R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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183第8節 その他の障害者1 高次脳機能障害の概要⑴ 高次脳機能障害とは疾病や外傷のために脳の一部が損傷されることによって生じる認知機能の障害を高次脳機能障害といいます。認知機能の障害には様々な種類があり、例えば、記憶障害や注意障害、失語症などが含まれます。脳の損傷は認知機能だけでなく、身体機能や気分の状態にも影響を与える場合があり、適切な支援のためにはその人の状態像を多角的に捉えることが必要です。⑵ 高次脳機能障害の「行政的定義」平成13年度(2001年度)から5年間に渡り、「高次脳機能障害支援モデル事業」が国の事業として行われました(期間終了後、「高次脳機能障害支援普及事業」へ引き継がれました)。この事業の中で、高次脳機能障害の診断基準が作成され、それを高次脳機能障害の「行政的定義」と呼ぶ場合があります。「行政的定義」では、それまでに医療や福祉、職業リハビリテーション等の領域で「高次脳機能障害」と呼んでい2高次脳機能障害た範囲よりもやや狭く「高次脳機能障害」の範囲を定めています。一例として、失語症が主症状である人は、行政的定義の「高次脳機能障害者」には含まれません(行政的定義の目的や内容等について詳しくお知りになりたい場合は、巻末の引用・参考文献1)をご参照ください)。本稿では、「行政的定義」にあてはまる場合に限定せず、職業リハビリテーション領域で従来から用いられていた意味での高次脳機能障害とその職業的課題について述べます。⑶ 高次脳機能障害と認知症との関係アルツハイマー病やレビー小体病などの進行性の脳疾患を原因とする認知機能の障害も高次脳機能障害に含めて考えることができますが、これらの疾患の症状は「認知症」として捉えることが一般的です。本テキストでは「若年性認知症」については別の項(pp.191-196)が設けられているため、本稿では非進行性の高次脳機能障害について述べます。⑷ 日本国内の高次脳機能障害者の数「高次脳機能障害」をどのように定義するか、ま 両立支援プランは、本人や職場の状況の変化に応じて、見直すことも必要です。特に、治療の見通しが分かりにくい状況の場合は、当初の両立支援プランについて一定期間後に見直すことを前提として作成することが適切な場合もあります。③ 専門的支援や制度の活用 治療と仕事の両立支援は、就職後の従業員を対象に実施されるもので、職場の関係者としての産業医・保健師・看護師等の産業保健スタッフや医療機関の関係者、さらに、地域の産業保健総合支援センターが専門的支援を提供します。また、両立支援コーディネーターがこれらの関係者の連携を促進します。 一方、難病のある人の就職採用時においても、早めに治療と仕事の両立支援を想定した、本人や支援機関との情報交換が重要です。ハローワーク等からの職業紹介の場合には、その前提として、主治医等の確認が済んでいる場合もあります。 また、難病法により、各都道府県には難病相談支援センターが設置され、ハローワークや医療・保健・福祉機関、患者会などとの連携により就労を含めた相談や支援を行う拠点ができています。また、ハローワークには、難病患者就職サポーターが配置され、その他、地域障害者職業センター、医師や医療ソーシャルワーカー等も難病のある人の就労支援を行っています。(春名 由一郎)【参考文献】1)障害者職業総合センター:「難病のある人の雇用管理マニュアル(2018)2)障害者職業総合センター:「難病のある人の就労支援のために」(2016)3)厚生労働省:「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(2019)4)治療と仕事の両立支援ナビ…https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/5)障害者職業総合センター:「難病のある人の職業リハビリテーションハンドブック」(2021)第3章 第8節

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