R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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43第2節 障害者の募集・採用を正しく理解して評価すれば、職場の大きな戦力となります。 知的障害者を正しく理解し評価する手段として、特別支援学校等の在校生を対象とする職場実習と、地域障害者職業センターが行っている職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援、障害者を試行的・段階的に雇い入れる際のトライアル雇用助成金等があります。これらの制度の活用によって、知的障害者は職業や職場について理解することができ、事業主側は障害の程度や体力、作業能力、性格等を正しく評価することができるのです。【精神障害者の面接時の配慮等】 精神障害者は、知的障害者と違い、言葉を介した意思伝達や、数、文字の使用についても配慮は不要です。一方、精神障害者は初めての場面では緊張が強く、自分を十分に表現しにくいようです。したがって、事業主が精神障害者の採用面接をする場合には、本人が支援を受けた地域障害者職業センターや、その精神障害者とかかわった福祉・保健・医療機関、障害者就業・生活支援センター等のスタッフに同伴してもらうようにします。そうすることで本人の気持ちがほぐれますし、自分自身で表現が不十分なところは同伴者が口添えできるのです。 事業主が初めて精神障害者を雇用するような場合は、雇用主の不安感を少しでもなくすために、本採用になる前に短期間働いてもらう障害者トライアル雇用をお勧めします。障害者トライアル雇用の実施に当たっては、面接に同伴した障害者職業カウンセラーまたは職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣を関係機関に依頼し、専門的な立場から作業の選択と勤務時間の組み合わせ、職場の環境整備方法、本人が職場で必要とする生活面の支援方法(特に本人が自覚していない体調不良等に対する留意事項)及び家族や各支援機関との連携方法等についてアドバイスしてもらうことが重要なポイントです。障害者トライアル雇用においては、トライアル雇用実施計画書を雇入れから2週間以内に対象労働者と十分に話し合い、その同意を得たうえでハローワークに提出する必要があります。【聴覚障害者の面接の例】 採用面接では、聴覚障害者に最も適したコミュニケーションの方法(口話、筆談、手話通訳等)を決めておくことが大切です。面接の時には手話が必要だと考えがちですが、口話でも十分に会話ができることがありますし、聴覚障害者の中には手話を使わない人もいます。 口話で採用面接の会話をするときには、口の動きが相手によく見えるように顔を正面に向けて、ゆっくりと、口を大きくあけて話すことが大切です。しかし、口話だけではこちらの言葉が正しく伝わらないこともあれば、相手の発音がよくわからないこともあります。その時は筆談を交えてコミュニケーションをとるようにします。このために面接時には、筆談用の用紙や筆記具を必ず準備しておくことが必要です。筆談には簡潔な文章で、複雑な言い回しを避けることを心がけ、面接者の言葉を相手に伝える筆記係を同席させるとよいでしょう。 口話を用いないで手話でコミュニケーションをとる人には、手話通訳を同席させて採用面接を行います。手話は聴覚障害者にとってなじみのある言語なので、リラックスして自己表現できる有効手段でもあります。手話通訳の席は面接者と並ぶ位置におき、手の動きが相手によく見えるようにします。⑷ 知的障害者及び精神障害者の採用面接とトライアル雇用 特に、知的障害者の選考・面接においては労働条件(労働時間、休日、賃金等)の確認が重要となります。採用後のトラブルを避けるため、特別支援学校の進路指導担当教員、支援機関の支援者、家族等の同席のうえ確認してください。【知的障害者の職場実習】 知的障害者は一般的に、抽象的な言葉や概念を理解したり、計算や読み書き、自分で判断して行動すること等が苦手で、仕事を覚えるのが遅いといわれています。しかし、一度覚えた仕事は正確にこなし、非常にまじめだともいわれます。マイナス面ばかりに目を向けず、一人ひとりの特徴第2章 第2節

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