R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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29第3節 企業経営と障害者雇用の多様性を認める。我々は、こうした民間セクターに対し、持続可能な開発における課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することを求める。『ビジネスと人権に関する指導原則と国際労働機関が定める労働基準』、『子どもの権利条約』及び主要な多国間環境関連協定等の締約国において、これらの取り決めに従い労働者の権利や環境、保健基準を遵守しつつ、ダイナミックかつ十分に機能する民間セクターの活動を促進する。」また、「ターゲット12.6」では「特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。」としています。「世界経済フォーラム」の2020年年次総会(ダボス会議)は、パリ協定と持続可能な開発目標 (SDGs)の進捗状況を監視している各国政府と国際機関に支援を提供することが目的の一つでしたが、中でも気候変動が最大の焦点となりました。また、第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)の場では「持続可能な開発目標(SDGs)」の重要性や、新たな資本主義の目指す方向性について盛んに議論されました。持続可能な社会の実現のために具体的行動が求められています。2004年6月25日に発表された厚生労働省の「労働におけるCSRのあり方に関する研究会中間報告書」(座長:谷本寛治一橋大学大学院商学研究科教授)は、従業員、求職者というステークホルダーとの関わりにおいて、企業が考慮することが望まれる事項について①「人」の能力発揮のための取組み、②海外展開の進展に対応した取組み、③人権への配慮をあげ、人権への配慮については、「今日でも社会的身分、門地、人種、民族、信条、性別、障害等による不当な差別その他の人権侵害はなお存在している。企業においても、差別の禁止やセクシュアルハラスメントの防止等について、社内研修など従業員の人権に配慮するような取組みをしていくことが重要である。」としています。CSRと雇用管理について考える際に、2010年11月1日に国際標準化機構ISO(International Organization for Standardization)により発行されたISO26000について触れる必要があるでしょう。ISO26000は、国際規格「Guidance on social responsibility(社会的責任に関する手引き)」です。これは企業にとどまらず、政府・学校・NGO等、多様な組織を対象としています。ISO26000は、7つの原則として「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」を挙げ、これらを行動規範として尊重することを組織に求めています。そして7つの中核主題「組織統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」と関連する課題や具体的なアクションプランを挙げています。ISOと言えば、ISO14001(環境マネジメントシステ2企業の社会的責任・ダイバーシティの視点と障害者雇用管理の関係ム)やISO9001(品質マネジメントシステム)等のマネジメントの認証システムが有名です。しかしISO26000は、認証を目的とした規格ではありません。多様な組織を対象としており、それぞれに文化的・歴史的な背景を持つため、画一的な基準で「社会的責任」を定義することをしていません。そのためISO26000は、各組織が主体性を持って社会的責任を定義し推進するための、基本となる「ガイダンス」として発行されました。CSRと雇用管理の関係に関わるのは、第6章「社会的責任に関する中核主題:組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ参画及び開発」になります。「6.3 人権」では、人権の概要(組織と人権、人権と社会的責任)が述べられています。ここでは、①人権とは、人であるがゆえにすべての人に与えられた基本的権利であること、②人権には大きく分けて2種類(市民的および政治的権利、経済的・社会的および文化的権利)あること、③組織は、その影響力の範囲も含めて人権を尊重する責任を負うこと、とされています。「6.4 労働慣行」では、労働慣行の概要(組織と労働慣行、労働慣行と社会的責任)が述べられています。ここでは、①組織の労働慣行には、組織内で、組織によって、または下請労働を含め組織の代理で行われる労働に関連するすべての方針および慣行が含まれる、②労働慣行には、労働者の採用および昇進、苦情対応制度、労働者の異動および配置転換、雇用の終了、訓練およびスキル開発、安全衛生、労働者組織の承認、団体交渉、社会対話などが含まれる、③社会的に責任のある労働慣行は、社会の正義と安定に必要不第1章 第3節

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