R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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172第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮も特に慎重に本人の受けとめ方に配慮する必要があります。勧めたとしても「一般扱い」の求人にこだわり、求人条件の変更を受け容れがたい事例も多いのです。障害特性の理解に関する支援については、採用後において学校時代は何とか過ごしても、職場ではうまくいかないという場合に求められる配慮と支援策について考えておきたいと思います。⑴ 職場に適応するうえでの問題の把握「作業中に問題とされる行動は何か」「いつ・どのくらいの頻度や強さでおこるのか」「その行動がどのような状況(環境や人)でおこるのか」「その行動の後でどのようなことがおきたのか」などを把握することが重要です。また、学習能力の確認も必要です。特に「障害されている学習技能を明らかにすること」「誤り方のパターンの整理・分析をすること」は、問題を改善していく可能性と深く関わります。その他、健康状態を把握し、「体調管理にどのような配慮が必要か」を確認することも重要です。⑵ 作業条件の配慮 障害特性に合わせて、作業を効果的・効率的に行うことを支援するうえで、作業時間の調整(課題時間の延長など)が必要になる場合があります。また、作業量の調整(課題の数の限定など)が必要になる場合もあります。加えて、作業内容の調整(理解度に合わせた内容への変更など)は特に重要です。その他に、電卓やワープロ、メモ帳など、障害特性にあった補助具の利用が有効な場合もあります。⑶ 指示理解に関する配慮指示に際しては、スモールステップに分けて順に指示することが有効な場合もあれば、指示の単純・明快化(一度に一つの指示など)や強調化(色分けして指示を示すなど)、障害特性に対応した指示方法の選択(話し言葉で指示を出す方がよいか、指示書など文字情報の方がよいか、など)、コンピュータなど興味を引く媒体の使用などが有効な場合もあります。⑷ 環境整備の課題落ち着いて作業に集中できるためには、障害特性に4就職・定着促進のための配慮事項、支援策あった環境整備が必要になります。音や人の気配などの刺激に敏感な場合には、過剰な刺激を遮断することが有効な場合もあります。また、こうした環境調整を行う場合、特性や配慮について、職場の同僚や上司と情報を共有することも必要となります。ただし、本人のプライバシーや意向に十分配慮することが何より重要です。⑸ 家族との連携問題への対処については、家族との連携がとても重要になります。家族は経験豊富な支援者でもありますし、また、相談者でもあります。特性理解においても行動理解においても、また、健康管理においても、家族と十分に連携することが重要です。本人への期待や指導方針については、家族にも十分フィードバックしながら目標を設定していくことが必要です。⑹ 関係機関との連携障害特性を理解した担当者の配置が重要です。それは職場でのキーパーソンである場合だけではなく、生活面の支援をするバックアップ機関との連携も必要になる場合があります。しかし、何よりも学校との連携あるいは学校卒業後に利用する機関や移行を支える機関との連携が重要となります。支援者が対応や支援の考え方を探索する際に参考となる具体例は、「発達障害者就労支援レファレンスブック(課題と対応例)(障害者職業総合センター, 2015)」にまとめられています。就労支援の場面で現れる発達障害者のさまざまな職業生活上の課題を「業務遂行」「対人関係・コミュニケーション」「ルール・マナー」「行動面の課題」「自己理解や精神面の課題」の5つに分類したうえで、支援の場で現れることの多い143項目の行動が掲載されています。これらの課題への対応策は、「課題の要因の把握と目指すべき行動の確認」→「目指すべき行動につながる支援」→「周囲の理解促進と環境調整」の流れで示されています。「発達障害のある社員への具体的な支援方法が知りた第3章 第7節

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