R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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16(障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応及び法定雇用率の算定基礎の見直し) 平成25年改正では、雇用分野における障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供義務並びに精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えること等の改正が行われました。 まず雇用分野における障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供義務についてです。平成25年改正により新設された障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務については、厚生労働大臣が指針を定めることとされており、平成27年3月に「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(障害者差別禁止指針)」及び「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針(合理的配慮指針)」が公布されました。「障害者差別禁止指針」では、すべての事業主を対象に、募集・採用時や採用後において、障害者であることを理由とする差別を禁止することなどを定めています。また、「合理的配慮指針」では、すべての事業主を対象に、募集・採用時や採用後において、過度な負担にならない範囲で合理的配慮を提供しなければならないことなどを定めています。この雇用分野における障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供義務は、平成28年4月から施行されました。(指針は第4章第4節及び第5節参照) また、前述の通り、平成25年改正において、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることとなりました。これにより、平成30年4月から、一般事業主、国、地方公共団体等の法定雇用率がそれぞれ0.2ポイントずつ引き上げられました。さらに、令和3年3月1日からはそれぞれ0.1ポイントずつ引き上げられ、一般事業主の法定雇用率は2.3%になりました。 (障害者の活躍の場の拡大及び国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置)障害者雇用は着実に進展している一方、多様な特性に対応した職場定着支援や就労環境の整備等がより一層重要な課題であることから、「働き方改革実行計画」を踏まえ、平成29年9月から「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」が開催され、平成30年7月末に報告書がまとめられました。また、平成30年8月、公務部門において障害者雇用率制度の対象となる障害者の不適切計上があり、法定雇用率が達成していない状態が継続していたことが明らかとなりました。こうした経緯を踏まえ、労働政策審議会での議論を経て、障害者の雇用を一層促進することを目的として、①障害者の活躍の場の拡大に関する措置、②国及び地方公共団体における障害者の雇用状況の的確な把握等に関する措置を内容とする法案が国会に提出され、令和元年6月に「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第36号)が成立・公布されるとともに、公務部門に対する報告徴収等の一部の規定について同日施行されました。本改正は段階的に施行されることとなり、公務部門における障害者雇用推進者や障害者職業生活相談員の選任等の規定について、令和元年9月より施行されました。また、本改正のうち、国及び地方公共団体に対する障害者活躍推進計画の作成・公表義務や厚生労働大臣に通報した障害者の任免状況の公表義務については、令和2年4月に施行され、国及び地方公共団体が障害者活躍推進計画を作成する際に参考とするための障害者活躍推進計画作成指針について、労働政策審議会において検討し、令和元年12月に告示されました。あわせて、本改正のうち、民間の事業主に対する措置としては、①短時間労働者のうち週所定労働時間が20時間未満の障害者を雇用する事業主に対して、障害者雇用納付金を財源とする特例給付金を事業主に支給する仕組みの新設、②中小事業主における障害者雇用の課題に対応し、障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度の新設が規定され、いずれも令和2年4月1日に施行されました。このように法律制定以降、幾度の改正を経て、障害者雇用促進法は現在の形となっています。これらの改正の趣旨を踏まえ、障害者が職業生活において自立することが促進され、職業の安定が図られるよう、関係者が一体となって取り組んでいくことが求められます。Q&A【問】合理的配慮指針では、すべての事業主を対象に、募集・採用時や採用後において、過度な負担にならない範囲で合理的配慮を提供しなければならないことなどを定めている(解答と解説はP345に記載しています)第1章 障害者雇用の理念と現状第1章 第1節

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