R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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15体の問題です。われわれは、このことを認識しつつ、共生社会の実現に向けて、障害者雇用の取組みを推進していかなければなりません。今後、障害者雇用の取組みが十分に進んでいない事業所に対する障害者の雇用を促進し職域の拡大を図るための取組み、就職の実現が困難な障害者に対する職業的自立を積極的に推進するための取組み等にかかる課題に対応し、そうした課題の一つひとつを克服していくことが、われわれに与えられた責務であるといえます。 最後に、「すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有」を目指す障害者の権利に関する条約が平成18年に国連で採択され、労働及び雇用の分野に関しては、あらゆる形態の雇用に係るすべての事項に関する障害を理由とする差別の禁止や職場における合理的配慮の提供の確保等のための適当な措置をとるべきものと規定されています。我が国においては、平成19年9月に署名をしており雇用分野における障害者権利条約への対応を図るため「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」が平成25年6月に成立しました。 また、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の成立など国内法の整備がなされたことを踏まえ、国会において障害者権利条約の締結が承認されました。これを受けて平成26年1月に同条約の批准を行いました。念を踏まえ、一人でも多くの障害者が社会参加を達成し、働くことを通じて自立した生活を送ることができるようにするためには、個々の障害者の特性やライフステージ、置かれた状況等に考慮しつつ、社会全体として障害者の雇用促進及び安定に向けた支援に取り組んでいくことが必要です。 近年、共生社会の理念が社会に浸透している中で、企業においては、「CSR」(Corporate Social Responsibility/企業の社会的責任)や「コンプライアンス」(Compliance/法令遵守)、「ダイバーシティ」(Diversity/多様性)等への関心の高まりを背景に、障害者雇用に積極的に取り組む企業が増えており、障害者雇用は着実に進展してきています。大企業等においてはCSRやコンプライアンスに基づく企業価値を高めるための取組みとして、特例子会社を設立するなど障害者の雇用拡大を経営課題としている企業がみられます。その一方で、障害者を雇用するために役立つ各種制度やノウハウ等の情報が不十分であるなどの理由から、中小企業等を中心に障害者雇用について採用や募集、受入れに踏み切れていない企業もあります。また、障害者の就労意欲は高まってきているものの、働くことを希望しながら就職の実現が困難な精神障害者や発達障害者、重度障害者等の障害者もまだまだ多数おられます。 障害者雇用の問題は、単に障害者自身の問題であるだけではなく、障害者も障害のない人も含めた社会全2障害者雇用対策の動向 最近の法改正の経緯を振り返り、障害者雇用対策の動向を見てみましょう。(除外率制度の廃止・縮小) 平成14年改正では、除外職員制度及び除外率制度はノーマライゼーションの理念から見て適切ではなくなってきたという観点から廃止することとされ、経過措置として、当分の間、除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ、縮小することとされました。また、特例子会社を持つ親会社が、その他子会社も含めて障害者雇用を進める場合に、関係する子会社も含め、企業グループ全体で雇用率制度を適用することが可能とされました。(精神障害者の雇用対策の強化) 平成17年改正では、精神障害者に対する雇用促進に関する要請の高まりを背景とし、精神障害者保健福祉手帳を所持する精神障害者について、実雇用率にカウントできることとされました。(納付金制度の対象拡大) 平成20年改正では、中小企業における障害者雇用を促進するという観点から、障害者雇用納付金制度の適用対象の範囲を拡大することとされ、平成22年7月からは従業員数が200人を超える企業が、平成27年4月からは従業員数が100人を超える企業が対象となることとされました。第1節 障害者雇用の理念と障害者雇用対策の動向第1章 第1節

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