R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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171第7節 発達障害者表3 自閉症スペクトラム障害の診断A 全般的な発達遅滞では説明できない、社会的コミュニケーション及び社会的相互作用の持続的障害  (以下の3点すべてに該当)B 行動、興味、活動の限局的、反復的な様式  (以下の4点のうち2点以上に該当)a) 社会及び感情の相互性の障害b) 社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害c) 発達レベル相応の関係を築き、維持することの障害a) 常同的または反復的な話し方、運動、ものの使用b) 習慣や儀式化された言語的あるいは非言語的行動パターンへの過剰な執着、あるいは変化への過度な抵抗c) 強度または対象において異常な、限局的に固定化された興味d) 知覚の入力への反応の亢進、あるいは減弱、あるいは環境の感覚的側面に対する独特の興味⑴ 二次障害について子ども時代に、基本症状によって「学習障害」と診断されたとしても、読み、書き、計算、推論といった知的活動で失敗経験を繰り返すと、二次的症状として自信や意欲の低下、情緒不安定、対人・集団不適応などを引き起こし、緘黙や不登校、攻撃性、非行などの問題が引き起こされる場合があります。また、「注意欠陥多動性障害」「広汎性発達障害」や「自閉症スペクトラム障害」と診断された場合にも、対人スキルの問題や行動抑制など行動上の問題によって失敗経験を繰り返すと、同様に二次的症状が引き起こされることがあります。最近の国内外の調査では、精神科を受診する発達障害児・者において複数の精神障害が併存する場合が多いことが明らかとなっています。特に自閉症スペクトラム障害のある成人では、気分障害、不安障害、注意欠陥多動性障害などを併存する割合がいずれも5割前後という調査結果や、注意欠陥多動性障害にうつ病や双極性障害が高い割合で併存するといった調査結果もあります。障害が併存する場合、それぞれの独特な現れ方や、各障害が影響し合う可能性について、適切に評価し、必要な対応について検討することが必要です。⑵ 職業リハビリテーションのサービスの利用について3相談の際の留意事項通常学級で課題の克服に努め、学校は卒業したものの「一般扱い」の求人ではうまくいかない発達障害青年の場合、職業リハビリテーションサービスの利用を勧めたとしても受け容れがたい事例も多いです。障害特性については、特に慎重に本人の受けとめ方に配慮する必要があります。「発達障害」といわれて成長した青年の中には、学校教育その他の配慮で課題をクリアし、職業リハビリテーションのサービスを必要とせずに通常教育から職業的自立を達成する事例もあるでしょう。しかし、入職に際して職業リハビリテーションの支援を利用した事例もあります。彼らは、療育手帳・知的障害判定によるサービスを利用した事例と、精神障害者保健福祉手帳によるサービスを利用した事例にわけられます。これは発達とともに求職活動をする際の課題が変化していったという事例です。ハローワークの専門援助部門における障害者の紹介就職・職場定着の実態調査(障害者職業総合センター, 2017)では、2015年7月からの2ヶ月間に就職した発達障害者242名の8割強が障害者求人に応募して就職していました。また、障害者求人への就職者の定着率の方が一般求人への就職者に比して高く、就職時の機関連携や職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援、就職後の定着支援などは定着を支える要因とされています。しかし、職業リハビリテーションサービスの利用を 発達障害については、二次的に発生する問題を含め、発達に伴う状態像の変化に対応する必要がある。 症状は在学中に現れるとされるが、職業選択や職場適応の時点で、どのような支援の課題があるのかについて、再検討する必要がある。Point !第3章 第7節

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