R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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14が施行されました。さらに、平成20年12月には、中小企業における障害者雇用の促進、短時間労働に対応した障害者雇用率制度の見直し等を内容とする改正法が成立し、平成21年4月から段階的に施行されることになりました。平成25年4月には、障害者雇用の進展を受け、15年ぶりに障害者雇用率が引き上げられました。また、同年6月には、雇用分野における障害者に対する差別の禁止、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置及び精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えること等を内容とする改正法が成立しました。 今日までの障害者の雇用促進にかかる法制度の整備の背景には、共生社会の理念があります。共生社会については、国の障害者施策の基本的方向について定められた障害者基本計画(平成25年度〜29年度)の中でふれられており、「障害者施策は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるという理念にのっとり、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指して講じられる必要がある。」と記されています。そして、「このような社会の実現に向けて、障害者を、必要な支援を受けながら、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体としてとらえ、障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現できるよう支援するとともに、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的な障壁を除去することが必要である」とされています。 いま、障害者が働くことを通じて、社会参加し社会に貢献していくことが求められています。働くことは社会参加のための基本となる活動であり、働くことにおいて障害の有無は全く関係ありません。それゆえ、障害者も障害のない人も誰もがその能力と適性を活かしながら働くことを通じて、自己実現を果たし社会に貢献していくことが可能となります。また、働くことによって収入を得ることで、毎日の生活を支え人生を豊かにしていくことにもつながります。共生社会の理 身体障害者の雇用保護に国が取り組むようになったのは、各国とも比較的新しく第一次世界大戦後のことです。すなわち、第一次世界大戦による多数の傷痍軍人を対象として雇用の場を確保するための施策がとられ、それが次第に一般の障害者にも拡大されていきました。 我が国においても、ほぼ同様の経過をたどり、第一次世界大戦後の傷痍軍人対策から始まりましたが、昭和21年に制定された日本国憲法では、その第27条において国民の勤労の権利を宣言するに至りました。この権利が障害者にも保障されるべきことは当然のことです。しかし、障害者が労働の意思と能力を有していても障害者に対する社会の理解が十分でなく、また、社会的条件整備も不十分であったため、障害者の雇用の場が十分に確保されたとは言い難い状況にありました。そこで、国は、昭和35年に、身体障害者雇用促進法を制定し、同51年には同法を抜本的に改正し、一定割合以上の身体障害者の雇用を義務づけ、納付金制度により雇用に伴う企業間の経済的負担のアンバランスを調整するとともに、各種の助成金を支給して障害者雇用を促進することとしました。さらに、昭和62年には、法の対象をすべての障害者に拡大し、雇用率制度及び納付金制度上の知的障害者の取扱いを改めるとともに、職業リハビリテーション対策の推進を図ることを内容とする身体障害者雇用促進法の改正を行いました(この時の改正により、身体障害者雇用促進法は、その名称を「障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「法」という。)」に変更)。その後も同法は数次の改正を重ね、平成9年には、知的障害者を含めた障害者雇用率の設定、平成14年には、障害者就業・生活支援センター事業及びジョブコーチ事業の創設等制度の充実強化等、平成17年には、精神障害者の雇用対策の強化、在宅就業者に対する支援等を図る改正法が成立しました。また、平成18年には、障害者の地域における自立と就労の支援を強化するための障害者自立支援法(平成25年4月1日から、障害者の日常生活及び社会生活を統合的に支援するための法律(総合支援法))1第節障害者雇用の理念と障害者雇用対策の動向1障害者雇用の理念第1章 障害者雇用の理念と現状第1章 第1節

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