R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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159第6節 精神障害者す。ここからも、独特の思考パターンがあることがわかります。 そう状態にあるときは、高揚した気分となり、多弁、多動となり、話や思考が飛躍し、落ち着きがなくなります。他人に干渉したり、怒りやすくなり、対人トラブルに発展することもあります。 ② 統合失調症 統合失調症は思春期から青年期にかけて発病しやすい病気で、精神的ストレスに対して脳の神経伝達がうまく機能しないことが原因として起こるとされています。具体的な症状は、①存在しない物事が聞こえたり見えたりと感じる幻聴や幻視、②人からどうかされるという訴えをもつ被害妄想、③現実と思考との混乱、支離滅裂な思考、④無表情・無感情で自分の殻に閉じこもる感情鈍麻や無為自閉などです。 このうち陽性症状とは、幻聴・幻視などの幻覚、被害妄想、現実と思考との混乱などの症状です。これは、抗精神病薬などの薬による治療が有効となります。陰性症状とは、感情鈍麻や無為自閉など、いわゆる脳機能が低下する症状です。この症状には、薬による治療は十分ではありません。また、陽性症状と同じような意味で「急性期症状」とよび、陰性症状と同じような意味で「慢性期症状」とよぶ場合もあります。 統合失調症は、薬その他の治療により陽性症状が改善しても、病前とまったく同じ精神状態には戻らず、いわゆる陰性症状、慢性期症状が20~30%は残るといわれています。服薬治療しても治癒しないというのは、内部障害や視聴覚障害などの身体障害、知的障害と同様にとらえられるものでしょう。このことから、「症状が安定」した状態のことを、治療により、陽性症状、急性期症状が治まり、陰性症状、慢性期症状が残っている状態と考えればよいでしょう。 統合失調症は、再度、陽性症状、急性期症状が出やすい(これを症状の再燃ともいいます。)のが特徴です。そのために、医療機関において症状を再燃させないための服薬治療等を継続して行います。職場などでも、そのことの理解や援助が必要となってきます。③ てんかん てんかんはWHO国際疾病分類では「神経系及び感覚器の疾患」の一部とされていますが、わが国では精神障害者としての施策の対象としています。てんかんとは、脳神経の一時的な過剰放電によるけいれんや意識の障害を伴う「てんかん発作」を引き起こすものです。発作は一時的なものですが、繰り返し起こりまう駅前では歌えない」などがそうですね。 ただし、認知機能に大きな障害があるため、様々な失敗経験などをしても、それをなかなか認知できず、自信と自尊感情が低下していない精神障害者もいます。 以上2点について述べましたが、これらの障害を改善・軽減させるためには、服薬治療以外に、リハビリテーションによる精神機能の回復、職業的諸技能の(再)獲得等の学習、環境調整による支援、心理的サポート、各種援助制度の整備など、総合的な取組みが必要です。⑷ 代表的な精神障害の特徴① うつ病などの気分障害 典型的なものでは、気分がひどく落ち込み、ゆううつとなるうつ状態と、気分が高揚して異常に活発となるそう状態があり、それが思考、行動などに障害が生じるものです。うつ状態とそう状態のどちらかであったり、双方を繰り返す(双極性感情障害)などの場合があります。どちらにしろ、その時期以外はほぼ正常状態に戻ります。 うつ状態にあるときは、うつ気分となり、活動意欲も低下し、集中力がなくなって仕事も休みがちになります。また、自責感や罪悪感、不安感が強くなるなど、職業生活にも支障を来します。その他、不眠、食欲低下、頭痛、胃痛、全身の倦怠感など、身体的な症状にも表れます。 うつ病は再発しやすいといわれています。それは、心身のストレスに弱いこと、さらに独特の思考パターンになりやすいことなどから、対人関係など余計にストレスを感じやすくなることなどが要因として考えられます。 先に述べたうつ状態は伝統的なうつ病のタイプですが、最近は新たなタイプのうつ病の出現が話題になっています。30代以下に多いといわれています。同じうつ状態でも、大きな気分の落ち込みはなく、また、リラックスした場面ではうつ状態は起きないが、職場などストレスフルな場面では起こるなどが特徴の一つです。つまり、職場には行けないが、気分転換に旅行には行けるなどです。また、自責感や罪悪感はなく、他責感が強いなど、強い自己愛があることがもう一つの特徴です。「自分の都合の良いわがまま」とうつ病との境界が曖昧になりやすく、このことから、職場とあつれきが起こり、関係が悪化することが多くみられま第3章 第6節

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