R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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35第1節 障害者の力を活かせる組織・職場づくり第2章 第1節障害者の雇用管理、いわゆる障害を配慮した雇用管理の基本は、職業的自立を目指す障害のある従業員に対して、能力の開発・向上や、能力を発揮しやすい職場環境・条件の整備を通じて支援することです。「障害」については、個々人の機能障害だけに着目するのではなく、環境・条件との関係概念(環境・条件の整備状況によってその能力の発揮度、逆にいえば障害程度が大きく異なってくる)でとらえることが一般的な考え方となってきています。また、平成28年4月より障害者に対する合理的配慮の提供が義務化されていることも踏まえる必要があります。(詳細は第4章第4節参照)障害者の職場環境・条件の整備は、ハードとソフトの両面から考えることができます。ハードの面では、建物や設備、工程、工具などの物理的職場環境の改善・整備、障害がある個々人の能力発揮を容易にする支援技術(AT:Assistive Technology)の積極的活用などがあります。ソフト面での対応では、多様な雇用・勤務形態の導入、職務配置や職務設計の工夫、教育訓練や能力開発での配慮、コミュニケーションや人間関係3職場環境・条件の整備での配慮、賃金や労働時間など労働条件の柔軟化などがあります。また、職場における支援者の配置など、人的支援サービスの確保・管理も含みます。さらに、職場だけでなく福利厚生施設の改善、通勤や住宅に対する支援も含みます。これらの具体的内容の詳細については本章の第2節から第8節で述べます。障害者の職場環境・条件の整備というと、ハード面の整備にコストがかかるというイメージをもたれがちですが、制度の運用を含むソフト面の改善や、配置されている職場での「ちょっとした工夫」など、費用をかけずに取り組めることは数多くあります。職場環境・条件の整備に当たっては障害種類や程度を配慮したきめ細かい対応が必要となります。したがって、そこでは障害者自身のニーズや発言を重視しながら、配置されている職場部門のアイディアや知恵を活かすことが特に重要となります。人事労務管理部門・担当者としては、そうした職場部門でアイディアや知恵が発揮でき、運用がしやすいような社内風土を形成し、制度などの仕組みづくりをすることが重要な役割となります。実行あるのみ。上記を参考にして、貴社でこれならば取り組めるという手近なところから始めてみてください。そして継続が大切ですので、スモールステップで少しずつ実績を積み重ねてください。いろいろな試行錯誤の中から、必ずや貴社に合った障害者雇用支援の仕組みが見えてくるはずです。また、壁にぶつかった時には社内だけで悩まず、外部資源の活用を是非思い出してください。さらに、障害者職業生活相談員資格認定講習等で知り合った他社の担当の方とのつながりを活用してみることも有効です。4中小企業における障害者雇用の促進⑴ 中小企業における障害者の雇用状況厚生労働省がとりまとめた障害者雇用状況報告の結果❶から令和2年6月1日現在の状況をみると、常用労働者数45.5人以上の民間企業は、全国で102,698社、法定雇用率の算定基礎となる従業者数は約2,687万人、障害者数は約58万人で障害者の実雇用率は2.15%でした。このうち、常用労働者数45.5人以上300人未満の中小企業は、全国で87,331社、法定雇用率の算定基礎となる従業者数は約903万人、障害者数は約17万人で、障害者の実雇用率は1.90%でした。障害者雇用率制度の創設時(昭和52年)との比較でみてみると、昭和52年の企業全体の実雇用率は1.09%であったのに対し、令和2年には2.15%になっており、今日までに障害者の雇用状況は着実に進展しています。しかしながら、300人未満規模の中小企業における障害者の雇用状況は、昭和52年は、56人〜99人以下規模の企業で1.71%、100人〜299人規模の企業で1.48%と、企業全体の実雇用率1.09%を大きく上回る水準でした。平成5年は、56人〜99人以下規模の企業❶ 厚生労働省「令和2年 障害者雇用状況の集計結果」

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