R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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79第6節 継続雇用・退職【日常生活自立支援事業と成年後見制度】 知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方の場合、障害者の生活を支える制度を利用したり、利用について相談したりする力が不十分であるために、せっかくの制度を有効に活用できていない場合があります。また、金銭管理や日常生活での契約行為等でトラブルに遭い、これを解決できず、そのことが会社への出勤や仕事への取り組みに少なからず影響してしまう場合があります。 このような課題に対処し、障害者の生活を支え、権利を守るための公的な制度として、次の二つが代表的です。判断能力が不十分な方の立場から、専門家の意見も入れて適切な方法を取れるよう、障害者本人が助言を受けることができます。1.日常生活自立支援事業 ※ ⑴ 内容  生活支援員の派遣により、基本的には次のような内容の支援が行われます。① 福祉サービスの利用援助② 苦情解決制度の利用援助③ 住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続に関する援助等  また、上の3つの支援に伴い、次のような援助が行われる場合があります。④ 預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続等利用者の日常生活費の管理(日常的金銭管理)⑤ 定期的な訪問による生活変化の察知 ⑵ 相談窓口 市区町村の社会福祉協議会(実施主体は都道府県・指定都市の社会福祉協議会) ⑶ 根拠法令 社会福祉法 ※ 地方自治体によって名称が異なる場合があります。2.成年後見制度 ⑴ 内容  〔目的〕 知的障害や精神障害等の理由で判断能力の不十分な方々は、買い物をしたり、不動産や預貯金などの財産を管理したり、福祉サービスに関する契約を結んだり、遺産分割協議を行う必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約内容であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害に遭うおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。  〔種類〕 成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度との2つがあります。 法定後見制度は、「後見(こうけん)」「保佐(ほさ)」「補助(ほじょ)」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。法定後見制度においては,家庭裁判所によって選ばれた成年後見人、保佐人、又は補助人が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。 任意後見制度は、高齢者等の本人が、十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人である任意後見人に、自分の生活、療養看護や、財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を、公証人の作成する公正証書で結んでおく制度です。判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する任意後見監督人の監督の下、本人を代理して契約などをすることにより、本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。 ⑵ 相談窓口 家庭裁判所 ⑶ 根拠法令 民法第2章 第6節

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