R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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168第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮発達障害は、その定義から診断の時期の多くは子ども時代です。早期からの適切な対応で問題が改善される場合もありますが、反対に深刻になる場合もあります。いずれにしても、成長とともに症状が変わっていくことになるので、まず診断される時期のことをまとめておくことにします。知的障害を伴う発達障害については第5節をあわせて参照してください。なお、平成25年5月にアメリカ精神医学会の診断・統計マニュアルが第5版に改訂されました。診断基準が改定され、従来の診断名や診断基準とは異なる点もあります。大きく異なる点は「広汎性発達障害」という分類が「自閉症スペクトラム障害」に変わったこと、広汎性発達障害の中に位置づけられたアスペルガー症候群という診断名も「自閉症スペクトラム障害」に統合されたことなどです。このため、従来の基準で診断された人と新しい基準で診断されることになる人がおり、当面、診断名は混在することになります。ただし、診断名や診断基準等の日本語版が確定・整備されるまでの間、本節では、新しい基準の概要を紹介しつつも、従来の診断名にも配慮し、過渡的な段階に対応させています。⑴ 学習障害/限局性学習障害・限局性学習症(Learning Disability(LD)/Specific Learning Disorder(SLD))医学で障害を診断する場合、「LD」はSpecific Learning Disorderを意味しています。教育、臨床の関係者をはじめとして、保護者の多くが使うような「学習上の困難のある児童・生徒」、もしくは「教育上の特別な配慮を必要とする児童・生徒」を想定した広い範囲の問題を抱えた対象者を含む用語とは異なっていることになります。【診断基準:DSM-5 アメリカ精神医学会の診断・統計マニュアル第5版】読字・算数・書字の特定の領域における困難を踏まえ、学力における問題について、個々人の発達・医療・2発達障害の障害特性教育の経過及び家族歴並びにテストの成績と教師の観察評価、教育的介入とその効果等を通して総合的に診断されます。その際、年齢や知能から期待される水準で達成できない状態であることなどが重視されます。【問題への対処】読字や書字の困難がある場合、成人の失語症の言語訓練法として考案されたリハビリテーションの応用が効果的であるとされています。書字の問題では、「かな」に関しては50音表を利用した練習方法により、「漢字」に関してはワードプロセッサーの使用により書字の問題は解消されると考えられています。また、算数の問題では「数概念の形成」の問題なのか、「計算」の問題なのか、「文章題」の問題なのかによって練習方法が違います。特に計算のみが苦手な場合には電卓の利用なども提案されています。【教育用語としてのLD】学習上の諸問題によって学習障害であることを判断する場合の「LD」は、Learning Disabilitiesにも対応しており、これが教育用語としての「LD」にあたります。表1は文部科学省が示している学習障害の定義です。この定義では、「読む」「計算する」「書く」のいずれかの困難に、「聞く」「話す」「推論する」の困難を加えています。さらには、教育並びに臨床の関係者の中で、さらに広い範囲を認める立場もあります。こうした立場に立つ人々は、発達性協調運動障害(不器用)、学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではない。表1 現行の文部科学省の定義(盲・聾・養護学校など)でも特別な支援を行っています。そこで、通常学級や高等学校に在籍する発達障害のある生徒に対して、“知的障害はない”と受けとめることが多いのですが、現実には、“知的障害が軽度”という生徒も含まれます。本節では、知●的●障●害●を●伴●わ●な●い●か●、●伴●っ●た●と●し●て●も●知●的●な●障●害●の●程●度●が●軽●度●で●あ●る●、●広●汎●性●発●達●障●害●、●学●習●障●害●、●注●意●欠●陥●多●動●性●障●害●の●あ●る●人●を中心的な対象としています。この場合、発達障害者支援法の範囲よりも狭くなります。第3章 第7節

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