R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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163第6節 精神障害者が上手でないことが発病率を高めています。例を挙げると、限界を超えても頑張り続ける、「ノー」といえない、自尊心・プライドが高い、思考パターンを変更できない、過度に自責感が強いなどです。また、気分の波があることも特徴の一つです。 そのため、「ひとりで抱え込まないようにさせる」「一つの考え方だけでなく、他の見方や考え方もさせてみる(自動思考の修正)」「あせりが感じられる場合はそれを指摘し、コントロールする方法を考えさせる」などの配慮が有効といえます。イ 気分障害(新型うつ病) うつらしくないうつ病といわれています。仕事には行けないが遊びには行ける、自分を責めずに他人・職場を責める、対人関係が上手にとれないなどが特徴です。なまけているように見られることもありますが、仕事や職場に関連する活動だけが苦手になっている場合などもあります。 以下の援助方法が効果的です。○ 本人と約束したことは勝手に変えない○ 許されることと許されないことの枠組みを明確にしておき、例外を作らない○ 障害者職業生活相談員と対象者の上司とが頻繁にミーティングを行って情報共有を綿密にし、職員間の信頼が揺らがないようにする○ 対象者本人の自己責任を明確にしておく、責任の所在を曖昧にしない○ 対象者本人の「気持ちの変化」に右往左往せず、落ち着いて対処する。感情的になって対象者本人を突き放さない○ 就業支援機関や医療機関との連携を強固にする○ 対象者本人の自己評価が高い場合はストレングスモデルが効果的ともいえない○ 職業能力に支障がある場合は発達障害に対する援助と同様にする診断名で、アとイが明確に区別されている訳ではありませんので、医療機関や支援機関の意見を参考にしながら本人の状況を把握し対応することが大切です。ウ てんかん てんかんは脳の放電によって一時的な脳機能レスに弱くなっています。一般的にストレスは、細かい判断や責任を伴う作業、生産管理や労務管理的な作業、繁雑・複雑な作業、厳しい対人関係の職場、失敗に対する厳しい叱責などで生じます。当初は「失敗してもいいんだよ」など、安心感をもたせたり、柔和な態度を示すなど、自信をもたせるような支援は、本人の能力を十分に発揮させることになり、結果的に企業にとっても大いにプラスになります。⑶ 長期定着に向けて 精神障害者は採用後の定着に困難性があることはすでに述べました。そこで、長期定着に向けた支援のポイントについて述べることとします。① 通院・服薬の遵守に配慮する 通院し、服薬を継続している精神障害者はたくさんいます。精神疾患は慢性疾患であるため、高血圧症や糖尿病と同様に、通院・服薬を継続することが基本です。それは症状の再燃を防ぐためだからです。企業としては、通院の時間確保や服薬の遵守に配慮しましょう。慣れてくると、理解のある事業主ほど、本人のためにも「いつまでも薬に頼っているからよくならない」という誤解をして通院・服薬をやめさせてしまい、症状の再燃を招いてしまった例がたくさんあります。② 医療機関や就業支援機関との連携 精神障害は多様な疾患や脳機能の障害が原因で起こっています。つまり、個別性が非常に高いことになります。そのため、障害者職業生活相談員が通院時に本人の承諾を得て一緒に同行し、主治医等を交えて情報交換を行うことや、就業支援機関のスタッフに来てもらって、本人を交えて情報交換を行うなど、関係機関と連携することが長期定着に有効です。③ 作業時間以外のつき合い方 精神に障害がない人は、休憩時間にみんなと談笑することが休息になります。しかし、精神障害者の場合、これがかえって負担になり、休息にならない人も多くいます。例えば、休憩時間は1人で寝ていたいなど、その人なりの休息方法を本人に聞き、保障してあげましょう。終業後のつき合いも同様です。必ず本人に聞いてからつき合い方を決めるようにしましょう。④ 代表的な疾患等の特性に合わせた配慮事項ア 気分障害(従来型うつ病) うつ病は、ストレス、精神的衝撃などが発病要因としてあげられますが、それへの対処技術第3章 第6節

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