R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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20第1章 障害者雇用の理念と現状は、一般的には、次の過程をたどるとされます。① ショック:受障を信じないで無関心や離人症的な状態に陥る段階です。② 否認や混乱:障害を否認したり、怒りやうらみ、あるいは悲嘆して絶望する段階です。③ 現実的認知と容認:あきらめや開き直りを経て、障害があっても何かできるはずだと考える段階です。④ 適応努力:自分の責任や役割を自覚して、依存これまでに記述してきたことを踏まえ、職業リハビリテーションサービスの全体的な概念を描くと、図2のようになります。これは専門家ばかりでなく、障害者を雇用してその維持を図ろうとする事業主の方々も共通して理解しておくことが望ましいでしょう。⑴ ニ ー ズここでは、ニーズが個人の側と社会集団の双方で生じることを示しています。個人のニーズは、前述のマスローの欲求構造をキーワードにしています。これに対して、職場や地域や家庭などの、それぞれの社会集団にもニーズのあることを示しています。⑵ 役   割仕事に就くには、生産活動を目標とする職場の様々な環境条件から要請されるニーズに応えることが求め4職業リハビリテーション活動のとらえ方から脱却して価値の転換を図ろうとする段階です。⑤ 再適応と受容:人生の新たな目標に向かって積極的に生きる段階です。この経過は必ずしも直線的に進むとは限らず、障害に対する現実認知や容認のできないままに、適応への努力を重ねることも多くみられます。ですから、相互に密接に関連する「特性や技能」「自己イメージ」「目標」の領域を、一体的に支援することが必要となります。られます。個人のニーズは、そうした環境や集団のニーズが反映された「役割」を果たすことで達成されるでしょう。こうした「役割」を媒介として二つのニーズが達成されることを、「充足」と「満足」という言葉で表しています。「充足」は、生産活動をする集団や環境のニーズに個人が応えることを、また、「満足」は、個人のニーズにその集団が応えることを意味しています。それはまた、「社会的な視点」から見た働くことの意義が「充足」をもたらし、「個人的な視点」から見た働くことの意義が「満足」をもたらすことを意味しています。⑶ 適応とその向上こうした双方のニーズを達成していく過程が、「対処行動」です。これは、環境や集団のニーズとして現れる具体的な課題を、個人が積極的に反応してそれに第1章 第2節

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