R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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152第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第5節1000人以上の大企業で働く知的障害者が半数以上を占めていることがわかります。⑵ 就職先の業種・職種の傾向厚生労働省「令和元年度 障害者の職業紹介状況等」の調査から、知的障害者の産業別の就職状況では、医療、福祉(31.6%)が最も多く、製造業(17.6%)、卸売業、小売業(15.6%)、サービス業(11.0%)と続いています。また、職業別の就職状況でみると、運輸・清掃・包装等の職業(46.9%)がほぼ半数を占め、生産工程の職業(15.4%)、サービスの職業(14.1%)、事務的職業(9.8%)、販売の職業(6.4%)となっています。これまで、知的障害者が雇用される職種としては、その障害特性から製造補助作業、清掃業、クリーニング業などの製造業を中心とした簡易な定型作業に偏っていました。ただ、近年はパソコンを活用したデータ入力・書類作成等の事務補助作業、デイサービス等の福祉分野での介護補助、ホテル等のサービス業での軽作業、農業分野での定型作業など、従来知的障害者の就職が少なかった職域への進出が報告されていて、各企業の取組みの工夫によりさらなる知的障害者の職域の拡大が期待されます。⑴ 知的障害者の雇用状況厚生労働省の調査(「平成30年度障害者雇用実態調査」)では、5人以上の常用労働者を雇用している事業所において雇用されている知的障害者は約18万9,000人と推定され、前回の調査と比べ大きく増加しています。知的障害者の程度別の雇用状況では、重度が17.5%、重度以外が74.3%、不明等が8.2%でした。厚生労働省「令和元年度 障害者の職業紹介状況等」から、令和元年度に就職した知的障害者は21,899件(前年度比1.5%減)であり、うち重度は3,951件(重度の割合は18.0%)となっています。また、厚生労働省の「令和2年障害者雇用状況の集計結果」によると、45.5人以上の常用労働者を雇用している民間企業における障害別の雇用状況は、身体障害者が61.6%、知的障害者が23.2%、精神障害者が15.2%となっています。さらに、同調査から知的障害者の企業規模別の雇用状況をみると、「45.5~100人未満」10.7%、「100~300人未満」19.4%、「300~500人未満」8.2%、「500~1000人未満」10.1%、「1000人以上」51.6%となっていて、2知的障害者の雇用の現状3知的障害者の雇用のポイント雇用した知的障害者がその能力を十分に発揮できるようになれば、企業にとって大きな戦力となります。知的障害者の雇用管理のポイントについて考えてみます。⑴ 雇用管理面のポイント① 障害特性の理解と社内の合意形成ひと口に知的障害者といっても、その能力や適性、興味、体力などは異なり人によりさまざまです。IQの数値だけにとらわれることなく、一人ひとりの特性を理解することが大切です。特性に合わせた職務内容や職場環境を設定することにより、能力が十分に発揮され企業にとって戦力となります。採用に当たっては、従業員、特に配置部署のスタッフに対して、企業として障害者雇用の意義や取組み方針について事前に社内研修等を通して理解と協力を得るなど、社内の合意形成が必要です。企業全体が障害者に対して共通認識を持ち、統一した対応や支援を行うことにより知的障害者が安心して働く環境をつくることができます。② 専任担当者(キーパーソン)の配置知的障害者の場合、慣れない場所や新たな環境では不安や緊張が強く、適応するまでに時間がかかります。また、複数の人から仕事の指示や説明を受けると混乱してしまうことがあります。このため専任の担当者(キーパーソン)を決めて、指示系統を一本化することが必要です。ただ、いったん作業内容や手順を理解すると、適性が合えば簡易作業以外でも正確に、淡々とこなすことができます。職務以外の生活面の課題についても、キーパーソンが中心となり家庭等との協力のもと早期に対応することが大切です。

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