R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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61第4節 障害者の職業能力開発第2章 第4節示したり、身体全体で指示する方法です。その際、あいまいなジェスチャーを避ける、速すぎない、一度に多くのことを同時に示さないなどを心がけるのがポイントです。③ 見本を示す方法訓練で行う作業の全部又は一部を実際にやってみせて、障害者がそれを見本にして作業させる方法です。障害のあるなしに関わらず、実際の作業をみせたほうが理解しやすいです。もし、障害者本人が、周囲の人の行動をマネするのが上手な場合は、特に効果的です。④ 身体的に支える方法正しく行動できるよう指導者が障害者本人の身体に直接触れながら物理的な手助けをする方法です。ただし、障害特性によっては、指導者がやわらい力で触れても障害者本人が痛みを過敏に感じたり、身体を触れられることを嫌悪する人もいますので、細心の注意が必要です。また、このような障害特性がなくても、体に触れる前には必ず声を掛けることを心がけましょう。⑤ 要点を強調する方法教える要点を際だたせるために工夫する方法です。重要な部分は、大きく書いてみせる、声を大きくする、作図しながら説明する、目印をつける、動画や実物を見せるなど注意を引きつけるように心がけましょう。⑥ 教材・補助具を使用する方法仕事や行動の見本を模型、道具、図版や表などを利用して理解しやすくする方法です。親近感をもたせ、注意力、正確さなどを伸ばすときに効果があります。障害者に合わせてオリジナルの教材を開発することもあります。⑶ フィードバックのポイントどのような仕事でも、正確さとスピードが要求されます。この要求を目標として訓練を繰り返しますが、1回で目標をクリアできる人はいません。ミスを繰り返しながら、徐々に目標に達していきます。この時に大切なことは、ミスに対するフィードバックです。ミスの原因は何か、どうしたらミスを解消できるかという原因・対策を障害者自身が認識し、ミスを修正する行動が必要です。特に、障害特性によっては、自ら気づき修正していくことが苦手な人もいますので、フィードバックに対する指導がより重要となります。す。そのために、まず、指導者は、障害者に呼びかけたり、障害者からの話しかけに応えたり、あるいは応えやすい話を向けるなど、障害者に関心があることを積極的に示す必要があります。その一方で、指導者は、障害者が指導者に関心を示すような僅かなサインを見逃さないように、常にアンテナを張っておく必要もあります。第三段階は、指導者への関心をさらに深めてもらうことです。そのためには、声かけしながら近づくことを頻繁にしていきます。障害者が困っているような様子のとき、あるいはふだんと少し様子がちがうとき、あるいは必要がないようなときでも、できるだけ頻繁に、声かけしながら近づくことです。そうすることで、向こうから呼び止めてやり方を聞いてくるようになります。以上のような段階的な心積もりで関係作りをしていき、指導者は障害者の関心の深まり具合を確認しながら信頼関係を築いていくのです。⑵ 指導上の指示・手がかりのポイント「人を見て法を説け」というとおり、障害者本人に合わせた指導法をとることが重要です。しかし、その方法にはいくつかのタイプが経験的にあるといえます。指導者が障害者本人に何らかの影響力をもたらす手段(媒体)からみると、次の六つの指示・手がかりの方法があります。① 言葉で示す方法言葉で「……しなさい」と伝えて指導する方法です。ただし、指導者の話し言葉に曖昧な表現があったり、抽象的であったり、周囲に雑音があったりすることにより意図が伝わらないことがあります。障害特性上、一般的には伝わるレベルの言葉でも、ほとんど意図が伝わらないことがよくあるので、言葉を選んで話をする必要があります。言葉で示す方法は、最も多くとられる方法なので、指導者は障害者一人ひとりにあわせた配慮した話し方を最優先で習得しましょう。また、指導者の指示に従わなかったときに起こしがちな怒った顔や声の調子などはマイナスの影響を強く与えてしまいます。「こんなこともできないのか!」という見方や考え方は、指導の過程では指導者の頭の中から取り除くことが大切です。② ジェスチャーで示す方法「ここを押す」「あちらを向く」など指導者が手で指

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