R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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141第4節 内部障害者腎臓の機能が高度に障害されて体液の恒常性が維持できなくなった状態を、腎不全といいます。腎機能が正常の25〜30%以下になると腎不全の状態となり、さらに腎機能が低下して10%以下になるといわゆる尿毒症となり、人工透析療法や腎臓移植療法が必要となってきます。腎不全には、急性に発症して腎機能が急激に低下する急性腎不全と、慢性に経過する慢性腎不全があります。急性腎不全は、多くの場合可逆性であり、慢性腎不全が透析導入後ほとんど離脱できず不可逆性であるのと比べ、大きな違いがあります。急性腎不全の原因としては、腎毒性物質又は虚血による急性尿細管壊死によることが多く、慢性腎不全の原因疾患としては、糖尿病性腎症❶が最も多く、次いで慢性糸球体腎炎で、高血圧による腎硬化症も多い原因です。新規の透析の原因疾患としても、糖尿病性腎症が最多です。内部障害者の対象となるのは慢性腎不全ですので、以下慢性腎不全について記述します。⑴ 慢性腎不全の臨床症状慢性腎不全は数ヶ月ないし数年間にわたる持続性の腎予備力の減退に基づく非可逆性の腎機能不全の状態であり、臨床症状は多種多彩です。① 精神・神経症状――頭痛、不安、不眠、精神障害、けいれん、昏睡、末梢神経障害。4腎臓機能障害② 消化器症状――悪心、嘔吐、食思不振、下痢、吃逆、口内炎、耳下腺炎、膵炎、胃腸炎、消化管出血。③ 循環器症状――心肥大、心不全、浮腫、心外膜炎、高血圧、脳出血。④ 呼吸器症状――肺炎、呼吸困難、呼吸促迫。⑤ 造血器症状――貧血、出血傾向(腸管出血、鼻出血)。⑥ 皮膚・粘膜症状――色素沈着、紫斑、かゆみ、皮下出血。⑦ 眼症状――結膜炎、角膜のカルシウム沈着。⑧ 骨障害――腎性骨異栄養症(線維性骨炎、骨軟化症)。⑵ 慢性腎不全の治療慢性腎不全は生涯にわたって継続治療を必要とします。治療の要点は下記の4項です。① 適度な運動、食事療法(蛋白質、食塩、水分制限)。② 増悪因子の除去(保温、感染の予防に配慮)。③ 対症療法(降圧剤、抗生物質などの投与)。④ 透析療法、腎移植。⑶ 透析療法上記①②③の治療法で症状の改善が認められない場❶ 糖尿病性腎症:糖尿病に特有な合併症として、腎症、網膜症、神経障害がある。この中で、生命予後に最も重要な関係を有するのが腎症である。このため、尿蛋白の検査を欠かさずに実施して、早期に腎障害を発見し、治療することが大切である。固まりにくくする薬物(抗凝固剤)を術後に服用させています。このため合併症としてわずかの打撲程度でも出血しやすくなっているため注意が必要です。③ 埋め込み型除細動器(ICD)埋め込み型除細動器(ICD=Implantable Cardioverter Defibrillatorの略)は、前述したように突然死の原因となることが多い心室頻拍や心室細動などの致死的不整脈に対して、心臓ペースメーカーと同じように体内に埋め込みを行う電気刺激装置です。日常生活上の注意としては、心臓ペースメーカーと同じように、電磁波を発生する機器の近くではICDの作動に影響を及ぼし、場合によっては失神などを起こすことがあるため、使用しない・近づかない注意が必要です。(草野 修輔)の感知部分に体外から雑音が混入し、誤作動する場合があることで、例えば高エネルギーの電磁波を発生する家庭電気製品(電磁調理器)、医療用機器、工業用機器について、使用しない・近づかない注意が必要です。② 人工心臓弁機能障害のため正常に働かなくなった弁膜の代用として、機械的に又は他の動物の弁や心膜を加工し、正常に近い弁機能をもたせようとしたものが人工心臓弁であり、各種弁膜症で臨床症状や検査所見の程度が悪いものが人工心臓弁置換術の適応となります。生活上の注意点としては、人工心臓弁では血の塊(血栓)が弁に形成されやすく、血栓が末梢に飛んで塞栓症状を起こしやすくなります。これを防止するために、血を第3章 第4節

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