R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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60第2章 障害者の雇用管理上の留意点の拡大が職業上の課題であるからです。従って、この段階では動作を確認しながら、その場で誤りを修正すると同時に少しの進歩でも褒め、内的な動機付けを高めることが必要になります。さらに、作業のミスについては、なぜ失敗したか、どこが悪かったかを一緒に考え、本人が納得するような対応策を見出していくことも必要です。⑷ 第四段階「総括」「総括」は、訓練結果を検証して目標に達したか否かの確認をする段階です。「チェックポイントにしたがって、訓練結果を評価する」→「訓練のポイントを再度確認し、次の訓練課題に活かす」というステップで展開します。【指導上の配慮】障害者の中には環境適応が苦手な者が少なくありません。そのために、実際の作業を体験して慣れるという過程が必要であり、一課題ごとの評価が実態に沿わない場合もあります。そこで、短期間の評価に加えて環境適応という長期の変化をも見据えた視点から総合的に評価し、本人のできる作業を見出していくことが重要になってきます。いわば、長期間にわたった実習内容から適性を見出していくのです。小さな一歩を踏み出してみて、うまくいけばもっと頻繁にやる、うまくいかなければ、別の小さな一歩を試みるのです。こうした小さな成功の積み重ねによって、障害者のできる内容を見極めていくことが大切です。【指導上の配慮】障害者に対する作業内容の説明や指示の出し方で注意すべきことは、その内容を理解しているかどうかを確認しておくことです。それは、曖昧な状況が苦手だったり、融通がきかず杓子定規であったりするなど、配慮した話し方で説明しないと理解が難しい障害特性の人もいるからです。もし、理解していないままに指導を続けると、場合によっては指導者に対する不信につながることもあります。従って、説明や指示は、具体的にはっきりと断定的に行い、理解する能力以上に強いないように心がけることが大切です。特に、配慮した話し方は一律ではないことに注意してください。障害者本人の障害特性にあわせて一人ひとり話し方を変えましょう。⑶ 第三段階「実習」「実習」は、障害者に対して実際に作業をやらせてみる段階です。「やらせてみて、間違いを直す」→「やらせながら、作業を説明させる」→「もう一度やらせながら、ポイントを言わせる」というステップで展開します。【指導上の配慮】実習における指導上の基本は、マイナス面よりはプラス面を重視し、障害者本人のできる作業を確実に実行できるように得意分野を伸ばすことです。それは障害者の多くが、障害特性のために思うようにできないもどかしさを感じており、彼らの自信の回復や自発性障害者に対して職業訓練を実施するときは、障害種別に関わらず指導全般で共通となるポイントがあります。1つ目が、指導する者と指導される者との「関係づくり」が大切なポイントになります。2つ目は、実際の仕事を教えるときの情報発信のしかたとして「指導上の指示・手がかり」がポイントになります。3つ目が、ミスの原因を追究し改善していく「フィードバック」がポイントになります。最後に、最も重要なポイントが、障害による制限を克服する手立てとしての「障害状況に応じた指導」です。以下、それぞれについて紹介します。⑴ 関係作りのポイント職業訓練には指導する側と指導される側との、いわ4職業訓練の指導のポイントば立場の異なる対人関係があります。また、障害者との関わりでは、障害特性から対人関係やコミュニケーションに課題を抱えていることもありますので、関係作りはとりわけ大切です。こうした関係をうまく成立させるには、相互の信頼関係を築くことが大前提になります。信頼関係は一朝一夕に築くことはできませんので、段階的に築いていくことが必要です。第一段階は、誘い込みです。誘い込みとは、訓練への導入であり、訓練内容に興味を持つように障害者を引き込んで、その雰囲気を味わわせることです。この段階では、障害者とのコミュニケーションを重視し、特に障害者の話すことを徹底的に聞いて、安心感を与えます。第二段階は、指導者に関心をもってもらうことで第2章 第4節

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