R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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37第1節 障害者の力を活かせる組織・職場づくり第2章 第1節ている企業は少なく従来からの管理体制で業務の指導を行っている企業が多い状況でした。また、障害者が登録している支援機関に定期的なフォローアップをしてもらっている企業もみられました。このほか、現場の社員の理解を得るため、事前に社内研修等を行ったり、現場従業員の不安の解消のために話し合いの場を設定したりしている企業もありました。障害者を雇用した後の考え方の変化については、知的障害者や精神障害者を職場実習で受け入れることによって、障害者雇用は身体障害者が対象であるとの固定観念が変わったという企業や、障害特性を理解することにより障害者を見る目が変わったという企業がありました。さらには、作業手順を確実にこなす知的障害者の特性が活かされて品質向上につながったという企業もありました。ウ 障害者雇用の課題アンケート調査とヒアリング調査を通じて、中小企業が初めて障害者を雇用するに当たっての課題と対応としては次のことが考えられます。① 作業内容の設定、作業内容や作業手順の改善については、自社による取組みで乗り切れる場合もあるものの、障害者を受け入れる前に必要に応じて支援機関からその職務内容や雇用管理の仕方等に関する支援を受けることが有効な場合もあると考えられます。  支援者や指導者の配置に関しては、配属部署の管理体制を大幅に変更する必要はないですが、総務・人事部門が障害者の管理に対して関わったり、支援機関を有効に活用したりすることで障害者の雇用管理の負担が配属部署に偏らないように工夫して進めていくことが重要と考えられます。  このほか、雇用の検討の初期段階からどのように進めたらよいのか分からない場合、障害者を雇用している企業に出向き、先進事例に学ぶという対応も有効な手段と思われます。② 障害者の雇用経験のない中小企業にあっては支援制度そのものを知らない企業が少なからずみられたこともあり、各支援機関や各種支援制度の情報をできる限り収集することが望まれます。③ アンケートによれば、初めて障害者を雇用した企業のうち半数を超える企業が、障害者を雇用した後に考え方の変化がみられました。障害者を未だ雇用していない企業の場合、障害者雇用への不安や負担感を軽減すること、障害特性や能力についての適切な理解を促進していくことが求められます。あわせて、障害者雇用がもたらすメリットや社会におけるコンプライアンス重視の意識の進展を十分認識、理解をした上で、障害者雇用を進めていくことが望まれます。④ 人材確保は、企業側が最も重要視することです。支援機関と接点がない企業も、まずハローワークを訪れるとともに、地元の各支援機関で求職者に関する情報収集を積極的に行っていくことが望まれます。エ 必要な取組最後に、本調査では、中小企業が次のような取組を行うことを提案しています。① 初めての障害者雇用に躊躇している中小企業にあっては、雇用に向けた第一歩として、障害者の特性や能力に関して適切に理解するために、職場実習を受け入れることや、支援機関に対して雇用を躊躇する理由を具体的に相談してみること。② 実際に障害者雇用に向けた取組を進めようとするものの、何から手を付けていくべきか悩む企業にあっては、企業見学等を行いつつ先進企業の取組に学んでみること。また、見学先の選定に当たり迷うことがあれば、支援機関に相談してみること。③ 初めて障害者を雇用する方針を固めようとする企業にあっては、職場実習など試行的な受入れに先だって、支援機関にも相談しつつ、障害者の職務等についてあらかじめ社内で検討してみること。④ 障害者雇用の検討に当たっては、コストがいくらかかるかということだけでなく、障害者雇用が社員に与える意識の変化などのメリット、障害者優先調達推進法等企業の経営面からみたメリット、積極的な障害者雇用がもたらす企業の社会的評価の向上、社会貢献といったメリットや意義があることについても理解した上で検討すること。⑤ 求職者に関する情報は、企業自らもハローワークをはじめとした各支援機関に相談するなど、その収集に積極的に当たってみること。⑥ 障害者を採用する際には、複数の部署から構成される組織をもった企業の場合、障害者の配属部署だけではなく総務・人事部門など複数の部署が直接的・間接的に関わること。また、必要に応じて支援機関に相談してみること。⑦ ジョブコーチによる支援について、とりわけ精神障害者や知的障害者を雇用する場合にあっては積極

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