらに弁膜症に用いられる人工心臓弁、突然死の原因となることが多い心室頻拍や心室細動などの、致死的不整脈に対して用いられる埋め込み型除細動器があります。① 心臓ペースメーカー人工的電気刺激により心臓を興奮収縮させる装置を心臓ペースメーカーとよび、刺激伝導系の何らかの障害により、心臓に著明な不整脈(極端な徐脈あるいは心臓停止)を生じさせるような疾患に対して適応としています。生活上の注意点としては、ペースメーカー

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