R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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143第4節 内部障害者 (ア)高度慢性呼吸不全例  ただし、動脈血酸素分圧(PaO2) が55Torr(mmHg) 以下の者、およびPaO2が60Torr(mmHg)以下で睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症を来す者であって、医師が在宅酸素療法を必要であると認めた者。適応患者の判定にパルスオキシメータによる酸素飽和度から推測し、PaO2を用いることは差し支えない。 (イ)肺高血圧症 (ウ)慢性心不全の対象患者  ただし、医師の診断により、心不全の重症度分類で用いられるNYHA(New York Heart Association)Ⅲ度以上であると認められ、睡眠時のチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸および低呼吸数をいう)が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上で確認されている症例。 (エ)チアノーゼ型先天性心疾患   チアノーゼ型先天性心疾患に対する在宅酸素療法とは、ファロー四徴症、大血管転位症、三尖弁閉鎖症、総動脈幹症、単心室症などのチアノーゼ型先天性心疾患患者のうち、発作的に低酸素または無酸素状態になる患者について、発作時に在宅で行われる救命的な酸素吸入療法をいう。② NPPV(Noninvasive Positive Pressure Ventilation=非侵襲的陽圧換気療法)NPPVは、気管内挿管や気管切開処置をせずに行う換気療法で、フェイスマスクや鼻マスク、鼻プラグを通して上気道に陽圧を加え、肺の換気を補助する人工呼吸法であり、ポリオや筋萎縮性側索硬化症、進行性筋ジストロフィーなどの神経筋疾患で、呼吸筋の障害により換気機能が低下した場合に導入されることが多い治療法です。後述のベンチレーターとは異なり気管内挿管や気管切開処置などをしなくても良いため、食事や会話が可能です。NPPVで使用するマスクやインターフェースとしては、フェイスマスク、鼻マスク、鼻プラグ、マウスピースなどがあり、疾患内容や呼吸状態、患者の希望などを総合的に判断して適切なものを選択します。③ ベンチレーター(人工呼吸器)ポリオや筋萎縮性側索硬化症、進行性筋ジストロフィーなどの各種神経筋疾患などで、NPPVでの対応でも呼吸運動がさらに低下してくると十分な呼吸サポートが出来なくなり、ベンチレーターに頼らなけれ⑴ 代表的な呼吸器疾患① 慢性閉塞性肺疾患広範な気管支の狭搾を示し、1秒率の低下をきたすものをいい、以下の疾患が含まれます。ア 慢性肺気腫肺胞が破壊されて全体として肺が異常に膨張する疾患で、さまざまな程度の呼吸困難を訴えます。身体所見は努力呼吸、呼気延長(ゆっくりでしか息が吐けない)などがみられ、進行するとチアノーゼもみられます。イ 慢性気管支炎慢性の咳と痰を主症状とし、進行すると呼吸器の機能障害を示します。② 拘束障害をきたす疾患拘束障害とは肺、胸膜、胸壁の異常や、神経筋疾患などのために肺の拡張が制限され、肺活量の低下をもたらすものをいいます。肺結核、肺繊維症、サルコイドーシス、肺結核手術後の胸郭変形、広範な胸膜癒着、ポリオ、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症などが原因となります。③ 慢性呼吸不全慢性の呼吸器機能障害による低酸素血症や高炭酸ガス血症のために、体にさまざまな異常を引き起こす病態です。前述の慢性閉塞性肺疾患が進行したり、結核後遺症などによる肺活量の低下が加齢などで進行すると、このような状態になります。神経系、循環器、腎、消化器などの多くの臓器に深刻の低下な合併症を引き起こすようになります。⑵ 人工臓器① 酸素療法のための機器慢性呼吸不全による低酸素血症が進んだ患者には酸素療法が有効であり、在宅酸素療法(Home Oxygen Therapyを略してHOT(ホット)と呼ばれている)により家庭や職場への復帰が可能となり、生活の質を高めることができるようになりました。装置には、液体酸素装置と酸素濃縮装置の二つがあります。在宅酸素療法は健康保険が適応されており、下記の条件を満たした場合に開始されます。ただし、HOTの導入に際しては、有効とされる他の治療(薬物療法、呼吸器リハビリテーション)を十分に行っても1ヶ月以上にわたり低酸素血症が持続することを確認する必要があります。ア 対象疾患第3章 第4節

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