R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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40第2章 障害者の雇用管理上の留意点⑵ 就業組織形態 障害特性に応じた雇用が容易になるよう、様々な組織形態が制度化されています。① 特例子会社:事業主が障害者雇用に特別な配慮をした子会社を設立した場合、一定の要件のもとに子会社の従業員を親会社に雇用されたものとみなして、親会社の雇用率に計算できる制度です。  特例子会社のメリットとして次の点があげられます。 ○会社としてのメリット・社内外に障害者雇用の取組みを周知させることができる。・親会社から独立しているため、より障害に配慮した臨機応変な意思決定を行うことができる。・障害者の職場定着に資する独自の運営を行うことができる(就業規則、賃金規定等)。・障害者に配慮した施策をとることができる〔障害者職業生活相談員の配置、職場適応援助者(ジョブコーチ)の配置等〕。・職域の開拓が進めやすくなる。 ○障害者としてのメリット・合理的配慮が整っている。・障害者同士の仲間意識の醸成を図れる。・障害を意識せず伸び伸び働くことができる。・労働意欲の向上(昇任、昇進)を図れる。  特例子会社については、雇用率制度のグループ適用が認められています。つまり、特例子会社を保有する親企業が特例子会社以外のその他の子会社(以下「関係会社」という。)を含めて障害者雇用を進める場合には、一定の要件のもとに関係会社に雇用されている従業員も親会社に雇用されている者とみなし、実雇用率を通算できます。  なお、特例子会社がなくても、企業グループ全体で障害者雇用を進める場合には、一定の要件のもとに当該企業グループの親会社以外の子会社に雇用されている従業員も親会社に雇用する者とみなし、企業グループ全体で実雇用率を通算できます。  令和2年6月1日現在で特例子会社は544社設立されており、障害者(特に知的障害者、精神障害者)の雇用促進の上で大きな成果をあげています。② 事業協同組合:特例子会社を設置することが難しい中小企業については、複数の中小企業が事業① 短時間労働者:1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者をいいます。フルタイム勤務が困難な障害者であっても、短時間勤務であれば就労可能なケースが多くあります。特に、精神障害者には、体力や気力の面で長時間働くことが困難なケースがあるため、最初からフルタイムで働くのではなく、最初の2~3ヶ月は短時間の勤務から始め、体力の回復状況を見ながら徐々に勤務時間を延長することによってうまく定着できることがあります。  また、例えば、重度のじん臓機能障害者で人工透析を必要とする場合には、通院時間を確保するために短時間労働者として採用したり、重度の視覚障害者を採用する際には通勤時の混雑を避けるため出勤時間を遅くする、といったことも考えられます。② 在宅勤務者:情報技術や高速通信網等のIT技術の発達により、通勤が困難な障害者であっても、自宅等で業務を行うことが可能になりました。企業などに勤務し、在宅勤務等のテレワークで業務を行う勤務者は、近年増加傾向にあります。障害者については、常用雇用労働者であって雇用保険の被保険者である等、一定の要件を満たす場合、実雇用率の算定対象となります。③ 障害者トライアル雇用:ハローワークが紹介する障害者で、職業経験・技能・知識等から、就職が困難な障害者について、一定期間試行雇用(原則として3ヶ月。精神障害については3ヶ月以上12ヶ月以内)することにより、事業主と対象障害者とで仕事をするに当たっての適性や能力等を見極め、お互いに理解を深めて、その後の常用雇用への移行や本採用のきっかけづくりを図ることを目的に創設された事業です。事業主には、トライアル雇用期間に助成金として月額4万円、精神障害者を雇用する場合は3ヶ月間は月額最大8万円、4ヶ月目から6ヶ月目までは月額最大4万円が支給され、雇入れにかかる一定の負担が軽減されることもあります。対象障害者にとっては、企業の求める適性や能力・技術を実際に把握することができ、また、トライアル雇用中に努力することで、その後の本採用への道が開かれます。常用雇用に移行した場合は、雇用率計算上は遡って算入できます。第2章 第2節

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