R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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188第3章 障害別にみた特徴と雇用上の配慮ては本テキストpp. 83, 85も併せてご覧ください)。② 再発予防脳血管障害の既往がある人で、特に高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある人の場合は、脳血管障害の再発を予防するため、主治医の指示に従った定期的な通院や服薬が重要です。通院のための休暇を取りやすくする配慮があると良いでしょう。③ 疲労しやすさ高次脳機能障害者は、心身が疲れやすい場合がしばしばあります10), 11)。疲れると集中力が低下して仕事上のミスが増えたり、イライラしやすくなったりしがちです。無理をしすぎていないか確認し、必要な場合に休憩や休暇を取りやすくする配慮があると良いでしょう。3 高次脳機能障害者の雇用の現状と関連事項⑴ 就業率高次脳機能障害者の就業率に関して、国内の医療機関や就労支援機関が自施設の利用者を対象に行った調査は複数ありますが、就業率は30%台から70%台まで大きくばらつきます12)~ 14)。各調査の対象となった高次脳機能障害者の年齢層や重症度、調査を行った時期(発症・受傷からの経過期間)などの違いを反映しているものと考えられます。⑵ 高次脳機能障害者の職業リハビリテーション地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所などの職業リハビリテーション機関は、高次脳機能障害者の就職・復職に向けた相談やアセスメント、就職・復職後のフォローアップなどの支援を提供しています。職業リハビリテーション機関は一般に、就職や復職の準備のために利用するものと考えられがちですが、就職や復職の後、必要が生じた時点で利用できるサービスもあります。⑶ 障害者手帳高次脳機能障害者に交付される手帳としては、精神障害者保健福祉手帳があります。申請に必要な主治医の診断書は、発症・受傷(初診)から6ヶ月以上経過してから作成することとされています15)。身体障害を合併する場合は、身体障害者手帳を申請することができます。高次脳機能障害の発症が18歳未満の場合、知能検査の結果など一定の条件を満たせば療育手帳(自かなかありません。特に、言葉だけの説明や説得には限界が大きく、本人と支援者が不必要に対立的になってしまう場合があります。日々の体験を共有し、信頼関係を構築しながら、徐々に認識をすり合わせていくことが現実的であると考えられます。その際、課題点だけを指摘するのではなく、できている職務にも着目すると良いでしょう。職務の遂行方法について改善が必要な場合は、「○○をした方がさらに正確な仕事ができる」、「○○を使うともっと作業効率が上がる」といったポジティブな表現を用いることも一案です。障害をどのように受け止めるかは個人によって様々に異なり、個人の人生観と深く結びついています。そういったプライベートな領域に深く踏み込んだ関わりは、職場内の支援者の役割の範囲を超えるものと考えられます。内面的で抽象的な事柄よりも、職務遂行に関わる具体的な状況に着目して援助すると良いでしょう。次に述べるようなメンタルヘルスの問題が生じている場合は、産業保健スタッフや医療機関と連携した対応が望まれます。③ メンタルヘルス、睡眠の問題高次脳機能障害者は、うつや不安7), 8)、睡眠の問題9)を抱える場合が多いことが知られています。脳損傷の直接の結果としてこれらの症状が出現する場合と、日常生活や社会生活でのストレスが関係している場合の両方が考えられます。気がかりな場合は、産業保健スタッフや医療機関への相談を勧めると良いでしょう。⑶ 身体機能及び健康状態① 合併する身体障害・てんかん発作脳損傷の後遺症として身体的な障害を合併する場合があります。例えば、上下肢の麻痺や運動失調(歩行や動作の不安定さやぎこちなさ)、視野障害などがあります。身体の症状は一人ひとり異なりますので、障害状況に応じて通勤や職場環境に関する配慮を検討します。特に、ラッシュ時の電車通勤や、危険を伴う作業については、安全面についての十分な考慮が望まれます。脳損傷の後遺症として、てんかん発作が起きる場合があります。多くの場合は服薬で発作を予防できるため、主治医の指示に従った定期的な通院と服薬が重要です。近い過去に発作が起きている場合や、危険を伴う業務を担当する予定があることなどから心配がある場合は、職務上の配慮事項について、本人を通じて主治医に相談すると良いでしょう(てんかん発作につい第3章 第8節

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