R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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58第2章 障害者の雇用管理上の留意点このように、ギャップを埋めるには幾つかの方法があり、職業訓練が必要かどうかはケースバイケースです。そこで、ギャップの原因がどこにあるのか着目して、必要かどうかを判断します。もし、ギャップの原因が作業施設・設備の問題だとすると、環境を調整することによってギャップを埋められる可能性が高いです。この場合は、働く環境整備の問題と考えるべきです。また、ギャップの原因が心因的なもののときは、カウンセリングや周囲の人の接し方を変える環境調整でギャップを埋められる可能性が高いです。この場合は、職場での(障害者との共生を意識していない)コミュニケーションの問題と考えるべきです。そして、ギャップの原因が能力不足や未熟さにあるときは、職業訓練によって補うことが必要となります。職業訓練というと仕事に関係する技能の向上・開発だけが取り上げられがちですが、障害者の場合、それだけでは不十分です。障害が仕事の効率に直接与える影響以外の課題もあります。障害者は、職場の中で人々と一緒に働くうえでの決まりごとや習慣などを体験することが少なく、経験したとしても極めて限定されたものとなる場合もあります。いわゆる企業で働くためのレディネス(準備態勢)の形成が障害のない人に比べると遅れている場合があるからです。そこで、よくいわれることですが、知識・技能・態度の3つの能力について職業訓練が必要かどうか判断します。また、職業訓練にはOJTとOFF-JTの2つの方法があります。どちらの方法を採用するのかは、後述するメリットを参考にしてください。もちろん、ギャップの原因は1つとは限りません。ギャップを埋めた後にはもう一度ギャップを見直してください。新しいギャップの原因がみえるかもしれません。図1 職業訓練の必要性の検討 ギャップの確認(「企業の要請」と「現有能力」の差)ギャップの原因は?環境整備作業設備知識・技能・態度の不足心因的カウンセリング職業訓練⑵ OJTによる職業訓練のメリット OJTとはOn the Job Trainingの頭文字をとったものです。「職場内訓練」といわれ、仕事をしながら学んでいく職業訓練を指します。一般的には、教育係と一緒に仕事をしながら仕事内容を学んでいきます。例えば、職場の先輩が教育係となって新人と一緒に仕事をしながら教えているのもOJTです。この例では教育係の先輩も仕事をしていますが、障害者のOJTでは一緒に仕事はしない支援員が教育係となって仕事を教えるという方法もあります。いずれも、仕事をしながら学ぶので、仕事に必要な知識・技能だけを効率的に学び、現在担っている仕事を正しく、時間内にきちんと遂行する能力を身につけることができるメリットがあります。これは障害者に限ったことではありませんが、障害者の中には原理・原則を学んでも実際の作業行動に応用することが苦手であったり、同様の作業であっても作業環境が少しでも変わると戸惑ってしまい作業ができなくなる人もいます。こうした人にはとりわけOJT第2章 第4節

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