R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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148第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第4節肝臓は人体最大の臓器で「体内の化学工場」とも呼ばれ、栄養素の分解や生合成、人体の害となる物質の解毒等の重要な役割を担っています。様々な原因で肝臓機能が永続的に著しく低下すると倦怠感や易疲労感等の症状が強くなり、さらに進行すると延命のために9肝臓機能障害肝臓移植が必要となります。現在、わが国では年間400名程度が肝臓移植を受け、成功率も高くなっています。平成22年4月から、このような肝臓機能障害が、内部障害に追加され、肝臓移植や移植後の医療費の自己負担が軽減されるとともに、身体障害者手帳の② 情報の取り扱いHIV感染については、本人の意思を確認し、情報がむやみに拡大しないように関係者の秘密保持を徹底します。健康管理に関する情報は、産業医等必要最小限の担当者にとどめ、関係者の守秘義務を徹底します。上司等による定期的通院への配慮等については「持病」、「内部障害」とだけ伝え、プライバシーや人権を最大限尊重します。また、後述の衛生管理や出血事故対策は一般的な手順であるため、職場全体にHIV陽性者がいることを伝える必要はありません。その他、人事や産業医、健康保険を扱う部署などからの情報漏洩を不安に思うHIV陽性者が多いことから、これには法的な処罰規定があることを再確認し、情報管理を適正に行えるよう関係者の認識を高めておく必要があります。③ 正しい知識の啓発HIV感染については誤解や偏見が根強いことから、もし上司や同僚に病名を開示する必要があるならば、一般の健康をテーマにした研修等で、HIV感染についての正しい知識を職場に啓発しておくなどの配慮が必要です。開示しない場合でも、できれば一般の健康教育の一環としてHIV感染症の現状についての啓発をしておくことが望まれます。事前の啓発が行われず、パニック等の過剰反応が起こった場合でも、HIV感染症についての専門家を招いての説明会や質疑応答で沈静化できた例があります。HIV感染症の治療の状況は近年大きく進歩しているため、最新の情報に基づく啓発が重要です。④ 疾患管理と職業生活の両立の支援服薬や定期的通院がなされていれば、HIV陽性であること自体が仕事上で問題となることはほとんどありません。HIV陽性者の職場での健康管理や安全配慮に必要なことは、産業医等の専門の担当者が相談や支援にあたることが、情報管理上からも適切です。一方、「病気がありながら働くこと」への職場の理解について、本人の不安が大きいことから、仕事の進め方について上司等が相談に乗る、職場の同僚との親睦等で人間関係を向上させるといった一般的な職場の取り組みが重要です。また、一般的に、少し疲れた時に休憩でリフレッシュしやすくすることは、HIV陽性者が仕事を安心して続けやすくするのに効果的です。⑤ 衛生管理や出血事故対処の一般手順HIVの治療が適切に行われていれば感染のおそれはほとんどなくなっており、職場での対策としては、血液感染症を含む一般の感染症予防についての、職場での一般の安全指導や健康教育の範囲で十分です。また、社員寮等で共同生活をする場合でも同様です。具体的には、他人の血液や分泌物には直接触れない。これらは石鹸を使って洗い流すか、それができない時はビニール袋等でしっかり包んでゴミに出す。出血はなるべく本人が自分で処置する。カミソリ、歯ブラシ、タオル等の血液のつきやすい日用品は他の人と共有しない。傷の応急処置を他人がする必要がある場合には、ゴム手袋を着用し、血液等に触れたらすぐに石鹸を使って流水で洗い流す。傷口等の接触に備え人工呼吸ではハンカチ等をはさむ等を注意する、などです。これらは、当然、HIV陽性者自身も自覚をもって行います。なお、以上のような配慮を行った上でも、例えば治療が適切に行われていないHIV陽性者が出血して意識を失い、他者が傷を負った手で誤って血液に触れてしまった等、感染の危険性が生じる事態は想定可能です。その場合は、迅速に医療機関を受診します。HIVは感染力が弱く、さらに服薬継続中であればHIVウイルス量は低くなっており、必ずしも感染が成立するわけではないので冷静な対応が大切です。医療機関における暴露事故などでは感染防止のために、速やかな抗HIV薬の服薬が勧められています。【参考文献】1)独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構:「障害者雇用マニュアル102 HIVによる免疫機能障害者の雇用促進」(2010)

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