R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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17第2節 障害のとらえ方障害者の個別的な支援の必要性を踏まえて策定及び実施する」ことが掲げられています。こうした視点に絡んで、利用者の個別性に合わせた就労支援を推進するための要点として、①働くことの意義、②生活機能と障害の関係、③ニーズと障害の受容、④職業リハビリテーション活動の概念、⑤個人特性と環境要件のとらえ方、⑥雇用主の対応と支援体制について解説します。その上で、最後に、ライフサイクルの全段階を通じた総合的な支援を考えるうえで大切な、キャリア発達と地域ネットワークについて触れます。障害者の社会参加について示した「障害者基本計画」(内閣府)には、障害があるか否かにかかわらず、すべての人が共に生きる共生社会の実現を目指すことを明記しています。そのための支援については、当事者本位かつ施策横断的な立場に立って「障害者が各ライフステージを通じて適切な支援を受けられるよう、教育、文化芸術、スポーツ、福祉、医療、雇用等の各分野の有機的な連携の下、施策を総合的に展開し、切れ目のない支援を行う」こと、また障害特性等への配慮として「障害者施策は、障害特性、障害の状態、生活実態等に応じた「働くこと」は、一般的には、社会的な視点と個人的な視点の両面から見ることができます。「社会的な視点」は、企業という生産的な場面から見た場合です。これは、職業を、社会の存続や発展に必要な活動を個人に分割して割り当てたものであり、それに継続的に従事することで賃金などの報酬が分配される活動とされます。他方で、「個人的な視点」は、収入を得る手段のみならず、むしろ、自分の能力や興味を発揮して、様々な心理的な満足を得る源泉であることに注目します。この視点は、障害の有無にかかわらず、すべての人にいえることです。ですから、障害があっても、仕事1働くことの意義と職業リハビリテーション⑴ 障害の分類と定義「障害」という言葉には、一般的には、次の二つの視点があります。その一方は、狭義の場合です。これは、例えば、身体障害や知的障害などの障害名や障害の種類と程度というように、身体や精神機能の低下や喪失に対して用いられます。これに対して、広義には、こうした意味を含みつつ、そのことが原因となって派生する生活上の困難や不自由や不利益などを包括した概念です。リハビリテーション分野では、この広義の「障害」2生活機能と障害の関係を的確に表すために、WHO(世界保健機関)が1980年に「国際障害分類(ICIDH)」の試案を提唱しました。この分類では、障害を、①生物学的なレベルでとらえた「機能・形態障害(impairment)」、②総体としての個人的なレベルでとらえた「能力低下(disability)」、及び、③社会的存在としての人間的なレベルでとらえた「社会的不利(handicap)」の三つの水準に区分しています。これは、障害を「病気(疾病)が治癒した後の固定的あるいは永続的な後遺症」ではなくて、「生活への影響」に焦点を当てることで、病気からもたらされる様々な問題を包括して把握しようとするものです。に就いて職業的に自立する中で、生涯にわたる「生活の質(Quality of Life:QOL)」の向上を目指すことは重要です。「職業リハビリテーション」はそれを支援する活動です。その定義は、「障害者が適当な職業に就き、それを継続し、かつ、それにおいて向上することができるようにすること、ならびに、それにより障害者の社会への統合又は再統合を促進すること」(ILO(国際労働機関)第159号条約、1983年)とされます。その焦点は、職業リハビリテーションを、①障害者の社会への統合の手段として位置付け、②適当な雇用の継続と、③その向上を支援することにあります。2第節障害のとらえ方第1章 第2節

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