R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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181第8節 その他の障害者暇時や特定の業務を上司や同僚がその都度カバーするだけでは、「職場の迷惑になっている」と本人の心理的負担が大きくなったり、「なぜ、あの人だけが特別扱いなのか」と職場の人間関係が悪化しやすくなり、離職の大きな原因となります。また、単に仕事の負担を減らすように業務調整をすると、本人は「閑職に追いやられた」と仕事上の不満を高めやすくなります。イ 上司・同僚の病気の正しい理解 治療と仕事の両立に関係する職場の人間関係のストレスは、難病のある人に多い離職原因です。休憩や通院、個別の業務調整等は、病気についての正しい知識がなければ、周囲の同僚には理解が困難で不公平感を抱く原因となることがあります。後述する治療と仕事の両立支援での主治医等からの情報活用や、日常の職場で本人が説明しやすくしたり、上司や同僚が疲労等について声かけを行う等、適切な理解と協力ができる職場環境の整備が重要です。ウ 仕事内容や勤務時間等の配慮や調整 職場での健康管理・通院・休憩がしやすいこと、通院等への出退勤時刻や休憩等の職場配慮・調整が可能なこと、体調悪化につながる無理な仕事内容を避ける必要等については、後述する治療と仕事の両立支援において、職場と本人で納得できる両立支援プランをつくるとよいでしょう。 その一方で、多くの難病のある人は、繁忙期の通院や休憩の確保、職場の上司・同僚との理解を促進しやすいコミュニケーションの取り方等に悩んでいます。障害者職業生活相談員としては、職場風土の醸成だけでなく、本人の相談にも対応するとよいでしょう。例えば、「繁忙期でも必要な通院を自覚的に行うことは結局は就業が安定して職場のためになる」「できないことばかりを言うのではなく、病気でも何ができるかを積極的に上司等とも相談して考えていく」「職場の配慮については、お互い様であっても、感謝の気持ちを伝えるようにする」といった助言は、障害者職業生活相談員からもあるとよいでしょう。エ 休職後の復職支援 難病は働き盛りでの突然の発症も珍しくなく、最初の激しい症状で入院し、難病という診断・告知に本人も企業も情報不足のまま自主退職等となり、その後数ヶ月で症状が安定し、十分復職が可能であったことが分かったという例が少なくありません。しかりうる病気です。企業として、治療と仕事の両立支援に取り組んでいたり、障害者差別禁止や合理的配慮提供に取り組んでいるならば、それを募集採用時に明示すること自体が合理的配慮になり得ます。優れた人材を確保するためには、そのような方針を明示した方が有利であるという考え方もあります。イ 能力や適性と必要な配慮を理解するための時間確保 難病のある人の中には、採用面接時に、病気のことばかりを聞かれて、適性や意欲をアピールできなかったという経験を持つ人がいます。適性や意欲等に加え、必要な配慮等について十分に理解するために面接時間を延長することも合理的配慮となり得ます。なお、仕事とは関係のない病気自体について聞く必要はありませんし、プライバシーや人権の観点からも不適切です。 ハローワーク等からの紹介の場合、支援者が事前に主治医等に病気の内容や必要な配慮等について確認を行っている場合もあります。そのような支援者が面接に同伴することを認めることも、理解を進めるための合理的配慮となります。 また、面接だけで判断が困難と感じる場合でも、職場実習、職場体験、障害者トライアル雇用制度等を活用することで、仕事による負荷や疲労、休憩や休日による体調の維持等について、職場で調整を進めるとともに、難病のある人の主治医等とも疾病管理上の情報交換も可能となり、本人、職場、支援者等の納得につながる採用への合理的配慮となります。③ 就職後の合理的配慮 「(1)難病等による障害の特徴」で記したように、難病のある人の治療と両立した就業継続のためには、無理なく活躍できる仕事内容や、休憩や通院等がしやすい職場での調整が本質的に重要です。そのためには、外見からは分かりにくい症状等も含め本人等との情報交換が重要です。ア 休日・休憩・通院等の条件のよい仕事内容 難病のある人が働きやすい身体的負担の少ない仕事は、障害者雇用に特化した仕事に限らず、デスクワークやパート等のむしろ一般の仕事に多くあります。本人の適性に適合し職業人として活躍できる業務配置が、個別の弱点への配慮に先立って重要です。 単に本人の弱点にだけ注目し、例えば、休憩・休第3章 第8節

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