R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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30第1章 障害者雇用の理念と現状第1章 第3節可欠である、と示されています。雇用管理の面で注目される考え方であるダイバーシティ(diversity)は、一律ではないのですが、米国の雇用機会均等法委員会の「ジェンダー、人種、民族、年齢における違いのことをさす」とされています。そしてこうしたダイバーシティマネジメントの核心は Singh,V.及びPoint, S.(2004)によれば「多様な人材を組織に組み込み、パワーバランスを変革し、戦略的に組織変革を行うことである」とされています。また、ダイバーシティマネジメントの第一の目的は「組織のパフォーマンスを向上させることにある」とされています。我が国の現状はどうでしょうか。例えばジェンダーに関しては世界経済フォーラムが2019年に発表した「ジェンダーギャップ指数」で日本は153カ国中121位でした。2018年は149カ国中110位でしたので、ギャップは一層広がったことになります。しかし、障害者雇用に関しては、我が国においても「障害者の権利に関する条約」の批准に際し、障害者基本法の改正とその基本理念を具現化するための「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を2013年6月に制定、労働の分野については、障害者雇用促進法が同じく6月に改正され米国においてダイバーシティの原点となった「公民権法Civil Rights Act of 1964」や「障害をもつアメリカ人法 Americans with Disabilities Act」の概念である「合理的配慮」の考え方が雇用管理の現場に導入されています。厚生労働大臣が差別禁止と合理的配慮の提供に関わる具体的内容について指針を定めています。障害者雇用の現場において、この「指針」に基づく対応をコンプライアンスとして捉えるのか、前述のダイバーシティマネジメントの考え方に立ち、より積極的に企業戦略として進めていくのか、今後この課題への対応が注目されます。(眞保 智子)【参考文献】1)稲上毅 連合総合生活開発研究所編「労働CSR 労使コミュニケーションの現状と課題」(2007)2)「第15回企業白書 『市場の進化』と社会的責任経営」経済同友会(2003)3)「労働におけるCSRのあり方に関する研究会中間報告書」厚生労働省(2006)4)「企業行動憲章」日本経団連(2004a)5)「企業行動憲章 実行の手引き(第4版)」日本経団連(2004)6)「CSR推進ツール」日本経団連(2005)7)「企業の社会的責任(CSR)」Business Labor Trend,独立行政法人労働政策研究・研修機構(2006)8)Singh,V.,Point.S., Promoting Diversity Management (2004)図 SDGsロゴイメージ出典:国連広報センターQ&A【問】公害問題や耐震・食品偽装などの不祥事に対して企業経営者が自ら危機感を共有したことが日本におけるCSRの議論の土台となった(解答と解説はP345に記載しています)

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