R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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144第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第4節分脊椎と、脱出を伴い体表へののう状膨隆を認めるのう状二分脊椎があります。神経因性ぼうこう❸を示すのは、のう状二分脊椎のうち、のう状膨隆の中に神経根や脊髄を含む脊髄髄膜瘤とよばれるものに多くみられます。残尿が多く、ぼうこう内から尿管に尿が逆流するために、適切な処置(導尿❹処置やストマの造設)を怠ると、尿路感染❺を繰り返して腎機能の低下を招きます。② ぼうこう癌血尿で気づかれることが多い癌です。腫瘍が尿路を塞いで排尿が困難になったり、ぼうこうの伸展が悪くなると尿意が頻回になったりします。ぼうこうの一部の手術であればストマが必要ないこともあります。③ 子 宮 癌婦人科領域の癌では最も多い癌です。しばしば癌が子宮にとどまらず、ぼうこうや直腸にまで病変が進展することがあり、子宮、ぼうこう、直腸を併せて取り除く手術が必要となることがあり、この場合は、尿管と腸管の2種類のストマをつくることになります。⑵ 腸管ストマを必要とする代表的疾患① 大 腸 癌海外に比較して日本では少なかったのですが、食事の欧米化に伴い確実にその数は増加しています。日本人の場合、大腸癌全体の60~70%が、S状結腸と直腸に発生しています。早期の大腸癌は無症状ですが、進ぼうこう疾患で尿路(尿管)を変更し、腹壁に新たな排泄口を造設したり、同様に、腸疾患で腸管の一部分を切除したり、あるいは腸管の通過障害を起こして便を肛門から排泄できない場合に、新たに肛門以外に便の排泄口(人工肛門)をつくる必要を生じる場合があります。こうしてつくられた新たな排泄口をストマとよび、これを永久的に造設した方は、部位に関係なく障害認定が行われます。また、ストマがない方でも、直腸の手術や代用ぼうこう❶の使用により高度な排尿機能障害がある方や先天性鎖肛に対する肛門形成術や小腸肛門吻合術に起因する高度な排便機能障害がある方も、認定の対象となります(術後6ヶ月を経過した日以降に認定します。)。手帳1級から3級では医療費及び税金の障害者控除が受けられ、手帳1級程度のいわゆる重度身体障害者には、居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護等の自立支援給付を受ける制度もあります。ストマ用装具費の支給制度、交通運賃割引制度などもあり、福祉センター、身体障害者更生相談所などの利用もできます。⑴ 尿管ストマを必要とする代表的疾患① 二分脊椎椎弓癒合不全(脊柱管の背側が開いたままになる)により起こる先天性奇形で、脊髄や髄膜❷の形成不全も合併します。脊柱管の内容の脱出を伴わない潜在性二❶ 代用ぼうこう:ぼうこう全摘出後に腸管などを用いてつくられるぼうこうの代用となるもので、尿を蓄えることができる。❷ 髄膜:脳あるいは脊髄を覆っている構造物で、外側から硬膜、くも膜、軟膜の3層よりなる。❸ 神経因性ぼうこう:神経疾患に伴う排尿障害の総称。肺炎や褥瘡などとともに三大神経疾患合併症といわれる。❹ 導尿:カテーテルを尿道口からぼうこうに入れて、尿を排泄する操作。❺ 尿路感染:ぼうこう炎を代表とする尿の通過路における感染症。ば生命を維持できなくなってきます。従来は長期入院下での療養を強いられましたが、近年機器の小型化が進み、在宅生活での人工呼吸器での呼吸管理も可能となってきています。⑶ 呼吸器機能障害者雇用上の一般的留意点慢性的な呼吸器機能障害者は、低酸素血症があっても安静時は呼吸困難を訴えることはあまりありません。これは慢性の経過をとるうちに各臓器の代償機能が働くようになっているためです。しかし呼吸の予備能力が低いので、職種は障害の程度によりますが、肉体的負担の少ない軽作業やデスクワークなどが向いています。雇用上大切なことは、障害についての理解と個々の患者の状態を正しく把握することです。体調管理のためには主治医の意見も聞いておく必要があります。職場環境としては気管支粘膜が過敏になっていることが多いので、刺激ガスや温度変化(特に冷気)、乾燥に留意します。HOTを導入している患者の場合は火気の取り扱いや室内の換気にも留意します。その他、定期的な通院が必要となるため、勤務時間の配慮も必要となります。(草野 修輔)6ぼうこう又は直腸の機能障害

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