R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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142第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第4節合に透析療法が実施されます。透析療法は失われた腎機能を代行し、血液を浄化する治療法ですが、腎機能すべてを代行するわけではありませんので、同時に食事療法、薬物療法が必要です。透析療法には腹膜透析と血液透析があります。腹膜透析は患者自身の腹膜を透析膜として施行するもので、透析効率は血液透析より劣りますが操作は簡単で安全性も高く、在宅でも手軽に行える利点があります。ただし、腹膜炎を合併する危険性があります。腹膜透析としてはCAPD(連続携帯式腹膜透析:Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis)が一般的で、腹腔に腹膜透析用カテーテルを固定装着し、透析液を腹腔内に入れたまま社会活動し、1日に3~4回自分で注液、排液を行い透析液を交換する透析法であり、完全社会復帰を希望する患者、シャント(連結口)作成が困難で血液透析の実施が困難な症例などに用いられています。長期には腹膜が肥厚するため血液透析に移行しなければならない場合があります。一方、血液透析(人工腎臓)は人工半透膜の間を血液を通過させ、透析を行うもので、透析効率がよく、体液異常の改善が急激に起こりますが、血液を体外循環させるために動・静脈のシャント(連結口)が必要で、小手術を行う必要があります。現在、血液透析が長期透析療法の主役となっており、平成10年から在宅血液透析も保険適応となっています。合併症については、腹膜透析患者では腹膜炎の早期発見に注意すること、血液透析患者ではシャントの管理が重要です。⑷ 腎 移 植腎不全の治療法としては非常にすぐれた方法で、全身状態、腎臓の提供者などの状況が整えば、選択肢の一つになります。移植後は、まず免疫抑制剤をきちんと服用する必要がありますが、食事制限、透析のための頻回な通院などの生活上の制限は大きく減ります。移植後半年を過ぎれば、通常の運動も可能となります。⑸ 腎機能障害者に対する雇用上の一般的注意事項本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し以下に示す様な障害の内容や必要な配慮等を説明する必要があります。① 全身的な体力の低下を伴っていることが多く肉体的重労働には適していません。ただし、近年は不動による健康リスクの方が重要視されてきているため、レクリエーションレベルで本人の体力に合った運動は積極的に勧められるようになってきているため、無理のない活動であれば参加は可能です。② 体調の変動を伴うことが多いので、体調に応じた業務量の調整が必要です。③ 医学的管理は重要で、定期的に継続して医療を受ける必要があり、定期的な通院に関する配慮が必要です。④ かぜなどの感染症に罹患しやすいので、その予防を心がける必要があります。⑤ 長期間の療養の結果、精神的、心理的、経済的、社会的にハンディキャップを負っている場合は、温かい態度で接し、患者のもつ問題点を理解し、それぞれに応じた援助を行う必要があります。⑥ 身体を寒冷にさらさないような温暖な労働環境が腎機能障害者には望まれます。⑦ 移植腎は腹部にあるので、腹部を圧迫するような作業は、避ける必要があります。(佐久間 肇)ヒトは呼吸により大気中の酸素を取り入れ、体の各組織での化学的燃焼によって生じた炭酸ガスを体外に排出することで生命を維持しています。このガス交換の過程のどこかに障害が起こると、呼吸器の機能障害が起こることになります。身体障害者福祉法でいう呼吸器機能障害とは、病因を問わず、このような障害が長期に続く慢性の呼吸器の機能障害を指しており、指数(予測肺活量1秒率=1秒量÷予測肺活量×100)と動脈血酸素分圧及び行動範囲などを指標として障害が判定され、その程度により1級(呼吸器の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの)、3級(呼吸器の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの)、4級(呼吸器の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの)の身体障害者手帳が交付されます。慢性の呼吸障害をきたす代表的な疾患は以下のとおりです。5呼吸器機能障害

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