R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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81第7節 障害者の健康と安全第2章 第7節ることができます。しかし、産業医の選任を義務づけられていない小規模な事業場では、保健師や看護師、人事労務担当者が中心となって、外部の医師や地域産業保健センターなどと適宜連携しながら、労働者の健康と安全の確保に努めなくてはなりません。産業医がいる事業場でも、特別な医学的配慮を要する障害者を雇用する場合には、外部の専門医と連絡を密にして対応する必要があります。て労働者の健康管理等にあたらせることとなっています。安全管理者や衛生管理者の選任が義務づけられていない中小規模の事業場では、安全衛生推進者または衛生推進者を選任し、労働者の安全や健康、衛生に係る業務などを担当させることになっています。産業医の選任が義務づけられている規模の企業では、労働者の健康と安全に関しては、産業医から医学的立場や産業保健活動の立場からの専門的支援を受け3障害者の健康と安全を守るために⑴ 障害の状態や健康状況を知ること① 雇用前、または復職前の状況の把握雇用時または復職時には、事前に医学的情報や障害に関する情報を得ておくと、障害に関する理解を深め、就業後の健康管理に役立てることができます。情報の入手先としては、主治医、専門医、以前の事業場の健康管理室、障害者職業能力開発校などがありますが、本人の承諾を得ておくことはもちろん、個人情報の管理を徹底する必要があります。障害を有するに至った経緯や現病歴、現症、作業能力、就業可能時間、服薬状況、発作の予防法や対処法、その他の注意事項などが参考になります。これらの情報は、産業医か健康管理担当者が管理します。雇用後や復職後にも、外部の主治医や専門医と連絡を取りやすくしておくことは、障害の種類に関わらず役に立ちます。② 健康診断による健康の情報雇入れ時健康診断や定期健康診断では健康状態の総合的評価が行われるので、障害者の健康管理の注意点をさらに確認できます。③ 本人からの情報多くの障害者は、自己の障害や体調を誰よりもよく理解し、しっかりした自己管理を行っています。したがって、何よりも本人からの情報を十分に得ておくことが、異常の際に適切な対処や支援を行うために不可欠です。⑵ 雇用後に障害を悪化させないために① 医師等の指導産業医に障害者の健康管理や就労の耐久性などについて相談し指導を受けます。また、障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)を利用して職場支援員を配置し、障害者の業務遂行に必要な援助や指導を受けることもできます。② 障害者自身による主治医や専門医の受診障害者自身が主治医や専門医を定期的にまたは必要に応じて受診し、必要な治療や経過観察を受けることは、就業の継続や健康管理のために有効です。無理なく通院できるように勤務時間等に配慮し、また、主治医から特別な指示があればそれに従うようにします。③ 症状の発現や合併症の発生についての理解てんかんのように発作を繰り返す障害や、褥瘡や関節変形などの二次的合併症を生じやすい障害の場合には、健康管理の方法や、発作時の処置法、さらに予防法や注意点などについて、本人の承諾のもとに、産業医や主治医、専門医からの助言を得るようにします。⑶ メンタルヘルスケア近年、職場におけるメンタルヘルスケアの重要性が強調されるようになっています。一般に障害者は、作業能率、仕事の理解力、復職後の仕事量の減少、対人関係などについて、障害のない人よりもはるかに強い精神的・心理的ストレスを感じています。こうしたストレスは健康管理にも就業継続にも影響するので特に注意が必要であり、メンタルヘルスケアによって障害者の職場適応を促進するように努めます。具体的には、産業医、保健師、看護師、健康管理者、カウンセラーなどが医学的あるいは心理学的立場から対応することになりますが、上司や指導者、同僚などによる支援が有効なこともあります。逆に、上司や同僚がストレスの原因になっている場合もあるので、本人の訴えによく耳を傾けるとともに、職場環境や人間関係をよく観察する必要があります。また、労働安全衛生法に基づくストレスチェックを適切に実施すべきことは申すまでもありません。

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