R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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84第2章 障害者の雇用管理上の留意点病性網膜症による中途失明です。糖尿病の場合には、主治医による十分な管理のもとで、食事管理や服薬、インスリン注射などが規則正しく行われるよう配慮が必要です。視覚障害者は衝突や転落の危険を回避することが困難なので、職場内外の物理的環境の整備は特に重要です。また、ロービジョンの人については、特有の見えにくさに応じて、職場内の表示や照明を最適化するように努めます。その他、見えないことによる職場内での疎外感やストレスに注意を払い、必要に応じて健康管理室などと連携しながらメンタルヘルスケアを受けられるようにします。⑶ 聴覚障害者の健康と安全(第3章第3節参照)聴覚のみに障害を有する者は、体力などの面では就労上の問題はほとんどありません。最も重要な問題は、上司や同僚との間のコミュニケーションがとりにくいことから、心理的なストレスを生じやすいことです。業務に直接関係のある意思伝達に困難があるだけでなく、休憩時間中の同僚との日常会話などにも加わり難いことがあるので、職場内で孤立感を味わうことになるのです。また、本人からは見えないところから声を掛けられてもそれに気付くことができないために、相手を故意に無視しているかのように誤解されることがあり、それが心理的圧迫となります。本人が抱えているストレスを早期に察知し、健康管理室などと協力してメンタルヘルスケアに努めるとともに、良好な職場の雰囲気を作るように助言します。手話を使う聴覚障害者のいる職場では、職員が「おはよう」「ご苦労様」「ありがとう」などの簡単な手話を覚えて、気軽に接触するようにします。また、相手の口唇の動きで言語を読み取る口話(読唇話)を行う人に対しては、口がよく見えるところで話すよう心がけます。⑷ 内部障害者の健康と安全(第3章第4節参照)① 共通事項内部障害は非常に幅広く、その種類と程度によって、作業能力や仕事量、就労可能時間、その他注意事項は大きく異なります。雇用時や復職時に、その後も随時必要に応じて、本人、主治医および専門医等から、就業上配慮すべきことがらについての情報を入手します。疾病や障害に関する情報は最も重要なプライバシーのひとつですので、情報入手にあたっては必ず本人の承諾を得ておくことと、その管理を徹底すべきことは言うまでもありません。体力や耐久力が低下して過労状態に陥りやすいので、疲労が蓄積しないように就業時間や作業負荷量には特に配慮します。食事や睡眠など規則正しい生活を確保できるよう通勤距離や時間にも注意し、さらに定期的に主治医を受診できるように時間的な配慮をします。② 心臓機能障害身体障害者福祉法による身体障害者手帳の交付基準は「日常生活活動が著しく制限されるもの」とされており、通常、心臓機能障害を有する人は、主治医から活動の許容量が指示されています。主治医からできるだけ具体的な情報を得て、事業場においても作業負荷量が許容限度を超えないように配慮します。また、心不全や不整脈の徴候や狭心痛などの出現に注意し、異常が認められた場合の対応方法について、あらかじめ主治医の指示を得ておくことが望まれます。なお、平成26年3月までに身体障害者手帳を取得した人で、心臓ペースメーカー植え込みにより1級を取得した人の中には、日常生活活動にはほとんど制限のない人が含まれています。その場合にも、電池交換などのペースメーカーのメンテナンスが適切に行われることや、ペースメーカー誤作動の原因となる強い電磁波を生じる場所には近づかないことなどに注意します。③ 腎臓機能障害腎臓機能障害は、腎臓機能の低下が進行しているがまだ透析は受けていない状態、人工透析を続けている状態、腎移植を受けた後の状態の3つに分けることができます。それぞれの状態によって注意すべき事柄が異なりますので、主治医からの指示を本人が遵守できるよう、就業時間などに配慮します。また、いずれの状態においても、感染症は状態悪化の重要な原因となるので、感染症の予防と早期治療を促します。④ 呼吸器機能障害呼吸器の機能の障害による息切れなどにより、日常生活活動が著しく制限されます。活動の許容量は主治医から指示されるので、それを本人が遵守できるよう配慮します。在宅酸素療法(HOT)により就業が可能となっている人には、機器がトラブル無く使用できるよう配慮します。肺炎などの感染症は呼吸器機能の急激な悪化を招くので、感染予防と早期治療を促します。第2章 第7節

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