R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
27/359

25第2節 障害のとらえ方⑵ 雇用管理面の配慮このように、指導方法を工夫したり環境を整備することは、一般的には「職務の適正化」といわれます。これは、単に、本人に合う適切な職務を見出すことではなくて、その能力に合わせて職務そのものを改善したり、作業を容易にするための治工具や機器を改善したりすることも含まれます。また、能力向上のための教育訓練や、その他の様々な雇用管理面からの対処も含まれます。知的障害の人は、それらの中でも、「教育訓練」が最も大切な課題となります。また、身体障害の人は、物理的な環境や技術的な環境の整備を含む「職務の再設計」も必要です。これは、一般的には、残存能力を生かすように作業の配置転換を行ったり、治工具を考案したり、機器を改良して作業を容易にし、能力に合⑴ キャリア発達に即した支援先に示したように、共生社会の実現に向けた支援では、障害者の各ライフステージを通じて、教育、福祉、雇用等、各分野の有機的な連携の下、総合的かつ切れ目のない支援を行うことが求められています。そのためには、学齢期の職業自立に向けた準備、学校から仕事への移行、就職後の職場や地域での安定した生活の維持、職場内でのキャリアアップや離転職、地域生活の継続、退職後の生活の場の確保などの、生涯のライフステージに応じた長期的な展望に立った支援を、常に考えておくことが必要でしょう。そればかりか、私たちの人生は、その生涯において、いつかは遭遇して乗り越えねばならない様々な出来事(例えば、進学、就職、結婚、離転職、退職など)が次から次へと押し寄せてきます。こうした人生の様々な課題を乗り越えて円滑に「移行」することで、「生活の質(QOL)」の向上が保たれるといえるでしょう。ですから、個々人の状況に応じて、そうした出来事に遭遇する可能性を見越したうえで、事前にそれを乗り越えるための準備や支援をするという視点が大切になってきます。働く生活の維持に限定しても、発達的な視点を踏まえると、数多くの課題があります。例えば、就職する前後の時期では、職務を遂行でき7キャリア発達と地域ネットワークる能力を育成しつつ、職務内容の調整を併行しながら、双方の結合に焦点を当てることになります。また、前述の図4に示した、社会生活の遂行能力や職業準備行動などの育成は、学校や訓練機関の課題となります。就職した後、職業生活を継続する期間では、職場に適応できるように支援し、ステップアップや再訓練の機会を提供し、不適応の兆候が出た場合には迅速に対応し、離転職をせざるを得ない場合には適切な訓練機会を提供し、就職先に円滑に移行できるように支援することが求められます。また、事業主が障害者の採用や就職後の職場適応に際して、安心して相談や支援を受けられる体制も必要でしょう。さらに、生活の場の確保、通勤対策、日常生活の相談と支援、余暇活動などといった、事業所の対応では限界のある課題に対する支援や、本人の預金管理などのように、事業所では対応すべきでないことへの支援なども含まれます。雇用や福祉的就労などの働く場面からの引退を支援する期間では、特に、加齢に伴う職務の遂行能力が低下した場合の対処の仕方と、生活基盤をどのように確保し維持するかということが重要となります。特に、企業で働き続けることが困難になった場合に、福祉的就労に円滑に移行できるよう支援することが重要な課題となります。わせて職務や作業の内容を再編成するものです。その他にも、「人間関係の改善」「職場の安全」「健康管理」「労働時間」「賃金」などの、様々な雇用管理面に対する配慮を必要とします。⑶ 企業への支援体制雇用率制度を基にした障害者の雇用は、企業側の努力に依存している部分が多いといえるでしょう。それだけに、障害者雇用に対する社員の啓発、職場実習の受入れ、職務の調整を踏まえた採用、就職後の職場適応の向上、企業内外での能力開発や再訓練、昇進や昇格などのステップアップ、職場や職業生活に対する不適応への対処、高齢化に伴う職業能力の低下への対処などの様々な課題に対して、事業所が安心して相談できるとともに、実際的な協力も得られるような支援体制を整えることが重要になります。第1章 第2節

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る