R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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160第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮第3章 第6節す。頻度や発作の状態には個人差があります。 症状としては全身がけいれんして意識を失うものから、身体の一部がけいれんするものまでさまざまです。また、発作以外にも、認知機能障害やそれに関連する性格変化(例:まわりくどい、些細なことに固執する、怒りやすい等)を伴う場合があります。 ④ 不安障害など 統合失調症のような精神症状はなく、気分障害のような症状はありませんが、心理的な原因で不安や恐怖などを起こすものを、ここでは不安障害などとしてまとめます。特徴的なことは、不安や強迫観念が強いために、外出できない、ストレスに弱いなどが起こります。自信や自尊感情が低いことも多いようです。⑤ 発達障害 発達障害はWHO国際疾病分類では「心理的発達の障害」として分類されています。全般的な知的能力の発達の遅れはないが、心理的発達に偏りがみられるものをいいます。大きく分けて広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などがありますが、いずれも認知機能に障害が起こります。詳細については本章第7節「発達障害者」を参照してください。⑥ 高次脳機能障害 高次脳機能障害はWHO国際疾病分類では「症状性を含む器質性精神障害」として分類されています。脳血管障害や脳挫傷などが原因で脳に損傷を受けることで、注意、知覚、学習、記憶、言語、思考など、認知機能を含む高次の精神機能の低下があらわれたものです。高次脳機能障害の詳細については本章第8節の2項に詳述してありますので、参照してください。⑸ 精神障害者の就業の実態① 就職の状況 全国のハローワークの紹介による精神障害者の就職件数は、平成21(2009)年度は10,929件でしたが、令和元(2019)年度には49,612件となっており、10年間で5倍程度に増加しています。令和元(2019)年度の就職件数は過去最高(対前年度比1,572件(3.3%)増)であり、障害種別では最多となっています。障害者全体の就職件数に占める精神障害者の割合も、この10年間で24.1%から48.1%へと増加しており、毎年過去最高を更新するなど、近年の精神障害者の就職件数の伸びは驚異的です。 また、障害者である有効求職者のうち、精神障害者の占める割合は44.2%となっています。次に就職件数のうちの精神障害者の占める割合は48.1%となっています。このことから、精神障害者は他の障害者よりも就職しやすい障害者であることがわかります。 精神障害者の就いている仕事の内容についてみてみましょう。運輸・清掃・包装等の職業が33.3%と多くなっています。しかし、事務的職業に25.6%、サービスの職業に11.7%も就いているのです。 このことから、多種多様な仕事に就いていることがわかります。したがって、支援者は精神障害者の職域をイメージで判断せず、多くの可能性があることを知っておく必要があります。② 雇用状況 令和2(2020)年6月1日現在、従業員45.5人以上の民間企業で働く障害者は57万8292.0人で、令和元(2019)年より3.2%(17,683.5人)増加しています。内訳を見ると、身体障害者356,069.0人(61.6%)、知的障害者134,207.0人(23.2%)、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)88,016.0人(15.2%)となっています。令和元年度障害者職業紹介状況における就職件数に占める精神障害者の割合は48.1%であり、これと比較すると大きな差があります。対象となる精神障害者の範囲や企業規模などが違うので、単純な比較はできませんが、気になるところです。 就職後の状況を見てみると、平成30年度障害者雇用実態調査では、障害種別の平均勤続年数が身体障害者10年2か月、知的障害者7年5か月に比べ、精神障害者(発達障害のみの者を除く)は3年2か月、発達障害者は3年4か月となっています。障害者職業総合センターによる「障害者の就業状況等に関する調査研究」(2017年4月)においても、就職後3か月時点の定着率は、身体障害者77.8%、知的障害者85.3%に比べ、精神障害者は69.9%となっています。これらの結果から、精神障害者は就職した後の継続に課題があるという現状が浮かび上がってきます。 精神障害者支援には、就職をめざす支援ではなく、“働き続けるための支援”が必要といえます。

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