R3障害者職業生活相談員資格認定講習テキスト(デジタルブック版)
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87第8節 障害者のための職場環境しかし現実には、利用者が多様化すればするだけ技 術的な対応は難しくなり、またより広範囲の重度障害 者を想定して、改善計画を行うとなると大きな建築ス ペースと経済的負担が必要になります。本節では、必ずしもすべての人が使用できるデザインではないものの、多くの人に対応でき、しかも比較的容易に改善できるものを中心にその方法を解説します。⑵ 二つの技術的基準同法では、不特定多数の人が利用する、または主として高齢者・障害者が利用する建築物を「特別特定建築物」と定義しています。一定規模以上の「特別特定建築物」を建築するときは、建築物の構造や配置に関して、最低限の満たすべき基準「建築物移動等円滑化基準」に適合させることが義務付けられています。また、より望ましいレベルとして「誘導基準」があり、この基準を満たして、所管行政庁の認定を受けると、支援措置を受けることができます。近年は、さまざまな障害のある人が企業で働くようになりました。また障害認定を受けていなくても、高齢の従業員や職場を訪れる障害のある一般利用客の利便性を考えれば、多様な人々に配慮した『だれもが利用できる』ユニバーサルデザインを目指すべきでしょう。これは事業所にとって、多様な人々が生きる社会環境をつくりだすための社会的役割を担うとも考えられます。⑴ 基本事項一般企業の事務所を含む、公共的な性格をもつ一定規模以上の建築物にはバリアフリー化が義務とされています。都市部では付加条例により、対象となる建築物の種類や規模が拡大されていることがあります。以下の施設整備は、規模や用途、雇用している障害者の種類にかかわらず、事業所において配慮してほしいと考える、バリアフリー法の「標準設計」を用いて解説します。8第節障害者のための職場環境1はじめに2バリアフリー法❶(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)と技術的基準表1 バリアフリー法による建築物各所の技術的指針<最低基準>最低限の基準<誘導基準>望ましい基準玄関出入り口の幅80cm120cm居室などの出入口の幅80cm90cm廊下幅120cm180cmスロープ手すりの設置片側でも可両側スロープ幅120cm150cmスロープ勾配1/12以下1/12以下、屋外1/15以下車いす使用者用便房の数建物に1つ以上各階原則2% 以上オストメイト対応便房の数建物に1つ以上各階1つ以上低リップ小便器等の数建物に1つ以上各階1つ以上車いす使用者用駐車施設の数1つ以上原則2%以上車いす使用者用駐車施設の幅(一般は250cm以上)350cm以上350cm以上道等から案内板や案内所に至る経路視覚障害者誘導用ブロックを設置するか音声による誘導装置を設ける視覚障害者誘導用ブロックを設置するか音声による誘導装置を設ける❶ 1994年、全国で初めて高齢者や障害者等の建築物等の利用円滑化を目的とした「ハートビル法」が制定された。2000年には鉄道車両や駅舎、バスターミナル、空港などの交通施設を対象とした「交通バリアフリー法」が制定、2006年にこれらが統合された現在の「バリアフリー法」が施行された。第2章 第8節

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